AV Watchアワード

次世代RGB有機ELのLGテレビ「G5」。プロ機並みの色精度!【測定データすべて見せます(2)】

LGエレクトロニクス・ジャパンの有機ELテレビ「OLED65G5PJB」

読者へ本当にオススメしたい製品をセレクトする「AV Watchアワード」。今年も、高画質・高音質なナンバーワンテレビを決めるべく、テレビメーカー7社から全11モデルの液晶テレビ・有機ELテレビを集め、横並びでの比較視聴とデータ測定を行なった。

10月31日公開の「2025年液晶テレビ大賞」「2025年有機ELテレビ大賞」発表に先立ち、比較視聴を実施した11モデルをブランド別に紹介する。

今回取り上げるブランドは「LG」。

AV Watchアワード2025では、今年8月に発売した4K有機ELテレビの「OLED65G5PJB」(61.6万円前後)をテスト。OLED65G5PJBの概要・仕様と合わせ、マスターモニターとの比較動画および視聴機の測定データを掲載する。

シリーズ・製品概要

LGは今年、世界初の透明有機ELテレビ「T4」、壁掛け設置のワイヤレステレビ「M5」、次世代RGB有機ELパネル採用の「G5」、42型~83型まで6サイズから選べる「C5」の全4シリーズ12機種の4K有機ELテレビを展開している。

独自のNanoCellカラーテクノロジーを搭載した「NANO80」、webOS搭載の「UA7500」など、手ごろな4K液晶テレビも販売しているが、同社の主力モデルはやはり、世界初の量産化から12年間市場を牽引してきた有機ELテレビ。77型の透明タイプや、83型・97型といった超大型タイプが選べるのは、LGだけとなっている。

各シリーズのインチサイズと、市場想定価格は以下の通り。

インチサイズと市場想定価格

97837765554842
T41,100
M5451
G51218861.645.1
C59974.849.536.330.829.7

最上段の数字は「インチサイズ」、マス目の中の数字は市場想定価格(万円)

シリーズ別の比較

エン
ジン
パネル倍速HDRアト
モス
音声
出力
チュ
ーナ
HD
MI
入力
T4α11透明
OLED
120HzDolby
Vision

HDR10

HLG
60W2K:3

4K:2
3
M5α11
Gen2
OLED
G5RGB
OLED
120Hz

165Hz
(VRR)
4
C5α9
Gen8
OLED120Hz

144Hz
(VRR)
40W
or
20W

テストした「OLED65G5PJB」について

OLED G5シリーズ

OLED65G5PJBは、最新のパネルと映像技術を備えたフラッグシップ「G5」シリーズの65型。

最大の特徴が、LGディスプレイが開発した新パネル「次世代RGB有機EL」(プライマリーRGBタンデム)の搭載。

従来パネルは、2つの青色発光層に黄色の発光層を挟み込む構造だったが、新パネルでは黄色の発光層を赤色層と緑色層に分離し、色純度を大幅に改善。また独自の輝度向上アルゴリズムにより、ピーク輝度も大幅にアップさせている。

エンジンは、最新の「α11 AI Processor Gen2」。旧世代(α7)と比べ、AIパフォーマンス(NPU):6.7倍、処理速度(CPU):2.2倍、グラフィック処理性能(GPU):3.6倍まで高性能化。アップスケーリングやオブジェクト型のリアルタイム処理、ダイナミックトーンマッピングといった映像処理を高精度に行なうことで、鮮明な映像を生み出している。

対応するHDR規格は、HDR10、HLG、Dolby Vision。製作者の意図通りの画質を再現する「FILMMAKER MODE」も搭載。NetflixやPrime VideoなどのDolby Visionコンテンツに対しても、FILMMAKER MODEの適用が可能。この仕様は現在LGテレビだけが行なえる。

側面。パネル部分の薄さは2.43cm
専用のスリムマウント(WB22EGB)を使えば、壁に密着したような、シームレスな壁掛けが可能

G5は、国内テレビ初の4K/165Hz(VRR)にも対応。VRRを適用させることで、PCなどからの高リフレッシュレートゲームをなめらかに表示できる。

スピーカーは、ミッド、ツイーター、ウーファーを各2基搭載した60W/4.2chシステム。バーチャルサウンドによる11.1.2chが楽しめる。

LG独自のwebOS(バージョンは25)を搭載。NetflixやYouTubeなどでの動画視聴や、スマホ/タブレットとの画面共有、Bluetoothを使った音楽鑑賞、Webブラウジングなどが行なえる。

搭載チューナーは、地上/BS/110度CSデジタル×3、BS/CS 4K放送×2。別売のUSB HDD(最大4TB)を用意すれば、地デジ/BS/CSの2番組同時、4K放送の裏番組録画が可能。

背面
端子部

HDMI入力は4系統で、すべての端子がHDMI 2.1をサポート(48Gbps)。光デジタル音声出力、ヘッドフォン出力、LANを各1系統用意。USB端子は3系統。

消費電力は452Wで、年間消費電力は224kWh/年。スタンドを含む外形寸法/重量は、144.1×26.3×86.5/91cm(幅×奥行き×高さ)/27.3kg。

マスターモニターとの比較動画

4KブルーレイのHDR映像(1,000nits/24p)を、LGの4K有機ELテレビ「OLED65G5PJB」(左、映像モードは「FILMMAKER MODE」)と、ソニーのマスターモニター「BVM-HX3110」(右)に同時に表示し、ミラーレスカメラで4K/HDR収録した映像

※鑑賞時は、HDR対応のテレビ、PC、スマートフォンなどを使用してください。SDR環境では、正しく表示されません。
推奨設定:ガンマ/HDR10、色域/BT.2020、色温度/D65

ディスプレイ性能

映像モード「標準」

映像モード「標準」(デフォルト時)における、Calman Ultimateのプレキャリブレーション結果
キャリブレーションターゲットは「白色点:D93」「カラースペース:BT.2020」「EOTF:SMPTE 2084(PQ)」

映像モード「シネマ」

映像モード「シネマ」(デフォルト時)における、Calman Ultimateのプレキャリブレーション結果
キャリブレーションターゲットは「白色点:D65」「カラースペース:BT.2020」「EOTF:SMPTE 2084(PQ)」

映像モード「FILMMAKER MODE」

映像モード「FILMMAKER MODE」(デフォルト時)における、Calman Ultimateのプレキャリブレーション結果
キャリブレーションターゲットは「白色点:D65」「カラースペース:BT.2020」「EOTF:SMPTE 2084(PQ)」

輝度

映像モード
「標準」
G5
(25年モデル)
G4
(24年モデル)
G3
(23年モデル)
10%輝度1,962cd/m21,285cd/m21,228cd/m2
全白輝度323cd/m2237cd/m2216cd/m2
映像モード
「シネマ」
G3は「シネマダーク」
G5
(25年モデル)
G4
(24年モデル)
G3
(23年モデル)
10%輝度2,359cd/m21,410cd/m21,331cd/m2
全白輝度355cd/m2218cd/m2197cd/m2
映像モード
「FILMMAKER MODE」
G5
(25年モデル)
G4
(24年モデル)
10%輝度2,292cd/m21,401cd/m2
全白輝度358cd/m2216cd/m2

カラースペクトラム

映像モード「シネマ」時のカラースペクトラム

色域

映像モード「シネマ」時の色域
映像モード
「シネマ」
G3は「シネマダーク」
G5
(25年モデル)
G4
(24年モデル)
G3
(23年モデル)
BT.2020
1931カバー率
78.83%73.19%72.92%
BT.2020
1976カバー率
82.45%76.11%75.02%

画素構造

映り込み

入力遅延

映像モード
「ゲームオプティマイザ」
入力遅延の防止:ブースト
G5
(25年モデル)
G4
(24年モデル)
G3
(23年モデル)
4K60p1.4ms1.4ms1.5ms
2K120p0.8ms0.8ms0.9ms
映像モード
「ゲームオプティマイザ」
入力遅延の防止:標準
G5
(25年モデル)
G4
(24年モデル)
G3
(23年モデル)
4K60p9.0ms9.0ms9.1ms
2K120p0.8ms0.8ms0.9ms

HDMI仕様

HDMI入力信号G5
(25年モデル)
G4
(24年モデル)
G3
(23年モデル)
4K120fps
4K144fps
4K165fps
ゲーム用HDR10
ゲーム用Dolby Vision
4K50Hz
1440p120Hzまで120Hzまで120Hzまで
非圧縮ステレオ
非圧縮5.1ch
非圧縮7.1ch
ドルビーデジタル
DTS
Dolby Atmos
DTS:X
その他G5
(25年モデル)
G4
(24年モデル)
G3
(23年モデル)
電源ケーブル着脱
スイーベルスタンド
測定について

・パネル性能の測定には、キャリブレーションサービスを行なっている株式会社エディピットに協力を依頼した
・「シネマ系」「おまかせ系(無い場合は標準)」の2つのモードで測定(プレキャリブレーション)を実施した
・パターンジェネレータから、色温度D93/D65のHDR信号をテレビに入力。カラースペース(BT.2020)、EOTF、RGBバランス、色精度(デルタE)、10% Window(ピーク輝度)、100% Window(全白輝度)を、ソフトウェア「Calman Ultimate」で測定した
・測定環境は全暗。テレビは全モデル、工場出荷時にするため初期化し、センサー系の機能は全てオフとした
・「シネマ系」「おまかせ系」のモードは、デフォルト状態で測定した。ただし、デフォルトで明るさが低く抑えられている機種については、明るさを調整し、輝度が最大になる状態でも測定を行なった
・測定は何度か実施し、最も良い数値をセレクトした
・測定値で異常が見られた場合は、機器の状態や設定、接続などを見直し、テレビやPC、ジェネレータの再起動などを実施した。それでも変化が見られない場合は、メーカーに問い合わせを行なった

阿部邦弘