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オンキヨー初のカスタムイヤフォン7月17日発売。約59,800円~。約7営業日で出荷
(2015/6/16 13:22)
オンキヨー&パイオニアイノベーションズは、オンキヨーブランドとして初のカスタムイヤモニター3機種を7月17日に発売する。いずれもバランスド・アーマチュア(BA)ユニットを採用し、価格はオープンプライス、店頭予想価格はフルレンジ1基の「IE-C1」が59,800円前後、2ウェイで2基の「IE-C2」が79,800円前後、3ウェイで3基の「IE-C3」が119,800円前後。耳型採取の費用は含まれていない。
なお、発売記念キャンペーンとして、6月19日~7月16日の期間中に、東京・八重洲のGibson Brands Showroom TOKYO、およびシーメンス補聴器コンセプトストア 銀座店で予約、支払いを行なうと、特別価格で販売。「IE-C1」が49,800円、「IE-C2」が59,800円、「IE-C3」が99,800円でそれぞれ購入できる。この2店舗では、6月下旬から先行販売を実施する。さらに、音楽演奏を楽しむ高校生や大学生を対象とし、学生応援特別価格での販売も検討しているという。
シーメンスの補聴器関連ビジネスを手掛ける、Sivantos(シバントス)と共に開発した製品。補聴器で培ってきた3Dプリンタの筐体成形技術をイヤフォンに応用。日本製で、「熟練した技を持つ技術者“匠”が1人ひとりの耳の形に合わせ、丁寧に作りこむ」という。
日本製であるため、耳型が工場に到着してから約7営業日で工場から商品を出荷するスピーディーな提供も特徴とする。さらに、耳へのフィッティングに関して、商品の紹介受取日から30日以内は無償で再作(リメイク)を行なう。
オーダー時にそれぞれのモデルに対し、遮音性と装着感が選択できるのも特徴。密閉度と遮音性がより高い「プロ・ミュージシャン」、通常リスニングに最適な遮音性と装着感を両立させた「スタンダード」、外の音がより聞こえるように密閉度を下げた「スポーツ」から選択できる。
Sivantos シーメンス補聴器マーケティング統括部のクリスチャン エトゲン執行役は、具体的な製作の流れを説明。シリコンで採取したユーザーの耳型を、3Dスキャナでスキャン。耳型をデータ化し、それを基にシェルをデザイン。そのデザインデータを、レーザー光を使って3D造形を作る3Dプリンタで形にして、ユニットなどの各種パーツを内蔵。仕上げや品質チェックを行ない、製品が完成するという。
Sivantos サプライチェーンマネジメント部 大山清和氏は、耳型のデータからシェルをデザインする段階で、補聴器で培ったノウハウがあると説明。最新のデジタル技術を使い、データ上のシェルの厚みを均等に調整。プロ・ミュージシャン向けのモデルでは、耳型に対するオフセット量を増やし、スポーツ向けでは逆に減らすなどして、遮音性を調整する。
また、外耳道の長さによっても装着感、圧迫感は変化するため、どのくらいの長さまで挿入するシェル形状にするかといった部分にも、ノウハウがあるとする。
オンキヨー&パイオニアイノベーションズ イノベーション事業本部 商品企画部 HP商品企画課の足達徳光課長は、AV機器メーカーとして培ってきた高音質化に向けたノウハウも多数投入している事を説明。「ユニットが振動するが、不要な振動がシェルに伝わると音が濁る。そこで、BAのまわりにシリコン製のクッションをかませることで、アイソレートしている。配線材のノウハウなども用いており、“耳元のスピーカー”のような感覚で単品スピーカーの技術を採用した」と説明。
さらに、デザイン面のシンプルさ、フォルムの美しさも紹介。一般的なカスタムイヤフォンは、耳孔の周囲に蓋のように覆いかぶさる形状で、筐体が大きく、耳から盛り上がる事も多いが、IE-C1/C2/C3では、細身ながら十分な遮音性の高さを持っているという。
オーダー時にはカラーの選択もでき、メタルレッド/マゼンタ/パープル/メタルブルー/グリーン/イエロー/オレンジ/ブロンズ/パールホワイト/メタルブラック/ギャラクシー/ブラックの12色を用意。左右を別カラーにすることもできる。
ケーブルは着脱可能で、端子はMMCX。長さは1.2m。ケーブルもブラック/ホワイト/レッドから選択できる。入力プラグはステレオミニ。バランス接続ケーブルへの対応なども、今後検討していくとしている。
出力音圧レベルとインピーダンスは、C1が107dB/mW、70Ω、C2が115dB/mW、75Ω、C3が113dB/mW、12Ω。
型番 | IE-C1 | IE-C2 | IE-C3 |
---|---|---|---|
BAユニット | シングル | 2ウェイ 2ドライバ | 3ウェイ 3ドライバ |
出力音圧レベル | 107dB/mW | 115dB/mW | 113dB/mW |
インピーダンス | 70Ω | 75Ω | 12Ω |
ケーブル/プラグ | |||
付属品 |
全国900店舗の補聴器販売店でもオーダー可能
カスタムイヤフォンをオーダーする際は、ユーザーの耳型採取が必要となるが、その販売方法でもSivantosが協力。シーメンスの補聴器を取り扱っている、全国900店舗の補聴器販売店で、耳型の採取とオーダーができるという。既に耳型を持っている人は、持ち込んでの注文は可能だが、「(耳型の)シリコンは時間が経過するとサイズが変わってしまう事もあるため、できれば注文時に新しく採取していただく事をオススメする」という。
クリスチャン エトゲン氏は、これまでの補聴器向けの耳型採取で、各店舗が高いスキルを備えている事もアピール。さらに、前述の東京・八重洲Gibson Brands Showroom TOKYO、シーメンス補聴器コンセプトストア 銀座店でもオーダーができる。
また、それ以外の家電量販店などでの販売についても、今後検討していくとしている。
細身だが、十分な遮音性
発表会場で3モデルを短時間だが試聴したので、印象をお伝えしたい。プレーヤーは「AK240」を利用した。
聴く前に気になるのは、細身のシェルだが、遮音性に問題はないのか? という点。試聴機やイヤーピースを取り付けたユニバーサルタイプなので、カスタムイヤフォンより遮音性は落ちるが、実際に装着してみると、それでも耳孔を効率的にカバーしており、意外なほど遮音性が高く、頼りない印象は一切無い。屋外で利用することが多い人や、長時間使用することが多い人などは、やや遮音性を落として、快適性をアップさせたオーダーをするといったカスタマイズができるのは大きな魅力だ。
フルレンジのC1、2ウェイのC2、3ウェイのC3という順番で試聴したが、最もバランスが良いと感じたのはC1。フルレンジらしい、まとまりの良い音で、低音から高音まで過不足なく、キッチリ聴きとれる。BAユニットらしく、やや硬質な雰囲気が漂うが、ハイレゾ楽曲などの情報量を細かく聴きとれるモデルだろう。
C2になると、低音の量感が一気にアップ。重心の低い、迫力のあるサウンドになる。ロックや映画音楽など、ドラマチックに聴かせてくれそうだ。低域の沈み込みも深く、高域もC1より伸びやか。低域は豊かだが、高域に覆いかぶさるほどではない。個人的にはもう少し低域の量感を抑えて欲しいと感じた。
C3は、C2よりもさらに低音がパワフルになる。音量を上げ目にすると、全体にかぶさり、高域の明瞭度をやや低下させるので、あまり上げなくても満足度の高い再生ができるだろう。ワイドレンジかつ肉厚、リッチなサウンドが欲しいという人にマッチしそうだ。
「イヤフォンマニア以外にも裾野を広げたい」
オンキヨー&パイオニアイノベーションズの宮城謙二社長は、ヘッドフォン市場の動向について、「台数、金額共に増加しており、台数ベースで平均成長率は106%になる。2017年には、全世界で2億4,000万台の市場になる」と予測。特に、「1万円以上の市場が伸びており、今回のカスタムイヤモニターの対象となるマーケットが拡大し続けている」とし、そうした市場に向けて満を持して投入する製品として、今回のカスタムイヤフォンを紹介した。
足達氏は、今回の新製品を、音の匠であるオンキヨーと、補聴器のデザインの匠であるシーメンスの、“匠の技術を融合させたもの”と説明。ターゲットとしては、既にカスタムイヤフォンを所有しているような、イヤフォン/ヘッドフォンマニアが中心となるが、さらに「オリジナリティを求める、カスタムイヤフォンを持っていないヘッドフォンユーザーや、より良い音を求めているユーザーにまで、裾野を広げていきたい」と、展望を語った。
発表会には、音楽ユニット、キマグレンのメンバーであり、プロボクサーとしても活動しているクレイ勇輝氏がゲストとして登場。耳型を採取し、クレイ氏向けのイヤフォンが製作され、宮城社長から完成品が手渡された。
さっそく装着したクレイ氏は、フィット感の高さや、遮音性の高さに驚いた様子。「作詞作曲をする時に、1人になりたい、静かな環境が欲しい時があり、そうした時に最適。ボクシングのトレーニングをする時にも活用したい」と笑顔を見せていた。