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アップル、64bit CPU「A7」搭載の「iPhone 5s」

指紋認証/120fps動画撮影、新LEDライト。ゴールドも

iPhone 5s。カラーは左からシルバー、ゴールド、スペースグレイ

 アップルは11日、新端末「iPhone 5s」を発表した。日本で9月20日販売を開始する。キャリアはソフトバンク、auに加え、新たにNTTドコモからも販売される。メモリ容量は16GB、32GB、64GBの3モデル。カラーはスペースグレー、ゴールド、シルバーの3色。米国の直販価格は16GBが199ドル、32GBが299ドル、64GBが399ドル。

 最大の特徴は64bitアーキテクチャのプロセッサ「A7」を搭載した事。従来のA6と比べ、CPUとグラフィックのパフォーマンスは最大2倍高速になり、カメラのオートフォーカスも最大2倍、撮影速度もより高速になり、120フレームのビデオ撮影も可能にしている。

 なお、同じく20日に発売のエントリーモデル「iPhone 5c」は、13日より予約を受け付けるが、iPhone 5sについては予約を行なわない予定。また、SIMロックの有無やテザリング対応については「キャリア次第」とのこと。

iPhone 5s(ゴールド)
左から、シルバー、スペースグレー、ゴールド
背面。左からゴールド、スペースグレー、シルバー
ゴールドの背面
側面
下面にLightningやヘッドフォン出力

 さらに、コプロセッサ「M7」も搭載。加速度センサー、ジャイロスコープ、電子コンパスからのモーションデータ処理を担当しており、例えばフィットネス系アプリを使用している場合でも、A7チップに連続した負荷をかけず、M7コプロセッサからデータにアクセスでき、バッテリ消費を抑えられるという。ユーザーが歩いているか、走っているか、車に乗っているかも判断し、ルート案内機能を自動で切り替えたり、ユーザーが寝ている間はネットワークへの接続をチェックする頻度を自動で減らすという。

新プロセッサ「A7」の特徴
コプロセッサ「M7」の特徴
iOS 7
ゴールドモデル

 OSにはiOS 7を採用。なお、iOS 7は米国時間の9月18日から既存のiPhone/iPad/iPod touch向けにも提供される。従来のユーザーインターフェイスを一新し、カラーパレットやレイヤを取り入れ、フォントも新デザインのものを採用。数百もの新機能を搭載し、マルチタスクや[写真]、Safari、Siriの強化なども行なわれる。対応するのはiPhone 4以降、iPad 2以降、iPad mini、第5世代iPod touch。新たにiPhoto、iMovie、Pages、Numbers、Keynoteの各アプリが無料化された。

4型Retinaディスプレイを装備

 ディスプレイは従来のiPhone 5と同じ4型で、解像度は1,136×640ドットの「Retina(網膜)ディスプレイ」。コントラスト比は800:1、最大輝度は500cd/m2。解像度は326ppi。外形寸法と重量もiPhone 5と同じで123.8×58.6×7.6mm(幅×奥行き×高さ)、112g。

 カメラ「iSight」も強化。従来よりセンサーを15%大型化し、画素数は800万画素。ピクセルサイズも1.5μと大きくなり、開放F2.2のレンズを採用。iPhone 5と同じ画素数だが、ピクセルサイズが拡大したことで、画質が向上したとアピールしている。

 また、秒間10枚の連写や、自動手ぶれ補正、パノラマ撮影、各種フィルタ適用などが可能。写真の連写は最大1,000枚まで対応する。

 動画撮影は1080/30pに加え、120フレームの720p撮影も可能になり、動画撮影中に画面をピンチする事で最大3倍のズームもできる。

センサーの拡大により、ピクセルあたりの画質向上を図った
センサーサイズは15%大型化し、F2.2レンズを搭載
レンズ部とフラッシュ

 白色LEDとアンバー色のLEDを用いて、最適な調光を行なう「True Toneフラッシュ」も装備。1,000種類以上の調光ができるとし、従来のフラッシュとの違いを比較画像でアピールした。なお、True Toneの調光は全自動となっており、ユーザーによる調整には対応しない。

白色LEDとアンバー色のLEDを用いたLEDライト「True Toneフラッシュ」では1,000種類を超える色を調光できるとする
LEDライトをフル発光
True Tone利用時には正しい肌色表現などが可能とアピール
カメラも強化。ホームボタンには指紋認証センサーを搭載した

 内側のFaceTimeカメラは120万画素(1,280×960ドット)の静止画撮影、720pの動画撮影が可能。裏面照射型センサーを採用している。携帯電話ネットワークや無線LAN経由でビデオ通話ができる。

 ホームボタンに「Touch ID」と呼ばれる指紋認証センサーを搭載。パスワードの入力をせず、ホームボタンに触れるだけでユーザーの指紋を認証し、ロックを解除できるようになった。iTunes Store、App Store、iBooks Storeでコンテンツを購入する場合も指紋での認証が可能。センサーは360度の認証に対応し、縦、横、斜めなど、「どんな角度で指を置いても指紋が読み取れる」という。

Touch ID
ホームボタン部にTouch IDのセンサーを内蔵
ホームボタンに触れて認証
Touch IDの概要
iTunes StoreやApp Storeのパスワード入力にも利用できる
純正専用ケース「iPhone 5s Case」

 純正専用ケース「iPhone 5s Case」も用意。直販サイトでは3,080円。レザー製で、装着したまま電源ボタンや音量調整ボタンなどにアクセスできる。6色を揃え、(RED)エディションも含まれている。

 無線LANはIEEE 802.11a/b/g/nに対応。11nは2.4GHzと5GHzの両方に対応。Bluetooth 4.0もサポート。通信方式の違いで、GSMモデル A1533、CDMAモデル A1533、CDMA EV-DO Rev. A/Rev. Bモデル A1453、UMTS/HSPA+/DC-HSDPAモデル A1457/A1530が用意される。最大13のLTE周波数帯に対応している。SIMカードはnano-SIM。

 位置情報取得技術として、Assisted GPS、GLONASS、デジタルコンパスを装備。3軸ジャイロ、加速度センサー、近接センサー、環境光センサーも装備する。

スローモーション動画撮影/再生も

 対応する音楽ファイルはAAC(8~320Kbps)、AAC、HE-AAC、MP3(8~320Kbps)、MP3 VBR、Audible(フォーマット2、3、4、Audible Enhanced Audio、AAX、AAX+)、Apple Lossless、AIFF、WAV。

 動画フォーマットはMPEG-4 AVC/H.264の最大1080/60p(従来は30p)、ハイプロファイル4.2(最大160KbpsのAAC-LC)、48kHz、m4v、.mp4、.movのステレオ音声動画に対応。MPEG-4は最大2.5Mbps、640×480/30p、30fps、シンプルプロファイル(1チャネルあたり最大160KbpsのAAC-LC)、48kHz、.m4v、.mp4、.movのステレオ音声動画。MotionJPEGは最大35Mbps、1,280×720/30p、ulaw、.aviのPCMステレオ音声動画に対応する。第2世代、第3世代のAirPlayへのミラーリング出力も可能。

iPhone 5s Case

 バッテリはリチウムイオンで、連続通話時間は3Gで最大10時間、連続待受時間は最大250時間。インターネット利用は、最大8時間(3G)/10時間(4G LTE/Wi-Fi)。ビデオ再生は最大10時間、オーディオ再生は最大40時間。

 イヤフォンは「Apple EarPods with Remote and Mic」を同梱。Lightning端子も引き続き採用している。


iPhone 5siPhone 5c
カラーシルバー
ゴールド
スペースグレイ
ブルー
グリーン
ピンク
イエロー
ホワイト
容量16/32/64GB16/32GB
チップA7+M7A6
無線LAN
Bluetooth
IEEE 802.11b/g/n(11nは2.4GHz/5GHz対応)
Bluetooth 4.0
ディスプレイ4型Retinaディスプレイ
1,136×640ドット 326ppi
コントラスト800:1
最大輝度500cd/m2
カメラ背面800万画素
(ピクセルサイズ1.5μ)
(F2.2レンズ)
FaceTime 120万画素
背面800万画素
FaceTime 120万画素
720/120p動画-
True Tone
フラッシュ
-
Touch ID-
バッテリ連続通話時間:最大10時間(3G)
連続待受時間:最大250時間
インターネット:最大8時間(3G)/10時間(4G LTE/Wi-Fi)
ビデオ再生:最大10時間
オーディオ再生:最大40時間
外形寸法
(縦×横×厚さ)
123.8×58.6×7.6mm124.4×59.2×8.97mm
重量112g132g
インターフェイスLightning

2つの「iPhone」を9月20日発売。ドコモも取り扱い

ティム・クックCEO

 米国では10日に発表会も開催。アップルのティム・クックCEOは、同社が9月から展開する音楽イベント「iTunes Festeival」の話から切り出し、9月中に30組のアーティストのライブを100以上の国で見られることを紹介。さらに、スタンフォードの新Apple Storeの取り組みなどを紹介し、リテールストアのさらなる強化を続けていくことをアピールした。

iTunes Festeival
スタンフォードの新Apple Store

 続いて、10月には7億台目のiOSデバイスが出荷されると紹介し、iOS担当のクレイグ・フェデリギ氏がiOS 7の新ユーザーインターフェイスや半透過レイヤー、位置や撮影日時情報を元にした写真の集約機能、Safariのタブ操作や男性の音声にも対応した音声入力「Siri」、近くにいるiPhoneユーザーなどと無線LAN経由でコンテンツを共有する「AirDrop」などをデモを交えて説明した。

 iOS 7の提供開始は、9月18日と案内。iPhone 4以降や、iPad 2以降、iPad mini、第5世代iPod touchなどでiOS 7に対応する。

 続いてクックCEOは、iPhoto、iMovie、Pages、Numbers、Keynoteの各アプリの無料化も。今後発売するiOSデバイスのユーザーは、無料で各アプリを利用可能になり、一括ダウンロードにも対応する。

iOS7
9月18日提供開始
iPhoto、iMovie、Keynoteなどを無料に
フィル・シラー氏

 次はiPhone。フィル・シラー氏が登壇し、2つの新しいiPhoneが発売されると説明。最初に説明したのは、iPhone 5cだ。iPhone 5cについては「すでに見ているかもしれない」と、ネットへの情報流出について軽く言及した後、鮮やかなカラーリングやポリカーボネート筐体の仕上げの美しさなどを強調。2年契約で16GBで99ドルという価格の安さもアピールした。

 iPhone 5sについては、A7プロセッサとiOS 7で64bit対応したことをアピールし、EPIC GAMESの「Infinitiy Blade 3」によるゲームプレイなどを紹介。A7/iPhone 5sの処理能力をアピールした。また、コプロセッサのM7についても、モーションデータを記録し、ユーザーの動きや状況を把握することで、車載機器との連携や、フィットネス関連の機能拡張ができることを紹介した。カメラ機能についても、スローモーション撮影や高速連写、新LEDライト「TrueToneフラッシュ」、指紋認証「Touch ID」などの機能をアピールした。

 クックCEOは、米国や英国、日本だけでなく、中国でも9月20日よりiPhone 5c/5sを発売することを表明。さらに、日本における通信キャリアとして、新たにNTTドコモが販売することも明らかにした。

新iPhoneのラインナップ
9月20日に日本や中国などでも発売
NTTドコモが取り扱い
発表会の最後には、エルビス・コステロが登場。3曲披露した

(臼田勤哉/山崎健太郎)