ニュース

ソニー、レコードをDSD 5.6MHzで録音できるアナログプレーヤー。約6万円

 ソニーは、PCと組み合わせる事で、アナログレコードをDSDの5.6MHzや、192kHz/24bitのPCMでデジタル録音する事も可能なレコードプレーヤー「PS-HX500」を4月16日に発売する。価格は61,000円。

レコードプレーヤー「PS-HX500」と、ウォークマン+ヘッドフォンを組み合わせたところ

 かつて楽しんでいた大人から若者まで、アナログレコードの人気が復活している事を受け、レコード盤を持っているけれどプレーヤーが無い、家ではレコード盤で楽しむが、その楽曲をデジタル化してポータブルプレーヤーでも楽しみたいというニーズに合わせて開発されたモデル。機能面だけでなく、レコードプレーヤーとしての高音質設計も徹底したという。

レコードプレーヤー「PS-HX500」

 ベルトドライブ式で、新設計の軽量シェル一体型ストレートトーンアームを採用。MMカートリッジを標準装備しており、ヘッドシェルはユニバーサル型ではなく、カートリッジ交換はできない。「音質優先で設計し、ヘッドシェルとアームを一体型にする事で、シェル部の強度が高く、カートリッジの支持が安定するインテグレーテッドタイプとした」という。

軽量シェル一体型ストレートトーンアーム
ベルトドライブ式

 丸型のシェルは角部の共振が少なく、色付けの無い再生ができるとする。カートリッジの重量は5g、針圧は3g。交換針はサービスパーツ扱いとなる。

 ピボット軸受を支えるハウジングを、円筒形状とし、高い強度とスラックレス水平軸受構造により、クリアな低音を実現。カートリッジから受ける上下の振動に対し、軸が回転運動を起こさないため、安定したトレースも可能という。

 プラッターは強度と重量のバランスを考慮し、アルミダイキャスト製。その上には、レコード面との密着性が高く、不要共振が少ない5mm厚のラバーマットを搭載。厚くする事で、安定したトレースをサポートできるという。モーターはDCモーターで、33 1/3回転、45回転が可能。

5mm厚のラバーマットを搭載
PS-HX500

 MMカートリッジ対応のフォノイコライザも搭載。コンポなどと接続できる。オーディオ回路にはガラスエポキシ基板を採用。基板内のアナログ回路とデジタル回路は完全に分離しており、デジタル回路に起因するノイズによる、アナログ回路への影響を低減。聴感上のSNに優れ、微細なニュアンスも再生できるという。フォノイコライザを通さないスルー出力も可能。

フォノイコライザ回路
出力端子部

 PCとUSB接続し、再生しているレコードのサウンドをデジタル化する事も可能。DSDネイティブ変換に対応したADコンバータを搭載しており、アナログから直接DSDに、原音に忠実に変換できるという。ADコンバータはバーブラウンの「PCM4202」。

 DSDは5.6MHzまで、PCMは192kHz/24bitまでのキャプチャに対応。マスタークロックは、44.1kHzのPCMとDSD用、48/96/192kHzのPCM用とで、独立した2つの水晶発振器を搭載。どのデジタルフォーマットでも純度の高いクロックでAD変換できるとする。なお、ハイレゾでの録音が可能であるため、本体などにハイレゾマークが入っている。

ADコンバータでデジタル録音も可能
本体にはハイレゾマーク

 PC向けの録音ソフトとして、新開発の「Hi-Res Audio Recorder」をWindows/Mac向けに用意。曲の頭部分を指定して分割する、マーカーをつけて無音部分をファイルとして書き出さないなどの編集も行なえる。イコライジングやノイズを低減するような機能は無い。

「Hi-Res Audio Recorder」の使用イメージ

 本体のキャビネットには、密度の高い30mm厚の音響用MDFボードを使用。インシュレータは、機械的共振をしにくいという独自の偏心インシュレータを採用。中央ゴム部分を独特の形状にする事で、高い制振性を実現している。

 出力端子はRCA、Phono/ライン(切り替え)、USB、アース。対応OSはWindows 7/8/10。Mac OS X 10.9、10.10、10.11。消費電力は3W。外形寸法は430×366×104mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は5.4kg。

キャビネットには、密度の高い30mm厚の音響用MDFボードを使用。独自の偏心インシュレータも備えている

レコードの音とDSD録音した音を聴き比べてみる

 PS-HX500とPCを接続、アナログレコードを再生し、PCでDSD 5.6MHzでデジタル録音。そのファイルと、アナログレコードのサウンドを聴き比べた。

 アナログレコードの音は、低域から高域まで繋がりが良く、滑らかなサウンドが特徴。音圧も豊かで、音楽だけでなく、ライブ録音では収録現場の生々しい雰囲気も伝わってくる。

 DSD 5.6MHzでデジタル録音した音も同様で、繋がりの良い、滑らかなサウンドが表現できている。一方で、アナログレコードよりも少し音がスッキリしており、中低域の内部や、高音域での分解能がデジタル化したサウンドの方が優れていると感じられる。音の無い部分も、DSDの方が“静か”だ。

 DSD録音時にはスピーカーを使わず、PCで録音。一方でアナログレコード再生では、大きなスピーカーで音を出す。ソニーによると、スピーカーからの音の影響で、アナログプレーヤー全体やアームなどが振動し、音に影響する。DSD録音時はスピーカーを使っていないため、振動の影響が無い音を録音でき、音に違いが出た可能性があるという。

 アナログレコードの音をDSDやPCMデータ化し、ポータブルプレーヤーやスマートフォンで気軽に楽しめるモデルであると同時に、DSDとPCM、アナログレコードのサウンドの違いも楽しめるモデルと言えそうだ。

(山崎健太郎)