ニュース

パナソニック、リオ五輪に向け“山”とパートナー契約

シュガーローフマウンテンで自社PR

 2016年リオデジャネイロ夏季オリンピック大会の開催1年前を迎えたのにあわせて、オリンピックのワールドワイド公式パートナーであるパナソニックの動きが活発化しはじめた。

リオ五輪まであと1年、パナソニックはシュガーローフ マウンテンと、オフィシャルテクノロジーパートナー契約を結んだ

 パナソニックおよびパナソニックブラジルは、8月4日(現地時間)、シュガーローフ マウンテンと、オフィシャルテクノロジーパートナー契約を結んだことを発表した。

 リオデジャネイロ夏季オリンピック大会は、2016年8月5日~21日までの17日間に渡り、リオデジャネイロ市内の33会場において、28競技306種目で競われる。204の国と地域から約1万1,000人の選手が参加。期間中700万人の観客が訪れると予想されているという。

 パナソニックは、オリンピックの最高位パートナーである「TOP(The Olympic Partner)パートナー」として、1988年のカルガリー大会からワールドワイド公式パートナー契約を締結。オリンピックでは2024年までスポンサー契約を、パラリンピックでは2020年までの同契約を結んでいる。

 パナソニック ブランドコミュニケーション本部宣伝部スポンサーシップイベント推進室オリンピック・パラリンピック課の園田俊介課長は、「オリンピック・ムーブメントと、パナソニックの経営理念には親和性がある。パナソニックの技術により、オリンピックを支援することで、スポーツを通じたより良い社会の形成に貢献する一方で、オリンピックマークの使用権、ホテルやチケットの優先購入権、IOCや大会組織委員会に対するカテゴリー商品の納入第一交渉権などの権利を持つ。オリンピックのスポンサードを通じて、グローバルにおけるブランド価値向上、事業の拡大といった狙いもある。また、機器の納入などの取り組みを通じて、新たな顧客の開拓や、パートナーの開拓といったメリットもある」とする。

 これまでにも、最新のLED大型表示装置の導入や、ハイビジョン映像および4K映像での撮影などを実現する各種放送機器の提供を通じて、パナソニックの最新技術を訴求。さらに、2006年のトリノオリンピックでは、監視カメラを初めて導入。さらに、2012年のロンドンオリンピックでは、2,500台の監視カメラを提供。BtoB領域においても、新たな提案をしてみせた。

ロンドン五輪では、シアターや監視カメラなどで協力

 さらに、オリンピックのロゴマークを使用した製品群を発売するといったことも、TOPスポンサーならではの取り組みといえる。

 2017年以降は、スポンサー対象カテゴリーとして、これまでのAV機器に加えて、白物家電と電動自転車が加わることになり、これらの製品においても、オリンピックロゴを使用した展開が可能になるという。

 「白物家電に関しては、リオオリンピックまではGEがスポンサーであったが、2017年以降は、米州とオーストラリアを除いた地域で、パナソニックがスポンサーとなる。また、一般的な自転車はブリヂストンがスポンサーだが、電動自転車は新たなカテゴリーとして設定されたものであり、パナソニックが新たなスポンサーになる」という。

 そのほか同社では、ホームページを通じたオリンピックに関する情報発信や、45万人の登録者を誇るFacebookを通じた情報発信、チャンネルパナソニックによるオリンピック映像配信を行なっているほか、オリンピックと連動した社会貢献活動として、次世代育成支援プロジェクトの実施や、ユーザーをオリンピックに招待して、パナソニックファンになってもらうためのホスピタリティプログラムの展開などを展開している。さらに、関係者を対象にした納入機器視察特別ツアーを実施し、国際放送センターやテクノロジーオペレーションセンター、選手村、メインオペレーションセンターなどを訪問するプログラムも用意しているという。

 2016年リオデジャネイロ夏季オリンピック大会開催1年前にあたって、パナソニックでは、新たな取り組みとして、シュガーローフ マウンテンとのオフィシャルテクノロジーパートナー契約を結ぶ一方、複数のブラジル人アスリートとスポンサー契約を結んだことを発表した。

シュガーローフで行なわれた、リオオリンピック1年前イベントの会場

 シュガーローフ マウンテンは、リオデジャネイロのランドマークともいえる場所で、パナソニックのプロジェクタ、テレビ、LED大型映像装置、デジタルサイネージシステムなどを常設機器として納入。オリンピック期間中、様々なイベントを開催する予定だという。

 ブラジル時間の8月4日午後7時からは、シュガーローフにおいて、リオオリンピック1年前イベントを開催。パナソニックが、長年に渡るオリンピックパートナーとして取り組んできた歴史と、オリンピックへの貢献、リオオリンピックに向けた取り組みを訴求。約150人の関係者および報道関係者が参加した。

シュガーローフマウンテンでのイベントも実施

 また、新たにスポンサー契約したアスリートも発表され、ブラジル競泳代表のフェリペ・フランサ氏、ビーチバレーボールのジュリアナ・シウバ氏およびマリア・エリザ・アントネッリ氏のほか、ローレウス世界スポーツ賞で年間最優秀障害者選手を2度獲得したパラリンピック水泳選手であるダニエル・ディアス氏を起用することを発表。さらに、アンバサダーとして、男子バレーボールで、1992年と2004年に、オリンピック金メダルを獲得した元ブラジル代表のマウリシオ・リマ氏が起用することも明らかにした。

 パナソニックでは、グローバルアンバサダーとして、ブラジル出身のサッカー選手であるネイマール・ダ・シウバ・ジュニオール(ネイマール Jr.)選手を起用しているが、同選手を起用した新たなスペシャルウェブサイトを開設。ネイマール Jr.選手が、オリンピックについて語る映像を見ることができるようになるという。

 さらに、同社では、リオオリンピックに関する様々なキャンペーンを展開。今年10月からは、リオデジャネイロで宝探しを行なうオンラインキャンペーン「Find your Dream」をスタートすることも発表した。

 パナソニックでは、リオオリンピックにおけるマーケティングコンセプトとして、「Sharing the Passion」を掲げ、競技会場内の情熱と感動を支えるとともに、世界にそれを発信するという役割を担い、世界規模で感動を共有する仕組みを提案する。

 「大型ビジョンや音響システムで会場での感動を演出する、ハイクオリティな最新の放送技術で感動を伝える、臨場感あふれる再現する高画質なAV商品で感動を再現する、という3つの観点から貢献したい」(パナソニック・園田課長)とする。

 会場内では、すでにいくつかのテストイベントが始まっているというが、パナソニックが納入する各種映像装置については、2016年2月にテストイベントが行なわれる予定で、それに向けて、今後、納入が急ピッチで進むことになる。

シュガーローフに納入された、パナソニックの各種映像装置

 だがその一方で、リオオリンピックの開幕まで、ちょうど1年となったものの、スタジアムや選手村の建設には遅れが出ているとの指摘もある。

 パナソニックでは、「最終的な納入規模は、大会開幕の3カ月前に決定することになるだろうが、過去最大規模の納入実績になるのは間違いない」とする。そのなかには、新たなプロジェクターなどが含まれるという。

 だが関係者の話によると、「新たな機能優先というよりも、コスト優先という風潮があり、新たな技術を活用する場が全体的に少ないという印象もある」との指摘も出ている。

 リオオリンピックは、どんな映像体験を提供してくれるのか。その全体像を掴むにはもう少し時間がかかりそうだ。

(大河原 克行)