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「この世界の片隅に」スタッフ再結集、オタフクソースWebアニメ公開
2018年10月10日 13:33
オタフクソースは10日、片渕須直監督やアニメスタジオのMAPPAなど、映画「この世界の片隅に」を手掛けたメンバーによるWebアニメ「わたしの名はオオタフクコ~小さな幸せを、地球の幸せに。~」を、オタフクソースのYouTube公式チャンネルで公開した。無料で試聴できる。第2弾は11月上旬、第3弾は12月上旬から順次公開予定。
- 作品名:わたしの名はオオタフクコ~小さな幸せを、地球の幸せに。~
- 公開日:第2弾10月10日、第2弾11月上旬、第3弾12月上旬
- 公開場所:オタフクソースYouTube公式チャンネル
お好み焼き用ソースを手がけるオタフクソースが、2018年10月に策定したコーポレートスローガン「小さな幸せを、地球の幸せに。」を訴求するために作ったWebアニメ。監督・脚本を片渕須直、キャラクター原案をこうの史代、音楽をコトリンゴ、アニメーション制作をMAPPAと、「この世界の片隅に」を手掛けたメンバーが再集結。主人公・オオタフクコの声を演じているのは、「この世界の片隅に」で径子を演じた尾身美詞。
10日に公開された第1弾では、1028歳の主人公・オオタフクコが、戦後の広島で出会った「一銭洋食」(お好み焼きの原型となった鉄板料理)を通じて、行く先々で一緒に鉄板を囲んだ人たちに、小さな幸せと笑顔の輪を広げていく姿が、コミカルかつほのぼのとした世界観とともに描かれている。
オオタフクコは、長い長い時を生き続けている永遠の1028歳だが、自由気ままな性格で、いつまでも子どものように無邪気なまま。食いしん坊で、お好み焼きを焼くのが得意というキャラクター。
こうの史代の連載作品「百一 hyakuichi」(週刊漫画ゴラク)のキャラクターをモチーフにしており、「基本的にダメな人」(片渕監督)だという。
鉄板で調理するシーンにもこだわっており、「広島にあるお店を2日間で6軒回って、具材や手順、焼き方、味を取材し、自分の家でも実際に焼いて食べました。ひとくちに一銭洋食といっても、それぞれ個性があって、どれもすごく美味しかったです」という片渕監督の研究成果が活かされている。
オオタフクコの声を担当した尾身美詞は、「この世界の片隅に」で、主人公に厳しく当たる気の強い女性役を演じたが、オオタフクコはそれとは打って変わった、コミカルなキャラクターと語り口が特徴。
片渕須直監督インタビュー
――今回のオファーを受けた時の率直な心境
2010年の夏、映画『マイマイ新子と千年の魔法』の舞台挨拶で訪れた際、初めて広島のお好み焼きを食べて、それが私と広島との最初の出会いでした。その後、『この世界の片隅に』の制作を経て、広島を自分が住んでいる場所のように感じられたらいいなと思い続けてきた中、広島をルーツに持つオタフクソースさんから届いたオファーということで、とても嬉しかったですし、自分たちが広島という街に根付くことができたのかなという思いを抱きました。
――本作品のストーリーや世界観が生まれた経緯
オタフクソースさんから最初に今回のテーマを伺った時、「時の流れ」のようなものを描くことになるのかなと思い、広島出身のこうの史代さんに相談したところ、彼女が連載する作品の主人公がたまたま「おたふく」をモチーフにしていて。しかも年齢が1028歳で、まさに時の流れをそのまま象徴している。そこで時の流れを生きている主人公が、ある日お好み焼きと出会い、自分や周りの人たちを幸せにしていくみたいなことを描いたら面白いかなと。また、『この世界の片隅に』が戦前から終戦直後を描いた物語なので、その辺りの時代から始まって、現代につながるような話になると、より興味深い作品になるんじゃないかと思いました。
――主人公のオオタフクコさんのキャラクター設定について
こうのさんの漫画の中では、職業が夜の蝶ということでしたので、今回はその仕事に就く前に、お好み焼きを焼いていたという設定にしました。年齢は1028歳ですが、食い意地が張っていて、自由気ままで、基本的にダメな人です(笑)。何だか長く生きていると、いろんなことを悟っちゃった人格者になりがちですが、そうじゃない方が親しみを持てますよね。日々庶民の中で、新しい発見をしながら生きてきて、その中でお好み焼きとの出会いがあり、人間的にはあまり学習していないけど、大好きなお好み焼きだけは確実に手の内に入れた。その特技の部分を膨らませたキャラクターという感じでしょうか。
――ここを見てほしいというポイント
ただ、お好み焼きが好きで、行く先々で焼いていたら、いつの間にか立派なことをやっていて、世界中のいろんな人の役に立っていたという、オオタフクコさんの人間像、生き方をぜひ見ていただきたいですね。
――視聴者へのメッセージ
お好み焼きはみんなで鉄板を囲んで食べるので、自然と笑顔になりますよね。その笑顔が世界中に広がっていけばという思いを、今回の作品に込めました。そして、いま自分たちが食べているお好み焼きや普段の食事について、時代を遡って考えることで、時の流れを感じていただき、その先の未来を考えるきっかけにしていただけたらと思います。