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F1技術を投入したPMCスピーカー「prophecy」、オーテクの“透明ターンテーブル”

ブックシェルフ「Prophecy1」

オーディオとホームシアターの祭典「OTOTEN2025」を東京国際フォーラムで開幕。6月21日、22日の2日間で、入場は無料だが事前登録制。ここでは、エミライやJVCケンウッド、ハーマンインターナショナルのブースをレポートする。

エミライ

エミライのブースでは、PMCのスピーカー「prophecy」シリーズや、Aurenderのネットワークプレーヤー「A1000」などの新製品を展示。取材時には、英PMCより来日したFranco LOCK氏が、prophecyシリーズの技術解説や試聴デモを実施していた。

PMC prophecyシリーズ

Prophecyは5モデル構成。最上位のフロア型「Prophecy9」は3ウェイ4ドライバーで実売209万円前後(ペア)、ブックシェルフ「Prophecy1」は2ウェイ2ドライバで66万円前後(ペア)、センターの「ProphecyC」も用意し、2ウェイ3ドライバで52.8万円前後(1台)と、ホームシアターも構成できる。

シリーズ共通の特徴として、中核を担うミッドレンジに、専用設計の55mmソフトドームドライバーを搭載。極めて高い応答性と低歪みを誇るユニットになっている。さらに、上位の「Prophecy7」と「Prophecy9」には、n-compassテクノロジーを採用。プロフェッショナルモニターに求められる正確な音場再現性と鋭い定位を両立するための、革新的な二重構造ウェーブガイド設計となる。

二重構造ウェーブガイドも備えている

内部には、独自のトランスミッションライン技術「ATL(Advanced Transmission Line)」を投入。音導管を設け、ユニット背面から出る音を効果的に利用し、サイズを超えた深く伸びる低音と、あらゆる音量で安定したレスポンスを両立させている。

独自のトランスミッションライン技術「ATL」で低域を増強

Franco LOCK氏は、バスレフポート部分に最新の空気整流技術「Laminair X」を搭載している事を説明。ポート部分に備えたフィンの形状に、F1の空力技術を応用し、空気の乱流を徹底的に抑制した事などを解説した。

Franco LOCK氏
F1の空力技術を応用し、空気の乱流を徹底的に抑制

WiiMからは、スマートスピーカーが参考出品。ネットワーク接続機能やスピーカー、アンプを一体化し、単体で使えるのが特徴。前面にディスプレイを備え、天面に手を近づけると、センサーで認識し、操作ボタンが浮き上がる。

単体で使えるほか、2台を連携させたステレオ再生も可能。技術的には5.1chまで拡張できるという。組み合わせるサブウーファーも参考展示された。

WiiMのスマートスピーカー
サブウーファーも参考展示

JVCケンウッド

JVCケンウッドは、新設したイノベーションデザインセンターから生まれたプロジェクトで、直販サイトで受注生産を開始した提案型商品「WDS-01」を展示している。

WDS-01

「木の響きがとけこみ、豊かな日常を紡ぐ」五感で楽しむ楽器のようなスピーカーを目指して作られたワイヤレスウッドスピーカー。ウッドコーンのユニットを天然木のキャビネットに収納しており、木材の魅力を生かし、楽器のような豊かな響きが楽しめるという。

硬さや重さなど、木は種類により性質が異なるが、この個性により異なる「響きやすい音の帯域」は、スピーカーの音色を左右する個性になる。さらに、キャビネットの構造においても、板を貼り合わせた合板構造と、角材をくり抜いたつなぎ目のない構造により音色が異なるため、その組み合わせによる「自分好みの音色」を探す楽しみもあるという。

会場では新たな提案として、音源を楽器のパートごとに分離し、各パートを個別のスピーカーで鳴らすデモも実施。音楽を、クライド処理やリアルタイム処理し、ボーカル、ギター、ドラムといったパートごとに分離。それぞれのパートを、この小さなスピーカーで鳴らし、それが組み合わさって音楽になる。「楽器のライブ感を一層リアルに体感できる提案」としている。

なお、あくまで提案としての参考出品で、既存のWDS-01が、アップデートなどでこの機能を搭載するわけではないとのこと。

イヤーカフ型ワイヤレスイヤフォン「HA-NP1T」のコーナーでは、よりきらびやかなカラーを採用し、アクセサリー的な魅力を高めた新色のプラン3色を参考展示。どの色が好みかというアンケート企画も実施している。

「HA-NP1T」の新色プラン3色

ブース内の「D-ILA」4Kシアターでは、ネイティブ4K対応プロジェクターとして世界最小サイズを実現した「DLA-Z7/Z5」の視聴プレゼンテーションも実施している。

LA-Z7

ハーマンインターナショナル

ハーマンのブースでは、6月20日に発売したばかりの、ARCAM Radiaシリーズのストリーミングアンプ「ARCAM SA45」と「ARCAM SA35」、ストリーミングプレーヤー「ST25」を紹介している。価格はSA45が698,500円、SA35が495,000円、ST25が220,000円。

ストリーミングプレーヤー「ST25」
ストリーミングアンプ「SA35」

ポータブルオーディオでは、JBL「TOUR ONE M3」も体験できる。ドライバーユニットにマイカ(雲母)のドームを採用し、音質を向上。アクティブノイズキャンセリング性能も「リアルタイム補正機能付ハイブリッドノイズキャンセリング2.0」に進化している。

Tour One M3に「Smart Tx」というトランスミッターを付属した「JBL Tour One M3 Smart Tx」(57,200円)というモデルも用意。TWSの人気モデル「Tour Pro 3」のディスプレイ付き充電ケースの、ディスプレイ部分だけを分離したようなトランスミッターで、タッチ操作で再生、一時停止、音量調整、曲送り/戻しなどが可能。ANCのモード切り替え、アンビエントサウンドコントロール、空間サウンドコントロール、イコライザー設定などなど、アプリを使わないとできないような細かな操作もSmart Txから可能になっている。

JBL「TOUR ONE M3」
「Smart Tx」

オーディオテクニカ

オーディオテクニカのブースでは、アナログターンテーブルの新モデルで、筐体に30mm厚の低共振で高密度な透明アクリルを使った「AT-LPA2」を展示。価格はオープンで、実売33万円前後。ベルトドライブ方式。

AT-LPA2

さらに、ラインナップを一新したVMカートリッジも出展。「AT-VMx」シリーズ9モデルで、価格は15,400円~96,800円。リニューアルにあたり、型番にATとxを追加。音質面・仕様面で再度見直し、現代のトレンドに最適化。多種多様なラインナップを用意することで、選択肢の幅とカスタマイズの自由度を提供するとしている。

一新したVMカートリッジ

ディーアンドエムホールディングス

ディーアンドエムホールディングスのブースでは、デノン、マランツ、Bowers & Wilkins、DALI、AudioQuestブランドのフラッグシップ製品が集結している。

マランツやデノンのハイエンドモデルが勢揃い

デノン、マランツそれぞれのサウンドマスターによる解説・デモに加え、ホームシアターのデモではゲストも登場。取材時には、録音エンジニアの古賀健一氏登壇。自身が手掛けた作品を用いながら、そのこだわりを解説。サラウンドスピーカーのセッティングテクニックなども披露していた。

録音エンジニアの古賀健一氏