シャープ、液晶堺工場再編。'11年度は3,800億の赤字に

-堺カラーフィルタ統合。モバイル液晶遅延で赤字増


 シャープは10日、シャープ、凸版印刷とその子会社であるトッパンエレクトロニクスプロダクツ、さらに大日本印刷とその子会社のDNPカラーテクノ堺が、堺工場で行なっている液晶カラーフィルター事業を、シャープの子会社であるシャープディスプレイプロダクト(SDP)に統合させる事で、基本合意書を締結したと発表した。この統合により、統合対価としてSDP株式の発行が見込まれており、シャープのSDPに対する議決権比率が40%未満となり、SDPはシャープの連結対象から外れる見込み。

 SDP(堺工場)には、液晶パネルの部材メーカーに加え、電気、ガスや水などのインフラ・エネルギーメーカーも進出しており、部材から液晶パネルまでの一貫生産を実現。液晶パネル生産の垂直統合化を進めてきた。

 しかし、円高やパネルの競争激化による市場価格の下落などが進み、稼働率が低下。操業の安定化とコスト競争力の強化のためには、さならる効率運営が必要となっている。これを受けてシャープでは既報の通り、鴻海精密工業グループと資本業務提携契約を締結。SDPで生産する液晶パネル・モジュールを、鴻海精密工業とシャープがそれぞれ50%ずつ引き取ることで、稼動率維持と、コスト力強化、収益性改善を図っている。

 これに伴い、SDP株式については、鴻海精密工業の代表・郭台銘氏および他の投資法人などが所有割合約46.48%となる132万株を取得する予定。シャープの出資比率は約93%から約46.5%に下がる。さらに、今回の統合により、株式の一部を凸版印刷と大日本印刷に譲渡が見込まれており、シャープのSDPに対する議決権比率が40%未満となり、子会社から外れる見込み。

 統合の最終契約書の締結日は4月末を予定。効力発生日は6月30日の予定。統合の手法については、各当事者で協議の上決定するとしている。

 なお、シャープは10日に、2012年3月期通期連結業績予想の下方修正も発表。売上高を2月時点の2兆5,500億円から2兆4,500億円に、営業利益はブレイクイーブンから、400億円の赤字に、経常損失は300億円から700億円に、当期純損失は2,900億円から3,800億円に修正した。

 モバイル端末向け液晶の出荷遅延や、3月に発表された、シャープディスプレイプロダクトの鴻海精密工業グループなどとの協業に関わる大型液晶事業構造改革に伴い、体質改善費用を計上したためだという。


(2012年 4月 10日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]