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ポルトガルのデジタルトランスポート・Innuos上陸。約65万円「STREAM1」から、1000万円超「NAZARÉ」。ソフトも自社開発

ハイエンドのデジタルトランスポート「NAZARÉ」

タイムロードは、ポルトガルのオーディオメーカー・Innuos(イニュオス)の取扱いを開始する。ハイエンドのデジタルトランスポート「NAZARÉ」(9,880,000円)や、エントリーの「STREAM1」(598,000円)などをラインナップし、受注は4月1日から受け付ける。取扱モデルは以下の通り。

  • NAZARÉ
    9,880,000円(税別)
    フラッグシップ・ハイエンドモデル。3筐体からなるNASARÉシリーズの中心部。他に、FLOWとNETをリリース予定
  • ZENith Next-Gen
    3,980,000円(税別)
    ZENシリーズの上級機種。DACやI2Sなどオプションボードで高い拡張性を持つ。最新技術を投入した電源部など充実の内容
  • ZEN Next-Gen
    2,580,000円(税別)
    デジタル出力に特化したZENシリーズ。オプションボードで機能を選択でき、専用設計の電源部など妥協ない造りで、永く使えるモデルだという
  • STREAM3
    1,480,000円(税別)
    電源を強化し、上級機譲りのハイクラスな内容を持つStreamシリーズの上級機。オプションボードによる出力形態の選択肢も豊富
  • STREAM1
    598,000円(税別)
    エントリーモデルながら、オプションボードでDACやUSB出力を選択可能
  • LPS1
    298,000円(税別)
    上記STREAM1専用アップグレード・リニア電源。アップグレードパスとして上級機譲りの高性能電源を別筐体にて実現している
  • PhoenixUSB
    850,000円(税別)
    USBリクロック。USB信号を完全に再生成しノイズをカットする
  • PhoenixNET
    850,000円(税別)
    オーディオ用LANスイッチングハブ。あえて100BASEにすることで低ノイズを実現した4ポートハブ
左からZENith Next-Gen、ZEN Next-Gen、STREAM3

タイムロードの平野至洋代表取締役は、「3年前のミュンヘンのショーでInnuosに出会ってから、気になってしょうがないブランドでした。このブランド、そして製品を知れば知るほど、市場に与える影響が非常に大きな製品だと考えるようになりました」と、日本で取り扱う事を決めた経緯を説明。

平野至洋代表取締役

音楽配信は一般化したが、平野氏は「ハイエンドオーディオ市場では、まだストリーミング再生において発展の可能性が残されており、ビジネスチャンスは沢山あると思っている。Innuosには卓越した再生能力、直感的な操作性を、ソフトとハードの両方を自ら開発することで実現している。これから本格的に日本市場のメディアチェンジがはじまる中で、Innuosの力が発揮されると確信している」と語った。

ラインナップとしては、下位モデルとしてSTREAMシリーズがあり、その上に「ZEN」シリーズ、そして最上位モデル「NAZARÉ(ナザレ)」が君臨する。アクセサリーのリニア電源「LPS1」は、STREAM1のアップグレード専用となる。

右がSTREAM1、左がSTREAM1のアップグレード専用リニア電源「LPS1」

また、STREAMシリーズはオプションとして拡張ボードを搭載でき、3種類のDACボードを用意。デジタルトランスポートだけでなく、ネットワークプレーヤーとして使うこともできる。ZENシリーズやNAZARÉに拡張スロットは無く、他社のDACと組み合わせて使う事が想定されている。

STREAM1にDACボードを挿入した背面

Innuosとは

2016年にポルトガルで創業されたブランドで、デジタルストリーミング関連機器を世界規模で展開している。デジタルオーディオを「情報処理装置」としてではなく、“音楽を再生する楽器”としてOS、電源、クロック、ネットワーク、筐体構造に至るまですべてを統合設計しているのが特徴。

「思想 データではなく、体験を届ける」をテーマとし、「フォーマットの違いやビットパーフェクトという言葉は、出発点に過ぎない。データが同じであっても、音楽体験が同じになるとは限らない。Innuosが目指しているのは、音源の再生ではなく、演奏の存在感を取り戻すこと」だという。

「静寂の深さ、音場の密度、余韻の自然な広がり、音が立ち上がる前の空気の緊張感。音楽を再現。数値や理論だけでは語りきれない領域を、物理設計とソフトウェア設計の両面から追求している」とのこと。

特徴として、汎用OSではなくオーディオ専用に最適化した独自プラットフォームを採用。電源にはリニア電源思想を徹底している。

ネットワークやUSBも単なるデータの通路と考えず、時間軸とノイズの観点から再構築。高周波ノイズやグラウンド経由の干渉、処理負荷の揺らぎといった要素を徹底排除し、再生環境そのものを整えることを重視。

製品はポルトガル本社で組み立てと検査を行ない、品質管理を一貫して行なっている。

ブランドの共同創業者兼CEOのアメリア・サントス氏によれば、社内には12の異なる国籍を持つ50人近いチームメンバーが在籍。その内、ソフトウェア担当は8人ほどで、コントロールアプリ「SENSE」を手掛けている。スマホやタブレットから利用でき、Qobuz、TIDAL(日本未サービス)、Deezerなどに対応。Qobuz Connect、TIDAL Connectにも対応。インターネットラジオやポッドキャストに対応し、再生中の画面をChromecastデバイスにキャストする事も可能。

新技術への対応や、ユーザーからのフィードバックを受けて、ソフトウェアの改良を随時進めており、使い勝手の良さに磨きをかけているそうだ。

ブランドの共同創業者兼CEOのアメリア・サントス氏
発表会にはテノール歌手の樋口達哉氏も登場。NAZARÉを使ったオーディオシステムでオーケストラを再生し、それをバックに圧巻の歌声を披露。NAZARÉの音楽性豊かなサウンドの魅力を伝えた

NAZARÉ

NAZARÉ

最上位モデル。オーディオ専用に最適化されたメインボードの「Precise Audio」を中心に、サブボードのPrecise USB、Precise NETをCPUに直接接続。一般のPC的構成ではなく、音楽信号の生成経路を根本から刷新しているという。これらのボードは、それぞれ専用の電源を用意している。

GaN(窒化ガリウム)ベースのアクティブ整流を備えた、ARC8電源アーキテクチャを採用。376,000μFの容量と、低ノイズフォイル抵抗を備えた精密にDC4レギュレーションモジュールにより、電源由来のノイズを揺らぎを抑制している。

専用アウトプットステージのFLOW、オーディオ専用ネットワークのNETとを組み合わせ、3筐体構成の究極システムへと発展も可能。「サーバー、アウトプット、ネットワークというデジタル再生の全行程を総合的に最適化する思想は、新しいアプローチ」だという。

Roon Coreとしての機能を持ち、Roon END POINT(Bridge)モードに対応。韓国のあるオーディオファンは、NAZARÉを2台導入し、負荷を分散させることでクオリティを高めているそうだ。

筐体は新設計の高剛性シャーシと、TONEOと共同開発した振動制御システムを採用。インシュレーターは、Iso Acousticsと共同開発している。

端子は、Gigabit Ethernet×1(PreciseNET)、USB 3.2×3、PhoenixUSB×1、HDMI×1、AC入力を備え、OPTIONAL(PhoenixI2S 出力/SPDIF出力)にも対応可能。外形寸法は480×434×216mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は40.9Kg。

ZENith Next-Gen

ZENith Next-Gen

ブランドの次世代リファレンス級ストリーマー、サーバーと位置付けられており、使用環境に合わせて役割を変えられるモジュラー設計を採用している。

上位機「STATEMENT」由来の技術を投入した、ARC6 NGaN電源を採用。300VAの大容量トランス、チョークコイル、130,000μFのムンドルフコンデンサー、アクティブ整流を組み合わせ、低インピーダンスかつ、低ノイズな電源供給を実現している。瞬間的な電流要求にも余裕を持って応答し、微細信号の欠落を防いでいる。

低遅延、低ノイズ、低EMIを目的として開発されたメインボードPrecise Audioを搭載。電源レギュレーションや部品選定も音質最優先で行なわれた。

オーディオ処理専用にコアを割り当てる、独自技術のAudio Coreにより、音楽再生に不要な負荷を排除。

OS専用のインダストリアルグレードのpSLC SSDを独立電源で駆動。一般的なSSDに比べ、コントローラーが簡素なため、電磁ノイズが少なく、動作ノイズの低減が音質向上に寄与しているという。

SSDは、PCIeスロットに接続した最大8TBのNVMeドライブと、最大8TBまでのM.2 NVMeスロットも用意。合計最大16TBまで対応できる。Roon Coreとしての機能を持ち、Roon END POINT(Bridge)モードに対応。

端子は、USB 3.2×3、Gigabit Ethernet×2、HDMI×1、AC入力を備え、OPTIONAL(PhoenixUSB 出力/PhoenixI2S 出力/SPDIF出力)にも対応可能。

外形寸法は420×365×105mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は14.3kg。

ZEN Next-Gen

ZEN Next-Gen

ZEN Next-Genも、ストリーマー/サーバーで、使用環境に合わせて役割を変えられる。

オーディオ用として開発されたメインボードPrecise Audioを搭載。窒化ガリウムを用いた電源制御により、電源インピーダンスを低減。

オーディオ処理専用にコアを割り当てる独自技術Audio Coreも搭載。独自OSのSENSE 3プラットフォームを採用する。Roon Coreとしての機能を持ち、Roon END POINT(Bridge)モードに対応。

SSDは、PCIeスロットに接続した最大8TBのNVMeドライブと、最大8TBまでのM.2 NVMeスロットも用意。合計最大16TBまで対応できる。

端子は、USB 3.2×3、Gigabit Ethernet×2、HDMI×1、AC入力を備え、OPTIONAL(PhoenixUSB 出力/PhoenixI2S 出力/SPDIF出力)にも対応可能。

外形寸法は420×365×105mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は12.7kg。

STREAM3

STREAM3

STREAM1の設計思想をそのままに、音質の中核という電源を大幅に強化。Sean Jacobs博士と共同開発した、ハイエンド電源アーキテクチャー「ARC6-CX PSU」を搭載。

132,000μFのムンドフルコンデンサー、アクティブ整流回路、CXパワーレギュレーターを1つのモジュールに統合することで、インピーダンスを大幅に低減。300VAの大型トロイダルトランスや、ホスピタルグレードのACフィルタも搭載する。

端子はUSB 3.2×3、USB-C×1、2.5GbE×2、HDMI×1、AC入力。OPTIONAL(Standard DAC出力、Performance DAC出力、Phoenix DAC出力RCA/XLR、SPDIF出力、Phoenix I2S 出力)に対応可能。

外形寸法は420×330×85mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は12.8kg。

STREAM1

STREAM1

エントリーモデル。第13世代intel Quad Coreを採用し、インダストリアルグレードというDDR 8GBメモリも搭載。サーバーとしても使用できる。さらに、音楽ストレージとは独立した、OS専用SSDも搭載する。Roon Coreとしての機能を持ち、Roon END POINT(Bridge)モードに対応。

PhoenixUSB

PhoenixUSB

USB信号を一度解体し、再生成することで、オーディオに最適化するというデバイス。温度制御型の恒温槽OCXOを内部に搭載。クロックは外部入力ではなく、USB回路直近に配置することで、超低位相ノイズを実現したという。

USBには専用のクリーン電源を外部供給することで、ノイズを抑制。独立2系統のリニア電源と、LT3045によるてノイズ、低インピーダンス設計により、信号と電源を同時に整える。

PhoenixNET

PhoenixNET

オーディオ向けネットワークスイッチ。音楽データと一緒に伝搬される高周波ノイズ、GND経由の干渉、電源の揺らぎ、パケット処理時のクロック不安定などを解決するために、データのみを伝搬する事で、「ストリーミング再生の基盤を整える」という。

あえて100Mbps設計とすることで、チップ動作ノイズと高周波成分を抑制、電源負荷変動を安定化させている。内部には、温度制御型の恒温槽OCXOを搭載。外部入力に頼らず、内部完結とすることで、位相ノイズを最小化している。

LANケーブルを経由するノイズを抑えるために、大型アイソレーショントランスで、外部からの電気的ノイズを遮断。独立2系統のリニア電源と専用レギュレーションにより、クリーンな電源環境を整えている。