ヤマハ、3D/ARC対応のエントリー向けAVアンプ2モデル

-61,950円/49,350円。シネマDSPがHDオーディオ対応


RX-V567シルバーモデル

6月上旬より順次発売

標準価格:49,350円~61,950円

 ヤマハは、エントリー向けAVアンプの新モデルとして、3D映像伝送やARCにも対応した「RX-V567」と「RX-V467」の2モデルを6月下旬に発売する。価格は7.1chの「RX-V567」が61,950円、5.1chの「RX-V467」が49,350円。カラーは567がブラック(B)とシルバー(S)、467はブラック(B)のみ。

 さらに、6月上旬にはiPhoneもサポートしたiPod/iPhone用ユニバーサルドック「YDS-12」も10,500円で発売する。


■ RX-V567/V467

 AX-V565/V465の後継モデル。低価格ながら両機種ともHDMI 1.4aに対応。3D映像の伝送をサポートしており、「フレームパッキング」、「サイドバイサイド」、「トップアンドボトム」の3方式をサポートする。

 さらに、ARC(オーディオリターンチャンネル)にも対応。テレビからの音声入力がHDMIで伝送でき、光デジタルケーブルなどを使わず、テレビとの接続がHDMI 1本のみで完結する。HEC(HDMIイーサネットチャンネル)には対応していない。

 

RX-V567のブラックモデルフロントパネルデザインも変更されたRX-V467はブラックのみ

 最大出力は「RX-V567」が115W×7ch(6Ω)、「RX-V467」が140W×5ch(6Ω)。音質面では前モデルのV565/V465は搭載するパーツが異なるため、音質に違いがあったが、V567/V467では基本的な音質は共通。7.1chか5.1chかの違いだけになるという。7.1chのV567では、フロントスピーカーのバイアンプ駆動も可能。機能差では、V567のみHDMIアップコンバージョン/アップスケーリング機能を備え、D端子やコンポジット、コンポーネントなどのアナログ端子から入力された映像を、1080pにアップスケーリングしてHDMI端子から出力できる。また、オンスクリーンメニューもV567のみ備えている。

 

付属のリモコン
 以降の機能は2機種共通。同社AVアンプの特徴である「シネマDSP」が、HDオーディオに対応。マルチチャンネルリニアPCMだけでなく、ドルビー TrueHDやDTS-HD Master Audioなどの音声フォーマットに対し、シネマDSPをかけて再生できるようになった。これにより、3D映像の奥行きと、シネマDSPによる音の奥行きを掛け合わせ、「最高の臨場感が楽しめる」(ヤマハ)としている。

 省エネも追求。プレーヤーからの信号をテレビにスルー出力する、スタンバイスルー状態での待機時消費電力を3W未満に抑えたほか、消し忘れ防止のオートパワーダウン(4/8/12時間)も使用できる。さらに、通常スタンバイ時の待機時消費電力も0.2W以下に抑えている。

 両モデルともHDMI入力を4系統、出力を1系統装備。x.v.Color、Deep Color(30/36bit)に対応。背面端子部もブラッシュアップ。一部がバネ式のスピーカーターミナルだったV565/V465から、V567/V467では全てバナナプラグ対応のスクリュータイプになっている。また、HDMI出力端子の周辺を色付けして目立たせるなど、接続のしやすさもアップしている。搭載端子の詳細は、下表のとおり。


 

V467の背面前モデルV465の背面。スピーカーターミナルが一部バネ式だった

 従来モデルと同様に、フロントパネルに「BD/DVD」、「TV」、「CD」、「RADIO」のSCENEボタンを4つ装備しており、そこに入力ソースや、そのソースを再生する際のDSPの音場モード設定などをセットにして割り当てることができる。これにより「Blu-rayを観る時の設定」、「テレビ用の設定」などを複雑なメニュー操作をせずに選択できるようになっている。ほかにも、スピーカーの種類や距離などに合わせた設定を、付属のマイクを用いて自動で行なう「YPAO」機能も装備。FM/AMチューナも内蔵する。

 なお、新モデルが3D対応した事に合わせて、同社AVアンプの特徴や魅力、3D映像と組み合せての楽しみ方の提案などを行なうイメージキャラクター「ウサンディー」が新たに登場。音を良く聴き取れる大きな耳と、3Dメガネがトレードマークの、オスの“グラスバニー族”で、趣味は「3Dのうんちくを語ること」だという。好きな食べ物はニンジン。

 これに加えてヤマハでは、シネマDSPが生み出す「臨場感豊かな音」により、「感動が深くなる」事を、ユーザーの表情で表現するというキャンペーン「100emotions」を展開。シネマDSPで味わった「沸騰体験」を専用投稿サイトで受け付け、キャンペーンサイトに掲載するというもの。シネマDSP搭載のヤマハAVアンプを購入し、製品ユーザー登録するとエントリーでき、エントリー期間は4月27日~5月31日まで。コメントが採用された30人に、「YDS-12」がプレゼントされる。

 

イメージキャラクターのウサンディーが登場カーソルを合わせると、ユーザーの沸騰体験写真とコメントが表示される、100emotionsのキャンペーンサイト

■ YDS-12

 iPodやiPhoneとAVアンプを手軽に接続できるドック。圧縮音源を補完再生する「ミュージックエンハンサー」機能が使用できるほか、iPod/iPhone楽曲にAVアンプ側でシネマDSPをかけて再生する事もできる。なお、iPod/iPhoneからの音声出力はアナログとなる。

 対応するiPodはiPod(クリックホイール仕様)、iPod classic、nano、mini、touch、iPhone 3G/3GS。ヤマハAVアンプのドックポート付モデルに接続できる。外形寸法は89×86×37mm(幅×奥行×高さ)で、重量は160g。

 

YDS-12

■ 音質インプレッション

 AX-V565/V465の音作りは、アンプの価格帯的に、接続するスピーカーがブックシェルフや小口径のトールボーイが多くなる事を想定し、レンジの広さを追求するというよりも、中低域に厚みを持たせ、音楽の美味しい部分を力強く出力するというバランスになっていた。

 新モデルのRX-V567と、旧モデルAX-V565を比較すると、V567ではレンジが大幅に拡大。高域はストレスなく伸び、最低音の沈み込みも一段と深くなっている事がわかる。逆に中域の盛り上がりは抑えられ、非常にバランスの良い、ピュアオーディオ的なニュートラルなバランスになった。DACの電源まわりのコンデンサ・抵抗の吟味を徹底したほか、電源ケーブルも上位シリーズで採用されているものを使うなど、細部の部品の組み合わせ・使いこなしにより、ワイドレンジサウンドを実現したという。

 その結果、音場の広さや、収録現場の反響音などもより明瞭に聴き取れるようになっており、例えばコンサートホール収録の曲では、ホールの横方向の広さと、奥行感がより明瞭に描かれ、音像の定位も明確になり、立体的な音場が展開する。3D映像もサポートした事で、奥行のある映像に合わせ、音場でも立体感を感じられる。また、ソースの音をより忠実に、ストレートに増幅する方向の音作りになっているため、将来的に組み合わせるスピーカーをより大型で、ワイドレンジなモデルにステップアップしても、それらをニュートラルにドライブできるため、長く使用できるアンプになったと言えそうだ。

 

ヤマハ試聴室でB&Wのノーチラス802と組み合せて新旧モデルを比較試聴したV565の電源ケーブルV567の電源ケーブル

 また、ライヴBlu-rayのHDオーディオにシネマDSPをかけ、より音場の広さを拡大して再生してみると、1音1音のディティールや、音像のフォーカス感が明瞭なまま音場が変化していくのがわかる。HDオーディオの情報量の多さを活かしたまま、好みの音場を作り出す事ができ、シネマDSPが新たな段階に進化したと感じられた。

 

モデル名RX-V467RX-V567
アンプ最大出力140W×5ch(6Ω)115W×7ch(6Ω)
HDMIバージョン1.4a(3D/ARC対応)
HDMI入力端子4系統
HDMI出力端子1系統
その他入力端子D4端子×2
コンポーネント×2
コンポジット×5
アナログ音声(RCA)×5
アナログ音声(ステレオミニ)×1
光デジタル音声×2
同軸デジタル音声×2
その他出力端子D4端子×1
コンポーネント×1
コンポジット×1
REC OUT(コンポジット)×1
アナログ音声×2
プリアウト
(サラウンドバック/サブウーファ)
D4端子×1
コンポーネント×1
コンポジット×1
REC OUT(コンポジット)×1
アナログ音声×2
プリアウト
(サブウーファ)
消費電力175W
待機時消費電力0.2W以下
約30W(iPodスタンバイ充電時)
3W未満(HDMIスタンバイスルー時)
外形寸法
 (幅×奥行×高さ)
435×364×151mm
重量8.4kg8.5kg



(2010年 4月 27日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]