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世界初のHDR対応8K/85型ディスプレイ。東芝の未発表TVや「ケーブル4K」も
(2015/10/7 18:10)
7日に千葉・幕張メッセにおいて「CEATEC JAPAN 2015」が開幕した。前日に、パナソニックのHDR(ハイダイナミックレンジ)対応次世代4KテレビやシャープのUltra HD Blu-rayなどがマスコミ向けに公開されたが、ここでは初日の会場から、NHKとJEITAの共同ブースをレポートする。
HDR対応85型8Kディスプレイ、従来TV方式と互換性のあるHDR
ブースの目玉は、9月3日にNHKが発表していた、世界初となるHDR映像の表示に対応する、85型の8K液晶ディスプレイ。NHKがシャープと共同で開発したもので、解像度は7,680×4,320ドット。フレーム周波数は60Hz(表示120Hz)。階調はRGB各色12bit相当。輝度は1,000cd/m2以上、コントラスト比は10万:1以上。BT.2020色域に対する包含率は77%。
バックライト制御技術を活かしてHDR対応とし、夕日の映像などでスタンダードな映像との比較デモを実施。高精細かつ、リアリティのある明暗の表示ができている事をアピールしている。
また、ディスプレイだけでなく従来のテレビジョン方式と互換性のあるHDR方式をBBC(英国放送協会)と連携して開発。Hybrid Log Gamma方式と名付けられたもので、既存のテレビではスタンダードな映像、HDR対応テレビではHDR映像として表示できるというもので、詳細は明らかにされていないが、「HDR対応、非対応のテレビが混在する家庭に向けてHDR放送を行なう際に有効な技術」だという。
8K関連の展示としては、2016年の8K試験放送を想定し、12GHz帯放送衛星を使った伝送実験も実施。渋谷のNHK放送センターから信号を送信し、放送衛星(BS17ch)を経由した信号を幕張メッセで受信、8Kディスプレイに表示するデモも行なっていた。
各社の4Kテレビ紹介コーナーに東芝の未発表テレビ
4K関連では、各社の代表的な4Kテレビを一堂に展示したコーナーも用意。高精細な映像の魅力や、豊富なサイズラインナップが用意されている事などを紹介しているが、その中に、まだ発表されていない東芝の65型4Kテレビを発見した。
型番やスペックなどは不明だが、「2015年 秋冬モデル」と書かれている。非常に高輝度で、明暗差の大きな映像表示を実現しているのが印象的だ。
日本ケーブルテレビ連盟(JCTA)のコーナーでは、2015年12月1日11時に開局される、ケーブルテレビ(CATV)業界共通の4K専門チャンネル「ケーブル4K」のデモを実施。パナソニック、パイオニア、住友電気工業、KDDI、HUMAXの対応STBを用いて、4Kテレビに映像を表示していた。
大きな特徴はコンテンツで、全国に4Kの魅力を配信することを目的とし、各地のCATV事業者が制作した文化、歴史、紀行、グルメなどの番組が放送される。
一風変わった番組としては、「西部警察 全国キャラバン!! ロケ聖地巡礼」という、ドラマ「西部警察」のロケ地を巡る紀行番組も放送。舘ひろし、徳重聡らが出演。全10話で構成されるという。
各局の放送番組のデータファイルはマスターヘッドエンドに集積され、そこで編成。受信局へはRF配信、IP配信の両方式で送出する。
IPTVフォーラムのコーナーでは、フジテレビやTBSなどの各放送局が、ハイブリッドキャストの魅力を高めるための試作コンテンツや、将来的なサービスに向けた実験の状況を展示。
関西テレビでは、競馬中継コンテンツを試作。競馬の放送を見ながら、視聴者が直前のレース映像を振り返り再生できるというもの。振り返り映像はIP経由でオンデマンド配信され、テレビやタブレットに表示可能。タブレットに競馬場のマップが表示され、先頭馬のマーカーがレースと連動してコース図上に表示されるといった機能も持っている。
フジテレビでは、ハイブリッドキャスト 2.0により、HD放送と4K解像度の配信をシームレスに切り替える技術をデモ。通常はHD放送を受信しているが、対応する番組であれば画面上に「同時4K配信も行なっている」という告知を出し、ユーザーはワンタッチで4K品質の配信映像が楽しめ、番組が終わると自動で放送に戻る。
この技術を活用する事で、例えば4K配信で映画を楽しんでいる際に、放送の緊急ニュースが割り込んでくると即座に画面を切り替える、放送の巻き戻しを配信で楽しむといった事が可能になるという。