【2011東京インターナショナルオーディオショウレポート 2】

-DALIの新ハイエンド「EPICON 6」、ELAC「FS 509 VX-JET」


マッキントッシュブース

 日本インターナショナルオーディオ協議会(IASJ)が主催する、オーディオ機器の展示/試聴イベント「2011東京インターナショナルオーディオショウ」が11月3日から5日まで、東京・有楽町の東京国際フォーラムで開催されている。入場は無料。




■マッキントッシュ

 マッキントッシュ・ジャパンは、発売を開始したUSB入力搭載のプリアンプ「C50」(819,000円)と「C48」(588,000円)を中心にデモを行ない、関心を集めている。どちらも32bit DACを搭載。

 C50は、伝統のブラックガラスパネルとブルーアイズメーターを搭載。8バンドのイコライザも備えている。MM/MCフォノ回路や、長寿命化した不活性ガス封入電磁セレクタースイッチなどを採用している。デジタル/アナログ回路を分離しながら、剛性をアップし、振動の影響を排除したというインバーテッド・シャーシ・デザインを採用。

 C48は、C50をよりシンプルな構成にしたスタンダードプリアンプ。ハイグレードMCフォノ回路や5バンドなどを搭載するほか、USB/光/同軸デジタル入力も装備する。シャーシは、インバーテッド・シャーシ・デザインを採用。

上段がC50、下段がC48C50の背面。USB入力が見える

 なお、再生デモでは、オクタヴィア・レコードが11月1日に発売した192kHz/32bitハイレゾ音源「EXTON LABOLATORY MASTER 32bit MASTER SOUND SERIES VOl.1」が使われている。これは4GBのUSBメモリに入れて販売される楽曲データで、クラシック6曲を32bit/192kHzのWAVと、24bit/96kHzのWAVの2種類でそれぞれ収録。価格は35,000円となっている(100個限定)。

 ブースではほかにも、出力段パワー素子にはオンセミコンダクター製のThrmalTrakバイポーラ・パワートランジスターを採用し、450W×2ch(2/4/8Ω)のパワーを持つMC452や、アルミニウム製ダイキャストCDメカニズム/トレーを採用し、ESSのDAC「ES9018 SABRE32 Reference DAC」を装備したフラッグシップSACD/CDプレーヤーなどの新機種も展示された。

 また、同社初という一体型システム「MXA60」にも注目。ブルーアイズメーターやグリーンでイルミネーションされた真空管を備えたシステムで、SACDプレーヤー、FM/AMチューナ、75W×2ch(8Ω)アンプをワンボディ化し、2ウェイのコンパクトスピーカーをセットにしたもの。価格は787,500円。

 さらに、一風変わった参考展示として、ブルーアイズメーターを備えたシンプルなデザインの製品が展示。一見するとアンプのようだが、やけに薄い。メーターには「HOURS」と「MINUTES」の文字。実はこれ、同社アンプなどに使われるパーツをそのまま使って作られた“時計”。純粋な時計で、音楽再生や増幅機能は無い。型番は「MCLK12」。本国では発売されているが、日本発売は未定。高級パーツが使われているため「(売るとなると)20万円くらいはするかもしれない」とのこと。

一体型システムの「MXA60」。ブルーアイズメーターと真空管も装備オーディオ機器ではなく、なんと時計。モデル名は「MCLK12」



■デノン

DALIの新フラッグシップスピーカー「EPICON 6」

 デノンのブースでは、DALIの新フラッグシップスピーカー「EPICON 6」が参考展示されている。来春の発売を予定しているもので、現在のEUPHONIAシリーズに代わるモデルと位置づけられており、「EPICON 6」以外にもより大型なモデルや、ブックシェルフタイプなどの追加も検討されている。「EPICON 6」の価格については「EUPHONIAのMS4(ペア115万5,000円)のイメージ」だという。

 砂鉄にコーティングをして、固めることで、分子を均一にしてクオリティを向上させたというマグネットを採用。ウーファにはウッドファイバーコーンを採用。高域はリボンとソフトドームを組み合わせている。ドームツイータの周囲にはラバー素材を配しており、これも音質向上に寄与しているとのこと。

 リアバスレフで、ユニットの背中のすぐそばにまでバスレフポートが伸びており、流線形状のエンクロージャと組み合わせ「素直かつストレートなサウンドが特徴」だという。エンクロージャにも工夫があり、バッフルには33mmのパネルを2枚重ねて66mmとしたものを、背面には57mmのパネルを採用。研磨塗装を10回も繰り返すことで、エンクロージャとフロントバッフルの境目がわからないほど一体化したデザインになり、非常に強固な筐体になっているという。

 仕上げはライトウォルナットとブラックが予定されているほか、参考展示としてドラゴン、タイガーをイメージしたモデルも用意。来場者の反響も参考に、今後決定するという。


砂鉄にコーティングをして固め、マグネットとしている研磨塗装を10回繰り返しており、フロントバッフルとエンクロージャが一体化している左右が、製品化予定のブラックとウォルナット。中央左がドラゴン、右がタイガー

 デノンの製品では、セパレート型のAVプリアンプフラッグシップモデル「AVP-A1HD」と、一体型のAVアンプ「AVC-A1HD」を対象に、サラウンドチャンネルの拡張サービス(有料)を実施しており、そのアップグレード後の状態が展示された。アップグレード内容は、HDMIの3D映像パススルー対応や、「Audyssey MultEQ XT 32」機能の追加、「DTS Neo:X」と「Audyssey DSX」への対応など。

AVアンプのアップグレードポイントも、実機を使って解説ネットワークプレーヤーなど、新製品の展示も



■マランツ

 マランツのブースでは、CLASSEの新製品であるプリアンプ「CP-800」(84万円)や、モノラルパワーアンプ「CA-M600」(115万5,000円)などを使い、B&Wのスピーカー「800 Diamond」をドライブするデモを実施。

 45周年記念のブックシェルフ「PM1」(ペア32万円)なども展示されている。

「800 Diamond」を使った試聴デモCLASSEの新製品でドライブ45周年記念のブックシェルフ「PM1」



■ハーマンインターナショナル

 ハーマンのブースでは、JBLの新スピーカー「S4700」をメインにアピール。オール・ネオジウムマグネット磁気回路を採用したユニットを搭載しており、3ウェイ構成。380mm径のピュアパルプコーンNDD(ネオジューム・ディファレンシャル・ドライブ)ウーファや、50mm径のピュアチタン使用コンプレッションドライバー+38mm径のスロート・バイラジアルホーンなどを搭載する。価格は1本493,500円。

 また、11月上旬に発売される2ウェイスタジオモニター「4306」(1本71,400円)も展示。伝統のモニターブルーのバッフルを採用するモニターで、ホーン型の中高域ユニットに、2.5cm径アルミ-マグネシウム合金ドームダイアフラムを用いた新開発コンプレッションドライバを搭載。ダイヤフラム裏面にダンプ材を塗布し、不要なピーク成分を抑えることで、超高域までの伸びやかな再生を実現している。

JBLの新スピーカー「S4700」左が2ウェイスタジオモニター「4306」
STUDIO5」シリーズ

 さらに、「STUDIO5」シリーズも展示。いずれも25mm径テオネックスダイアフラム・コンプレッションドライバー(2414H)を搭載するほか、最上位の「590CH」は8インチ径PolyPlasコーン・ウーファーを2本パラレルで採用し、1本12万6,000円。「580CH」は、同ユニットサイズが6.5インチになり、1本99,750円。5.25インチの「570CH」は1本7万円。

 5.25インチのウーファを1基にしたブックシェルフ「530CH」は、ペア7万円と低価格で展開。センタースピーカーも用意され、シアターシステムに使えるほか、「530CH」はPCオーディオなど、コンパクトなシステムにも向いたブックシェルフとなっている。

 また、「ヘッドフォン祭」でも展示された、AKGの新ヘッドフォン「K550」も参考展示。11月中の発売を予定しており、価格は3万円前後の見込み。薄型ハウジングで密閉型なのが特徴。9月に発売されたカナル型イヤフォン「K3003」も展示され、製造過程を紹介したムービーも鑑賞できる。


AKGの新ヘッドフォン「K550」AKGのカナル型イヤフォン「K3003」。製造過程紹介ムービーも



■ラックスマン

 ラックスマンブースでは、往年のデザインを復刻した、箱入りトランジスター最新モデル「L-305」を参考展示。2012年春の発売を予定しているという。パラレルプッシュプル構成で50W×2ch(8Ω)の出力。音色バランスに優れるというデュオベータ回路を搭載。価格は未定。

 さらに、11月から発売されるプリメインアンプ505シリーズの最新モデル「L-505uX」も登場。ED照明付きのフロントメーターなどの基本デザインを踏襲しながら、新たに、音量調節における音質劣化を抑えたソリッドステート(IC)構成の電子制御アッテネーターLECUAを搭載したのが特徴。独自の帰還回路「ODNF(Only Distortion Negative Feedback)」は最新バージョン2.3を搭載する。価格は249,900円。

箱入りトランジスター最新モデル「L-305」プリメインアンプ505シリーズの最新モデル「L-505uX」シャンペンゴールドの「L-505uX(g)」も12月に発売

 ほかにも、24bit/96kHz対応のUSB DAC「DA-100」(71,400円)や、12月発売予定の薄型ステレオパワーアンプ「M-200」(134,400円)など、PCオーディオをターゲットとした新製品も展示されている。

24bit/96kHz対応のUSB DAC「DA-100」薄型ステレオパワーアンプ「M-200」



■ユキム

 ユキムブースのメインは、独ELACの新スピーカー「FS 509 VX-JET」。11月発売予定で、ペア189万円。フロア型の4ウェイで、ミッドレンジと、独自のJETツイータを同軸上に組み合わせた「VX-JET」と呼ばれる同軸ユニットを採用。同様のユニットは「X-JET COAX」として600シリーズに採用されているが、「VX-JET」では、ドライバの前後方向の位置をユーザーが調節できるのが特徴だ。

独ELACの新スピーカー「FS 509 VX-JET」ドライブ環境はORPHEUSの新製品。CDプレーヤー「ZERO P Version 2」(126万円)や、DACの「ONE SE MK2」(115万5,000円)、プリの「TWO Version 2」(105万円)、モノラルパワーアンプは「THREE M Version 2」(78万7,500円)×2

 さらに、オーラデザインの薄型CDプレーヤー「vivid」と、USB DAC機能も備えたプリメインアンプ「vita」も展示。年内の発売を予定しているもので、vividはシーラス・ロジックのDAC「CS4398」を搭載。さらに、プリメインのvitaもバーブラウンの「PCM2704」 を搭載しており、USB DACとしても機能する。どちらも2011年内の発売を予定しており、価格は各126,000円。

オーラデザインの薄型CDプレーヤー「vivid」(上段)と、USB DAC機能も備えたプリメインアンプ「vita」(下段)イタリアOpenItemのオーディオブランド「Carot One」の、小さなプリメインアンプ「ERNESTOLO」(実売39,800円前後)。プリ部とヘッドフォンアンプ部に真空管を使用。そこに、デジタルアンプを使ったパワーアンプを組み合わせた、ハイブリッドのプリメインアンプ



■その他

ナスペックのブースでは、Cambridge Audioの新製品を参考展示。左の写真はヘッドフォンアンプ機能を備えたDAC「Dac Magic Plus」。右の写真は3D再生にも対応したBDプレーヤー「Azur651BD」。24bit/192kHz対応のシーラス・ロジック製DACを搭載。11月15日に発売予定(オープン)同じくナスペックブースでは、Berkeley Audio DesignのUSB DDC「Alpha USB」も参考展示された。AESとSPDIF出力を装備しているのがわかる
CECのブースでは、来年の発売を予定しているDAC「DA3N」が参考展示された。DACチップにESS社の「ES9008」を採用。AES/EBU、同軸デジタル、光デジタル、USB入力を備え(光とUSBは96kHzまで。それ以外は192kHzまで対応)、D-Sub端子とBNC端子を使った独自のSUPERLINK端子も装備する。高精度10MHzのクロック入力にも対応。価格は未定フューレンコーディネートは、イタリアのアルベドというブランドの取扱を開始。第1弾モデルとして「HL2.2」という左写真内側の細身のスピーカーを10月末から発売している。一般的なバスレフ方式ではなく、上方にいくほど大きくなり、同時に強く傾斜させたエンクロージャ形状で、内部に設けた音道で低音を強化するトランスミッションライン方式を採用しているのが特徴。価格はペア63万円。人間の形をしたユニークなスピーカーも参考展示された(右写真)
DYNAUDIOブースでは、ConfidenceとFocusシリーズを大々的にアピールJEFF ROWLANDの新製品「AERIS DAC」。24bit対応で、価格は147万円「QB-9」でお馴染みのAyreから、ほぼ同じサイズの「QA-9」というADCが参考展示された。16~24bit/44.1~192kHzに対応。出力はUSB、AES/EBUを備えている
アクシスのブースでは、10月から取扱を開始したB.M.C AUDIOブランドの製品を一挙に展示。ドイツの新進ハイエンドオーディオブランドで、斬新な増幅回路方式、LEF(ロード・エフェクト・フリー)、インテリジェント・ゲイン・マネージメント(DIGM)、カレント・インジェクション(CI)などのアナログ技術と、DACなどのデジタル技術を有機的に活用しているメーカーだという。左の写真はステレオパワーアンプ「AMP S1」で、価格は68万2,500円。右写真の上が、ベルトドライブCDプレーヤー「BDCD1.1」52万5,000円、DACとプリアンプを一体化した「DAC1 PRE HR」56万7,000円同じくアクシスブース。Dan D’Agostino(ダン・ダゴスティーノ)ブランドのモノラルパワーアンプ「MOMENTUM」。ペアで販売し、価格は519万7,500円。KRELLを創業したDan D’Agostino氏が新たに立ち上げた新ブランドで、300W(8Ω)/600W(4Ω)/1,200W(2Ω)。左右のヒートシンクは、一般的に使われるアルミではなく、パワーアンプの放熱用としては初という純銅ブロックを使っている。増幅素子はバイポーラ・パワートランジスタをパワー段とドライバー段で合計28個搭載

(2011年 11月 4日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]