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講談社、ハリウッド拠点の新スタジオ。「マンガや小説のグローバル展開でより主体的な役割」

講談社は11月4日、ハリウッド拠点の新会社「Kodansha Studios」設立を発表した。同社はKodansha Studiosを通じ「日本で出版された多種多様なマンガや小説の海外実写映像化およびグローバル展開において、より主体的な役割を担っていく」としている。

ハリウッドでの制作会社設立は同社初の試み。アカデミー賞受賞歴を持つクロエ・ジャオ氏、プロデューサーのニコラス・ゴンダ氏が共同設立した制作会社「Book of Shadows」と提携しての会社設立となる。

Kodansha Studiosの最高クリエイティブ責任者(Chief Creative Officer)にはジャオ氏、COOにはゴンダ氏、CEOには講談社専務取締役の森田浩章氏が就任する。

ジャオ氏は1982年、中国・北京生まれの脚本家・映画監督・編集者・プロデューサー。3作目の長編映画「ノマドランド」でアカデミー賞を受賞したほか、マーベル作品「エターナルズ」では共同脚本・監督を務めた。

ゴンダ氏は、映画「ハムネット」や「ツリー・オブ・ライフ」などを手掛けたプロデューサー。ジャオ氏と2022年に共同設立した制作会社「Book og Shadows」の共同創業者・最高執行責任者(COO)も務めている。

Kodansha Studiosは「“庭”のような場所になって欲しい」

左から講談社の野間省伸代表取締役社長、クロエ・ジャオ氏、ニコラス・ゴンダ氏

4日には講談社にてKodansha Studios設立に関する記者会見が行なわれ、講談社の野間省伸代表取締役社長とジャオ氏、ゴンダ氏の3人が登壇した。

野間代表取締役社長は「日本のIPを世界に広げる。世界のクリエイターとコラボして化学反応を起こしたい」と、スタジオ設立の意図を語った。

「私ども講談社は長年に渡って、さまざまな物語を紡いできました。近年は海外展開にも非常に力を入れているところです。また近年、日本のエンターテインメントコンテンツが世界的に人気があるような状況もありますし、日本の方々からも世界に広めていこうという追い風もあります」

「これまでもハリウッドや海外から実写化の話をよく頂いてきたが、さまざまな課題も多い。一歩一歩課題をクリアしていくにはどうするべきか。これまではIPの原作の権利を海外に渡して、その先の企画・制作・運営はお任せになることが多かった」

「今回、我々も企画会社を設立することでそこに関与していく。そして日本のIP、クリエイターを世界に広めていく。またこうした海外の素晴らしいクリエイターの方々とコラボレートして化学反応を起こして、新しいコンテンツを作り上げていきたいと思っています」

大の漫画好きというジャオ氏は「日本の漫画は、私の血と骨、肉を作ったと言えます。漫画だけではなく、小説やアニメ、同人誌といったすべてに影響を受けました」とコメント。Kodansha Studiosについては「“ガーデン(庭)”のような場所になって欲しい」とした。

「Kodansha Studiosに望むもの、まずひとつ目は東と西の架け橋になること。ふたつめは“ガーデン(庭)”として機能して欲しいということです。作家として、ストーリーテラーとして、私がいつも望むのは安心できる場所です」

「作家・作品・アイデアがそこから発展して、情勢に左右されずに守られる場所。そんな庭として機能して欲しい。日本の作家と海外のクリエイターたちがともに植物を強く育んでいけるような、そういった役割です」

ゴンダ氏も「これまではライセンス契約という形で、外部から人がやってきて『こういうビジョンで、こういったものを作りたい』という方向でやられてきたと思う。スタジオを設立することで、講談社がこれまで何年もやってきたように、オリジナルのものを、みなさんの声を聞きながら、学びながら、どんどん良いものにして行きたいという思いでいっぱい」と語った。