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今秋開幕のプロバスケ「B.LEAGUE」全試合ライブ配信。ソフトバンクスマホは月額500円
(2016/3/10 11:01)
ソフトバンクと、ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグは10日、共同で記者会見を開催。ソフトバンクが、'16年秋に開幕する日本国内の男子プロバスケットリーグ「B.LEAGUE(Bリーグ)」のトップパートナーに決定したことを発表した。
合わせて、B.LEAGUEの全試合をソフトバンクがライブ配信することを孫正義代表が明らかにした。映像配信とテキストによる中継で、開幕からの試合をスマートフォンやタブレット、パソコンで視聴可能にする。
ソフトバンクの映像配信は、ヤフーとの共同により「スポナビライブ」というサービス名で展開。秋に開幕するB.LEAGUEだけでなく、プロ野球、大相撲、なでしこリーグ、男子テニス、MLB、海外サッカーの映像が見放題となるサービスとして、3月17日より順次開始する。ライブ中継のほか、後からアーカイブ映像も視聴可能。サービス開始時期と料金は、ソフトバンクの携帯電話契約者が3月17日で月額500円、他社携帯電話契約者向けには6月提供開始で月額3,000円となる。「スポナビライブ」の詳細は、別記事で掲載している。
日本バスケットボール協会会長でB.LEAGUE名誉会員の川淵三郎氏と、日本人初のNBAプレーヤーとなり、現リーグNBLのリンク栃木ブレックスに所属する田臥勇太選手が、ソフトバンクの孫正義代表と共に登壇。B.LEAGUE開幕が決まるまでの道のりや、トップパートナー就任の意義、開幕後の構想などを語った。
B.LEAGUEは、全国で45のチームが3部(B1/B2/B3)に分かれ8カ月間に渡るシーズンを戦う。B1/B2リーグは、各チーム60試合のリーグ戦の後、上位チームが決勝トーナメントの「チャンピオンシップ」を戦い、年間優勝チームが決定する。
ソフトバンクは、「有料放送」と「インターネット放送」の独占権を持ち、ライブ配信するのは、上記のうちB1/B2の全試合。B3の配信については「これからの検討になる」(孫氏)としている。なお、地上波放送とBS放送(無料)は、B.LEAGUEが放映権を持っている。
孫氏は「現在は(NBLやbjリーグが)衛星やCATVで放送されているが、少なくともそれよりははるかに多くの人が観られるように配慮したい。グループには(スポーツ情報サイトの)Yahoo! スポーツナビがある。ハイライト映像などを含めて、多くのファンに触れ合える機会を用意したい」と説明。
競技人口世界一のスポーツを、より多くの層に。契約打診から2日で決定
日本の男子バスケットボールリーグは、国内に「NBL」と「bjリーグ」の2つが存在し、日本バスケットボール協会による組織統治や、代表選手の強化に問題があるといった理由から、国際バスケットボール連盟(FIBA)が'14年に制裁を決定。日本代表は男女ともに国際試合への出場停止という重大な処分を科されていた。リーグ統一に向けて、'15年に日本バスケットボール協会に川淵三郎氏が就任。Jリーグなどで培った手腕を振るい、統一新リーグであるB.LEAGUEの'16年秋開幕に至り、制裁が解除されたという経緯がある。
川淵三郎会長は、バスケットボールが全世界で競技人口4.5億人でサッカーの2.6億人を大きく上回る世界一であることや、国内のバスケットボール競技者人口の約62.5万人うち、9割の56.4万人が小中高校生であり、学生以外の層が少ない点を指摘。特に、女子の競技人口はサッカーの10倍という27万人いるという。
川淵氏は「大きなポテンシャルがあるが、環境が整備されていないから、シニア層などのファンが獲得できていない。ここを開拓することが、バスケット界を大きく変える可能性を秘めている。スポーツの“ソフト力”、ファンが見たことのない場面を、観たいときに観られることで、スポーツが一層楽しくなる」と述べた。
ソフトバンクの孫正義代表と川淵氏の出会いは、Jリーグが始まる前、孫氏がJリーグの放映権を川淵氏に依頼したことだったという。「孫さんは白紙の小切手に『好きな額を書いてください』と渡してくれた。(既にNHKとの間で決定した後だったため)申し訳ないがお断りしたが、書きたかったですね(笑)」(川淵氏)。
B.LEAGUE開幕が決まり、今年の2月ごろに川淵氏は改めて孫氏に対してトップパートナー契約について打診したところ「驚いたことに、その2日後にソフトバンクのB.LEAGUEへのトップパートナー契約が決定された」とのこと。
その後の話し合いで、孫氏は川淵氏に対し、スポーツにおけるITの可能性などについてプレゼンテーションを行なったという。川淵氏は「試合の中から見たい得点シーンをすぐ動画で再生できたり、試合に関する情報がボタン一つですぐ出てくることに驚いた。(リオ五輪出場権を得られなかった)なでしこの試合は観ていてしんどかったが、点を取るところだけ見ればよかったという感じすらする。サッカーの試合は、全部が面白いわけではないので飛ばしながら観ているが、(今回のサービスでは)得点シーンなどだけを見られて、時間を有効活用できる。5年先だともっと変わるだろうな。ソフトバンクグループと一緒にやれて、こんなにラッキーなことはない」と述べた。
田臥選手とハリセンボンの企画プレゼンに「やりましょう!」
ソフトバンクの孫正義代表は、今回の映像配信サービスについて「スマホさえあればだれでも観られるような技術を開幕までに実現したい。ITの力を使って、B.LEAGUEを大きく飛躍させる」と説明。
孫氏は、現在の福岡ソフトバンクホークスでプロ野球に参戦した10年前を振り返り、「プロ球団を運営する立場になり、人のスポーツに対する想い、感動の強さに、心から感じるものがあった。『ITの力で、スポーツの感動を多くの人へ』という想いを更に強く持った」とトップパートナー契約への考えを語った。
配信サービスの利用シーンとして孫氏は、「電車や食事、歩いている時などに、ひいきのチームの得点などのシーンをスマホ向けにテキストで中継し、重要なシーンがあった時に通知。そのメッセージをタップすると、ライブ配信のページで視聴できるといった仕組みを、開幕に間に合うように用意したい」と説明。「ソフトバンクがトップパートナーになるからには、お金を出すだけの関係ではなく、グループ総力を挙げて感動を分かち合えるようにしたい」とした。
ゲストとして、日本人初の米国NBAプレーヤーとなり、日本代表選手としても活躍、新しいB.LEAGUEのB1チームとして参戦するリンク栃木ブレックスの田臥勇太選手が来場。ソフトバンクによる全試合ライブ配信について「どうしても試合を見に来られない人もいる。選手としても、スカウティング(ライバルチームなどをチェックする)など、役立つ部分があり、これから実現が楽しみ」とコメントした。
さらに、会場にはハリセンボンの近藤春菜さんと箕輪はるかさんが来場。学生時代のバスケ経験者という春菜さんは、当時試合を見に行ったこともあるという田臥選手との対面に感動した様子。それを見て田臥選手も「バスケをやっていてよかったです」とコメントした。
トークセッションでは、ハリセンボンの2人と田臥選手が、孫氏と川淵氏にB.LEAGUEでの企画をプレゼンして、2人が決断する“世界一速い会議”も行なわれた。
春菜さんは、「試合会場で観戦中に、スマホを選手にかざしたら選手の情報が出る。空いたコップにかざすと、ドリンクを持ってきてくれる携帯(アプリ)」を提案。孫氏は「やりましょう! まだ技術(担当者)と話していないですが、開幕に間に合わせます」と即決。
田臥選手は、現場の視点から「世界で通用する若手の育成システムを一緒に創りたい」とプレゼン。川淵氏と孫氏も大いに納得し、この企画も採用が決まった。一方、はるかさんによる「試合中、『ソフトバンク』と3回言いながらダンクシュートを決めるともう1点入る」という新しいルールは不採用となった。