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Astell&Kern、超ハイエンドDAP「AK380」日本初公開。DLNA遠隔操作/CDリッピング
(2015/5/16 17:14)
アユートは16日、東京・中野で開催されている「春のヘッドフォン祭 2015」において、iriver Astell&Kernのハイレゾ対応ポータブルプレーヤーの最上位モデル「AK380」の発表会を開催。AK380の詳細や拡張性が紹介された。本体の発売日と価格は未定だが、海外での価格は3,499ドル(税抜)とアナウンスされており、40万円を超えると思われる。
超ハイエンドモデル「AK380」
「AK240」を超える超ハイエンドモデルとして発売されるのが「AK380」となる。モデル名は「AK380 265GB メテオリックチタン」(AK380-265GB-MT)。「原音に忠実な再生というAKシリーズ全てに共通するミッションに加え、プロフェッショナルの現場で望まれる機能を搭載している」(アユート 営業部 マーケティンググループの藤川真人氏)という。
概要は既報の通りだが、発表会では新たな情報として、拡張性の高さが紹介された。AK380の底部にはUSB端子に加え、専用端子でアナログのバランス出力を備えている。この端子を活用し、AK380の背面に装着するジャケット型のアンプ「AK380 AMP」もオプションとして発売が予定されている。
「AK380 AMP」には、本体のヘッドフォン出力と同じ、ステレオミニ×1、2.5mm 4極のバランス出力×1を装備。DACは搭載しておらず、AK380のバランス出力を受けながら、アンプのドライブ力をさらに高めるオプションとして提供するという。
「AK380 Cradle」は、AK380用のスタンドを兼ねたクレードル。クレードルの背面にUSBとXLRのバランス出力を備えており、上に乗せたAK380のバランス出力/USBを、オプションの周辺機器と接続しやすくする。
XLRバランス出力は、バランス入力対応の据え置きアンプや、アクティブスピーカーと接続する事で、AK380を据え置きのプレーヤーとして扱うためのもの。
USB端子は、PCとの接続や、オプションのCDドライブ「Ripper」と接続するためのもの。このドライブは、音楽CDをAK380本体にリッピングするためのもので、USBで接続した後でCDを読み込ませると、AK380の画面にトラック情報が表示。取り込みたい楽曲を選択してAK380内のメモリにリッピングできる。
こうしたオプションを充実させる事で、AK380をポータブルだけでなく、室内で楽しむ据え置きプレーヤーとしても訴求。屋内外を問わず、高音質が楽しめるとアピールしている。
DLNA対応で操作性が向上
据え置き利用する場合、楽曲を選ぶなどする場合はプレーヤーの近くに移動する必要がある。しかし、AK380ではDLNAに対応。DMP、DMR、DMSをサポートすることで、この煩わしさを解消している。
具体的には、DLNAのプレーヤーとして、NASやPCに保存した楽曲をネットワーク経由で再生。その際に、「AK Connect」というアプリも用意。アプリからDLNAのサーバー選択、楽曲選択を行ない、AK380から再生できる。アプリはAndroid/iOS版を用意しており、Android版はβ版が既にGoogle Playで提供されている。
アプリをインストールした端末をワイヤレスで伝送し、AK380から再生する事も可能。さらに、サーバーとしてAK380内蔵の楽曲を指定する事もでき、スマートフォンやタブレットをリモコンとして扱うこともできる。なお、DLNAに準拠しているため、DLAN対応の他のアプリを使い、AK380を制御する事もできる。
この機能は据え置き利用だけでなく、ポータブルでも活用可能。例えばモバイルルータを持参したWi-Fi環境を構築、AK380をそこに接続しておき、カバンに入れてイヤフォンで音楽を楽しむ。AK380の操作は、同じモバイルルータにWi-Fi接続したスマホのDLANアプリから行なうといった使い方が可能。AK380をカバンから出さずに、好きな曲の選択・再生がスマホから制御できるようになる。
DLNA対応で操作性が向上
256GBのフラッシュメモリを搭載し、最大128GBまでのカードが利用できるmicroSD/SDHC/SDXCカードスロットを搭載しているのはAK240と同じ。
AK240はPCMの192kHz/32bitまでをサポートし、32bitのfloat/Integerは、24bitにダウンコンバートしながら再生するが、AK380は最大384kHz/32bitまでのデータを、全てネイティブで再生できる。DSDも5.6MHzのデータまでネイティブ再生可能。再生対応ファイル形式はWAV、FLAC、WMA、MP3、OGG、APE、AAC、Apple Lossless、AIFF、DFF、DSF。
DACは旭化成エレクトロニクスの「AKM AK4490」をL/Rチャンネル、デュアルで採用(AK240はシーラス・ロジック CS4398のデュアル)。さらに、VCXO Clock(電圧制御水晶発振器)を搭載し、フェムト秒クラスの超低ジッタ0.2Psを実現している。
発表会では、旭化成エレクトロニクスのAudio Meister、佐藤友則氏が登壇。新たしいアーキテクチャや、ローディストーション・テクノロジー、OSRDテクノロジーなどを用いて、既存のDACと比べて帯域外ノイズを大幅に低減した事や、歪特性を改善した事などを説明。「以前のアーキテクチャでは数10kHzからノイズが立ち上がっていたが、AK4490では200kHz程度までフラット」だという。また、32bit対応とする事で、情報量を余すところなく再生できる点などを強みとして解説した。
ブログ「Music To Go」を運営し、ライターとしても活躍している佐々木 喜洋氏は、試聴した印象として、VCXO Clockの採用や、最新DACのデュアル仕様での採用などにより、「AK240から大幅な音質向上を実現している」と説明。据え置きプレーヤーとしても活用できるポテンシャルの高さも賞賛した。
なお、実際にAK240とAK380を比べてみると、ディスプレイの大型化なども含め、一回り大きくなったと感じる。AKシリーズのエンジニアによれば、大型化により設計などの自由度が増し、高音質化に貢献したとのこと。
筐体にはAK240と同様に、ジュラルミン素材の高剛性素材を採用。フロントとリアにはゴリラガラスを使い、背面にはカーボンファイバーを配している。
操作性はAK240と基本的には同じで、AndroidベースのOSを採用。ホーム画面に戻るタッチセンサーがAK240はディスプレイの下部にあったが、AK380ではディスプレイ外の筐体部分に配置されているのが使い勝手の面での変更点となる。
前述の通り、IEEE 802.11b/g/n(2.4GHz)の無線LAN機能も搭載。出力端子はAK240/AK120II/AK100IIらと同じで、ステレオミニのアンバランス(光デジタル出力兼用)を装備。さらに、2.5mm 4極のバランス出力端子も備えている。内蔵バッテリは3,400mAhのリチウムポリマー。ディスプレイは4型で、解像度480×800ドット。静電容量式のタッチスクリーンを備えている。外形寸法は112.4×79.8×17.5mm(縦×横×厚さ)、重量は約218g。