個性派オーディオが集う「Hi-End Show Tokyo 2010」開幕
-iPadで操作するDAC、DYNAUDIO+ATOLLセットなど
オーディオメーカーと輸入商社などが参加する展示・試聴イベント「HI-END SHOW TOKYO 2010 SPRING」が21日、東京・有楽町の東京交通会館で開幕した。期間は5月21日~5月23日までの3日間。入場は無料。春(5月)と秋(10月)の年2回開催されている
交通会館12階のダイヤモンドホールに各社が試聴コーナーを設けており、各社ローテーションで再生デモを行なうのが特徴。
■ 完実電気
ヘッドフォンコーナーも設けられており、先日発表された米MONSTERのヘッドフォン「Beats Solo HD Product (Red)」も展示されていた |
PerfectWaveシステムはCDトランスポートの「PerfectWave Transporter」とDAC「PerfectWave DAC」(各525,000円)。両機を組み合わせるとHDMIを使ったI2S方式の接続を使い、デジタル音声信号とクロックを分割して、ジッターフリーでトランスポートからDACへデータを転送できるのが特徴で、将来的にはネットワーク経由での音楽ファイル再生にも対応を予定している多機能モデルだ。
今回の展示では、DACの背面に拡張ボードを装着する形で、ネットワーク再生機能を追加できる新しいオプションを参考展示している。ボードにはEthernet端子とUSB端子を備えており、USBメモリ内の音楽ファイルや、ネットワーク上のNASなどに保存された音楽ファイルを再生できる(試作機ではUSB端子は動作不可)。対応形式はWAV/Apple Lossless/MP3など。
上がCDトランスポートの「PerfectWave Transporter」、下がDAC「PerfectWave DAC」 | DACの背面。ネジを外して蓋を取り除くと拡張ボードを装着できる | 拡張ボードを取り付けた後の背面。ボードにはEthernet端子とUSB端子を備えている |
転送/制御にはDLNAを採用。PerfectWave DACは前面に液晶ディスプレイを備えているが、LAN経由で再生制御できるiPhone/iPod touch/iPad用の制御用アプリケーションも参考出品されていた。NAS内の音楽再生に加え、インターネットラジオの受信も可能。
拡張ボードの価格や発売時期は未定。アプリケーションも未定で、有料での提供になるか、無料かも含めて検討段階だという。
再生デモではCDの音に加え、PCとUSB接続した再生音、ネットワーク経由での再生音の聴き比べなども実施している。
専用アプリをiPadで操作しているところ | インターネットラジオを受信する事も可能 | 試聴システムはFOSTEXの「G2000」を、KrellのEvolution302でドライブ |
■ スフォルツァート
スフォルツァートのブースで展示されたDST |
DLNAのDMR(デジタルメディアレンダラー)に対応し、Windows 7のWindows Media Playerを使い、ネットワーク経由で再生する楽曲ファイルの指定、再生制御が行なえる。iPod touchやiPhone用のDLNAソフトを使っても同様の制御が可能。
なお、DST自体にストレージは搭載しておらず、ネットワーク上のNASなどに保存された音楽ファイルを再生する事になる。フォーマットはWAV、AIFF、FLAC、Apple Losslessに対応。WMA Losslessへの対応も準備しているという。24bit/192kHzに対応し、2倍、4倍のアップサンプリングにも対応する。
ジッタが1ps以下のTCXO(温度補償型クリスタル発信器)を採用。クロックの分周、分配にはジッターが100fs以下の専用ICを採用。デジタル出力のドライバICのクロックは差動信号で伝送するなど、ジッタの排除を徹底したという。さらに、BNCのWord Sync入出力も備え、外部クロックも使用できる。
また、電源も別筐体で用意。大型トロイダルトランスによるアナログ電源を搭載し、デジタルデータ制御部、クロック発信部、デジタルデータ出力部にそれぞれ別電源を用意している。また、アルミブロック削り出しの筺体も特徴となっている。
出力は同軸デジタルとXLRを用意。別途DACと組み合せて使用する。XLRは1つの端子でL/R 2チャンネルを出力するか、2つの端子をL、Rそれぞれ専用に用いるかを選択できる。また、専用拡張端子も用意。将来的に専用DAC「Digital Stream Renderer」も発売予定で、DSTはDSRから提供されるマスタークロックに同期。完全ジッターフリーの音楽再生を実現するという。
電源は別筐体で用意。太いケーブルで本体と接続されている | 本体の背面。一番右のEthernetの1つ左にあるDVIのような端子は、将来的に専用DACと接続するための端子だという |
■ DYNAUDIO JAPAN
DYNAUDIO JAPANのブースでは、発売されたばかりの「Luft Eu★S1」(ルフト・ユー★エスワン)というセットがメインに展示。フランスのメーカー・ATOLLのCDプレーヤー「CD30」と、プリメイン「IN30」のグロッシー・ブラックモデル(どちらも単品発売有り)と、DYNAUDIOのコンパクトな2ウェイブックシェルフ新モデル「DM 2/6」(4月発売/実売8万円~8万5,000円)を組み合わせたもので、「従来のオーディオ専門店だけでない販路の開拓を目指し、より幅広い人に訴求するシステムとしてセレクト提案しているもの」だという。価格は、各単品はオープンプライスだが、セットでは241,500円となる。
フランスのメーカー・ATOLLのCDプレーヤー「CD30」と、プリメイン「IN30」のブラックモデル。従来はマットなブラックだったが、仕上げが変更された | 組み合わせるDYNAUDIOのコンパクトな2ウェイブックシェルフ「DM 2/6」 |
CDプレーヤーのCD30はMP3ファイルを記録したCD-Rの再生に対応し、USB入力も装備(MP3ファイル再生用)。プリメインの「IN30」は、出力50W×2ch(8Ω)、70W×2ch(4Ω)。ポータブルプレーヤー接続用の前面ステレオミニ入力も備えている。スピーカーの「DM 2/6」は、14cm径ウーファを採用。外形寸法は170×240×292mm(幅×奥行×高さ)で、重量は5.6kg。
さらに、数日前に到着したばかりというATOLLの新プリメインアンプ「IN400」も登場。出力は300W×2ch(4Ω)で、DACも内蔵。PCとUSB接続し、PCの音声も出力出来るのが特徴で、価格は4,500ユーロ。日本での価格は為替レートによるが「65万円程度になるのでは?」とのこと。展示品は115V仕様で、日本向けの100V仕様は7月頃に入ってくる予定だという。
ATOLLの新プリメインアンプ「IN400」も参考展示 | 背面。USB入力を備えている |
■ トライオード
「TRX-PM84」はDACを内蔵し、PC接続用のUSB端子も備えたプリメインアンプ。24bit/96kHz対応のDACを搭載予定で、アンプの回路形式は6BQ5(EL84)プッシュプル(固定バイアス)、AB級で15W×2chの出力になるという。MMのフォノイコライザも内蔵。リモコンも付属する。
また、同様にPCとUSB接続できるヘッドフォンアンプ「TRX-HD82」も展示。6BM8(ECL82)のシングルで、真空管バッファーとトランジスタバッファーの2系統を装備。スイッチで切り換えでき、音色の違いを楽しむことができる。いずれも秋以降の発売を予定しており、価格は未定。
PCとUSB接続できるヘッドフォンアンプ「TRX-HD82」 | 天面の左にあるのがUSB端子。現在はUSBメモリを接続するようになっているが、商品化の際には端子が背面にまわり、PC接続用のUSB端子になるという | こちらもPCとUSB接続可能なプリメイン「TRX-PM84」。USB端子の仕様はヘッドフォンアンプと同じ |
Zonotoneのケーブルの新製品も展示。名前は「6N・USB-Grandio 2.0」で、純銀コーティングを施しているのが特徴。A-Bコネクタタイプで、価格は0.6m 11,550円、1.2m 13,650円 |
さらに、EL34シングルで、出力はA級10W×2chのプリメインアンプキット「TRK-3488」(8月頃発売予定)も参考展示している。
右がプリメイン「TRX-1」、左がパワーアンプ「TRX-P6L」 | プリメインアンプキット「TRK-3488」の完成イメージ |
■ そのほか
音元出版のブースではAV評論家を講師として招いての試聴イベントを連日実施。22日には山之内正氏による「最高峰のPCオーディオを聴く」や、新しいオーディオメーカー、オズの2ウェイブックシェルフスピーカー「S1」(予定価格25万円前後)のお披露目イベントなども予定されている。
ポーカロラインのブースでは、「春のヘッドフォン祭 2010」でも展示され、17日にリリース発表もされた米Microshar製のポータブルヘッドフォンアンプ「μAMP109G2」、「μAMP109G2+」や、3月20日に発売が開始されたtangentのネットワークオーディオプレーヤー「NET-200」(99,800円)などを展示。
発売中の、arteの「SEISIS」というユニークな“免震オーディオボード”も注目を集めている。一見すると普通のオーディオボードだが、地震が起きた際はトールボーイなどの転倒防止用の免震システムになるというもので、ベースボードにスチールボールを敷き詰め、その上に免震メカニズムを配置し、さらに多層複合素材を使ったトップボードを重ねている。通常は磁石を使ったストッパーで上下のボードが固定されているが、一定以上の揺れがあると、ストッパーが外れ、スチールボールを介した上下のボードが揺れを吸収するようにズレて動くという構造。
一番左が「μAMP109G2+」、右から2個目「μAMP109G2」。電源部を刷新し、筐体を小型に。表面もアルマイト加工し、端子部やビスの突起も抑え、フラットな仕上げになっている | 中央がtangentのネットワークオーディオプレーヤー「NET-200」 | arteの「SEISIS」という免震オーディオボード |
同社ブースにはAiTECというメーカーのオーディオアクセサリも展示。電源フレッシャーと名付けられた「Λ5.35」(AC110V 50Hz仕様)と「Λ5.36」(AC110V 60Hz仕様)は、壁のコンセントや電源タップなどの空いているコンセントに差し込んでおくだけで、同じ並びのコンセントやタップに繋いだ機器の性能を向上させるというもので、「波長の活性化により、波形・力率を改善し、質の良い電源の供給が可能になる」としている。オーディオ機器だけでなく、「冷蔵庫のうなりが消えたり、トースターでパンの焼ける速さが速くなるなどの効果もある」とのこと。
差し込むだけで電源を改善するという「Λ5.36」 | 差し込む前にノイズを計測したところ | 「Λ5.36」を差し込むと、ノイズレベルが一気に下がっている |
ブースではこれに加え、「30年間の開発研究の末に完成した」という「Λ3.16 professional」という製品も展示。直径80mm、高さ58mmの不思議な形をした銀色の物体で、AV機器の前の床に設置するだけですぐに「音楽が目覚め、音質はそのままに、お使いのオーディオ機器が信じられないほど鮮明に蘇る」とのこと。詳しい技術は明らかにされていないが、ブースでは設置のある/無しでの聴き比べイベントも実施している。発売は6月初旬、価格はオープンプライスだが、実売は22万円程度になるという。
不思議な形状のΛ3.16 professional | 写真左下のように、AV機器の前の床に設置すると、音が鮮明になるという |
ネットワークジャパンのブースでは、ドイツのスピーカーメーカー「QUADRAL」の製品を紹介。いずれもリボンツイータを採用しているのが特徴。左はブックシェルフの「RONDO」(ペア378,000円)、中央のフロア型は「AURUM ORKAN」(オーラム・オルカン)で、価格はペア84万円。右の写真は「AURUM WOTAN VIII」(オーラム・ウォータンVIII)で、ペア525,000円 | ||
QUADRALのSTYLEシリーズも参考展示された | 花野井製作所が手掛ける卵型スピーカー「オーヴァム」。音展などのイベントで紹介されている製品だが、今月末から出荷を開始するという | 村田製作所はブックシェルフスピーカー「ES701」やハーモニックエンハンサー「ES105A」などを展示 |
ヒビノインターサウンドのブースではSHUREのヘッドフォンラインナップを一挙に用意 | 逸品館のイベントは毎回多くの来場者で賑わっている | |
福岡のAV機器ショップ「ARTCREW」では、ジャズメンのフィギュアを展示。AVルームのインテリアにピッタリだ |
(2010年 5月 21日)
[AV Watch編集部 山崎健太郎]