AV Watchアワード
次世代RGB有機ELのLGテレビ「G5」。プロ機並みの色精度!【測定データすべて見せます(2)】
2025年10月24日 08:00
読者へ本当にオススメしたい製品をセレクトする「AV Watchアワード」。今年も、高画質・高音質なナンバーワンテレビを決めるべく、テレビメーカー7社から全11モデルの液晶テレビ・有機ELテレビを集め、横並びでの比較視聴とデータ測定を行なった。
10月31日公開の「2025年液晶テレビ大賞」「2025年有機ELテレビ大賞」発表に先立ち、比較視聴を実施した11モデルをブランド別に紹介する。
今回取り上げるブランドは「LG」。
AV Watchアワード2025では、今年8月に発売した4K有機ELテレビの「OLED65G5PJB」(61.6万円前後)をテスト。OLED65G5PJBの概要・仕様と合わせ、マスターモニターとの比較動画および視聴機の測定データを掲載する。
シリーズ・製品概要
LGは今年、世界初の透明有機ELテレビ「T4」、壁掛け設置のワイヤレステレビ「M5」、次世代RGB有機ELパネル採用の「G5」、42型~83型まで6サイズから選べる「C5」の全4シリーズ12機種の4K有機ELテレビを展開している。
独自のNanoCellカラーテクノロジーを搭載した「NANO80」、webOS搭載の「UA7500」など、手ごろな4K液晶テレビも販売しているが、同社の主力モデルはやはり、世界初の量産化から12年間市場を牽引してきた有機ELテレビ。77型の透明タイプや、83型・97型といった超大型タイプが選べるのは、LGだけとなっている。
各シリーズのインチサイズと、市場想定価格は以下の通り。
インチサイズと市場想定価格
| 97 | 83 | 77 | 65 | 55 | 48 | 42 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| T4 | ー | ー | 1,100 | ー | ー | ー | ー |
| M5 | 451 | ー | ー | ー | ー | ー | ー |
| G5 | ー | 121 | 88 | 61.6 | 45.1 | ー | ー |
| C5 | ー | 99 | 74.8 | 49.5 | 36.3 | 30.8 | 29.7 |
最上段の数字は「インチサイズ」、マス目の中の数字は市場想定価格(万円)
シリーズ別の比較
| エン ジン | パネル | 倍速 | HDR | アト モス | 音声 出力 | チュ ーナ | HD MI 入力 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| T4 | α11 | 透明 OLED | 120Hz | Dolby Vision HDR10 HLG | 〇 | 60W | 2K:3 4K:2 | 3 |
| M5 | α11 Gen2 | OLED | ||||||
| G5 | RGB OLED | 120Hz 165Hz (VRR) | 4 | |||||
| C5 | α9 Gen8 | OLED | 120Hz 144Hz (VRR) | 40W or 20W |
テストした「OLED65G5PJB」について
OLED65G5PJBは、最新のパネルと映像技術を備えたフラッグシップ「G5」シリーズの65型。
最大の特徴が、LGディスプレイが開発した新パネル「次世代RGB有機EL」(プライマリーRGBタンデム)の搭載。
従来パネルは、2つの青色発光層に黄色の発光層を挟み込む構造だったが、新パネルでは黄色の発光層を赤色層と緑色層に分離し、色純度を大幅に改善。また独自の輝度向上アルゴリズムにより、ピーク輝度も大幅にアップさせている。
エンジンは、最新の「α11 AI Processor Gen2」。旧世代(α7)と比べ、AIパフォーマンス(NPU):6.7倍、処理速度(CPU):2.2倍、グラフィック処理性能(GPU):3.6倍まで高性能化。アップスケーリングやオブジェクト型のリアルタイム処理、ダイナミックトーンマッピングといった映像処理を高精度に行なうことで、鮮明な映像を生み出している。
対応するHDR規格は、HDR10、HLG、Dolby Vision。製作者の意図通りの画質を再現する「FILMMAKER MODE」も搭載。NetflixやPrime VideoなどのDolby Visionコンテンツに対しても、FILMMAKER MODEの適用が可能。この仕様は現在LGテレビだけが行なえる。
G5は、国内テレビ初の4K/165Hz(VRR)にも対応。VRRを適用させることで、PCなどからの高リフレッシュレートゲームをなめらかに表示できる。
スピーカーは、ミッド、ツイーター、ウーファーを各2基搭載した60W/4.2chシステム。バーチャルサウンドによる11.1.2chが楽しめる。
LG独自のwebOS(バージョンは25)を搭載。NetflixやYouTubeなどでの動画視聴や、スマホ/タブレットとの画面共有、Bluetoothを使った音楽鑑賞、Webブラウジングなどが行なえる。
搭載チューナーは、地上/BS/110度CSデジタル×3、BS/CS 4K放送×2。別売のUSB HDD(最大4TB)を用意すれば、地デジ/BS/CSの2番組同時、4K放送の裏番組録画が可能。
HDMI入力は4系統で、すべての端子がHDMI 2.1をサポート(48Gbps)。光デジタル音声出力、ヘッドフォン出力、LANを各1系統用意。USB端子は3系統。
消費電力は452Wで、年間消費電力は224kWh/年。スタンドを含む外形寸法/重量は、144.1×26.3×86.5/91cm(幅×奥行き×高さ)/27.3kg。
マスターモニターとの比較動画
※鑑賞時は、HDR対応のテレビ、PC、スマートフォンなどを使用してください。SDR環境では、正しく表示されません。
推奨設定:ガンマ/HDR10、色域/BT.2020、色温度/D65
ディスプレイ性能
映像モード「標準」
映像モード「シネマ」
輝度
| 映像モード 「標準」 | G5 (25年モデル) | G4 (24年モデル) | G3 (23年モデル) |
|---|---|---|---|
| 10%輝度 | 1,962cd/m2 | 1,285cd/m2 | 1,228cd/m2 |
| 全白輝度 | 323cd/m2 | 237cd/m2 | 216cd/m2 |
| 映像モード 「シネマ」 G3は「シネマダーク」 | G5 (25年モデル) | G4 (24年モデル) | G3 (23年モデル) |
|---|---|---|---|
| 10%輝度 | 2,359cd/m2 | 1,410cd/m2 | 1,331cd/m2 |
| 全白輝度 | 355cd/m2 | 218cd/m2 | 197cd/m2 |
| 映像モード 「FILMMAKER MODE」 | G5 (25年モデル) | G4 (24年モデル) |
|---|---|---|
| 10%輝度 | 2,292cd/m2 | 1,401cd/m2 |
| 全白輝度 | 358cd/m2 | 216cd/m2 |
色域
| 映像モード 「シネマ」 G3は「シネマダーク」 | G5 (25年モデル) | G4 (24年モデル) | G3 (23年モデル) |
|---|---|---|---|
| BT.2020 1931カバー率 | 78.83% | 73.19% | 72.92% |
| BT.2020 1976カバー率 | 82.45% | 76.11% | 75.02% |
入力遅延
| 映像モード 「ゲームオプティマイザ」 入力遅延の防止:ブースト | G5 (25年モデル) | G4 (24年モデル) | G3 (23年モデル) |
|---|---|---|---|
| 4K60p | 1.4ms | 1.4ms | 1.5ms |
| 2K120p | 0.8ms | 0.8ms | 0.9ms |
| 映像モード 「ゲームオプティマイザ」 入力遅延の防止:標準 | G5 (25年モデル) | G4 (24年モデル) | G3 (23年モデル) |
|---|---|---|---|
| 4K60p | 9.0ms | 9.0ms | 9.1ms |
| 2K120p | 0.8ms | 0.8ms | 0.9ms |
HDMI仕様
| HDMI入力信号 | G5 (25年モデル) | G4 (24年モデル) | G3 (23年モデル) |
|---|---|---|---|
| 4K120fps | 〇 | 〇 | 〇 |
| 4K144fps | 〇 | 〇 | ー |
| 4K165fps | 〇 | ー | ー |
| ゲーム用HDR10 | 〇 | 〇 | 〇 |
| ゲーム用Dolby Vision | 〇 | 〇 | 〇 |
| 4K50Hz | 〇 | 〇 | 〇 |
| 1440p | 120Hzまで | 120Hzまで | 120Hzまで |
| 非圧縮ステレオ | 〇 | 〇 | 〇 |
| 非圧縮5.1ch | ー | ー | ー |
| 非圧縮7.1ch | ー | ー | ー |
| ドルビーデジタル | 〇 | 〇 | 〇 |
| DTS | ー | ー | ー |
| Dolby Atmos | 〇 | 〇 | 〇 |
| DTS:X | ー | ー | ー |
| その他 | G5 (25年モデル) | G4 (24年モデル) | G3 (23年モデル) |
|---|---|---|---|
| 電源ケーブル着脱 | ー | ー | ー |
| スイーベルスタンド | ー | ― | ー |
・パネル性能の測定には、キャリブレーションサービスを行なっている株式会社エディピットに協力を依頼した
・「シネマ系」「おまかせ系(無い場合は標準)」の2つのモードで測定(プレキャリブレーション)を実施した
・パターンジェネレータから、色温度D93/D65のHDR信号をテレビに入力。カラースペース(BT.2020)、EOTF、RGBバランス、色精度(デルタE)、10% Window(ピーク輝度)、100% Window(全白輝度)を、ソフトウェア「Calman Ultimate」で測定した
・測定環境は全暗。テレビは全モデル、工場出荷時にするため初期化し、センサー系の機能は全てオフとした
・「シネマ系」「おまかせ系」のモードは、デフォルト状態で測定した。ただし、デフォルトで明るさが低く抑えられている機種については、明るさを調整し、輝度が最大になる状態でも測定を行なった
・測定は何度か実施し、最も良い数値をセレクトした
・測定値で異常が見られた場合は、機器の状態や設定、接続などを見直し、テレビやPC、ジェネレータの再起動などを実施した。それでも変化が見られない場合は、メーカーに問い合わせを行なった
















