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ソニー、6K信号から解像感ある4K動画を撮る「α6300」

0.05秒最速AFや高速ライブビュー搭載。実売13.5万円

 ソニーは、Eマウント採用のAPS-Cセンサー搭載ミラーレスデジタルカメラ「α6300」(ILCE-6300)を3月11日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は、ボディのみが135,000円前後、パワーズームレンズ「SELP1650(E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS)」セット(ILCE-6300L)が15万円前後。

α6300

 2014年発売「α6000」の上位機種で、APS-Cセンサー搭載αの最上位モデルとなる。AFを大幅に強化したほか、読み出し速度や感度を大幅に向上した新Exmor CMOSセンサーの採用で4K/30p動画撮影に対応。画素混合をせず、全画素読出により、6K相当のデータをオーバーサンプリングしながら4K解像度で記録し、「αシリーズでももっとも解像感ある4K動画が撮影できる」という。

 また、最上位レンズシリーズ「G Master」も発表。全域F2.8の大口径標準ズーム「SEL2470GM」など3製品を4月より順次発売する。

α6300にG Master「SEL2470GM」を装着

世界最速0.05秒AF搭載

 カメラとしての進化ポイントは、AFの高速化や追従性能の向上。像面位相差AFとコントラストAFを組み合わせた「ファストハイブリッドAF」と、世界最多という425点の像面位相差センサーを搭載。画像処理エンジン「BIONZ X」の処理を最適化させ、レンズ交換式デジタルカメラとして世界最速という0.05秒の高速AFを実現する(α6000は0.06秒)。

 動く被写体への対応も強化。α6000の約7.5倍の密度でAF枠を集中配置したほか、被写体にあわせて枠を動的に動かすことで、高い追従性を実現する。

AF集中枠が被写体に合わせて動的に追従

 連写時の画像表示も強化。α6300は有機ELビューファインダ搭載だが、高速連写時に光学ファインダーのようなライブビュー表示が可能な「高速ライブビュー連写」に対応。従来の高速連写では、実際の映像とずれた映像が表示され続ける「アフタービュー」表示となっていたが、高速ライブビュー連写では、光学ファインダーのようにブラックアウトしながらタイムラグを抑えた映像表示が行なえる。

 高速連写は最高11コマ秒。ただし、高速ライブビュー連写になるのは8コマ秒までで、11コマ秒撮影時は従来同様のアフタービューとなる。また、動画撮影時のファストハイブリッドAFの速度向上や、ハイスピード撮影中のAFに対応。Aマウントレンズ装着時には像面位相差AF対応となる。

α6300(左)とα6000(右)の比較。正面はさほど変わらない
左のα6300のほうが厚く、グリップ部の形状も変わっている
ボタンレイアウトも変更

新CMOS採用により、4K/30p動画対応強化

 新開発Exmor CMOSセンサーの有効画素数は約2,420万。Cu(銅)配線の採用と回路プロセスの微細化、さらに光を取り込むフォトダイオードの受光面積拡大(ワイドフォトダイオード設計)により、集光効率を大幅に向上。ノイズの少ない高画質を実現できるという。

 また、伝送速度の早いCu配線(従来はアルミニウム配線)の採用により、読み出し速度を高速化。これにより全画素読み出しの4K動画記録や、フルHDの120fpsハイススピード撮影に対応する。

 この新CMOSセンサーの高感度、高速読み出しという特徴を活かすため、α6300では動画対応を強化。4Kに必要な画素数の約2.4倍となる6K相当のデータから、4Kの映像を生成することで、より解像感ある4K動画撮影を可能としている。また、動画撮影時のファストハイブリッドAFも強化され、α6000比で最大2倍のAF速度を実現しているという。

6Kデータから4K映像を生成

 記録フォーマットはXAVC SとMP4、AVCHDで、XAVC S 4Kは、3,840×2,160ドット、30p/24p、ビットレート100/60Mbpsが選択可能。XAVC SのフルHDは、ハイスピードの120pが100Mbps、60Mbps、60p/30p/24pが、50Mbpsとなる。

 AVCHD/MP4は、最高1080/60p、28Mbps。1080/30p、24pのハイフレームレート撮影にも対応する。

 マイク端子を装備し、外部マイク対応するほか、カメラシューに接続するXLRアダプタキットにより、XLRマイクも装着可能。ゼブラ機能やタイムコード、メモリーカードとHDMI出力の同時ビデオ記録などに対応。

 また、プロフェッショナル向けに、ログカーブのS-Log(S-Log2、S-Log3)や、カラースペースのS-Gamut3、S-Gamut3.Cineに対応。S-Log3設定時は14ストップの再現域を確保し、「プロの映像制作をサポートする」という。

フルマグネシウムボデイ採用

 ボディはフルマグネシウム合金製で、グリップボタンやシャッターボタン位置などをα6000から変更。マウント部の剛性やグリップ部のホールド性を向上しているという。ビューファインダは0.39型の「XGA OLED Tru-Finder」で、視野率は100%、倍率は約1.07倍。120fps駆動により、残像感のない表示が行なえるという。

マグネシウムボディを採用
右がα6300。マウント部の剛性も高めているという
XGA OLED Tru-Finder

 液晶モニターは3型92万画素で、カメラ背面に対して上90度、下45度の角度調整に対応。IEEE 802.11b/g/n無線LANを搭載し、NFCに対応。スマートフォンやタブレットと連携し、撮影動画の転送や、カメラの遠隔制御が行なえる。

3型液晶モニターを搭載

 記録メディアはSD/SDHC/SDXCと、メモリースティック PRO/PRO-HG/XC-HG デュオ。RAW+JPEG同時記録や、14bit RAW出力に対応。HDMIマイクロ出力を装備し、HDMI情報表示のON/OFFも可能。外形寸法は約120×48.8×66.9mm(幅×奥行き×高さ)で、本体のみの重量は約361g。

最高峰「G Master」レンズ

 G Masterレンズは、ソニーEマウントの最高峰となるレンズシリーズ。新開発の超高度非球面XAレンズレンズやナノARコーティングによる反射の抑制などで、シャープかつ抜けの良い描写を実現するという。

G Masterシリーズ

 「SE2470GM」(FE 24-70mm F2.8 GM)は、全域F2.8の大口径標準ズームで、35mm判換算焦点距離は36-105mm。4月発売で、価格は27万8,000円。新開発の超高度非球面XAレンズ1枚を含む、3枚の非球面レンズを採用。高精度で静粛性も備えたダイレクトドライブSSMにより、静止画/動画を問わず、精緻なピント合わせが可能という。新形状設計の9枚羽根の円形絞りによる美しいボケ味も訴求している。外形寸法は136×86.7mm、重量は約886g。フィルタ径は82mm。

SE2470GM

 SEL85F14GM(FE 85mm F1.4 GM)は、F1.4、35mm判換算焦点距離127.5mm(APS-C)の単焦点レンズ。4月発売で、価格は22万5,000円。超高度非球面XAレンズにより、美しいボケ感と高い解像感を両立。11枚羽根の円形絞りで、自然なボケ表現が可能という。2つの位置検出センサーを搭載し、AF精度を高めている点も特徴。外形寸法は107.5×89.5mm、重量は約820g。フィルタ径は77mm。

SEL85F14GM

 「SEL70200GM」(FE 70-200mm F2.8 GM OSS)は、全域F2.8の大口径望遠ズームレンズで、35mm判換算焦点距離は105-300mm(APS-C)。6月発売予定で、価格は未定。超高度非球面XAレンズにより、美しいボケ感と高い解像感を両立。11枚羽根の円形絞りを搭載する。最短撮影距離は0.96m。リングドライブSSMと、2つのリニアモーターによりフォーカスレンズを高速駆動。高速・高精度なAFを可能にした。外形寸法は200×88mm、重量は約1,480g。フィルタ径は77mm。三脚座などが付属する。

SEL70200GM

 Eマウント初のテレコンバーターレンズも6月発売。1.4倍の「SEL14TC」と、2倍の「SEL20TC」を用意する。光量低下は1.4倍が1段分、2倍が2段分。「SEL70200GM」での利用を想定している。

「SEL20TC」(左)、「SEL14TC」(右)

(臼田勤哉)