ヤマハ、DLNA対応で89,250円のAVアンプ「RX-V771」

-iPodデジタル再生やアプリからの操作も可能


AVアンプ「RX-V771」

 ヤマハは、ネットワークプレーヤー機能を備え、省エネ機能も高めたAVアンプ「RX-V771」を7月下旬に発売する。価格は89,250円。カラーはブラック(B)とゴールド(N)の2色を用意する。

 2010年8月に発売された「RX-V767」の後継モデル。最大の特徴は10万円を切る価格ながら、ネットワークプレーヤー機能を備えた事。DLNA(1.5準拠)に対応し、PCやネットワークHDDなどに蓄積した音楽ファイルを再生可能。MP3/WAV/FLAC/WMA/AAC(MPEG-4)をサポートし、FLACは24bit/96kHzまで対応。Windows 7にも準拠している。また、USB端子も備え、USBメモリ内の楽曲再生も可能。インターネットラジオも聴取できる。

 iPodやiPhoneのUSBデジタル音声入力に対応。iPodなどからの音声をAVアンプ側のDACを使って高品位に再生可能となる。対応iPodはclassic、iPod nano第2~6世代、iPod touch、iPhone/3G/3GS/4。また、圧縮音源の高域を補正する「ミュージックエンハンサー」も備えており、後述するシネマDSP機能と組み合わせて使用する事もできる。


ネットワークオーディオプレーヤー機能を内蔵している上から見たところ

 iOS 4.0以上をインストールしたiPod touch(第3世代以降)、iPhone 3GS以降、iPadに対応したコントロールアプリ「AV CONTROLLER」もApp Storeで無償公開。同じLAN内にあるAVアンプをコントロールできるもので、電源ON/OFF、ボリューム調整、ミュートなどの基本操作に加え、ネットラジオの選局やPC内のファイル再生、入力ソース切り換え、再生中の曲のタイトル名/アルバム名/アーティスト名表示なども可能。DSPモードの切り換え、SCENEモードの切り換えもでき、スマートフォンやタブレットリモコンのように使える。

 アプリを使わず、PCなどからAVアンプにWebブラウザでアクセスし、制御できる「ウェブコントロールセンター」機能も備えている。

AV CONTROLLER AppをiPadで使用しているところDSPモードの切り換えもできる入力切替をしているところ
アプリを使わず、ブラウザからAVアンプにアクセスし、制御する事もできる背面

 光/同軸デジタル接続用に、外部機器からのジッタの侵入を防ぐ「ロージッターPLL回路」を搭載。ネットワーク部には、デジタル信号の精度向上のためのクロックジェネレーターを装備。44.1/88.2kHz用と48/96kHz用で個別にクロックを用意した「デュアルオーディオクロック」仕様となっており、高音質化を追求。

 さらに、FLディスプレイ用電源をメイントランスから完全分離することで、磁気回路を介して回りこむノイズを抑え、アナログ部分への影響を低減。プリアンプ部にはナショナルセミコンダクターのオペアンプを使用。よりワイドレンジな再生を実現したとする。ほかにも、カスタムオーダーによるポリプロピレンコンデンサや抵抗器など、アンプ回路の構成パーツをリスニングテストにより再選定している。

 ドルビーTrueHDやDTS-HD Master AudioなどのHDオーディオのデコードが可能。同社AVアンプの特徴である「シネマDSP」もHDオーディオに対応。マルチチャンネルリニアPCMだけでなく、ドルビーTrueHDやDTS-HD Master Audioなどの音声フォーマットに対し、シネマDSPをかけて再生できる。

 シネマDSPは、従来の「シネマDSP-plus」に、“高さ”方向の音場データを加え、立体的なサラウンド空間を実現する「シネマDSP <3Dモード>」に対応。音楽再生プログラムでは天井や床の反響音まで計算することで、ホールの空間を再生可能。映画用プログラムでは、映像とサラウンド音場の一体感を高め、「画面に引き込まれるような立体的な表現」を実現するという。

 さらに、VPS(バーチャル・プレゼンス・スピーカー)機能も装備。前方上方に設置するプレゼンス・スピーカー(フロントハイ)を仮想的に創成するもので、フロント・プレゼンス・スピーカーの設置が必須だったシネマDSP <3Dモード>を、7.1chや5.1ch構成のシステムでも手軽に利用できる。シネマDSPプログラム数は17。

 HDMI接続時は日本語GUIのオーバーレイ表示が可能。再生画面の上下に必要な情報を表示するステータスバー表示モードも利用できる。

 HDMIは6入力、2出力装備。音声入力端子は光デジタル×2、同軸デジタル×2、アナログ音声×6。アナログマルチチャンネル入力は省かれた。音声出力はアナログ音声×3、プリアウト×3(7ch×1 / サブウーファ×2)。映像入力は、コンポーネント×2、D4×1、コンポジット×5。映像出力はコンポーネント×1、コンポジット×2。USBとEthernet端子も備えている。

 HDMI CECにも対応。東芝の液晶テレビ「REGZA」とのリンクも強化しており、REGZAのリモコンでAVアンプのGUIが操作可能。対応モデルはヤマハのAVアンプがV71シリーズ以降、REGZAがZ2シリーズ以降。

付属のリモコン左が新しいリモコン、右が従来のリモコン。ネットワークオーディオやUSBなどの機能用にダイレクトボタンが設けられている

 消費電力は220W。HDMIのスタンバイスルーも可能で、同機能ON時の待機時消費電力を従来モデルの2.7W以下から25%カットし、2W以下を実現した。スタンバイスルーOFFでは0.1W以下。AVアンプを起動せずに、リモコンからHDMI入力を直接切り換えられ、HDMIセレクタとして動作する「インプットスタンバイセレクト」機能にも対応している。

 定格出力は95W×7ch(8Ω時)、最大出力は160W×7ch(6Ω時)。外形寸法は435×367.5×171mm(幅×奥行き×高さ)。重量は11.22kg。




■音を聴いてみる

 ヤマハの試聴室で、従来モデル「RX-V767」と聴き比べてみた。まず、2chのCDで比べてみると、中高域の伸びやかさが向上。その中高域とバランスをとるように、低域の沈み込みも一段深くなっており、よりワイドレンジな再生が可能になったと感じる。同時に、音場のクリアさもアップしており、音像の奥行きがよくわかるようになっている。プリ部のオペアンプが効いているようだ。

 同時に、ネットワークオーディオ再生における、ハイレゾ音源の再生でも、ソースの音質の高さをしっかり描写できるポテンシャルを持っていると言えるだろう。

 この傾向はBDソフトで映画をサラウンド再生しても同様。上下方向のレンジが広がった事で、高さを感じさせる、より広大なサラウンドサウンドに包まれる感覚が味わえる。リドリー・スコット監督の映画「ロビン・フッド」から、森の中で戦うシーンを再生すると、葉音や風の音によるサラウンドで、森の木々の高さが良くわかる。また、足音などの小さく細かい音が明瞭に聴き取れ、ノイズの少なさを実感できた。

試聴の様子右が従来モデル「RX-V767」

(2011年 6月 15日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]