音展'11 レポート【富士ソフトアキバプラザ編】

-ソニーのHMDを体験。CAVが未発表スピーカー


 オーディオ・ビジュアル関連の総合展示会「オーディオ&ホームシアター展 TOKYO」(音展)が21日、東京・秋葉原で開幕した。期間は10月21日(金)~23日(日)で、入場料は無料だが、一部のイベントは有料となる。

 JR秋葉原駅前の秋葉原UDX・アキバスクエア(2F)と、富士ソフトのアキバプラザ(5F~7F)をメイン会場とし、それ以外にも近隣の販売店などでも関連イベントを実施している。

富士ソフトビル富士ソフトビルの入り口

 ここでは富士ソフト・アキバプラザの展示をレポートする。


 



■ソニー

 ソニーは合計3つのブースを用意。新製品をジャンルごとに体験できるようにしている。

 7階のブースには、HD解像度の有機ELパネルを使った、注目のヘッドマウントディスプレイ「HMZ-T1」の体験コーナーを用意。手軽に仮想大画面シアターが楽しめる製品で、クロストークの無い3D映像が楽しめるのも特徴。椅子に座ってじっくりと映像・音声が体験できるようになっている。

ヘッドマウントディスプレイ「HMZ-T1」椅子に座って体験可能だ

 さらに同ブースでは、ソニー初となるバランスド・アーマチュア・ユニットを搭載した新イヤフォンシリーズ「XBA-1SL/XBA-2SL/XBA-3SL/XBA-4SL」などを一挙に展示。既報の通り、タイの洪水の影響で発売日が11月10日から12月10日に延期されてしまったが、会場では試聴もできるようになっており、発売前に音質を確かめる事が可能だ。

バランスド・アーマチュア・ユニット採用ラインナップを一挙に展示アーマチュアの最上位「XBA-4SL」。フルレンジ×1、ウーファ×1、スーパーウーファ×1、ツイータ×1の4ユニットを内蔵しているアーマチュア・ユニット(右端)の実物も展示されている

 6階には2つのソニーブースがあり、1つはピュアオーディオの試聴ルームとなっている。ここでは、11月10日に発売される新ブックシェルフスピーカー「SS-NA5ES」(1台136,500円)の音が楽しめる。

新ブックシェルフスピーカー「SS-NA5ES」ハイエンドモデル「ARシリーズ」も試聴できる

 25mm径ソフトドームツイータ×1、19mm径ソフトドームツイータ×2、130mm径アルミコーンウーファ×1の、2ウェイ4ユニット構成。ARシリーズと同様に剛性の高さと響きのコントロールを追求しており、フロントバッフル板とエンクロージャには、内部補強材を含め全て北欧産のバーチ(樺)材を使用。フロントバッフル板の板厚は30mmで、ユニットの強力な振動を受け止めている。エンクロージャの木組みは、日本の木工職人の手で仕上げられており、高精度な加工で組み上げられているという。

 ほかにも、同時に発売されるセンタースピーカー「SS-NA8ES」(157,500円)や、サブウーファ「SA-NA9ES」(199,500円)も展示。ハイエンドモデル「ARシリーズ」の音を確かめる事もできる。

 シアターブースの目玉は、12月10日に発売予定のAVアンプ新モデル「TA-DA5700ES」(27万3,000円)。聴感補正技術の「サウンド・オプティマイザー」を搭載したのが特徴で、同技術は人間の耳の特性に注目したもの。人の耳は音量が小さくなると低音・高音が聴こえにくくなる一方で、中域の音は若干聴こえ方がよくなる。これを踏まえ、映画制作時の基準音量と、現在出力されている音量との違いが原因で発生する聴感上の違いを補正する技術が「サウンド・オプティマイザー」だ。

 簡単に言えば「小音量再生時でも、低域の量感が豊かで、スケール感のある音が再生できる」技術。デモではスパイダーマンの映画から、砂で出来ているサンドマンのシーンで比較を実施。機能OFFの場合は、小音量再生では大量の砂粒が移動するサラサラという音しか聴こえないが、「サウンド・オプティマイザー」をONにすると、同じ音量でも低域がしっかり耳に入り、BGMのコントラバスの低域も量感アップ。効果を体感できるデモになっている。

ラックの中段にあるのがAVアンプ新モデル「TA-DA5700ES」ソニーのシアターブース

 同ブースでは、独自のランプ制御技術により、3D映像をより明るく投写できるようになったプロジェクター「VPL-VW95ES」の3D映像や、HDMI入力を備え、HDオーディオにも対応したデジタルサラウンドヘッドホン「MDR-DS7500」の音も体験できる。

デジタルサラウンドヘッドホン「MDR-DS7500」3D映像をより明るく投写できるようになったプロジェクター「VPL-VW95ES」

 また、6階にはソニー・ミュージックコミュニケーションズもブースを構えており、ソニーとソニー・ミュージックスタジオが共同開発した、イヤーモニター「MDR-EX800ST」を試聴可能。大口径16mmのダイナミック型ユニットを採用し、500mWの高耐入力、ケーブル交換対応などが特徴。

 さらに、ソニーグループの中で一級建築士事務所として活動するスペースプロデュースオフィスがプロデュースしたインテリア志向のホームシアターシステム「bdporter」も紹介。キャスター付きの家具の中にBDレコーダやプロジェクタ、スピーカーなどのAV機器一式を搭載したもので、オフィスの会議室やレストランでの結婚式、宴会場などでの利用を想定した「bdporter シリーズ2」が9月に発売されているが、会場ではそのコンシューマ向けモデル「bdporter シリーズ3」(BDP-S3TA)を展示。

 プロジェクタとして「VPL-EW130」、プレーヤーとしてPlayStation 3、スピーカーの「SRS-ZX1」などを搭載。さらにワイヤレスサラウンドヘッドフォンの「MDR-DS7100」もセットになっており、白壁などにゲームや映画を投写。使わない時はソファ横などに設置するキャビネットのように使う事ができる。インテリアとマッチさせるために、仕上げの注文も可能。価格はオープンで、構成などによって価格は異なるが、54万円程度のイメージだという。

イヤーモニター「MDR-EX800ST」AV機器一式をキャビネットに収めたコンシューマ向けの「bdporter シリーズ3」(BDP-S3TA)

 



■パイオニア

 パイオニアブースの目玉は、10月中旬発売の新AVアンプ「SC-LX85」(33万円)。素子を従来のICE Powerから新しいDirect Power FETに変更した、新「ダイレクト エナジー HDアンプ」を搭載したのが特徴。ネットワークオーディオ機能やAirPlay対応、スマートフォンやタブレットからの制御も可能な多機能アンプという側面も持っている。

 また、テクニカル オーディオ デバイセズ ラボラトリーズ(TAD)も同じブースに出展。11月中旬より発売される、「Evolutionシリーズ」のスリムなフロア型スピーカー「Evolution one TAD-E1-WN」(1本105万円)の音も体験できる。ツイータの振動板にベリリウムを使うなど、Referenceシリーズの技術を踏襲しながら、サイズや価格を抑えたのが特徴だ。

新AVアンプ「SC-LX85」TADの「Evolution one TAD-E1-WN」も聴けるパイオニアのシアタースピーカーラインナップも紹介

 



■CAVジャパン

 UDXにもブースを構えているCAVジャパンだが、富士ソフトのブースではピュアオーディオ機器を多数展示。試聴もできるようになっている。

 注目はペア294万円の「DX-8」、ペア157万5,000円の「MD-VI」という、高級フロア型スピーカーラインナップ。DX-8は3ウェイ4スピーカーで、ツイータとミッドレンジにはセラミック振動板を採用。25cm径ウーファを2基搭載している。MD-VIはベリリウムをツイータの振動板に使っているのが特徴。16cm径ミッドレンジには、ハニカム構造振動板のコーンを採用。ウーファもハニカム構造振動板で25cm径、2基のダブルウーファとしている。

左がペア294万円の「DX-8」、中央がペア157万5,000円の型「MD-VI」独CANTONのスピーカーラインナップも展示。左がVENTO890.2-BH、右がERGO690-CH参考展示されたブックシェルフ「V-90」
真空管モノラルアンプの参考展示モデル「T-100」

 さらに会場では、「V-90」という型番のブックシェルフスピーカーも参考展示。価格や発売時期は未定のモデルだが、前述のフロア型でも使われている独ETON社のユニットを採用。ハニカム振動板のウーファ、マグネシウム振動板のツイータを使った2ウェイとなる。

 これらのスピーカーは真空管アンプの新モデルでドライブ。アンプの参考出品として、こちらも発売日や価格は未定だが、「T-100」という真空管モノラルアンプも展示されている。


 



■スペック

 スペックのブースでは、同社プリメインの第3弾として9月から発売が開始されている「RSA-M1」(609,000円)をメインにアピール。「RSA-F1」と同一のデジタルパワーアンプユニットを採用しながら、新開発のオイル・コンデンサーと組み合わせることで、米国ヴィンテージオーディオ機器特有の、“濃厚で多彩かつ重厚感あふれるサウンド”の獲得も目指した製品。このオイル・コンデンサーは、往年の米国製真空管アンプなどに搭載された、ヴィンテージのコンデンサと共通する音質面の特長を持っている。

 ブースではフロア型スピーカーだけでなく、Kiso Acousticの小型ブックシェルフ「HB-1」をスペックのアンプでドライブするデモも実施されている。

 また、同ブースにはACOUSTIC REVIVEも出展。各種ケーブル、オーディオアクセサリが展示されている。

上段左が「RSA-M1」小型ブックシェルフ「HB-1」ACOUSTIC REVIVEの各種ケーブル、オーディオアクセサリも展示

 



■その他

 オヤイデ電気のブースでは、ゼンハイザーのヘッドフォン「HD800」用の交換ケーブルを参考展示。「年末か、年明けにかけての発売を目指している」というもので、PCOCC-Aの信号線や銀メッキを施したOFC(無酸素銅)のシールドなどを採用。プラグなども新たに開発したものを投入予定。3万円台になる見込み。

 さらに、10月15日に発売したばかりのオーディオ向けUSBケーブル「Continental 5S」(60cmで24,150円/1.2mで30,450円など)を展示。導体はスキンパス処理を施した5N純銀を使用。シールドはカッパーフォイルシールドで信号・電源用導体を完全分離している。

 ほかにも、FiiOのポータブルヘッドフォンアンプ新モデルとして、9月から発売されている「E6」なども展示中。

オヤイデの、HD800専用交換ケーブル10月15日に発売したばかりのオーディオ向けUSBケーブル「Continental 5S」手前がFiiOのポータブルヘッドフォンアンプ「E6」
サエクコマースのブースでは、リボンツイータを採用したコンパクトブックシェルフとして人気の、mhiブランド(米MICRO HOME INSTALLATION製)「Evidence MM01A」と、そのトールボーイ版となる新製品「MM07A」を参考展示。来年春の発売を予定しているもので、予定価格はペアで189,000円。「MM01A」と同様に、ツイータにピュアアルミ製のTrueリボンを採用。ウーファはダブルウーファになっている
タイムロードのブースではULTRASONEのヘッドフォンやMK SOUNDのスピーカーラインナップを紹介Y's EPOCHのブースでは、ステレオ用センタースピーカーのフラッグシップモデル「NDR1」を展示。ネットワークが別筐体になっている
7階の「音のサロン」では、企業の枠を超えた組みわせでオーディオ機器の再生能力を体験できる。アキュフェーズ、オンキヨー、クリプトン、CEC、ティアック、マランツ、デノン、トライオード、フォステクス、ヤマハ、ラックスマンなどの機器が一堂に用意されている
初日に行なわれた「音のサロン」でのイベント、「最新高音質配信音楽を聴く:パート1」の模様。クリプトンなどが実施しているプログラムで、広い会場が満員になる人気ぶり。イベントスケジュールは音展のサイトで案内されているナスペックは2つのブースを使って製品を展示。Cambridge Audioのネットワークプレーヤー「NP30」や、イタリア・north star designの32bit/192kHz対応、USB DAC「Essensio Plus」などの音が楽しめるこちらもナスペックのブース。参考展示となるイギリス・MORDAUNT-SHORTの新スピーカー「Performance 2」を聴くことができる
パナソニックのブースでは、ブルーレイディーガの最上位モデル「DMR-BZT9000」のカットモデルが展示。こだわりの内部を見ることができるパナソニックブースではシアターも設けられており、VIERAの画質も堪能できる

(2011年 10月 21日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]