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パイオニア、ワンランク上の自動音場補正搭載AVアンプ

Atmos/MCACC Proの「VSA-1130」、6万円の「VSA-830」

 オンキヨー&パイオニアは、パイオニアブランドのAVアンプ新モデルとして、自動音場補正の「MCACC」機能を高めた2機種を5月下旬に発売する。Dolby Atmosに対応した7.2chモデル「VSA-1130」と、非対応の5.2chモデル「VSA-830」で、価格は「VSA-1130」が92,000円、「VSA-830」が60,000円。

Dolby Atmosに対応した7.2chモデル「VSA-1130」
VSA-1130
VSA-830

MCACCの強化で『ひとつ上のクラス』を実現

「『ひとつ上のクラス』を実現したレシーバ」

 2機種に共通する強化点は、それぞれの価格帯のモデルではこれまで搭載していなかった、ワンランク上のグレードのMCACC機能を備えている事。「VSA-1130」は、前モデルの「VSA-1124」ではAdvanced MCACCだったが、「VSA-1130」ではMCACC Proに。前モデルの「VSA-824」はMCACCだったが、「VSA-830」ではAdvanced MCACCを備えている。

 この点についてオンキヨー&パイオニアでは、「『ひとつ上のクラス』を実現したレシーバ」とアピール。「これまで培ってきた音場補正技術のMCACCをしっかりと搭載し、それによって得られる最高の音場をお届けしたい。同時に、最新のトレンド機能もしっかりと搭載する」と説明した。

MCACC機能の機種別の違い

 MCACC ProとAdvanced MCACCに共通する機能は、異なるスピーカーでもサイズや音量、距離、クロスオーバーを合わせる「Speaker Adjustment」、室内の残響音まで考慮した音色補正を行なう「EQ」、スピーカーの+/-接続が間違っていたら知らせる「Speaker Polarity Check」、定在波を低減する「Standing Wave Control」、サブウーファを環境に合わせて自動調整する「SW EQ」を搭載。

 さらに、アンプやサブウーファのローパスフィルタによる低音の遅れを補正する「フェイズコントロール」と、ソースに含まれる低音のズレも補正する「オートフェイズコントロール」も利用可能。

 一方で、MCACC Proにはこれらに加え、低域から高域まで全てのスピーカーユニット間の位相を揃え、再現力を向上させる「フルバンドフェイズコントロール」も備えている。10万円を切る「VSA-1130」に、「フルバンドフェイズコントロール」が搭載された事が1つのトピックと言える。

VSA-1130はDolby Atmos対応

 最大出力180W×7chのAVアンプ。VSA-1130はオブジェクトベースの新サラウンドフォーマット、Dolby Atmosに対応。7ch出力に対応した5.2.2chシアターが構築できる。前述のMCACC Proを用いて、音場補正も可能で、トップスピーカー/イネーブルドスピーカーのどちらを利用しても、全てのスピーカーの音がシームレスにつながり、一体となる、三次元音場が正確に再現できるとする。

 イネーブルドスピーカーは小型なモデルが現状は多いため、AVアンプ側からは「スモールスピーカー」として扱われる。その際に、低域を他のどのスピーカーに振り分けるか、指向性を感じる帯域の音をサブウーファに振り分けると音場が崩れるといった問題にも、MCACC Proを使って対応している。

 なお、組み合わせるイネーブルドスピーカーとして、パンフレットではオンキヨーの「SKH-410」を紹介している。

イネーブルドスピーカーを利用した場合の、MCACC Proの動作

 HDMI端子は7入力、2出力を装備。4K映像のパススルーや、入力映像の4Kアップスケーリング処理が可能。4K/60p 4:4:4/24bitまでの映像をサポート。HDCP2.2にも対応しており、4K放送やBDソフトにも対応できる。

 BDプレーヤーのBDP-LXシリーズで使われている「Super Resolution」技術も投入。超解像4K技術も用いて、帯域や輝度に応じた適切な画像処理を行なう事で、映像の細部の質感まで鮮やかに表現できるという。「テクスチャ処理」や、周辺画素解析による補正と二重映りを抑制する「エッジ処理」なども利用可能。

 DLNA 1.5やAirPlayに対応し、ネットワーク経由でのハイレゾ音楽ファイルの再生に対応。USBメモリに保存した音楽再生もできる。192kHz/24bitまでのFLAC/WAV/AIFFの再生ができるのは従来モデルと同じだが、新たにApple LosslessとWAVの5.0ch/5.1ch(USBメモリ入力のみ)の再生もサポート。

ハイレゾファイル再生の対応状況

 DSDは2.8MHzのデータであればダイレクト/PCM変換再生のどちらも可能で、5.6MHzはPCM変換再生のみとなる。DSD音源のギャップレス再生も可能。

 無線LANとBluetooth受信にも対応。無線LANは2.4GHzと5GHzにも対応し、ネットワーク経由でハイレゾ音源を安定して再生できるという。無線LAN環境が無い場合でも、スマホとワイヤレスで連携できる「Wireless Direct」機能も用意する。

 アプリはiOS/Android向けに「iControlAV5」を用意。AVアンプの制御に加え、再生楽曲の選択なども行なえる。

 AVアンプに詳しくないユーザーをサポートするために、新アプリ「Start-up Navi」と「ビルトインAVナビゲーター」も用意。スマートフォン/タブレット上で、配線接続の方法や音場設定、「iControlAV5」のインストールなど、セットアップの手順などが確認できる。

「Start-up Navi」と「ビルトインAVナビゲーター」でセットアップをサポート

 AVアンプのGUIも刷新。各項目へのアクセスがわかりやすいように、大きなイラストを使ったトップページのデザインを採用。各機能のメニュー画面にもわかりやすいアイ
コンを表示する。

 アナログ/デジタル回路の独立電源化やパワーアンプ部の伝送経路の最短化、クリーングランドの徹底など、上級機の「ダイレクト エナジー デザイン」を継承。DACには、ESSのSABRE Premier Audio DAC「ES9006S」を採用している。

 「Hi-bit24 Audio Processing」も搭載。入力や音源に関わらず、圧縮音声からマルチチャンネル音声まで、24bit未満の信号を独自のビット拡張処理で高解像度化。より自然で滑らかな音質で再生できるという。

 ルビコンと共同開発した「PML MUコンデンサ」も搭載。メッキに磁気歪みのない非磁性体を使用するなど、音質に配慮したパーツで、「抑圧感を抑え、透明感と開放感のある高音質を実現した」という。

 電源部には、上位モデルのSCシリーズで培ったノウハウを投入。銅箔シールドで漏洩磁束を低減しているほか、新型の電源トランスを採用したことで映像/音声信号に悪影響を及ぼす磁束ノイズも低減している。

 USB入力端子部に銅板シールドを投入するなど、ノイズ対策も徹底。インシュレータも試聴を繰り返して作り込んだという特殊形状になっている。

内部
インシュレータ
付属のリモコン

 入力端子は、アナログ音声×3、コンポジット×2、コンポーネント×1、光デジタル×1、同軸デジタル×1、Ethernetを用意。出力は、アナログ音声×1、コンポジット×1、2.1chプリアウト×1、7chプリアウト×1を用意。前面にiPod/iPhoneやUSBメモリをデジタル接続するためのUSB端子を備えている。

 消費電力は550W、待機時消費電力は0.1W(ネットワークスタンバイON時は2.7W)。外形寸法は435×362.5×168mm(幅×奥行き×高さ)、重量は9.8kg。

背面

VSA-830

 最大出力160W×5chのAVアンプ。前述のように、音場補正機能はAdvanced MCACCを搭載する。HDMI端子の4Kパススルーや、HDCP2.2対応はVSA-1130と同じ。「Super Resolution」技術も備えている。

VSA-830
VSA-830

 Dolby Atmosには対応していないが、ドルビーTrueHD、DTS-HD MasterAudioなどのHDAudioはデコード可能。

 DLNA 1.5やAirPlayに対応し、ハイレゾ音楽ファイルのワイヤレス再生もサポート。VSA-1130との違いは、DSDが2.8MHzまでの再生となり、ネイティブ再生ができず、PCMへの変換再生のみとなる事。

 「iControlAV5」アプリからの制御や、「Start-up Navi」と「ビルトインAVナビゲーター」を使ったセットアップ、デザインを刷新したGUIなども上位モデルと同じ。

 バーチャルワイド/ハイト/サラウンドバックという、3つの仮想スピーカーを自動設定し、5.2chスピーカーで最大11.2chの仮想音場が楽しめる「バーチャルスピーカーズ」や、入力信号の転送レートに合わせて音質を自動補正する「オートサウンドレトリバー」なども利用可能。

VSA-830付属のリモコン

 HDMI端子は入力6、出力1を装備。その他の入力端子は、アナログ音声×2、コンポジット×2、光デジタル×1、同軸デジタル×1、Ethernetを用意。出力は、アナログ音声×1、サブウーファプリアウト×1、5chプリアウト×1を用意。前面にiPod/iPhoneやUSBメモリをデジタル接続するためのUSB端子を備えている。

 消費電力は450W、待機時消費電力は0.1W(ネットワークスタンバイON時は2.7W)。外形寸法は435×331.5×168mm(幅×奥行き×高さ)、重量は8.7kg。

VSA-830の背面

(山崎健太郎)