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パナソニック、小型単眼3Dカメラ向けイメージセンサー

左/右目用の画素を交互に配置

開発された単眼3Dカメラ向けイメージセンサー

 パナソニックは21日、1つのレンズシステムと1つのイメージセンサーでステレオ視による3D撮像を可能にする技術を開発したと発表した。3D対応カメラの小型化/軽量化を実現し、医療や産業、モバイル分野での利用を想定している。

 従来の2眼3Dカメラは部品点数が多く小型化が困難なことや、光線遮断素子を備えた単眼カメラは左目/右目画像の同時取得が不可能で手ブレに弱いという課題があった。

 開発されたイメージセンサーは、左右の方向から入射する光線を左右それぞれの電気信号に変換する左目/右目用の画素を列交互に配置。一組のレンズシステムとイメージセンサで左目/右目画像を同時に得られる単眼3Dカメラを構成でき、小型化/軽量化を実現。また、左目/右目画像のずれを利用することで位置検知やモーションセンサーとしても応用できる。

 ピーク感度は従来イメージセンサーの2倍に高感度化。2Dカメラに比べて左目/右目用の画素の受光量はほぼ半分になるが、この高感度設計によって、単眼3Dカメラでも明るさを損なわずに撮影でき、同一のタイミングで撮像した左目/右目画像を出力可能。また、左目/右目画素がそれぞれピーク感度を示す入射光線角度を任意に設計でき、画面全体での均一な感度を実現した。そのほか、必要な角度以外からの入射光線に対する感度を抑えることでクロストークを6%に低減。左目/右目画素の感度差は5%未満とし、フリッカーも抑制している。

 この3D撮影技術は、無機材料の粗密でレンズ効果を実現する独自のデジタルマイクロレンズ技術や、レンチキュラーレンズを組み合わせたデュアルオンチップレンズ構造形成技術などにより実現。デジタルマイクロレンズの粗密構造を光の波長以下の精度で加工し、粗密構造の空隙は無機材料で充填している。左右方向からの入射光線のみを左目/右目画素のフォトダイオードに集光するデュアルオンチップレンズを使用するほか、デジタルマイクロレンズを画素ごとの入射角度に最適設計し、左目/右目画素の感度差を無くす設計技術も用いられている。

 国内19件、海外16件の特許技術(出願中を含む)となっており、米国サンフランシスコで2月20日(現地時間)に開催されたInternational Solid-State Circuits Conference(ISSCC2013)で講演された。

(中林暁)