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オーテク、アクリル製で透明な最上位ターンテーブル「AT-LPA2」。MCカートリッジ付き約33万円

アナログターンテーブルの新モデル「AT-LPA2」

オーディオテクニカは、アナログターンテーブルの新モデル「AT-LPA2」を5月23日に発売する。価格はオープンで、市場想定価格は33万円前後。ベルトドライブ方式で、30mm厚の低共振で高密度な透明アクリルを筐体に使っているのが特徴。

透明度の高いアクリルで筐体を作っている

同社のターンテーブルの主力製品は500ドル以下で、欧米ではトップシェアを誇る一方で、中上級者向けの価格帯では、競合ブランドに遅れを取っていた。一方で、2022年にはアクリルを使った直販価格176,000円の「AT-LP2022」を発売。デザイン性の高さから注目を集め、より高価格な製品に挑戦するための手応えを感じたという。

そこで、さらに進化したオーディオ性能と、優れた美観を融合させたアクリル製ターンテーブルとして開発したのが「AT-LPA2」となる。音質だけでなく、見た目も重視するオーディオファンや、デザイン性の高い家具や家電を持つ事に幸福感を感じる人もターゲットとしている。

33/45回転に対応するベルトドライブ方式。筐体は30mm厚、プラッターは20mm厚と、AT-LP2022よりも厚みがアップ。回転の安定性が高まり、音質向上にも大きな効果があったという。

手掛けたホームリスニング開発課の由良志之房氏は、「アクリルは適度に重く、共振も少なく、アナログプレーヤーの素材として優位性のあるもの。特に、SN比の高い音質傾向が特徴」と説明。

由良志之房氏

電源回路と制御回路を別筐体とする事で、ノイズを低減。さらに、光学センサーでプラッターの回転を検出し、DCモーターの動作を制御。正確な速度を維持した。ワウフラッターは<0.12% WRM(33回転時)、SN比は>60dB。

電源回路は別筐体

カートリッジは デュアルムービングコイルのMCカートリッジ「AT-OC9XEN」が付属。約5万円のカートリッジが付属しつつ、ヘッドシェルは専用のものをアルミニウム削り出しで作るなど、コストパフォーマンス面でも強みを持っている。

トーンアームはストレート型でカーボン製。軽量だが剛性が高いものになったという。アンチスケート機構は、高精度かつ微調整が可能な糸吊り式。針圧調整範囲は0~3g。使用可能なカートリッジ重量は、付属する軽いカウンターウェイトを使った場合は6.1~9.2g、重いものを使った場合は9.2~13.9g。トーンアームの高さ調整もできる。

アンチスケート機構は糸吊り式

インシュレーターもアルミ削り出し。背面にRCA出力を備え、電源ユニットの電源端子は3ピンのIECコネクタ。ダストカバーとカウンターウェイトも付属する。

インシュレーターもアルミ削り出し

音を聴いてみる

透明な筐体から、クリアなサウンドを想像するが、実際に試聴したサウンドも「非常にクリアで透き通った音」という印象で、外観とサウンドのイメージがピッタリと合致する。

楽器の分離や、音像の定位も明瞭。ドラムのハイハットもキレが良く、ダイレクトカッティングの楽曲では、収録現場の緊張感も伝わってくる。

一方で、ハイ上がりなサウンドではなく、サン=サーンスのパイプオルガンで、地鳴りのような低音も肥大化させず、タイトで締まりのある音で聴かせてくれる。

全体的に音に明るさがあり、キレ味の鋭さも備える。低域は痩せずに音楽を下支えする。バランスの良いサウンドのプレーヤーに仕上がっていた。