ミニレビュー

KOSSの「PORTAPRO」がレトロなベージュカラーになったので思わず買ってみた

 人間工学を取り入れた有機的なフォルムや、鮮やかなカラーリングなど、ヘッドフォンにはオシャレなアイテムとしての側面もある。駅で、ヘッドフォンと、それにマッチした洋服を着た人に目を奪われる事もある。新幹線や航空機での出張で使われる事が多いノイズキャンセリングヘッドホンに渋いデザインの製品が多いのは、スーツとのマッチングも考慮した結果だ。

PORTAPRO PREMIUM RHYTHM BEIGE Japan Edition

 一方で、メカメカしく、良い意味で“古めかしい”デザインにグッとくる事もある。例えばKOSSのプロ向けのモニターヘッドフォン「PRO/4AA」。まさに“業務用”という感じのベージュカラーに、極太のヘッドバンド。眺めてるだけでも楽しめる。そんなレトロな雰囲気が手軽に味わえるヘッドフォンの発売がスタートしている。KOSSを代表する「PORTAPRO」の限定カラー、「PORTAPRO PREMIUM RHYTHM BEIGE Japan Edition」だ。

KOSSのプロ向けのモニターヘッドフォン「PRO/4AA」
PORTAPRO PREMIUM RHYTHM BEIGE Japan Editionのカラーは、「PRO/4AA」と同じ

 国内では5,000台限定で発売。e☆イヤホンの通販では5,940円(税込/送料無料)で販売されている。発表時から、そのカッコよさの虜になっていたので迷わずポチッ。ヘッドフォンは既に幾つか持っているので絶対に必要かと言われると微妙なのだが、約6,000円という価格だと「限定モデルだしまぁいいか」と思ってしまう。

 さっそく商品が到着。開封すると、落ち着いたベージュカラーのPORTAPROが現れる。通常のブラックカラーよりも明るい色であるため、目立つ。なお、このカラーは前述したモニターヘッドフォン「PRO/4AA」と同じ色だそうだ。質感はチープで、軽量さも相まって“オモチャ”のようなヘッドフォンだ。だが、このベージュカラーでは、そこが逆に“業務用風”でグッとくる。

パッケージ
質感はチープで、軽量さも相まって“オモチャ”のようだ
こちらが通常カラー

 カラー以外は通常のPORTAPROと同じだが、ケーブルの途中にマイク付きコントローラーを搭載し、スマートフォンと接続して再生操作や音声通話、音量調整ができる。長さは1.2m、プラグは4極ステレオミニだ。

ケーブルの途中にマイク付きコントローラーを搭載

 PORTAPROは、1984年(日本では1988年)から発売されている超ロングセラーモデル。既に持っているという人も多いだろう。ただ、これだけ沢山のヘッドフォンが登場している現在においても、これだけコンパクトで、かつ66gと軽量で、しかもオープンタイプのヘッドフォンというのは珍しい。

 構造もユニークだ。形としてはオンイヤーヘッドフォンと言えるが、通常のヘッドフォンのようなカップ型のハウジングは存在せず、ドライバを覆っているのは極めて薄いフレームのようなパーツ。それがエンブレムがついた外側のハウジングと完全に分離し、独自に可動するようになっている。なんというか、ユニットだけを耳に貼り付けたようなイメージのヘッドフォンだ。

形は今見てもユニーク
ユニットだけを耳に貼り付けたようなイメージ

 ヘッドバンドで長さ調節するほか、外側ハウジングの上部にスライドスイッチを備えており、側圧を調整できるのもユニーク。Comfort Zone機構と名付けられており、装着した状態でスライドを緩めて行くと、3段階で側圧が変わる。具体的には、ユニットが内側に傾斜する角度が変わる形だ。ただ、最も弱くしてもズリ落ちてしまうほど弱くはない。左右個別で設定できるのもユニークだ。

このように耳にフィットする
スライダーで側圧を3段階から調整できる

 前述のようにオープンタイプで、さらにオンイヤーでもあるため、音漏れする。漏れるというよりも、最初から“封じ込める気がない”ようなヘッドフォンだ。そのため電車内など、近くに人がいる場所で音量を上げては使えない。

 ただ、外の音もガンガン入ってくるので、車の音などはすぐにわかる。人通りの少ない道や、自然の中の散歩などでは屋外でも利用できるだろう。本体をコンパクトに折り畳めるので、可搬性も高い。

コンパクトに収納できる

 室内で、オープン型ヘッドフォンとして使うと極めて快適だ。軽量なので負担も少なく、側圧も弱めればオンイヤーながら耳が圧迫されて痛いという事もない。

 PORTAPROは音もユニークだ。こんな構造だと、低音が抜けてスカスカした音になるのではと心配するが、聴いてみると真逆で、非常に豊かな中低音が、音圧もパワフルに再生される。ロックやポップス、ビートが強い楽曲はお手の物だ。

 さらにオープンタイプであるため、音が広がっていく空間も広大で、閉塞感はまったくない。長時間利用しても不快に感じないのは、この開放的なサウンドの効果もあるだろう。

 個人的には、中低域が豊かすぎて高域がちょっと埋もれ気味になるところが気になる。プレーヤーや再生アプリのイコライザが利用できる場合は、400Hz、1kHzあたりをちょっと下げて、6kHzや16kHzあたりを少し持ち上げるとバランスが良くなると感じる。

 周波数特性は15Hz~25kHz、感度は101dB、インピーダンスは60Ω。Xperia Z5と接続すると、ボリューム値60%、70%あたりで十分な音量が得られる。

 PORTAPRO自体、もはや“ビンテージ”の域に片足をつっこんでいる気がするが、あらためて聴いてみると、独自の色褪せない魅力がある。最近ヘッドフォン、イヤフォンに興味を持ったという人も、限定カラーを1つのキッカケに、聴いてみて欲しい。

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Japan Edition

山崎健太郎