2020年1月期。「映像研には手を出すな!」「空挺ドラゴンズ」など

編集Yのチェックポイント

アニメ好きの筆者が注目しているのは「ID：INVADED イド：インヴェイデッド」。三島由紀夫賞・受賞作家の舞城王太郎氏が脚本、「アルドノア・ゼロ」や「Re:CREATORS」のあおきえい氏が監督する、オリジナルSFミステリーだ。日常とそれを超えた世界が交錯する独特の世界観とハイスピードな物語展開に目が離せない作品になりそう。

「小説家になろう」で連載されているライトノベルを原作としたアニメでは「痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。」に注目。MMO RPGの世界を舞台としたアニメは沢山あるが、ユニークなのはタイトルの通り、主人公の本条楓が「痛いのは嫌だから」と不人気ジョブの大盾を選び、ステータスも防御力に“極振り”してしまう事。モンスターに攻撃されてダメージゼロ。まさかの“ノーダメージ”な大冒険の行く末が気になるところ。

「空挺ドラゴンズ」は、講談社「good！アフタヌーン」に連載されている同名コミックが原作。空を飛ぶ巨大な龍を狩る“捕龍船”とその乗組員達の旅を描いた作品で、壮大なスケールのバトルと共に、龍を狩って食肉加工したり、搾油したりと、たくましく生きる人々の生活も描かれる。原作は宮崎駿の漫画を連想させる温かみのあるタッチが特徴だが、アニメ化にあたっては「シドニアの騎士 第九惑星戦役」や「BLAME!」で副監督を務めた吉平"Tady"直弘氏が監督、アニメ制作はポリゴン・ピクチュアズが担当し、3DCGアニメとして誕生。映像表現にも期待大だ。

可愛い人間の少女・ソマリと、森を守護するゴーレムの“おとうさん”。2人の厳しくも、愛らしい旅を描く「ソマリと森の神様」にも要注目。異形達に支配され、人間が迫害された不思議な世界や、そこで出会うキャラクター達も魅力的だ。

個人的に今期のナンバーワン注目作は「映像研には手を出すな!」。3人の女子高生達が、アニメ作りに打ち込む物語だが、“現実のアニメスタジオの舞台裏”的な作品ではない。テーマとなっているのは、絵によって動きを生み出すアニメーターや、設定を考え、自らの空想した“最強の世界”をアニメというカタチで出力したいともがく監督、どうすればそのアニメを完成できるか、資金・設備・スケジュール、そして生み出す利益を考えるプロデューサー。“業”にも近いこだわりや、産みの苦しみ、そして喜び自体がテーマになっており、それを体現した3人が暴走を開始する。全クリエイターの胸をえぐるような作品だ。アニメを生み出す3人をアニメ化するのは、飛ぶ鳥を落とす勢いの湯浅政明監督×サイエンスSARU。