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QuestyleのDAC「MEX」はドングルだけど高SN比。PEQでイヤフォンの苦手を調整して理想の音に
2026年11月7日 21:52
フジヤエービック主催「秋のヘッドフォン祭 2026」が11月7日、ステーションコンファレンス東京で開催された。ここでは、メディア向けに新ポータブルDACアンプ「MEX」の発表会を行なったQuestyleブースを紹介する。
MEXは、ESS製DAC「ES9219Q」を2基と、Questyleが特許を取得したSiPカレントモードアンプモジュールを4組搭載したポータブルDAC/ヘッドフォンアンプ。12月中に一般販売開始予定で、価格は33,000円前後。
11月29日までクラウドファンディングサイト「ミミゴト」にて先行販売を行なっており、20% OFFとなる26,400円からのプランを用意している。
「easy Hi-fi」をコンセプトに、スマホやPCに繫ぐだけで本格的なHi-Fiサウンドを手軽に楽しめることを目指して開発したという。Questyleによるハードウェア本来の音作りが楽しめる「PUREモード」と、自由にプリセットEQやパラメトリックEQによるカスタマイズが楽しめる「TUNEモード」の2つのサウンドモードを備えているのが特徴。
そして、Questyle製品ならではの特徴は、独自のSiPカレントモードアンプモジュールを搭載していること。このアンプは、増幅と負帰還処理を電流領域(Current Domain)で行なうことで、省電力かつ高速、広帯域、低歪み、優れたトランジェントレスポンスを実現する。
TTA3段階アーキテクチャを採用し、前段での精密な制御により、DACとアンプを最適な状態で連動。384kHz/32bitまでのPCMとDSD256のネイティブ再生に対応する。
TOREX製精密電源管理も採用し、高効率DC/DCと低ノイズLDOを組み合わせ、DAC、プリアンプ、ヘッドフォンアンプへ安定した電源を供給。接続機器からの給電で動作し、コンパクトなボディで十分な駆動力を発揮するという。
H/M/Lの3段階のゲイン設定が可能で、高インピーダンスヘッドフォンから高感度イヤフォンまで適切にマッチングさせて利用できる。64段階の細かい音量調整機能も備えている。
出力は3.5mmシングルエンドと4.4mmバランスを装備。3.5mm側はマイク付きイヤフォン/ヘッドフォンの接続にも対応している。
外観で特徴的なのは、背面のスケルトンデザイン。実際の基板回路が見える構造となっており、Questyleの王豊碩CEOは「自信があるものは中身を見せていくスタンスだ」と語る。
アプリのPEQでは、周波数・ゲイン・Q値を帯域ごとに設定可能。フィルタータイプもLS(ローシェルフ)、P(ピーキング)、HS(ハイシェルフ)、LP(ローパス)、HP(ハイパス)から選択できる。
また、全体のカーブを視覚的に確認しながら、低域の量感を少し増やす、特定の帯域を抑えるといった調整が行なえる。作成した設定は保存していつでも呼び出せる。
DRE(ダイナミックレンジ拡張)と、リニアフェーズ・ファストロールオフ/ハイブリッドフェーズ・ファストロールオフの2種類のDACデジタルフィルターも搭載。これらはPURE/TUNEどちらのモードでも設定できる。DREは微小な音のディテールやアナログ回路のノイズフロアに着目して実用的なダイナミックレンジを広げるもので、特に低ゲインでのリスニングに効果を発揮するとしている。
カレントモードは大学時代の研究と趣味と掛け合わせがきっかけ。Questyleの歴史
登壇した王CEOは、学生時代に趣味としてオーディオ関連の機材を開発。そこで触れていくうちに、ハイレゾ音楽を体験するためには、スピードと帯域、消費電力が大きく関連していること実感したという。そこで、大学の研究中に偶然見つけた電流領域での増幅をオーディオで試してみようと実践したところ、低消費電力かつ低歪みなアンプの土台ができたそうだ。
2020年にQuestyleを立ち上げ、オーディオが趣味の領域から実業へ。土台となる仕組みができていたとはいえ、実際に製品として落とし込むのには5年の歳月がかかり、最初のカレントモードヘッドフォンアンプ「CMA800R」が誕生。このCMAはCurrent Mode Amplification(電流モード増幅)の略称で名付けたという。
カレントモード増幅を含む複数のPCT世界特許を取得し、ポータブルプレーヤー「QP2R」ではFOCALと提携して、フラッグシップヘッドフォン「Utopia」とQP2Rを組み合わせたセットの販売も実現。AppleのMFiエコシステム企業にも認定されるなど、業界の信頼を築いてきたという。
今回のMEXもMFi認証を取得しており、iPhone/iPadとの整合性を確保しており、専用アプリからのEQ/PEQ、ゲイン、DACフィルター、DRE、左右バランスまで細かく設定できる。もちろんアプリはAndroid用も用意されている。
ドングルDACなのに高SN比。自分のイヤフォンの苦手なところをPEQで調整
また、説明会には弊誌でもお馴染みの野村ケンジ氏と藤本健氏も登壇。
藤本氏がまずPEQについて解説。元々音楽制作側の技術として登場したPEQだが、近年はより細かく設定できるEQとして、再生機側にも搭載されることが増えており、PEQ自体は特段珍しいものでは無いと説明しつつ、MEXのPEQについては、10バンドのPEQになっており、アプリからバーを直感的に動かして操作する方法と、詳細から数値を入力する方法などを紹介。
PUREモードとTUNEモードの音の違いについては、司会として登壇した声優・女優の田村響華さんが体験。PUREモードの音と藤本氏が調整したPEQの音を切替えながら聴き、「自分の曲なのでよく聴いているものなのですが、TUNEモードの時はかなり鮮明になって、PUREモードの時は全体がまろやかな音になったように感じました」とコメントしていた。
野村氏は、「従来のドングルDACはスマホから電源を取る関係上、SN比が上がらないことが多い。以前出会ったSN比の高いポータブルアンプはバッテリーを内蔵して、それをコンデンサー代わりに、ノイズフィルターとして使っていました。MEXはバッテリー非搭載にも関わらずノイズカットがしっかりできている」と説明。「さらに歪みが低いので、PUREモードの評価も僕的にも高い。かなり良かったです」と評価した。
また、10バンドのPEQについても「好きなイヤフォンやヘッドフォンにも耳障りな部分があるじゃないですか。そこをピンポイントに調整してあげると、自分の理想の音に近づくと思います」と細かく調整できる故の使い方のヒントを提示していた。
音を聴いてみる
短い時間ではあるが、実際に手持ちのiPhoneとMEXを接続して音を聴いてみた。イヤフォンには手持ちのfinal「S3000」を使ったのだが、藤本氏の言うとおり、「もうPUREモードで良いじゃん」が真っ先に抱いた感想だ。
元々このイヤフォンが、細かい音までキッチリ聴こえるのに、音が抜けていくときには程よく調和して、まろやかな聴き心地に感じる音なのだが、このイヤフォンの良いところをキッチリ引き出してくれている。
TUNEモードにして、開発段階のアプリに搭載されていたプリセットEQ「Live」と「Natural」も試してみると、どちらも低域の厚みがグッと増して、ボーカルの存在感が引き出されるような感覚。
Liveは少し音の余韻を感じて音場が広くなっている感覚があるのだが、それでもPUREモードで聴いた時の方が、音場も広く、音のバランスも心地良く聴ける。
EDM系やアコースティックベースの曲、男女ボーカル曲など色々試したが、やはりどれもPUREモードがしっくりくる。
一方で、EDM系の曲を再生しながらPEQの低域の部分を少しずつ調整してみると、ほんのりとした変化ながら、「こっちの方が良いかも」という気配を感じられた。時間をかけて触ってみると面白そうだ。
なおEQについては、今後、ユーザー間で共有できる仕組みができていくそうなので、こういった調整になれていない人でも色々と試してみたり、調整の糸口を見つけることができそうだ。



















