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スカパー、「Jリーグオンデマンド」アプリにゴールシーン再生機能追加。Jリーグをアジアに

 スカパーJSATは6日、第2回メディアラウンドテーブルを開催。映像配信サービス「Jリーグオンデマンド」専用アプリのアップデート内容や、新たにシンガポールへの放送を開始した「WAKUWAKU JAPAN」などのアジア戦略、7・8月の新番組について発表。Jリーグの村井 満チェアマンと、コンサドーレ札幌(北海道フットボールクラブ)の野々村芳和 代表取締役社長も登場し、'15年Jリーグのファーストステージ振り返りやセカンドステージへの展望についてコメントした。

Jリーグの村井 満チェアマン(右)と、コンサドーレ札幌の野々村芳和社長(左)

Jリーグオンデマンドアプリ新バージョンでゴールシーンも見やすく

 スカパーはJリーグの公式ブロードキャスティングパートナーとして、J1、J2すべての試合を生中継している。スカパーJSATの小牧次郎専務は、視聴率、契約数ではなく「Jリーグの観客数を増やす」という目標のもと活動する「Jリーグ推進部」をスカパーの中に設置していることを紹介し「スタジオが観客で埋まれば映像の迫力も増す」と活動意義を紹介。今シーズンから毎節、「スカパー4K総合」チャンネルでJリーグの試合生中継を行なうほか、毎週土曜午後6時からの番組「サタデーナイトマッチ」も開始。スカパー加入者であれば誰でも視聴可能な番組で、Jリーグの視聴機会をふやすことで"ライブファン"を増やしていきたいと述べた。

 スカパーがスマートフォン/タブレット/PC向けに提供している、「Jリーグオンデマンド」アプリは、セカンドステージ開幕日(7月11日)に合わせて、主に3つの新機能が追加される。対応環境はiOS/Android/Windows 8.1。

「Jリーグオンデマンド」アプリでは2ndシーズンに合わせて試合中のゴールシーンが見やすくなる機能を追加

 新たに追加されるのは、各試合ごとのゴールシーン(約1分)をピックアップして再生できる「ゴールシーンダイジェスト」機能と、各節ごとにゴールシーンの再生回数をランキング化した「ゴールシーンランキング」機能。クラブや選手別に走行距離、スプリント回数、シュート数などをトラッキングしたデータを、節ごとのランキングとして表示する「トラッキングデータランキング」機能も追加される。コンサドーレ札幌の野々村社長はゴールシーンが見やすくなったところについて「試合のあとで微妙な判定のところを確認したいときに、現場のスタッフが使わせてもらっている。今までは(動画の)スクロールバーを見たいゴールシーンまで持っていかなければいけなかったので便利」と述べた。なお、同アプリのダウンロード件数は30万以上で、そのうち約3割が実際に利用しているという。

'15年Jリーグについて語る村井チェアマンと野々村氏

 大会フォーマット・構成が変更され、2ステージ制になった'15年のJリーグでは、浦和レッズがファーストステージ優勝を達成。村井チェアマンはファーストステージのふり返りとして、「浦和レッズが圧倒的な強さを見せつけたステージだった。浦和はアタッキングゾーンでのパススピードが早くなり、非常にタフな試合だった。ゴール数、シュート数も以前より向上したことで攻撃的な試合ができていた。観ていて面白かった」とコメント。野々村氏は「試合の質の向上はなされていたと思う。スカパーがJリーグの放映権を取ったあたりから見てきているサッカーファンのレベルは向上したように思うが、一方でサッカーファンのライト層にこの試合がどう届いていたか、まだまだ考えなくてはいけないところもある」と語った。

 セカンドステージの展望については、村井チェアマンは「ファースト、セカンドを連覇する勢いでくるクラブもあれば、セカンドで巻き返しを図るクラブもあるだろう。選手移籍をやって、ゼロリセットして望んでくるところもあるのではないか。ブレイクがあったことでさまざまな対抗策を打ってくるクラブ同士の戦いを楽しみにしている」と語り、野々村氏は「最初から優勝の難しいクラブもあるだろうが、2ステージ制になったことでより多くのクラブが、次はチャンピオンを取れるという確率が高まっている。選手の立場からすればやりがいも出てくるだろう」とコメント。その中で、コンサドーレ札幌がJ2からJ1へと昇格することへの期待も滲ませた。

 Jリーグのアジア戦略については、村井チェアマンはアジア9カ国とパートナーシップを結び、アジア各国でサッカー発展の仕組みづくりを進めていることを説明。野々村氏は、コンサドーレ札幌がベトナム出身のレ・コン・ビンなどアジア圏出身の選手と契約していることにも触れ、「インドネシアやベトナムの子どもたちが将来Jリーガーになりたいと思ってくれることが、Jリーグの10年後、20年後にとって大きな影響を与えるはず。そうした長期的なことにも目を向けてやっていきたい」と述べた。

シンガポールで「WAKUWAKU JAPAN」放送開始。キラーコンテンツはJリーグ

Jリーグ中継をWAKUWAKU JAPANのキラーコンテンツに

 日本の番組を現地語で放送するチャンネル「WAKUWAKU JAPAN」の取り組みについては、スカパー JSAT 海外事業部 部長代行の牧野 誠氏が説明。既に放送が行なわれているインドネシアやミャンマーに加え、3カ国目としてシンガポールでも、7月6日17時(現地時間)より放送を開始。同国で170以上のチャンネルを保有する有料多チャンネルIPTVサービス「Singtel TV」を利用して放送を行ない、多くの視聴者が使っているという「ベーシックパック」で視聴できる。これにより、WAKUWAKU JAPANの視聴可能世帯数は3カ国合わせて約320万世帯(推定1,430万人)以上に拡大するとした。

 スカパーJSATでは、海外への配信事業規模拡大に向けてWAKUWAKU JAPANを'14年2月に立ち上げ、インドネシアとミャンマーにおいて現地の放送/CATV事業者らを通じて、日本のコンテンツを現地の言葉で24時間365日放送。5月1日にはスカパーJSATの100%子会社として「WAKUWAKU JAPAN株式会社」を設立している。

 牧野氏は、WAKUWAKU JAPANにおいてJリーグの試合を毎節1試合、現地アナウンサーの説明とともに生中継で放送しており、「Jリーグ中継をWAKUWAKU JAPANのキラーコンテンツにしていきたい」という。このJリーグ普及活動の取り組みがアジア各国に影響を与え、サッカー技術が成長することで「将来的にはW杯を舞台に、日本とシンガポールのチームが競り合うことになるかもしれない」とした。

 一方で、ドラマやアニメ・特撮、スポーツ(Jリーグ)、音楽といったジャンルの日本コンテンツに強いニーズがあるインドネシアなどに比べ、シンガポールではそうしたコンテンツの流通・露出が非常に少ないという。「シンガポールでは特に韓流ドラマやK-POPなど、韓国のコンテンツが充実。現地では"日本のコンテンツはダサい"という声もある」と紹介した上で、日本の最新ドラマやバラエティ、アニメ番組をシンガポール向けのオリジナル編成で放送していくことで、日本コンテンツの認知と人気を高めていきたいと語った。

8月にflumpoolの野外ライブを独占4K生中継など

 スカパーの新番組追加を含む7・8月の番組編成については、スカパーJSAT チャンネル運営部の清水泰貴 編成担当主幹が説明した。音楽番組では、「DREAMS COME TRUE Special Live」を「BSスカパー!」で7月7日に独占放送。「ポール・マッカートニー OUT THERE in 日本武道館 2015」(7月11日)や、「MTV Unplugged:Tsuyoshi Nagabuchi」(7月26日)については「スカパー! 4K総合」でも放送となる。いずれも詳細はスカパー公式サイトで案内している。

 また、8月8日には大阪・大泉緑地で開催される「flumpool 真夏の野外★LIVE 2015『FOR ROOTS』~オオサカ・フィールズ・フォーエバー~」の最終日公演を、「BSスカパー!」と「スカパー! 4K総合」において独占生中継することも発表された。

 このほか、"高校生限定"のバラエティ新番組でオリエンタルラジオがMCGを務める「高校生TV」や、商品比較バラエティ「モノクラーベ」の第4期、終戦70周年祈念のオリジナルドラマ作品「チャンバラが消えた日」などが放送予定となっている。

(庄司亮一)