ビクター、“究極のフルレンジ”を目指したミニコンポ

-ウッドコーン新モデル「EX-AR9」を直販限定発売


EX-AR9

 ビクターは、ウッドコーンスピーカーを搭載したDVDミニコンポ「EX-AR9」を8月下旬より直販サイトのビクターダイレクトで発売する。価格はオープンプライスで、直販価格は129,800円の予定。

 DVDオーディオ、ビデオの再生にも対応するアンプ内蔵のメインユニットと、フルレンジのウッドコーンユニットを使った小型スピーカーで構成される。ベースモデルとなる従来機「EX-AR7」からスピーカーや、アンプ部を改良し「究極のフルレンジサウンド」を目指したという。


・スピーカー部

EX-AR9のスピーカー。9ccmフルレンジウッドコーンユニットを搭載する

 スピーカー部はバスレフ方式で、9cm径のフルレンジウッドコーンユニットを搭載。従来機EX-AR7と同様に、上下左右方向の伝搬速度を部分的に高めるために、コーンの縦/横方向に形状の異なる木製薄型シートを装着した異方性振動板を採用。前方や上下左右方向の音圧を上昇し、音の広がりと解像度の向上を実現している。

 ボイスコイルは薄さ80ミクロンに削り出した木のシートをボビンに成型した“ウッドボイスコイルボビン”を採用。音の伝達ロスを抑えて解像度を高めている。キャビネットはチェリー無垢材で、底板部には5枚2段構成の竹響板を装着。さらにチェリー響棒を組み込むことで、キャビネットから放射される音圧レベルが向上し、音場感やスケール感を高めている。


9ccmフルレンジウッドコーンユニット。異方性振動板を採用するウッドボイスコイルボビン背面。スピーカーターミナルは金メッキ仕様

 EX-AR9のスピーカーユニット独自の音質改善としては、ボールピース上部へ木片(メイプル材)吸音材を装着。センターキャップ内の共振音を吸収するとともに、上下方向の音の広がりを向上した。加えて、不均一コルゲーションダンパーの採用により、低音域でのリニアリティを改善し、歪みを抑えた。センターキャップ形状もR23からR15に変更し、凸量を増やすことで、聴感上、広がりある抜けの良い高域再生を実現したという。エッジ材料も、ブチルゴムエッジ素材を見直し、素材配合比率を変更。これにより、より伸びやかで広い音場空間を実現するという。

 また、キャビネットもバッフル上部に縦目のスプルース響棒を追加設置し、音場を拡張。ユニット磁気回路部の装着木材もチェリーからメイプルに変更し、形状や取付位置を最適化。不要振動低減効果による解像度向上と低重心な低音再生を実現可能にした。スピーカー部の外形寸法は120×264×161mm(幅×奥行き×高さ)、重量は2kg。付属のスピーカーケーブルは極太の14番線OFC。

ユニット磁気回路部の装着木材もチェリーからメイプルに変更した。右がEX-AR9センターキャップ形状も変更。左がEX-AR9バッフル上部に縦目のスプルース響棒を設置

・アンプ部

EX-AR9のアンプユニット。中央にPremiumロゴ

 アンプユニット部は音楽CDやDVDビデオ/オーディオ再生に対応するほか、USB端子も装備。CDからのMP3録音(128kbps)に対応するほか、USBメモリなどに記録したMP3/WMA/WAVファイルやJPEG画像再生が行なえる。

 独自のデジタルアンプ「DEUS」を採用し、出力は40W×2ch。独自の音質改善技術「K2テクノロジー」も導入し、ウッドコーンスピーカーで最大限の効果が出るよう最適化。オーディオファイルの失われた高域を補間しつつ再生ができる。

 入力端子はアナログ音声(RCA)×2、光デジタル×1を装備。出力端子はD2×1とS映像×1、コンポジット×1、アナログ音声(RCA)×2、光デジタル×1、サブウーファプリ×1、ヘッドフォン出力×1。FM/AMチューナも内蔵する。外形寸法は246×283×114mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は4.4kg。

 EX-AR9独自の改善点としては、異種金属組み合わせによる振動対策などを実行。アルミワッシャや銅ワッシャ、真鍮ニッケルメッキワッシャを最適位置に排して振動の影響を低減。ピアニシモの表現力や楽器の分離向上に効果を発揮したという。

 また、天板の取り付け部を銅メッキネジと銅ワッシャに変更し、振動の影響を抑えたことで、高域の抜けや明るさ、低音の量感も向上したとする。そのほか、K2回路の定数や音質コンデンサ変更、シャーシGNDの変更などで、解像度を高めたという。

 


■ 目指したのは「究極のフルレンジサウンド」

ホーム&モバイル事業部 パーソナルAV統括部 国内営業部 安富営業企画グループ長

 日本ビクター ホーム&モバイル事業部 パーソナルAV統括部 国内営業部の安富稔営業企画グループ長は、「EX-A9」の開発目標を「究極のフルレンジサウンド」と紹介。「ビクタースタジオのエンジニアのノウハウ、技術を投入し、究極のフルレンジサウンドを実現できた思う」と手応えを語った。

 本体センター下部に「Premium」というロゴを印字したのも自信のあらわれとのことで、安富氏は、「オーディオ離れが言われるなか、高音質はいらない。知らないといった時代に一石を投じたい。音楽をスピーカーでゆったり聞く心地良さを体験してほしい」とEX-A9に込めた思いを説明した。


ビクタースタジオ長の高田英男氏

 ビクターエンタテインメント ビクタースタジオ長の高田英男氏は、ビクタースタジオの音のこだわりを紹介するとともに、同スタジオ内でのモニターとしてのウッドコーンシステム利用を紹介。フルレンジユニットが苦手としていた楽器の音色感が向上していることなど、EX-AR9の特徴を紹介するとともに、モニターとして扱いやすいというフルレンジならではの利点も紹介。「従来から1ステージ、2ステージ上がった感がある。スタジオで使えるツールになる」と語った。

 なお、EX-AR9の発売を記念して、7月30日に東京 青山のビクタースタジオで試聴会を開催する。同日は3回に分けて、各回15名の予約制となっており、会場での購入者限定でシリアルナンバー入りのプレートをプレゼントする。詳細は同社ホームページで案内している。


30日の視聴会での購入者にオリジナルプレートをプレゼントEX-AR9の予約キャンペーンも実施キャンペーンではスタンド「LS-EXA3」を半額にするキャンペーンも

(2011年 7月 22日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]