西田宗千佳のRandomTracking

第411回

iPhone XS/XS Maxレビュー。カメラがマシンラーニングで大幅進化したXSの真価

新iPhone「XS」「XS Max」の製品レビューをお届けする。

左がiPhone XS Max、右がiPhone XS。どちらもゴールド

アップルは昨年の「iPhone X」以来、「高級路線」を明確にしている。特に「XS Max」については、その価格に二の足を踏んでいる人も多いのではないだろうか。

それもよく分かる。では、iPhone XとiPhone XS/XS Maxはどう変わったのか? 一言で言うなら「スペックではわからない部分が変わった」のである。そして現状、その違いはカメラと動作の軽さに集中している。

今回は、前機種である「iPhone X」と、カメラ機能に定評のある「HUAWEI P20 Pro」(正確には、ドコモ版である「HW-01K」)を用意し、比較しながら検証を行なった。

サイズは過去のiPhoneと同じだが「ディスプレイが大型」に

まず外観からいこう。

ご存じの通り、この世代から、ホームボタンは完全に姿を消した。iPhone Xと同じ、画面全体をディスプレイが覆い、上部に顔認識などを担当する「TrueDepthカメラ」のあるノッチがあるデザインになった。iPhone Xも含め、XS/XS MaxともにTrueDepthカメラのサイズや機能は同じである。そのため、すべての機種でノッチのサイズは同じである。残念ながら機構も同じなので、「画面を横にしている時にはFace IDが働かない」という弱点も同じである。ここは改善して欲しかった。

iPhone XS。ディスプレイサイズは5.8インチ
iPhone XS Max。6.5インチの巨大なディスプレイが目を惹く。同じように見えるが、XSとでは壁紙のデザインが少し違う

iPhone XSとiPhone Xはディスプレイもデザインも同じであり、アンテナ分割線でしか区別がつかない。もちろん中身は違うのだが。

一方でXS Maxは、ディスプレイサイズが違うので、かなり大柄だ。とはいえ、ボディのサイズ的にはiPhone 8 Plusなどの「Plus系iPhone」とほぼ同じ。ホームボタンがなくなった分画面が大きくなった、というのが正しい。

左がiPhone X、右がiPhone XS。サイズなどはまったく変わらない

コネクタや各ボタン、インターフェースなどにも変化はない。一部には「電源アダプターの仕様がUSB Type-AからType-Cに変わる」「いや、LightningそのもがUSB Type-Cになる」などの噂もあったが、どれも間違い。本体にあるのはいままで通りLightning端子で、電源アダプターもUSB Type-Aを使ったものだ。ケーブルも従来同様である。

iPhone XSの底面。コネクターは従来通り、Lightning端子のみ

一方、噂通りだったこともある。内容物から「Lightning - 3.5 mmヘッドフォンジャックアダプタ」がなくなったことだ。併売される旧機種についても、このアダプタの同梱はなくなったようだ。3.5mmジャックを使うヘッドフォンを使う人は、別途この種のアダプタを用意する必要がある。正直ここは残念だ。

今回試用したのは新色である「ゴールド」なのだが、これがなかなかいい色だ。アップルのゴールドは、これまであまり「テカる」色ではなく、梨地でしっとり、もしくは赤みの強いローズゴールド、という感じで、ゴージャスな印象とはちょっと違った。今回のゴールドは、ブラスとゴールドの中間のような落ち着きがあり、しっかりと光沢感を出している。素材としてはステンレスなのだが、けっこう所有感を感じさせる、いいデザインだと思う。10月発売の「XR」がカラバリでポップさを打ち出しているのとは好対照である。

iPhone XS Max。ゴールドはステンレスを使った光沢仕上げ。背面はガラスで覆われている

ディスプレイ品質はiPhone X譲り、スピーカー音質が劇的に向上

まずはAV Watchらしく、AV的なところから行こう。

昨年のiPhone Xのレビューでも述べたが、iPhone Xの使っている有機EL(OLED)のディスプレイは素晴らしい。XSやXS Maxも、ほぼ同等のOLEDパネルを使っているらしく、画質は申し分ない。動画再生については、HDR10とDolby Visonに対応している点も同様だ。

だが、今年はスピーカーが変わった。アップルは「よりワイドに」と言っているが、要は音場の広がりが増し、音の精細感が上がった、ということだ。

というわけで、HDRに対応した映画を何本かチェックしてみた。

まずは、iTuens Storeで販売されている「グレイテスト・ショーマン」。冒頭から細やかな音が多く、HDRの効果もはっきりとしているので、オープニングの部分はHDRと音質をチェックするのに十分だ。

画質はどれも十分にすごい。iPhone Xは発売から1年は経過するが、これがスマホか、と真面目に感心する。XSも画質傾向は同じで、ほとんど差はないように思える。XS Maxも画質は同じだが、サイズが大きいがゆえに、非常に迫力がある。細かな描写もよりよく見える。

やはり違うのは音だ。iPhone Xでは、ヒュー・ジャックマンの歌が平板でボソボソとした感じに聞こえ、観客が踏みならす足音も固まってしまう。だが、XS・XS Maxのスピーカーでは、ヒュー・ジャックマンの歌声もしっかりとつやが出てくるし、踏みならす足音やパーカッションの分離もしっかりしている。スペースに余裕があるXS Maxの方が良好で太い音だが、XSも悪くない。気になったのでiPad Proと聞き比べてみたが、XS Maxの方が音が良かったくらいだ。

もちろん、良い音だといってもスマホのスピーカーである。ちゃんとした高価な外付けスピーカーにはかなわない。とはいえ、これだけ精細さも広がりもあるスピーカーが内蔵されていれば、ありがたいと思う人は多いのではないだろうか。

次に、Netflixで「スタートレック:ディスカバリー」を視聴した。こちらもHDR対応で、画質が良いドラマである。

HDRの効果はやはり高く、グレイテスト・ショーマン同様楽しめた。SFなので、透過光や武器のきらめきなど、「いかにもHDRが効きそう」なシーンが多い作品なので、やはり見るならHDR環境下がいい。XS Maxのディスプレイなら(もちろん、これでもテレビに比べるとサイズは小さいのだけれど)解像感も十分だ。スピーカーの音質の良さは、Netflixロゴと同時に鳴る「ドドン」というお馴染みのサウンドロゴですぐにわかる。ドラマなのでセリフの聞きやすさも重要だが、そこもiPhone Xより良好だ。

映像再生画質・スピーカーでの音質という意味では、iPhone XSシリーズは、今世の中にあるスマホで最上級といっていい。「スマホでそこにどれだけこだわるのか」という議論はあるだろうが、過去の製品に比べ、確実な向上を感じられたのは事実である。

SoCの進化で発熱低減、メモリーは4GBに

次に処理速度だ。

まずはベンチマークソフト「GeekBench 4」で確かめてみた。

XSとXS Maxは本当に中身が同じ仕様であるようで、ベンチマーク結果もほとんど変わらない。CPUの値がiPhone Xに比べ10から16%高く、GPUを中心とした「Compute」の値は46から48%高い値が出ている。アップルが発表会で示した数字と同じだ。

CPU、左からX、XS、XS Max。GeekBench 4でのCPUベンチマークの値。XSとXS Maxの差は誤差レベルだ
GPU、左からX、GPU XS、GPU XS Max。GeekBench 4での「Compute」テストの値。XSとXS Maxの差は小さい。実はCPU以上の処理性能アップだった

メインメモリーは、XS・XS Maxともに4GBと思われる。iPhone Xが3GBだったので、増量されているわけだ。

とはいえ、こうした数字からはあまり良く状況が見えない。動作が重くなるであろうAR系のアプリを実際に使ってチェックしてみた。

まず使ったのは「elemenTao」(Art of the State開発)というマルチプレイヤー対応のARパズルゲームだ。iPhone Xでももちろん動くのだが、XSと比較するとフレームレートが劣る印象だ。XSの方を見ないとわからないくらいだが、やはりGPUの差は大きいようだ。

ARゲーム「elemenTao」。ARKit2を津かった、かなり負荷の高い複雑なARゲームだ

次にテストしたのは「パペ文字」(ViRD開発)。国産のもので、Face IDを使って誰でもバーチャルYouTuberになれるアプリとして知られているものだ。こちらもiPhone XとXSで同じように動くのだが、見比べると、XSの方が明確にフレームレートがいい。そして、おそらくはインカメラの性能によるものなのだろうが、背景となる映像のノイズ量もXSの方が減っている。

バーチャルYouTuberになれる「パペ文字」。iPhone X(左)とiPhone XS(右)。XS(写真右)では負荷が低くなり、フレームレートも上がる。背景のノイズも減っているところに注目

なにより、どちらのアプリでも感じるのは「発熱がXS系の方が小さい」ことだ。iPhone Xの場合、手で持っているとフレームが数分もすればかなり熱くなってくる。iPhone XSの場合にも、もちろん発熱はするのだが、Xに比べるとゆるやかであり、スポット的な「厳しい熱」を感じにくい。特にパペ文字は、配信などのために長時間使いたくなるアプリだ。30分・1時間と使うなら、発熱は小さいに越したことはない。

処理速度の向上もだが、それ以上に、発熱傾向の変化から、消費電力の低下が期待できる、と感じられた。

「スマートHDR」で失敗しないカメラになったXS

次にカメラをチェックしてみよう。特に今回は静止画を中心に確認している。

過去のiPhoneでは「サイズが大きいとツインカメラ、小さい方はシングルカメラ」というルールがあったし、性能的にも大きいモデルと小さいモデルには差があった。だが、すでに述べたように、XSとXS Maxには性能面での差がない。違いはディスプレイのサイズだけだ。カメラについても、まったく同じ仕様のものが使われている。そのためか、撮影してみたが、XSとXS Maxでの画質差を判別することはできなかった。ここからは双方のサンプルを掲載するが、基本的に「XSシリーズはどちらも同じ」と考えていただいてかまわない。

なお、冒頭でも述べたように、比較対象して、「HUAWEI P20 Pro」(ドコモ版のHW-01K)を用意した。P20 Proはカメラ機能に定評があり、iPhone XSシリーズの対抗馬として適切だと判断したからである。

撮影はアメリカ・サンノゼと東京都内、そして横浜で行なっている。撮影サンプルについてはすべてJPEGで掲載しているが、iPhone系は撮影に使ったHEIF形式の生データも掲載する。気になる方はそちらのデータもチェックしていただきたい(iPhone XS:ZIPファイル 19.64MB))(参考iPhone X:ZIPファイル16.89MB)

撮影してまず驚いたことがある。

失敗しないのだ。

まず、このサンプルをご覧いただきたい。Steve Jobs Theaterを、iPhone XとXSで撮り比べたスナップである。ごく短時間なので1ショットしかシャッターは切っていない。スマホでは、そういう「余裕がないシャッターチャンス」も多いものだ。iPhone Xの方では光がかぶったり空が白っぽく飛んだりしているが、XSではより好ましいイメージになっている。

iPhone XS
iPhone X
iPhone XS
iPhone X

次にこちら。iPhone Xでは、ハンバーグの上の目玉焼きが白く光がかぶっている。実は机の真上にライトがある席なので、こうなりがちなのだ。それに対し、XSとP20 Proは、同様においしそうだ。

iPhone XS
iPhone X
P20 Pro

次に夜景。歌舞伎座の前だが、iPhone X・P20 Proともに少し「青白い」印象だが、iPhone XSの方が色が柔らかい。実は、XSの方が見た目に近い印象だ。

iPhone XS
iPhone X
P20 Pro

もうひとつ夜景。東京駅前だが、ライトの描写がiPhone Xは固まってしまい、XS・P20 Proはしっかりと分離して、精細感がある。

iPhone XS
iPhone X
P20 Pro

同じく夜景。これはわかりやすいだろう。iPhone X・P20 Proともにショーウインドウの中が白く飛んでしまっているが、XSのみきちんと描写されている。

iPhone XS
iPhone X
P20 Pro

次は昼間の公園。実はかなりの曇り空で薄暗く、iPhone Xはちょっとはっきりしない写りだ。それに対し、P20 Proはくっきりした緑。「草木」と認識されたためである。だが、実物はここまできつい緑ではない。XSのイメージが見た目には近い。

iPhone XS
iPhone X
P20 Pro

次に横浜。多少天気は持ち直して、空は少し明るくなった。iPhone Xはどこか煙ったような印象があるが、XSはすっきり。P20 Proも少し色合いが淡い。

iPhone XS
iPhone X
P20 Pro

こう見ると、同じような感じになるかと思ったiPhone XとXS(XS Maxも同様だ)が、かなり違った印象になっているのがわかるだろう。P20 Proも非常に健闘している。サンプルでは触れていないが、iPhone X・XSが光学2倍の切り換え式(間はデジタルズーム)であるのに対し、P20 Proは光学3倍ズーム。デジタルズームとの合わせ技で、5倍までズームできる。ここは大きな利点である。

だが、使い勝手でいうと、P20 ProとXSには決定的な差があった。

P20 Proは手ぶれや精細度アップなどの目的から、撮影後「スマホを動かさないように」という表示が出ることが非常に多い。特に暗いシーンでは顕著だ。だが、iPhone XSではそうした表示は出ない。普通にシャッターを切るだけであり、ストレスは一切感じない。

そして、「光が差し込む」ようなシーン、逆光などでも、XSは何事もなかったかのように「見た目に近い」写真を撮影してくる。他のカメラでも、設定や明るさ、フォーカスをあわせる場所を調節すれば撮影できる場合が多いのだが、そうしたことを一切知らず、何度もシャッターを切らなくても、同じように写る。

「シャッターを押すだけで撮れる」というのは、iPhoneが出て以来、アップルが目指すカメラの方向性である。他社よりカメラアプリの設定が少ないのもそれが理由だ。特に今回、アップルは、iPhoneの中に、マシンラーニングを司る「Neural Engine」と「イメージシグナルプロセッサ」の組み合わせを使い、「シャッターを押すだけでイメージに近い写真が撮れる」ことを突き詰めている。

こうした部分は、アップルが「スマートHDR」と呼ぶ機能の賜物である。いままでのHDR同様、画像を複数枚合成することによって得られる効果だが、いままでの自動HDRよりも、さらに良い効果が得られる。機能はデフォルトでオンだが、オフにする理由はあまりない。アップルの絵作りが気に入らない、自分でマニュアル的な撮影がしたい場合には、マニュアル撮影機能が豊富なサードパーティ製アプリを使った方がいいだろう。

カメラの設定。いままでは「自動HDR」だったところが「スマートHDR」になっている

なお動画についても、スマートHDRと撮影ダイナミックレンジの拡大は有効であるようだ。だがそれ以上に、撮影時の録音が「モノラル」から「ステレオ」になることの方がうれしい、という人が多いかも知れない。

ポートレートモードは劇的強化、ボケも魅力的

もうひとつの特徴が「ポートレートモード」の強化だ。ここからはモデルとして、Caoさんにご協力いただいている。

2016年発売の「iPhone 7 Plus」からポートレートモードはあるが、正直品質には厳しい声もあった。ボケ味が「決め打ち」であること、撮影対象物の輪郭がどうにも不自然であることなどが理由だ。

iPhone XSシリーズでは、ここに大きなメスが入った。Neural Engineを使ったマシンラーニングの活用の幅を広げたのである。

まず、メインのツインカメラを使ったポートレート撮影のクオリティを見ていただこう。輪郭の自然さも、ボケの感じもまったく違うのがおわかりいただけるはずだ。ボケの自然さについては、P20 Proよりも上だ。

iPhone XSのポートレートモード
iPhone XSのポートレートモード2
iPhone Xのポートレートモード
P20 Proの「ワイドアパーチャ効果」
P20 Proの「ポートレート」モード

iPhone Xのポートレートモードはボケも自然なのだが、ボケ量の調整ができない。また、すべての部分で「問題なく背景が抜けて、ボケが起きる」わけでもない。それに対し、iPhone XS系は人物の「抜き」の精度が上がり、ボケ量も調節可能。写真は、ボケ量最大時と最小時。P20 Proは「ポートレート」モード、「ワイドアパーチャ効果」ともに不自然なものになる。

ポートレートモードは「人」の撮影を中心にチューニングされており、写っているものの「深度」判定には、マシンラーニングによる「人」の認識が使われている。そのため、10月発売の「iPhone XR」はシングルカメラで深度判定が苦手だが、ポートレートモードで「ボケ」が再現できる。それに対してツインカメラのXSシリーズでは、人以外でもボケが表現できる。

ちょっと「標識」でテストしてみた。iPhone Xでは縁に少し「切り残し」があるようなイメージだが。iPhone XSではかなり自然になっている。

上がiPhone Xでの、下がXSでのポートレート撮影。縁の判定がかなり違うのに注意

ボケは後から「編集」で変更可能だ。かなり変更の幅は広い。動画で確認してもらうのがわかりやすいだろう。

ボケ調節の様子を動画で。かなりきれいに変更されるのがわかる

P20 Proでは同じものが「ワイドアパーチャ効果」として、「後から好きな場所にフォーカスを変えられる」機能として搭載されている。しかし、iPhone XSシリーズではあくまで「ボケ」の調整だ。その分、ボケの幅は「F1.4」から「F16」までとかなり広い。ちなみにデフォルトは「F4.5」になっている。

「自撮り」のクオリティも上がっている。iPhone Xでは「ライティング効果」は撮影後に変更できるもの、という位置付けだったのだが、XSシリーズではエフェクトがリアルタイムに反映され、わかりやすい。

セルフィーiPhone XS
セルフィーiPhone X
セルフィー P20 Pro

また、Phone Xではライティング効果がリアルタイムに反映されないが、XSシリーズでは反映される。

なお、P20 Proにはいわゆる「ビューティーモード」があり、肌の質感や色を変えられるのが基本になっている。だが、iPhoneにはない。かたくなにそうした機能は自分達のカメラには搭載しない。それが彼らのポリシーなのだろう。

XSのポテンシャルが発揮できるのはいつか?

さて、まとめだ。

iPhone XSシリーズは、画質がいい。カメラもいい。現在の「最高級スマホ」として十分な性能を持っていると思う。

一方で、カメラの機能をのぞくと、その本当の力が活かせる部分がまだ狭いようにも思える。AR系アプリはXSシリーズの方がいいが、「ARのためにiPhoneを買い換える」という人は少数派だろう。マシンラーニングの強さが生きてくる用途として、カメラ以外のアプリがどんどん出てくればいいのだが、今はまだ、そこが見えてこない。

また、海外では有効になっている「デュアルSIM」が、日本では対応キャリアがないためか、まだ有効になっていない。ここも、せっかくの魅力を削いでいる。

iPhone XSシリーズの問題は高価なことだ。特に、ディスプレイが魅力的なXS Maxが高いのが悩ましい。この内容なら、2・3年経っても十分トップクラスのスマホだろう。長く使うつもりで買う、という判断はアリだ。性能・内容には十分満足できるだろう。

だが一方で、「なら今買わなくても」という判断もあるだろう。特に、来月発売の「XR」が少しお値打ちなので、そちらとの価格差も気になる。

XSシリーズの真価が発揮されるアプリが出るのを待つか、それとも「登場する過程を楽しむ」のか。高いがゆえに、そこが問題である。

西田 宗千佳

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に、取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、週刊朝日、AERA、週刊東洋経済、GetNavi、デジモノステーションなどに寄稿する他、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。
 近著に、「顧客を売り場へ直送する」「漂流するソニーのDNAプレイステーションで世界と戦った男たち」(講談社)、「電子書籍革命の真実未来の本 本のミライ」(エンターブレイン)、「ソニーとアップル」(朝日新聞出版)、「スマートテレビ」(KADOKAWA)などがある。
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