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ニコン初の本格シネマカメラ「ZR」。約30万円でRED機とほぼ同じ色域で撮影可能

「ZR」にキットレンズ「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」を装着したところ

ニコンイメージングジャパンは、シネマカメラシリーズ「Z CINEMA」より、ニコン初のシネマカメラ「ZR」を10月24日より発売する。市場想定価格はボディ単体が299,200円前後、「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」が付属するレンズキットが374,000円前後。発売に先駆け、9月18日10時より予約受付を開始する。

Z CINEMAシリーズは、REDのシネマカメラ「V-RAPTOR [X]」「KOMODO-X」のZマウント機が登場した際に立ち上がったシリーズ。今回のZRはREDの技術も取り入れたニコン初のシネマカメラとなっており、背面モニターのカバー部には「Nikon」のロゴとともに「RED」のロゴも刻印している。

シネマカメラとしては、低価格でRED機と同じコーデック、ガンマ、ガマットで製作可能な「性能も価格もDISRUPT(破壊)する」をコンセプトにした1台とのこと。

有効画素数2,450万画素のフルサイズ部分積層型CMOSセンサーと画像処理エンジン「EXPEED 7」を搭載。REDの独自動画コーデック「R3D」をEXPEED 7に最適化した「R3D NE」コーデックに対応し、REDのシネマカメラと同等の色味で収録可能。内部RAW撮影にも対応する。なおセンサーフルゲートでの撮影は非対応。

最大6K/59.94p、4K/119.98pで撮影可能。6Kで2倍スロー、4Kで4倍スロー映像が撮影できる。フルHDでは239.76pで撮影可能で、最大10倍スロー撮影が行なえる。

誰でも簡単にシネマティックな映像が撮れる設定に変更できるシネマティック動画モードも搭載。REDとの共同開発よる専用ユーザーセッティングで、モード変更のみで色調変更、フルHD23.976p、シャッターアングル180度で撮影でき、そのままSNSへ投稿できる映像が撮影できる。

設定は画面のタッチ操作で簡単に行なえるよう、ZRでは右下にメニューボタンを追加。

撮影時に表示される画面のレイアウト
右下にメニューボタンを装備
メニューボタンから設定画面に入れる
撮影画面の設定もタッチで操作しやすい設計

R3D NEコーデックで収録することで、REDのシネマカメラをメインカメラとして撮影した際に、Z Rで撮影したデータもRED機同様の色域で収録され、露出の一貫性を確保しやすく、効率的にグレーディング作業が行なえる。

そのほか従来のN-RAW、ProRes RAW、ProRes 422 HQ、H.265、H.264での収録に対応。

Base ISOは、R3D NEとRAW撮影時は800/6400、HDRでは400/3200、SDRでは100/800。15ストップのダイナミックレンジを保ち、撮影シーンに合わせてベース感度を設定することでノイズ感の少ない映像を撮影できる。

カメラ内LUTモニタリング機能を搭載。3種類のLUTデータの読み込みをサポートし、33点、65点LUTにも対応する。最大10個のLUTをカメラに同時に読み込み可能。これにより、外部モニターが不要となるため、機動性が向上する。なお、撮影データへのLUTの焼き込みはされない。

4型モニターを備えているのも特徴。DCI-P3 100%の色再現と、307万ドットの解像度、1000cd/m2の輝度を備え、アスペクト比16:10で動画撮影時の映像を画面いっぱいに表示できる。

音声収録面にも注力。内蔵マイクにはMEMSマイクを採用。また、内蔵マイクと3.5mm入力で32bit float収録に対応。撮影後すぐにSNSに投稿する際には、ON/OFFで従来の24bitでも収録可能となっている。

シューの両隣がマイク

OZO Audio技術による内蔵マイク指向性モードも搭載。前方(鋭)、前方、広報、全方向、バイノーラルの5種類の指向性が選べる。

ボディはマグネシウム合金で、防塵防滴性能を備え、Z6 IIIに匹敵する堅牢性を装備。デジタル通信が可能なデジタルインターフェイス規格のシューを保護するため、新設計のアクセサリーシューカバーも開発した。重量は約630g(バッテリー、メモリーカード込み)を実現した。

デジタルインターフェイス規格のシューを強固に守る新設計のカバー
装着した様子

ファンレスながら、背面カバーやグリップ部などに効率的に放熱できる設計を採用。内蔵マイク使用時にファンノイズの無いクリアな音声が収録可能で、2時間以上の長回しにも対応。なお、最長記録時間は2時間5分で、長回しには外部バッテリーからの給電が必要。

ダイヤルレバーは親指のみで操作できるよう独自の形状を採用。グリップ部の形状は、バッテリーの形状を活かしつつ持ちやすい凹凸を付けるなどの工夫とともにボディ全体を小型化。ウエストレベルの撮影時に扱いやすいレイアウトデザインを目指した。

グリップの形状はバッテリーの形状に沿いつつ、グリップ感も意識して設計された
レバーやボタン配置は、ウエストレベルの撮影時に親指のみで操作しやすいようにレイアウトされている
REC時のテザーライト

記録メディアはCFexpress Type-BとmicroSD(UHS-I)を採用。ボディの大きさを極力まで小さくしつつ、2スロットを実現するためにmicroSDの採用に至ったという。なお、microSD単体でもClass3までのカードを使用すれば4K60p収録が行なえる。

バッテリー横にCFexpress Type-BとmicroSDスロットを装備

ショットガンマイク「ME-D10」も同時発売

ME-D10をZRに装着したところ

デジタルインターフェイスシューで使用できるショットガンマイク「ME-D10」も、Z R同日となる10月24日より発売する。市場想定価格は37,400円前後。

ニコンのデジタルインターフェイスシューに装着することで、音声のデジタル収録が可能なショットガンマイク。発売時点での対象機種はZRのみとなるが、今後デジタルインターフェイスシュー搭載機が増えれば同様に使用できる。

ウインドガードを外したところ

原音忠実な収録が可能なPUREモードを備えるほか、環境音を抑えて人の声だけをクリアに収録するFOCUSモードや、前方、全方位、後方の3種類の指向性を変更した収録が可能。

ZRではRAW収録時にOZO Audioによるマイク指向性モードが使用できないため、ME-D10と組み合わせることで、RAW収録時に指向性を変更できる。

ME-D10自体も32bit float収録に対応。Z RでのRAW収録に加えて、PUREモードかつ32bit float収録することで、音声もポストプロダクションも自由に行なえるという。

マイク本体にもRECランプを搭載しているのも特徴。前後に備えているため、撮影者にも演者にもカメラのREC状態が伝わりやすくなっている。ショックマウントも搭載しており、カメラ操作の音を拾いにくくした。