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「見て。触って。納得」の4Kを。シャープAQUOSの年末商戦
“困っていない”人にも最新の臨場感とサービスを
(2015/11/24 00:00)
シャープは、年末商戦におけるコンシューマ製品の営業戦略について説明。液晶テレビに関しては、「量販店を訪れる顧客が増えないなど、需要低迷が続くなか、買い換えを促進するような刺激が必要。気づき提案を通じて、いまのテレビが、家族がもっと楽しくなるテレビに変わっていることを伝えることが必要だ」(シャープエレクトロニクスマーケティング 専務取締役の居石勘資氏)とし、4Kテレビのラインアップ強化とともに、プロモーション活動や販売支援に積極的に取り組む考えを示した。
具体的には、「特別招待会」と呼ぶ実売イベントを全国各地で開催。販売店の店頭に訪れない顧客に対しても4Kテレビを体験できる場を提案。Netflixの3カ月間の無料視聴を業界で唯一提供していることに加えて、11月21日からは、きゃりーぱみゅぱみゅさんを起用した4Kテレビの新CMを放映することで訴求を図る。
同社では、テレビの買い換えサイクルが約7年であることから逆算して、2016年以降は、地デジ化およびエコポイントによる特需が発生した2009年以降のテレビが買い換えサイクルに入ってくることや、4K/8Kの試験放送が国内で開始されるなど、テレビ需要が回復期に入ってくると予測する。
だが、現時点では、まだ特需の反動期から抜け出ておらず、年間500万台の市場規模に停滞。ピーク時の2010年度の2,500万台の約5分の1となっていることを指摘する。
つまり、今年の年末商戦は、需要回復前夜という状況にあり、メーカーや販売店にとっては、積極的な訴求策が求められているというわけだ。
居石専務取締役は、「主要見込み顧客を対象に実施している特別招待会は、毎年7~8月という商戦の端境期に行なうといったことが多かったが、今年はこの時期に約100回の特別招待会を全国で開催したのに続き、年末商戦が本格化する11~12月にかけても100回程度を開催することになる。150万円の4Kテレビが一日一台ペースで売れるなど、4Kテレビが計画通りの販売台数で推移している背景には、特別招待会の貢献が見逃せない。年末商戦とはいえ、店で待つ売り方ではなく、出て行く形の販売手法が、今年は重要だと考えている」とした。
とくに、今年はAQUOS 4K NEXTを打ち出した8K解像度を実現する液晶テレビ「LC-70XG35」を投入。これも、商戦に対して、新たな影響を与えるとみている。
「4K NEXTという製品は、これまでにない製品。単にプレゼンテーション資料などをみせて製品説明するだけではなかなか良さや違いを理解していただけない。改めてAQUOSという製品の狙いを理解してもらうといったことから始めた。対象にしたのは、シャープの社員と、販売店のスタッフ。プロ研修会の名称で展開した。AQUOSに関して、勉強会を実施するのは久しぶりのことであり、新たな製品をゼロから学んでもらい、販売店とともに一緒になって売っていく体制を敷くことに力を注いだ」と語る。
同社では、「MST-NKの実践」が、2015年度における重要なテーマだと位置づける。
MST-MKは、「見て」、「触って」、「体験して」、「納得して」、「買ってもらう」という言葉をローマ字表記し、その頭文字を取ったものだ。
居石専務取締役は、「家電製品の多くは、壊れたら買い換えるというケースが半分を占める。だが、テレビを例に取ると、故障したら買い換えるとする人が39.7%を占める一方で、上位機種へ買い換えることが買い換えの動機となっている人が20.9%を占めている。いま使っているテレビがまだ映っているから大丈夫(壊れていない)、とりあえず見るのには困っていない、特に慌てて買う理由がない、という3つの『ない』状況にある人が多い。
これは、満足度とは別の話。いまのテレビが、家族がもっと楽しめるテレビになっていることを知らないという実態がある。4Kになったことでいま使っているテレビでは味わえない美しい映像が観られること、最新のテレビは映像と音によって臨場感が違うこと、Netflixなどの新たなサービスを体験することができる、といったことをお伝えすることで、上位機種に買い換えるきっかけや気づきを与えることが必要である」とする。
4K NEXTの提案では、楽しい生活への気づきを促すため、2Kテレビとの画質比較や、現在、放映されている2K放送も、アップコンバートによって、さらにきれいな画質で視聴できることを紹介。4K NEXTならではの高精細な8K解像度の良さを訴求していく考えだ。
11月14~16日にかけて、中部地区の地域店で開催した特別招待会では、11月に発売されたばかりの4K-NEXTの提案に力を注いだ結果、1台85万円のLC-70XG35が3台、55万円のLC-60XD60が1台成約するという実績があったという。
「MST-NKを実践する実売イベントによって、4K NEXTの販売に弾みをつけたい」としている。
さらに、同社では、現在、国内4Kテレビで30%のシェアを獲得していることを示しながら、「国内4Kテレビ市場ではトップシェアだと認識している。特に、50型以上の4Kテレビでは、40%近いシェアを獲得している」とし、「この勢いを年末商戦も持続し、さらなるシェア拡大につなげたい」(シャープエレクトロニクスマーケティングの宮永良一社長)とする。
シャープでは、今年6月に発売した4KテレビのUS30シリーズおよびU30シリーズが、市場から高い評価を受けていることを強調。とくに、US30では、低反射を実現するN-Blackパネルの採用や、スイーベルスタンドの採用による視聴位置にあわせた画面の角度調整といった機能が高い評価を得ているという。
「50型、60型といった大きなテレビを一度設置してしまうと向きを変えることが難しい。だが、スイーベルを追加したことで、リビングに置いたテレビを見やすい角度に調整できる。4Kならではの付加価値に加えて、顧客が望む機能を追加することが受けている」とした。
さらに、今年11月から出荷したLC-60XD35およびLC-70XG35では、高画質の強みに加えて、高音質にもこだわっていることを強調。「独自の高画質、高音質技術で、あたかもその場所にいるような臨場感をリビングで再現できる。独自開発のアラウンド・スピーカー・システムは差別化になるとみている」という。
シャープエレクトロニクスマーケティングでは、「年末商戦では、AQUOS、ヘルシオ、プラズマクラスターイオンを重点プロモーションテーマに掲げる。AQUOSは、4K-NEXTを軸に展開し、4Kテレビの販売台数は、2015年度通期で、2014年度比2倍を目指したい」(宮永社長)と語る。
ヘルシオシリーズでは、「ヘルシオ=健康」のイメージを徹底的に訴求。オーブンレンジの新たなヘルシオのほか、ヘルシオジュースプレッソ、ヘルシオ炊飯器、ヘルシオお茶プレッソに加えて、11月5日に発売し、すでに計画値の1.6倍の増産体制を敷いているヘルシオ ホットクックによる群展開での提案を進める。また、プラズマクラスターイオンでは、これまでのリビングを中心とした提案だけに留まらず、「おウチまるごとプラズマクラスター」として、一家に一台の提案から、トイレ、玄関、クルマなどの一部屋に一台の提案へと進化させるという。
一方、今後の4Kテレビの事業拡大についても言及した。
同社では、2014年度には40型以上で16.3%だった4Kテレビの構成比が、2015年度には30.3%に拡大。さらに2020年度には73.8%と40型以上の4台に3台を占めると予測。その時点での4Kテレビの国内市場規模は、年間300万台に達すると見込んでいる。
こうした拡大市場に向けて、シャープは4K製品のラインアップを強化していく姿勢を示すとともに、2016年度は、4Kテレビ市場において、40%のシェア獲得を目指す考えだ。
「今年10月からは、カンパニー制を導入しており、商品、サービス、ソリューションを一体化させ、グループの総合力を生かした営業活動ができるようになる。エネルギーソリューションやビジネスソリューションとの連携も進めたい」(宮永社長)とした。