日沼諭史の体当たりばったり!
第57回
オープンなのにノイズ低減、Shokz「OpenFit Pro」が我が家のイヤフォン・ヘッドフォンを駆逐する勢い
2026年5月26日 08:00
骨伝導ワイヤレスイヤフォンで知られるShokzから、2026年4月にオープンイヤータイプの最新モデル「OpenFit Pro」が発売されました。以前、従来製品の「OpenFit」を試用したところでもかなり好印象だったシリーズの上位モデル、しかもノイズ低減機能アリ! ということで、さっそくお借りして試してみることにしました。
オープンイヤーなのにノイズ低減、しかも空間オーディオ対応
OpenFitシリーズは骨伝導ではないオープンイヤー型イヤフォンとして2023年に初代が登場し、2025年にはOpenFit 2、そしてOpenFit 2+へと進化してきました。今回のOpenFit Proはいわば4世代目ということになり、「Pro」の名にふさわしいさらなるアップグレードが図られています。
注目はノイズ低減機能の「フォーカスモード」が搭載されたことでしょう。オープンタイプでありながらノイズ低減を実現している製品はまだ珍しいので、一番気になるところ。隙間から周囲のノイズが入り込む状況で「本当に効果があるの?」と思ってしまいますが、それは後ほどチェックしてみることにします。
もう1つは空間オーディオであるDolby Atmosに対応したこと。その場に入り込んだかのような臨場感が得られる空間オーディオは、Apple Musicで標準採用され楽しめる機会が増えており、多くのユーザーにとって価値が高そうです。また、ヘッドトラッキングに対応しているのもポイントと言えます。
他、ハードウェアスペックで目立つ箇所としては、バッテリー駆動時間が単体で最大12時間(OpenFit 2+比でプラス約1時間)、充電ケース併用時で最大50時間(同プラス約2時間)となっているところでしょうか。片耳約12.3gと、OpenFit 2+から片耳約3gの重量アップになっていますが、スポーツシーンでこの重量がどう感じるのかも確認してみたいと思います。
集中力が高まるだけじゃない「フォーカスモード」がスゲエ!
さっそく目玉となるフォーカスモードから。OpenFit Proでは、アプリ上での操作やイヤフォン左右に設けられているボタンの長押しで、通常の「オープンモード」とノイズ低減機能が働く「フォーカスモード」を切り替えられるようになっています(操作方法の割り当ては変更可)。
フォーカスモードにすると、アプリ側ではさらにノイズ低減の度合いを多段階で調整可能です。最低レベルだと「うっすら」とした効果ですが、最大にすると周辺のノイズ環境によって明らかな違いが感じられます。
あくまでも「オープンイヤー」ですし、ノイズキャンセルではなく「ノイズ低減」なので、インイヤーイヤフォンのノイズキャンセリング機能のような「音楽以外のノイズをごっそり消す」ほどの強力さではありません。
しかし、たとえば室内だとパソコンの冷却ファンや扇風機、エアコンといったファンノイズの類いは大幅に低減されます。耳穴とイヤフォンの隙間から聞こえてしまう部分もあるように思いますが、それでも元のノイズから体感で2分の1~3分の1あたりまで小さくなっているでしょうか。
「フォーカスモード」という名前通り集中力を高める後押しになるうえ、そのままの状態でも会話には全く支障ありません。従来のOpenFitシリーズや、骨伝導ワイヤレスのシリーズと同様に、つけっぱなしかつ音楽再生中のままでも周囲の人と普通にやりとりできます。
コワーキングスペースやカフェなどのざわついている場所でも周囲のノイズが気にならず、でも近くの人と会話するときにはそれが遮られない。むしろ「かえって聞き取りやすい」効果が得られるときもあります。
そして、筆者がいまだにほぼ毎日続けているインドアサイクリングでも、効果大。サーキュレーターを全開にしつつ、チェーンをギャリギャリいわせながらタブレットで動画を見ていますが、ファンノイズはもちろん、チェーンノイズも体感半分以下になり、動画音声をちゃんと聞き取りながら走れます。
インドアサイクリング中はこれまでインイヤー型のノイズキャンセリングイヤフォンが必須だったのですが、OpenFit Proなら(インイヤーと全く同じ低減度合いとまではいかないものの)代替可能です。むしろインイヤー型だとライド中に家族に話しかけられたときに何を言っているか分からないのでイヤフォンをいちいち外していたのですが、OpenFit Proはそんなことをせずともちゃんと会話できるのがありがたい。
そして、屋外ランニングで試してみたところでもなかなかの好感触です。インドアサイクリング時ほどにはノイズ低減の効果は実感しにくいものの、特に交通量の多い幹線道路の脇を走るようなときは分かりやすく静かになります。
たいていランニング時は、スマートウォッチにダウンロードしておいたポッドキャスト(ラジオ)を聞いているのですが、いつも使っている骨伝導ヘッドフォンのOpenSwim Proだと、幹線道路を通ると最大音量でもラジオの声がかき消えてしまっていました。うるさい場所をさっさと通り過ぎてしまおうと、自然とペースを上げたくなっていたほどです(そう簡単には上げられないけれど)。
一方、OpenFit Proだと、外部からのノイズが多少混じるものの話の内容はちゃんと把握できるレベルに。クルマが後ろから近づいてきたときに気付けるくらいには周囲の音が耳に届くので、フォーカスモードオンでただちに危険、ということにもなりません。
ただし、自転車がこっそり近づいてきたレベルだとさすがに気付けないので、ランニングコースの交通状況によってはフォーカスモードを弱めに設定しておくのがいいかもしれません。
ちなみに片耳12.3gという重量は、特別重く感じるものではありません。が、ランニング中は身体の上下動に合わせて踊ってしまうことがあるので、その場合は付属のスタビライザーをはめると安定します。スタビライザー装着時でも重量は片耳実測12.7gでした。
Dolby Atmosで数段上の動画・ゲーム体験、これで4万円は安い!
OpenFit Proのもう1つの特徴、空間オーディオ対応もかなり楽しい機能です。オープンなうえに小型のドライバユニットなので、多チャンネルスピーカーや密閉型のサラウンドヘッドフォンより不利なことは確かですが、対応音源では音の広がり、メリハリが出ます。
音に包まれるというほどではなく、音が傘のように被さってくるような感じ、でしょうか。前後左右への奥行きが加わりますが、立体感としてはそこまで強くはありません。
それでも、iPhoneのApple MusicやAndroidスマホで音楽再生すると、よく聞いている曲でも印象がガラッと変わります。Windowsパソコンでも追加ソフトウェア(Dolby Atmos for Headphones)をインストールすれば、動画やゲームも臨場感あふれるサウンドに早変わり。
自宅や外出先でのデスクワークでは集中力を高められ、もちろんWeb会議にもちょうどよく、ノイズだらけのインドアサイクリングでも動画視聴が余裕。そんなことをしていても会話はいつもと変わらずにでき、ランニングで安全に使えるうえ、ゲームなどのエンタメ用途でも活躍してくれる。
というように、筆者の1日の生活サイクルすべてにおいてOpenFit Proが過不足なく対応してくれるので、「これ1つでもういいじゃん?」というモードになりそうです。
仕事部屋のアンプにつながっているハイレゾ有線ヘッドフォン(6万円)、インドアサイクリングで使っているノイズキャンセリングイヤフォン(1万円)、ランニングのお供のOpenSwim Pro(2万5000円)が、OpenFit Proによって全部駆逐されてしまう勢い。価格は3万9880円ですか。これは、安すぎるのでは?













