サイバーリンク、64bitネイティブ対応の動画編集ソフト

-変換/プレビュー高速化、BDXL対応「PowerDirector 9」


編集画面

 サイバーリンクは、ビデオ編集ソフトの最新バージョン「PowerDirector 9」を11月18日よりダウンロードで発売。BDオーサリング対応の上位モデル「Ultra 64」と、非対応のスタンダードモデル「Deluxe」の2バージョンを用意する。

 価格は「Ultra 64」が11,800円、「Deluxe」が9,200円。アップグレード版は「Ultra 64」が9,800円、「Deluxe」が7,300円。なお、パッケージ版についても発売予定で、発売日や価格は後日発表される。対応OSはWindows XP/Vista/7で、Vista/7は32bit/64bit版の両方をサポート。

 「Ultra 64」と「Deluxe」の違いは、Blu-ray Discのオーサリング機能の有無のみ。「Ultra 64」では新たにBDXLディスクもサポートし、最大128GBを1枚のディスクに書き込める。

 新バージョンの特徴は「64bitネイティブ対応」を謳っていること。他社製ソフトでも既に64bit版OSをサポートするものは存在するが、PowerDirector 9はマルチコアCPUの各スレッドやメモリを効率的に使う工夫や、GPGPUアクセラレーションなどで処理速度を改善。このことから「コンシューマ向けHDビデオソフトで世界で初めて64bit OSにネイティブ対応した」とアピールしている。

 処理速度を高めた要素を総合して「TrueVelocity」テクノロジーとして訴求。「TrueVelocity Parallel」は、タスクを細分化し、高度な並列エンジンを採用することで使用可能なCPUスレッドを最大限に活用する技術。また、「TrueVelocity Accelerator」により、IntelのClearVideo、NVIDIAのVPとCUDA、AMDのUVDやATI Streamのハードウェア支援技術に最適化してエンコード/デコード速度を向上。そのほか、ハイビジョン動画のプレビュー時のレスポンスを改善させる「TrueVelocity Ultraseek」や、編集時に変更された部分のみ再エンコードする「SVRT3」技術で作業を効率化する「TrueVelocity FastRender」などを融合させている。

PowerDirector 9「TrueVelocity」テクノロジーを搭載他社ソフトとのレンダリング比較では、最大2.5倍の速度差が出たという(縦10×横10個の動画を1つの1080p/MPEG-2にレンダリング)
タスクを細分化してCPUのスレッドを効率的に使用ハードウェアアクセラレーションに最適化HD動画のプレビューも高速に行なえる

 インターフェイス面の大きな変更は、これまで第1トラックをメイントラックとして、PinP(子画面)など他のトラックと機能差をつけていたが、全て並列のメイントラック扱いにしたこと。メイントラックはこれまでクリップとクリップの間を必ずつなげて配置しなければならなかったが、その制限が撤廃された。また、トラック数もこれまで最大10トラックだったが、最大100トラックまで拡張した。さらに、複数のクリップのグループ化にも対応。グループ単位でコピーして、ループさせる動画が簡単に作成できる。

 新たにキーフレームコントロールにも対応。複数のエフェクト設定を1つのインターフェイス上で1度に調整可能になり、複数のエフェクトをフレーム単位で同期させながら調整が行なえる。そのほか、タイムライン上でビデオの透明度と音量調整を直接調整可能となっている。さらに、音声編集ソフトの「Wave Editor」も標準添付。ビデオファイルの映像/音声を分離させて音声の波形編集が可能。VSTプラグインもサポートする。また、動画から音声のみ取り出して出力することも可能になった。

 トランジションエフェクトの新機能としては、クロスフェードの際に、クリップが完全に切り替わるまでの表示を動画ではなく静止画にすることで、音声との同期をずらすことなくつなげられる機能が盛り込まれた。

キーフレームコントロールに対応タイムライン操作性の改善点Wave Editorも添付

 アップスケーリング機能の「TrueTheater Technology」も従来バージョンから引き続き搭載。SD映像のアップスケーリング機能「TrueTheater HD」や、フレームレート挿入でなめらかなスローモーション動画の作成できる「TrueTheater Motion」が利用可能。動画の切り抜きや速度変更設定、回転、逆再生動画の作成が可能なパワーツールも備える。画面上に粒子状のエフェクトを掛けられる「パーティクルエフェクト」機能には、アニメーションオブジェクトを追加することも可能。

 ワンクリックで自動編集を行なう「マジック編集機能」も継承。手ブレ補正/明るさ調整の「Magic Fix」や、自動カット編集が可能な「Magic Cut」、自動BGM付加機能「Magic Music」、テーマを選ぶだけで自動編集を行なえる「Magic Movie」、選択した画像へモーションスタイルを適用する「Magic Motion」が利用できる。テンプレートでは、立体的なCGを用いた「3Dマジックテンプレート」に対応した。

 YouTubeやFacebookなどへのアップロード機能も搭載し、HD画質のままアップロード可能。オンラインコミュニティサイト「DirectorZone」上でのテンプレートなどの共有も、引き続き利用可能で、エフェクトやDVDメニューなどをカスタマイズしてアップロードできるほか、他ユーザーが作成したテンプレートをダウンロードできる。また新機能として、DirectorZone内にプロジェクトタイムラインを追加。ビデオギャラリーから他ユーザーが作成した作品をタイムライン上で視聴することが可能。

 入力動画フォーマットは新たにMKVとFLVに対応。そのほか、MPEG-1/2/4、MPEG-4 AVC/H.264、AVCHD、AVI、DAT、WMV、MOV、VOB、VRO、ASF、DVR-MS、M2TS、MTS、TS、WTV、TOD、MODなどをサポートする。また、静止画では新たにデジタル一眼レフカメラのRAW形式にも対応し、カメラから直接入力できる。出力はMPEG-1/2、AVCHD、MEPG-4 AVC/H.264、M2TS、AVI、WMV、QuickTime、RealVideoをサポートする。

3Dスタイルマジックテンプレートの例デジタルカメラのRAW画像の入力にも対応入出力対応フォーマット


(2010年 11月 18日)

[AV Watch編集部 中林暁]