【CES】Audyssey、自社EQなど搭載のiPhoneスピーカー
-200Wバイアンプ内蔵、399ドル。日本にも投入予定
South of Market Audio Dock |
Audysseyは、iPhone/iPod対応アクティブスピーカー「South of Market Audio Dock」を北米と欧州で2010年11月より発売開始。日本でも2011年の2月末~3月までに発売することをInternational CESにて明らかにした。北米での価格は399ドル。
自動音場補正技術「Multi EQ」や、自動ボリューム調整機能「Dynamic Volume」といったオーディオ技術をAVアンプなどの製品に提供しているAudysseyによる、初の自社製スピーカー。オーディオメーカーのOEM製品ではなく、ユニットのカスタムオーダーなど全て自社設計によるものだという。
総合200Wのバイアンプを内蔵し、2ウェイ2スピーカーを左右側面に搭載するiPhone/iPodスピーカー。特徴は、同社のサラウンド技術「Bass XT」や、「Dynamic Volume」などの機能を搭載すること。AppStoreで配布している専用アプリにより、ユーザー自身による細かな音質調整も可能。
側面。写真の中央下部にウーファユニットが、右上にツイータユニットが見える | 前面。タッチセンサー操作の再生ボタンや、ボリューム表示、マイクなどを装備 | Dockコネクタ部 |
Bluetoothも内蔵し、iPhoneなどのBluetoothスピーカーとしても利用可能。また、スピーカーフォンとして、通話にも利用できる。なお、iPhoneやiPodとはDockコネクタで接続するが、音声信号の伝送はアナログ。iPhone 4/3GS/3GやiPod touch(第2世代以降)/nano(第4世代以降)/classic(120GB/160GB/80GB)と接続できる。そのほか、ステレオミニ入力を備え、他のプレーヤーとも接続可能。ステレオミニのヘッドフォン出力も装備する。
背面にUSB端子を備え、iPhoneなどのiTunes同期に利用可能。なお、USBスピーカーには対応しない。再生周波数帯域は40Hz~20kHz。外形寸法は13.97×22.86×22.86㎜(幅×奥行き×高さ)、重量は4.08kg。リモコンが付属する。
Dynamic VolumeやTone Control、Custom EQが設定可能 | Dynamic Volumeはオート、BGM用、OFFの3つから選択 | Tone Control画面で細かな設定が可能 |
カスタムEQも備える。なんと13ポイントまで指定でき、作ったパラメータは保存できる | カスタムEQはピンチアウト操作で拡大も可能 | Bluetoothも搭載 |
背面 | 付属リモコン | リモコンにはマグネットも備え、側面グリルなどにつけておくことも可能 |
■ 初の自社スピーカー投入に至った理由
同社のサラウンド技術などは、オンキヨーやデノンといった、様々なメーカーのAVアンプなどで広く採用されているが、今回、初めてスピーカーという形で製品を投入することには、製品の売上だけでなく、ブランド認知を高める狙いが大きい。
CESの行なわれたラスベガスにあるApple Storeでも「South of Market」が展示/発売。Macのコーナーにも常設されている |
CTOのChris Kyriakakis氏は「この製品を発売する1つの目的は、もっと多くの人々にAudysseyという名前を知ってもらいたいということ。Audysseyという名前が入った製品や、映画館(IMAXシアターなど)や、カーオーディオなどで、よりいい音を楽しめるという認知を広めたい。もう1つは、ブランド力を付けることによる付加価値を広めること。一般のユーザーが良い印象を持っていれば、セットメーカーが使う際の価値も高まる。この製品自体での利益も大事だが、我々の名前を知ってもらうことが一番の目的」と語る。
前述の通り、iPhoneなどとのDock接続はデジタルではなくアナログだが、「アナログになっていたとしても、それを補うだけの音響技術を持っており、しっかりした音作りができる」(同社ビジネスディベロップメントディレクターの山中幹大氏)としている。
なお、「South of Market」という製品名は、サンフランシスコの中にある地域の名前から付けられたもの。特に最新の文化、ショップ、アーティストなどが集まる場所であり、この地域に住む人々の多くは、流行を追うだけでなく、よりいいもの、価値のあるものを求めるという。この製品にも「新しいもの、よりいいものを提供したい」という同社の想いが込められている。
■ 2011年発売のテレビ向けにBass XT技術を提供
Bass XTを内蔵したテレビ試作機。写真左はCTOのChris Kyriakakis氏、右はビジネスディベロップメントディレクターの山中幹大氏 |
同社は、新たな試みとして薄型テレビ向けに低音強化技術「Bass XT」を提供することも発表。日本を含む世界のテレビメーカー各社と、採用に向けた交渉を開始。2011年中に発売されるテレビへの搭載を見込んでいる。
現状でも、いくつかのメーカーのテレビには他社製の低域強化機能が搭載されており、一部のメーカーではサブウーファ自体を組み込んだ製品も存在している。だが同社は「ただサブウーファを内蔵するだけでは本物の低音が出し切れていない。今回の技術は、小さなサブウーファでも、疑似的な低音ではなく、本物の音を出すことを目的に開発した」という。
実際に、Bass XTで低域を強化し、MultEQでイコライジングした音を、試作機のテレビで聴いた。音楽ライブを、テレビ本体のスピーカーのみで聴くと、バンドのベースの量感に物足りなさを感じるが、Bass XTをONにすると、音量がそれほど大きくなくても低域が強化されたことが伝わる。
なお、既に米国で発売中の一部サウンドバーには同社Bass XTの技術が組み込まれており、全体の音量感ではテレビの内蔵スピーカーよりも、容量にも余裕がある別体のサウンドバーに軍配が上がるが、低域と中高域のバランスでは決して引けを取っていなかった。また、テレビの下に置くサウンドバーに比べると、映像との一体感という意味では、テレビ本体のスピーカーの方が自然に聴こえることも実感できた。
(2011年 1月 12日)
[AV Watch編集部 中林暁]