ミニレビュー
外観よりも中身の進化、M5版iPad Proをチェック
2025年10月21日 22:00
新しい「M5版iPad Pro」のレビューをお届けする。
前モデルであるM4版が出たのは昨年5月のこと。それから1年半ほどで新モデルということになるが、これまでと同じくらいの間隔をあけた、法則通りのリニューアルと言っていい。
サイズ・重量・デザインとも変化なし。主な変更点は「中身」
といっても、前回大幅な刷新が行なわれたため、今回は「中身が中心の変更」である。
ボディデザインはM4版とほぼ同じ。サイズ・重量ともに変化がない。
今回テストしたのは13インチモデルで、ディスプレイにはタンデム構造の有機ELを使っている。M4版で導入されたもので、画質は非常に良い。見た印象で言えば、同じディスプレイモジュールを使っており、画質などにも変化はない。
外観からはわからないが、USB-Cからの充電が「急速充電対応」になっている。60W以上のACアダプターを使った場合、30分で50%まで充電できるという。「なぜいままで採用して来なかったのか」と思うくらいの機能だが、重要であることに変わりはない。
なお、M4版からすでにそうだったのだが、M5版のセルラーモデルも、SIMスロットはなく、eSIM専用だ。今年はiPhone 17シリーズもeSIM専用になったので、「アップル製品の多くがeSIM専用になった」と言って差し支えないだろう。
M5は大幅にパフォーマンスアップ
今回の変更は中身、すなわちプロセッサーの刷新が中心である。M4からM5に変更されたわけだが、当然その分スピードは上がる。
といっても、PCやMacに比べると、iPadのパフォーマンスアップには魅力を感じづらい……という人もいるかもしれない。ウェブを見たり電子書籍を読んだり、映像を見たりといった「ビュワー的用途」だと、差が感じづらいのは事実である。
他方、最近はゲームの負荷が大きくなってきて、高性能なタブレットのニーズが上がっているところもある。『原神』に代表されるハイエンドグラフィックスを使ったゲームを楽しむなら、やはり性能は高い方がいい。
GPUなどの強化はAI性能にも影響する。クリエイティブ系アプリももちろんだが、来年に向けて強化されるApple Intelligenceの処理効率アップにも、AI関連性能の強化は重要だ。
Geekbench 6で比較すると、CPUもGPUも、M4版に比べかなり性能アップしているのがわかる。
グラフィック性能について3DMarkでチェックしたが、こちらもかなり大幅な向上だ。テストはレイトレーシングを軸としたものを採用したが、M5はレイトレーシング性能が上がっているので、特に大きな差が出た可能性はある。
今後、Mac・iPad両方に提供されるゲームは増えると予想されるが、そこではM5版の性能が重要になってくるだろう。
Geekbench AIでのAI性能も、M4からかなりはっきりとした進化が見える。特にGPUは、新たに「Neural Accelerator」を搭載したことから、AI処理効率がGPUの性能向上以上にアップしている。
高価な製品なので、M4版からM5版への買い替えはなかなか大変かもしれない。(編注:最小構成で11インチモデルは168,800円、13インチモデルは218,800円)
しかし、それ以前のiPadやiPad Proを使っている人にはそろそろ買い換えどきと言えるかもしれない。過去に比べても性能アップの度合いは大きい。
特に、256GB版・512GB版では、メインメモリーが8GB(M4版)から12GBに増えている。1TB・2TB版は16GBとさらに大きいが、価格も高くなる。
Apple Intelligenceを使うようになるとメモリー量はさらに重要になるので、量を増やしたという事情はありそうだ。
大規模なアプリケーションも増えてきたので、「iPadだからメモリー量は気にしない」と考えるのではなく、「今までよりも大容量の製品を」と考えるのが良さそうだ。