レビュー
JBLマークに偽りナシ! 小型アクティブ「4305P」をQobuz Connect再生したら音楽と親密になれた
2026年4月9日 08:00
音を聴きながら「凄い時代になったなぁ」「コレさえあれば、相当愉しい人生が送れるんじゃないかな」と思いました。というのもスピーカーをインターネットに接続するだけで、何の苦もなくノリノリのJBLサウンドが愉しめるのですから。それを実現したスピーカーの名前は「4305P」(直販264,000円)。使ったサービスは高品位のハイレゾ配信サービスであるQobuz(コバズ)。この2つが今春、幸せの出逢いを迎えたので不肖宅で試してみました。
誰が何を言おうとJBLは特別なんです。
オーディオにおいてJBLは特別な存在であると不肖は思っています。その理由は3つ。
1つ目が、今も「コンプレッションドライバー+ホーンを搭載したスピーカーを造り続けている」こと。ラッパみたいなものから音を放出しますので、ちょっと独特の音しますが、これがハマればマジ最高! 他社にはないJBLならではの魅力です。
2つ目は「80年に渡る歴史がある」こと。意外と社歴が浅いと思われそうですが、スピーカーの歴史は1876年にグラハム・ベルが発明した電話機に始まりと言われています。その後、今から約100年前の1925年、GEのエンジニアによって現代スピーカーの原型が誕生しました。そう考えると、スピーカーの黎明期からある老舗ブランドといえるでしょう。その中には、数多くの名機が誕生しました。その中のひとつに、世界初のステレオスピーカー「パラゴン」があります。
不肖は高校生(だと思う)の頃、パラゴンの写真を見て「コレしかない!」と一目惚れして以来、JBLひとすじ。そして27歳の頃に頭金0円の60回払いで我が部屋に迎え入れました。支払っている時の生活は厳しかったですし、部屋も狭くなりましたが、それでもJBLで音楽を聴いていると、それらは些末なことと思えるほど。「JBLがあれば何でもできる」と想わせる力がJBL最大の魅力といえるかも。
歴史と魅力があるから特別というわけではありません。時代と転機に合わせて事業を拡大してきたことも特別なのです。それが3つ目の理由「守備範囲の広さ」です。JBLは高級なホームオーディオ用のスピーカーというイメージが強いですが、今はイヤフォンやサウンドバー、コンサートホール向けの業務用スピーカー、カーオーディオまで商品をラインアップ。音があるところにJBLあり。そのようなスピーカーブランドは、他に無いでしょう。
不肖の目には、4305PがJBLの人気シリーズ「スタジオモニター・シリーズ」の末っ子だけでなく、今のJBLの良さがいっぱい詰まった、お買い得で使いやすい魅力的なスピーカーシステムに映ります。
4305Pをオススメしたい3つの理由
4305Pは、1インチ(25mm)コンプレッションドライバー&HDI(High Definition Imaging)ホーンに、5.25インチ(13cm)のウーファーを搭載した2ウェイのパワードスピーカー。
Bluetooth、Chromecast、AirPlay2、USB DAC、アナログオーディオ、デジタルオーディオ(S/PDIF)、そして有線LANと豊富な入力系統を有しているので、スマートフォンなどがあれば、スグにワイヤレスで音楽を愉しむことができます。
発売は2022年の夏ごろで、技術的な詳細と製品の魅力については、部署は違いましたが不肖の元上司である山本浩司さんがレビューをされているので、こちらをご一読ください。
登場/紹介から3年の月日が経った今春、待望のQobuz Connectに対応しました。これによって、4305Pは1億曲というライブラリーを有したスピーカーに大変身したというわけです。と、その前に、不肖が実際に4305Pに触れて、読者諸兄に本機をオススメしたいポイントを3つ紹介します。
ひとつは置きやすいサイズとスタイルであること。210×235×336mm(幅×奥位×高さ)というサイズは、本棚の中に入れても邪魔になりません。そして壁に埋め込むことを想定して誕生したスタジオモニター・シリーズゆえのフロントバスレフ型なので、スピーカー背面側の壁との距離をあまり気にしなくてよかったりします。極論言えば壁にペタッとつけてもいいのです。
ふたつめは、手軽にJBLが意図したJBLサウンドが愉しめるということ。なんのこっちゃ?というと、オーディオはアンプやプレーヤーはもちろんのこと、ケーブル1本で音がゴロゴロと変わる世界。その中において4305Pはパワーアンプどころか、D/A変換部まで有しているのです。つまりエンジニアがトータルで音質をコントロールしたことは想像に難しくなく、大型のパッシブ型スピーカーよりもJBLらしい音が愉しめる可能性が高いというわけです。
で、実際にJBLらしい気持ちのよい音がしたのですが、それは後程。
最後が本稿のテーマである「これ1台でQobuzのストリーミング再生が愉しめること」。ストリーミング再生の環境を構築しようとすると、ネットワークプレーヤーの類が必要になります。当然、相応の出費がかかりますが、4305Pなら本体とルーターを接続し、タブレットやスマートフォンにQobuzアプリを入れてアカウント登録をすれば、月額1,280円で1億曲以上のハイレゾ音源が聴き放題! NASを買って云々していたのは、一体何だったんだ?とさえ思うわけです。
4305Pを見ながら1年前、とあるハイエンドスピーカーメーカーのエンジニアにインタビューした時のことを思い出しました。インタビューの最後「オーディオは今後、どうなると思いますか?」と尋ねたところ、その方は「今後、スピーカーやアンプを買いそろえる時代から、パワードスピーカーをインターネットにつなげて愉しむ時代にシフトするでしょう」と答えられました。「まぁ、いつか、そういう未来が来るんだろうなぁ」とボンヤリ思っていたら、まさかの老舗ブランドから1年も経たずに登場。そういう時代が来たのかという、愉しいような、ちょっと寂しいような、複雑な気持ちになりました。ということで、実際につなげてみましょう。
プラグ&プレイでサクッとJBLサウンドが飛び出してくる!
まずは手持ちのiPadでApp Storeにアクセス。Qobuzアプリを見つけてインスト―ルします。
Qobuzアプリを起動し、アカウント情報をポチポチっと入力。ここまでは何も問題ありません。実にスムーズです。
続いてスピーカー側の結線。これもカンタンで、左右のスピ―カーをLANケーブルっぽい付属のケーブルと接続し、あとはLANケーブルをつなげれば終わり。注意して頂きたいのは、チャンネルごとに電源ケーブルが2本必要で、その電源の取り回しで音が結構変わるということ。同じコンセントから取ると音の拡がりは減じますが、音色の統一が図れます。
いっぽうチャンネルごとにブレーカーから別系統のコンセントから給電すると、圧倒的な拡がりが得られますが、場合によっては左右で音色が違うようにも……。この辺りは使いこなしの妙味として覚えていて損はないと思います。
ネットワークプレーヤーが出回り始めた2010年代前半、音を出すだけでも一苦労でした。そして音が出たと思ったら、いつしか止まってしまい再起動をしたりと散々でした。AV Watch編集部側も、本稿にトラブルの顛末と解決方法を期待していたことでしょう。不肖もそのつもりで、覚悟を決めていました。絶対に上手くいかないと……。
ですが時代は変わり、4305Pの電源を入れ、1分後にQobuzアプリを立ち上げたらサクッと認識したではありませんか。「IPアドレスガー」とか一切ナシのプラグ&プレイぶりに思わず拍子抜け。一般ユーザーの方なら歓迎される話なのですが、記事を作る側としては逆に困ってしまいます。
なお、2月のアップデートで4305Pだけでなく、「4329P」やネットワークプレーヤー「MP350 Classic」でも対応したのが、Qobuz Connectという機能。このQobuz Connectは、JBLのアプリではなく、いつものQobuzアプリから直接操作して、4305Pなどの対応機器から再生する機能。アップデートにより、Spotify Connectによるロスレス再生にも対応しています。
セットアップも簡単でしたが、さらに困ってしまったのが、選曲をして音が出た瞬間からゴキゲンなJBLサウンドがスピーカーからあふれ出てきたこと。経験上、JBLは数多あるスピーカーの中でも手強い部類で、ポンと置いてイイ音が出たことがなかったのですが、4305Pはポンと置いただけで、スピーカーから音があふれ出してくるではありませんか。こうなってくると「あれも聴きたい、これはどうなんだろう」と、際限なく聴きたい曲が頭に浮かぶわけですが、それに応えるのがQobuzでして、なんと約1億曲のストックがあるのだとか。頭に浮かんだ曲よりもQobuzにある曲の方が多いのですから、一生涯、飽きる心配はしなくて良さそうです。
音量調整などの操作はスピーカー本体のフロントパネル下、または付属のリモコンかQobuzアプリから行ないます。アプリ側からは入力切替はできないようですが、選曲してから音量調整するには、リモコンよりこちらの方が便利。いつしか付属リモコンは使うことなくなっていました。
今年6月、アメリカが生んだキング・オブ・ポップス「マイケル・ジャクソン」の伝記映画が公開されることもあり、来年誕生40周年(!)を迎えるアルバム「BAD」の2012年リマスタリング版から、タイトルチューンを聴いてみることに。
https://open.qobuz.com/track/6344106
38cmの名ユニットLE15Aなどと共通する、重たく塊感のある低音が印象的なベースラインにピッタリフィット。切れ味のよいシンセサウンドに、すっ飛んでくるかのようなマイケルに歌声。これで体が動かないわけがありません。そして感心したのは間奏部に流れるジミー・スミスによるオルガン・ソロ。ココがサラッとしたり、音像が近すぎたり遠すぎたりすると、ちょっとゲンナリしちゃうのですが、彼特有の粘っこさと、適度な距離感のある再現に思わずニッコリです。にしても、もうすぐアルバム誕生40年なのですね……。
ホーン型スピーカーはクラシックが苦手と言われますが、そのようなことはありません。タンノイで聴くジャズが気持ちよいように、JBLで聴くクラシックもまた素晴らしいです。そこで名演にして名録音と名高いエルネスト・アンセルメ指揮コヴェントガーデン王立歌劇場管弦楽団による、チャイコフスキーのバレエ音楽「くるみ割り人形」をセレクトしてみました。
https://open.qobuz.com/album/0002894832017
オーケストラの細部まで見通せるような精緻な描写を、品位高くプレイバック。アンセルメらしいメリハリの効いた楽想とJBL固有の表現がマリアージュして聴き応え十分。前だけでなく奥にも音場が拡がり、4305Pが搭載するHDIホーンは、従来のホーンとは異なる指向性の広さと柔らかさがあるように思います。
JBLとジャズは、どちらもアメリカ生まれで、同じ時代を生きた間柄。相性が悪いわけがありません。それゆえジャズを聴くならJBL、JBLといえばジャズ、というのがオーディオの不文律です。言い換えるならジャズが鳴らないJBLはJBLではないと断言できましょう。というわけで、4305PがJBLかどうかを確かめるべく、今年生誕100周年を迎えるジョン・コルトレーン至高のバラード「ロニーズ・ラメント」を聴いてみることに。
https://open.qobuz.com/track/54940321
どこまで哀しく、そして美しく、深い音色――。アルバム「至上の愛」リリース前夜、コルトレーン・カルテットが前人未踏の深い領域へ踏み込もうとしていたことを、4305Pは節度ある表現でリスナーに伝えます。エルヴィン・ジョーンズが抑え気味に叩くハイハットを叩いた時の硬質感、ジョン・コルトレーンのテナーサックスのリアルで細かいニュアンスは、JBLのコンプレッションドライバーで無ければ味わえない領域の音で、やっぱりJBLじゃないとダメなんだ、とシミジミ。マッコイ・タイナーのピアノの太さ、ジミー・ギャリソンが紡ぐ底の見えない深いベースの表現にも感心しきり。4305PがJBLの血筋を受け継いでいるスピーカーであると確信するとともに、こんな小さなスピーカーなのに、ここまで音楽にディグできるのかと驚かされました。
パソコン用のスピーカーとしても使ってみた
と、普通ならココで原稿は終わりなのですが、そうはさせないのがAV Watch編集部。「パソコンの隣に置いてみよう」という話になり、ならばと置いてみることにしました。
「流石に大きいんじゃないの?」と思われた方。写真を御覧ください。27インチのモニターと高さがピッタリではありませんか! となると「置いたとして音はどうなのさ?」というのが気になるところ。
PCとUSB接続して試しにYouTubeやNetfrixの動画を見ると、想像以上に素晴らしいではありませんか! スピーカーの間隔が近いのでモノーラル的に鳴るのかなと思いきや、そのようなことはなく。というのもコンプレッションドライバー&ホーン型であること、そしてユニット毎にパワーアンプを奢り、かつ電源まで左右独立構成であるチャンネルセパレーションがとても高いのです。それゆえサウンドステージの広いステレオ再生が実現できたのでしょう。
ただツイーターが「カッ飛んでくる音」なので、ちょっと中高域が強いなと感じられたら正対に置いてみることをお勧めします。いっぽう角度をつけて正三角形ポジションで試聴してみると、音に奥行きが生まれ、綺麗なステレオイメージが浮かび上がります。いずれにせよ、上下方向の指向特性はそれほど広くないようなので、まずはツイーターと耳の高さを合わせられることをオススメします。
数年前では考えられなかったハイレゾ聴き放題のサブスクリプションサービスと、豊富な入力を有するJBLスタジオモニター・シリーズのパワードスピーカーが出会うと、ここまで幸せな音楽環境が得られるのかと感心しきりです。併せて老舗だからと胡坐をかくことなく、常に新しい分野に挑戦し続けてきたJBLの新境地を見た気もしました。4305Pは、今の時代のマイ・ファーストJBLにピッタリのプロダクトであり、Qobuzと出会ったことで、人と音楽がもっと親密な関係になれる、そんな気がしました。この春、4305Pで音楽の扉を開けてみませんか? 素敵な音楽ライフが待っていること間違いありません。




























