ニュース
テレビ/レコーダの'12年末商戦に、盛り上がり無し
BCN調査。デジカメは高価格帯へのシフト進む
(2013/1/16 18:27)
BCNは16日、薄型テレビやBlu-rayレコーダ、デジタルカメラ、スマートフォン、タブレットなどデジタル家電の年末商戦や現在の動向について、調査結果を元に分析を発表した。
BCNの市場分析は、家電量販店など全国22社、2,448店舗(2013年1月現在)のPOSデータを集計したBCNのデータをもとに行なっている。Amazonなどを中心としたネット店舗のデータも加味した形で前年同月比を算出。メーカー直販店の売上は含まれない。発表データ内の金額は全て税抜きとなる。
スマートフォン/タブレットの市場拡大が続く一方、薄型テレビは年末商戦も低調で、'12年12月は、例年のようなピークには至らなかった。また、テレビ本体への録画機能搭載が主流になる中で、レコーダの年末商戦も過去3年間で最も低迷するという結果になった。
BCNの道越一郎アナリストは、今後の市場活性化の要因として“本質機能の先鋭化”を挙げ、「デジカメは、単価の高いモデル(レンズ交換型や高級コンパクトなど)が売れている。デジカメの本質機能は“画質のきれいさ”。4Kテレビは普及に時間がかかるが、映像は美しくリアリティが高い。ただ機能を付加していくのではなく、基本に立ち戻って製品そのものの機能が重視される年になるのでは」と述べた。
テレビは小型モデルへの揺り戻しも。レコーダは“型落ち”中心
薄型テレビ(液晶+プラズマ+有機EL)の'12年12月販売台数は前年同月比63.2%、金額は同67.8%とマイナス傾向が続いている。年末商戦にも大きな盛り上がりはなく、年間でも昨年や一昨年に比べて台数/金額ともに変化が少ない年となった。
画面サイズで見ると、50型以上については'12月に台数が前年同月比121.1%、金額が113.1%と2ケタの伸びを示した一方、それ以外のサイズ帯についてはマイナスが続いている。平均単価は、30型以上は'12年前半で急速に伸びたが、後半には下落傾向に転じている。
メーカー別では、首位のシャープが'12年12月時点でシェアを45.3%に拡大。メーカー別の画面サイズ構成比を見ると、'12年前半は大型サイズを拡大してきたシャープが、後半には再び小型モデルの割合を増やし、単価も下落。パナソニックも同様に小型の割合を高めている。一方、東芝とソニーは大画面モデルの割合が増えている。
6年前の'07年1月を基点とした販売台数/金額指数では、'12年は販売台数/金額ともに'07年を下回り、12月は'07年比で台数が79.5%、金額67.8%まで落ち込んでいる。
レコーダの'12年12月販売は、台数が前年同月比60.0%、金額が56.7%となった。年末商戦の盛り上がりは無く、過去3年間で最も伸びが低い結果になった。単価は、秋の新モデルの登場やHDD容量の増加傾向を受けて、前年水準まで上昇。HDD容量帯別の12月販売台数構成比は、2TB以上が8.6%、1TBが27.6%、500/750GBが54.9%、320GBが8.9%となっている。
メーカー別シェアと平均単価を見ると、'12年末にかけて単価を下げてきたシャープがシェアを拡大して10~12月に首位となっている。12月の売れ筋モデルでは、'11年と異なる傾向として、発売から6カ月以上経過した型落ちのモデルが上位10機種のうち6機種を占めており('11年は2機種)、シェア争いにおいて価格が焦点となっている傾向が見て取れる。
Nexus 7がAndroidタブレットを牽引。デジカメは高価格帯へシフト
'12年はNexus 7やiPad miniなどの7型台タブレットが話題となった。日本で初代iPadが発売された'10年5月からのタブレット販売台数指数を、iPhone 3G発売の'08年7月からのスマートフォン販売台数指数と比べると、同じような伸びを見せている。iOSとAndroidの構成比は、Nexus 7発売で初めてAndroidが上回り、その後の在庫不足やiPad mini発売でiOSが逆転、Nexus 7再入荷で再逆転というように、月ごとに入れ替わる結果となった。
スマートフォンの'12年12月メーカー別シェアはアップルが32.1%で首位だが、11月の52.0%からは大幅に落としている。2位はAQUOS PHONE ZETAなどが好調のシャープ(19.3%)、3位はソニー(11.9%)だった。発売から約4カ月が過ぎたiPhone 5の販売台数累計指数を従来モデルと比較すると、これまで最も伸びが高かったiPhone 4Sを上回る勢いを見せている。キャリア別販売台数シェア(12月)は、NTTドコモが48.8%、auが29.8%、ソフトバンクが20.6%。
デジタルカメラは、'12年12月の販売台数が前年同月比95.1%と落ち込んだが、金額は104.7%とプラスに転じた。台数は減少傾向が続いているが、平均単価の上昇で金額は回復を見せている。レンズ一体型(コンパクト)は前年比2ケタ割れが'12年10月から続いているが、その中でセンサーサイズの大きな高級モデルの割合が増え、金額構成比は12月に12.6%まで上昇している。
レンズ交換型(一眼レフ/ミラーレス)は12月の販売台数が134.9%、金額が134.7%と堅調に推移。台数/金額ともに過去3年で最高水準を維持し、単価も前年を上回っている。レンズ交換型のうち、ミラーレスが占める割合(台数)は、12月に約1年ぶりとなる50%に達した。ミラーレスの12月メーカー別台数シェアは、1位がオリンパス(28.7%)、2位がソニー(23.1%)、3位がペンタックスリコー(19.3%)。