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家に届いた「NEXT! 700MHz」のチラシ、これは何?

家に届いた「NEXT! 700MHz」のチラシ

SNSを中心に、「家に700MHzがどうとかいうチラシが届いた」という報告が話題になっている。一方、そんな連絡が届いていない人も多い。これはいったい何なのか? 「700MHz帯の利用」について簡単に解説する。

このチラシは簡単に言えば「見ているテレビの映像が乱れたら、コールセンターまで連絡をください」、「無料で回復作業をしに行きます」という連絡だ。

そもそもなぜ「テレビの映像が乱れる可能性があるのか?」、これにはスマートフォンの急速な普及が関係している。スマホが普及し、データ通信量が増加すると、繋がりにくくなったり、通信速度が低下するといった問題が起こる。

これらの解決のため、2012年まで地上アナログテレビ放送で使われていた電波帯で、現在の地上デジタルテレビ放送では使っていない、つまり“空いた電波帯”である700MHz帯を携帯電話で利用する施策を総務省が行なっている。700MHzは、携帯電話で利用している電波の中では、遠くまで届きやすいという特長がある。

700MHz利用推進協会のページより

問題はここからだ。当然、700MHz帯は地上デジタル放送で使用する電波帯に近接している。家やビルに設置したアンテナで地上デジタル放送を受信し、テレビを見ている環境で、アンテナからの電波をブースターの一部機種で増幅している場合、地デジ以外の電波帯も増幅してしまう場合がある。これが、映像が乱れたり、映らなかったりという、影響が出る原因だ。

そこで、受信障害が起きた家や、そうなる可能性が高い家に、対策員が訪問。確認した上で、対策作業を”無料”で実施するというのが概要だ。対策方法としては、主にフィルターの取り付け、またはブースターの交換を実施する。そのため、屋上や屋根上のほか、必要に応じて対策員が室内や屋根裏に入る事になる場合もあるという。

この対策を実施しているのが、700MHz利用推進協会。携帯電話の700MHz帯利用に伴うテレビ受信障害対策を円滑に推進し、様々な課題を解決するために設立されたもので、NTTドコモ、KDDI、沖縄セルラー電話、イー・アクセス(現ソフトバンク)の携帯電話事業者4社が設立したものだ。

前述のように、テレビの受信に影響が出る可能性のある家に、お知らせのチラシを届けているため、「SNSでチラシを見かけたが、自分の家には来ていない」という事があるわけだ。チラシが届いた場合は、記載日以降のテレビ映像に影響がないことを確認すれば良い。また、受信に影響が出る可能性が特に高い地区には、対策員が調査に行くというお知らせが届くそうだ。

記載日以降のテレビ映像に影響がないことを確認する。日付は届いた地域によって異なるようだ

あくまでアンテナで受信し、一部機種のブースターで増幅した場合に生じる問題であるため、ケーブルテレビや光ケーブルで地デジを視聴している場合や、アンテナ受信でもブースターが無い場合は、影響がない。また、BS放送やCS放送は700MHzと近接していない電波帯を利用しているため、影響はない。

なお、700MHz帯の携帯電話等の電波の影響を軽減する受信ブースターには、「DHマーク710」というマークが付いている。家を新築するなど、新しい受信ブースターを購入する際は、「DHマーク710」が付いた製品を購入するといいだろう。

JEITA(電子情報技術産業協会)、「テレビ受信環境の向上に貢献するDHマーク」より引用

気をつけなければならないのは、この700MHz利用推進の対策員を“装った”詐欺行為や悪徳商法だ。対策作業は“無料”であり、対策員が費用を請求する事や、物品などを販売する事は絶対にないという。また、対策員は身分証明書(テレビ受信障害対策員証)を所持している。不審に感じた場合はコールセンターに問い合わせると、協会の対策員かどうかを調べてくれる。

詳細やコールセンターの連絡先は、700MHz利用推進協会のWebサイトにまとめられている。チラシが届いた際は、こちらのページを参考にして欲しい。

700MHz利用推進協会のページ

山崎健太郎