ハーマン、AKG新世代カナルの入門機「K374」

実売7,000円。リモコン付きやNC型も発売


「K374」のカラーはSILVERとRED

 ハーマンインターナショナルは、AKGのカナル型(耳栓型)イヤフォン「K374」を11月に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は7,000円前後。カラーはSILVERとREDを用意する。

 また、イヤフォン部分は同じだが、iPhone/iPod/iPad向けのマイク付きリモコンを備えたバージョン「K375」も11月に発売する。価格はオープンで、店頭予想価格は9,000円前後。カラーはBLACKとWHITEの2色。

 さらに、アクティブノイズキャンセリングタイプの「K391NC」も11月に発売。価格はオープンで、店頭予想価格は17,000円前後。




■K374/K375

 昨年9月から発売され、「AKG新世代のカナル型最上位」と位置付けられている「K3003」(オープンプライス/実売138,000円前後)。それに続く、新世代カナルの第2弾であり、エントリーモデルに相当するのが「K374」と「K375」となる。

 「K3003」は、バランスド・アーマチュアユニットとダイナミック型ユニットを両方内蔵しているのが特徴だが、「K374/375」は9mm径のダイナミック型ユニットを搭載しており、このモデルのために新開発されたユニットとなる。

K374のSILVERK374のREDK374のSILVER。筐体はアルミニウム製

 また、ドライバ本体やハウジング内部の流れを調整するポートを2つ設け、振動板の背圧を最適化する「ダブル・ベンチレーション・システム」を採用。振動板の振幅がスムーズになり、豊かで厚みのある低域と、スピード感と伸びのある中高域を再生するとしている。

K375のBLACKK375のWHITE
イヤーピースを外したところ

 再生周波数帯域は、10Hz~24kHz。感度は104dB/mW。インピーダンスは28Ω。ハウジングにはアルミニウムを使用。剛性により不要な共振を抑え、低域を拡大。軽量化により、装着感も向上しているという。

 シリコン製のイヤーピースは3サイズ同梱。専用キャリングケースも付属する。ケーブルは1.2m。入力プラグはステレオミニ。ケーブルを含まない重量は6g。

 K375は、ケーブルの途中に3ボタン式のマイク付きリモコンを装備。音量調整、再生/
一時停止、スキップ、曲戻しなどの基本操作が可能。iPhoneでの通話もでき、着信応答/終話操作もできる。対応モデルはiPhone 3GS/4/4S/5、第2世代以降のiPod touch、iPod classic(120GB/160GB)、第4世代以降のiPod nano、第3世代以降のiPod shuffle、iPad。



■K391NC

K391NC

 アクティブノイズキャンセリング(NC)イヤフォン。K374/K375と同様にダイナミック型ユニットを採用。NC機能はフィードフォワード方式で、イヤフォンのハウジング内に小型マイクを設置。その音を元に、独自設計のNC回路を使い、キャンセル信号を生成・放出し、ノイズを低減させている。

 ケーブルの途中にNCユニットを搭載。NCユニットからプレーヤーへのケーブルは着脱でき、付属している通常のスマートフォン向けケーブルと、ノキア製スマートフォンケーブルが付け替えられる。長さは、イヤフォンからNCユニットまでが1.15m、NCユニットからプレーヤーまでが50cm。


K391NCのイヤフォン部分リモコン部分
イヤフォン部分K374とのサイズ比較

 NCユニットの他に、マイク付きリモコンも備えており、着信の応答/通話の操作が可能。

 NC機能の電源として、リチウムイオン充電池を内蔵。約35時間の連続使用が可能で、USB端子経由で充電する。バッテリが切れたり、NC機能をOFFにした状態でもスルーで音が出せる。

 再生周波数特性は12Hz~24kHz。感度は92.5dB/mW(パッシブ)、100dB/mW(アクティブ)。インピーダンスは32Ω。入力プラグはステレオミニ。本体のみの重量は8g。



■K374を聴いてみる

試聴しているところ

 短時間ではあるが、K374を試聴したので印象をお伝えしたい。プレーヤーには、ハイレゾ再生に対応したiBasso Audioの「HDP-R10」を使っている。

 9mmのダイナミック型ユニットを採用した小ぶりのイヤフォンだが、低域の再生能力が高く、「藤田恵美/camomile Best Audio」から「Best OF My Love」を再生すると、アコースティックベースの量感豊かな描写に驚かされる。

 同時に、中高域のクリアさも維持されており、抜けが悪くはならない。振動板の背圧を最適化する「ダブル・ベンチレーション・システム」が効いているようだ。

 バランスとしては中低域の迫力が印象に残り、AKGのヘッドフォンで感じるような、中高域の繊細さを重視したバランスとは若干異なる。しかし、高域の丁寧な描写はAKGらしいポイントだ。

 「坂本真綾/トライアングラー」では、前述のアコースティックベースで盛り上がりがやや過剰と感じられた中低域が、意外なほど素直な描写になり、クリアな中高域を抜け良く聴かせつつ、低域は野太いベースラインを締まりよく描写する。打ち込み系のポップス、ロックのキレのある楽曲と良くマッチするモデルのようだ。

 実売7,000円前後と、AKGのイヤフォンとしては低価格だが、質感の高いアルミハウジングと合わせ、音質面でも、激戦区である1万円台の他社イヤフォンと渡り合えるモデルになるだろう。



(2012年 10月 18日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]