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4K/HDRプロジェクタが14万円以下。ViewSonic「PX727-4K」で映画&ゲーム新体験
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- ViewSonic
2018年5月29日 08:00
Ultra HD Blu-ray(UHD BD)が本格的に立ち上がってから約2年。新作・旧作を問わずUHD BDはタイトル数を増やし、各種映像配信も高画質化が進んだことで、「4K/HDR」というキーワードはだいぶ浸透したように思う。その4K/HDR映像を、より大きな画面で楽しむ方法の一つがプロジェクタによる上映だ。
昨今のテレビは一部を除き、大半のモデルが4K/HDRに対応。PC用のモニターでも同様に対応モデルが増えてきた。
一方、テレビを超える大画面でこそ4K/HDRの恩恵を享受したいというニーズも間違いなく存在する。最近ではプロジェクタでも4K/HDRに対応する比較的安価なモデルが多数登場してきており、「超大画面での4K/HDR」という夢を実現するハードルは以前に比べてかなり低くなった。
今回はそのようなプロジェクタの中から、ViewSonic(ビューソニック)のDLPプロジェクタ「PX727-4K」を取り上げ、実際の画質や使い勝手を紹介する。
PX727-4Kの魅力はずばり「価格」。実売価格は139,800円(税込)で、“安価な4K/HDR対応プロジェクタ”の中でもひときわ低価格だ。これもはや4K/HDR対応液晶テレビのエントリーモデルと同等。PX727-4Kはプロジェクタなので、壁に投写するのでなければ別途スクリーンが必要になるが、「超大画面での4K/HDR体験」を一気に身近にするモデルと言っても過言ではないだろう。
なお、COSTCO専売モデルとして「PX747-4K」も同価格で用意されている。PX747-4Kは明るさ3,500ルーメンを実現しており、PX727-4Kに比べて高輝度を求める用途に向いており、明るいリビングなどでの利用に適した製品だ。
PX727-4KはフルHD解像度の0.47型DMDチップを搭載しており、それを時分割で表示する「XPR」という技術を用いて4K 830万画素の表示を実現。いわゆる「ネイティブ4K」のデバイスではないのだが、全米民生技術協会(CTA)が定める4K UHDの基準を満たしている。ただ、大切なのはどのような技術を使っているかではなく「実際にどのような画を見せるか」だ。
天吊りもできるコンパクトな本体。スピーカーも内蔵
PX727-4Kのサイズは332×261×135mm(幅×奥行き×高さ)と、4K/HDR対応プロジェクタとしては非常にコンパクト。重さも約4.2kgと軽量で、持ち運びが容易なだけでなく、天吊りの際も有利に働く。
投写レンズは正面右側で、その上にズーム/フォーカスリングがある。
天面には各種操作ボタンと電源ボタンがあり、後述のリモコンを用いなくても本体側で一通りの操作を行なえるようになっている。本体左右には放熱のためのスリットがある。
台置きの際は手前と正面左奥の脚部が調節可能となっている。
主な接続端子としてHDMIを2系統、「COMPUTER IN」の名称でミニD-sub 15ピンを1系統、ミニジャックのオーディオ入出力を備える。HDMI入力はHDMI1のみがHDMI2.0(HDCP 2.2)に対応し、UHD BDプレーヤーなどの4K/HDR対応機器はこちらに接続することになる。ちなみにPX727-4Kに付属するケーブルは電源ケーブルだけなので、HDMIケーブルは別途ユーザーが用意する必要がある。
PX727-4Kは本体に出力10Wのスピーカーを搭載しており、別途オーディオシステムを用意せずともコンテンツの音声を再生できる。それなりの音量を出すことができ、なおかつ最大音量にしても気になるビビり音は生じないので、カジュアルな視聴スタイルでは重宝するだろう。
付属のリモコンはバックライト搭載型。いずれかのボタンを押すことで一定時間点灯する。バックライトを点灯させるためのボタンは特に用意されていないので、とりあえず場所のわかりやすい「Enter」あたりを押すのが良いか。一部の画質調整項目や映像モードをダイレクトにアクセスできるボタンが用意されており、リモコンの使い勝手は上々。
PX727-4Kは4K/HDRを安価で実現したかわりに、レンズシフトを省くなど、設置性に関しては限られた部分もある。
スクリーンサイズが100インチの場合に必要な投写距離は約3.25m~3.90m。他のホームシアター用プロジェクタに比べると、画面サイズに対する必要な投写距離が少々長い。
映像はプロジェクタの天板方向に投写されるため、設置はサイドテーブル的な台に置くか、天吊りするかの二択になる。台置き(フロント投影)または天吊りの切り替えはメニューの「設置」から行なう。なお、投写映像の下端(天吊り時は上端)は、スクリーンサイズの縦幅の10%ほど光軸からオフセットして表示され、120%の補正が可能。それを踏まえて設置位置を考えるといいだろう。
2,200ルーメンという高輝度を実現していることもあって、ファンノイズはランプモード「標準」で33dB、「Eco」で29dB、後述する「サイレンス」モードで27dBと少し大きめ。台置き時は必然的に視聴位置とプロジェクタが近接することになるが、「サイレンス」モード以外では、人によっては気になるかもしれない。
メニューは「ピクチャー」、「表示」、「設置」、「システム設定:基本」、「システム設定:詳細」、「情報」という項目から成る。
画質調整以外で重要といえる設定項目は「サイレンス」、「ランプ設定」、「HDR」、「HDMI設定」など。
画質モードは「Bright」「Standard」「Movie」「User1/2」が用意されている。
「Bright」はプロジェクタを明るい部屋で使用する場合に使う高輝度モードとのことだ。筆者の環境では、緑が強い傾向が出たので使わなかったが、どうしても明るい部屋で使いたい場合は試してみるといいだろう。
「Standard」はその名の通り最も標準的な画調で、とりあえずこれを基準に好みの画に追い込んでいくのがいいだろう。
「Movie」はユーザーガイドによれば「やや暗めの部屋で」使うモードらしいのだが、実際は「Standard」よりもハイコントラストかつ色も濃い設定であり、他のディスプレイにおけるいわゆる“ムービーモード”とは少し趣が異なる。
画質の詳細設定の中には「ガンマの設定」、「色温度」、「3Dカラーマネジメント」、「MoviePro」が用意され、「MoviePro」からは「カラーエンハンス」、「スキントーン」、「超解像」を設定できる。
「カラーエンハンス」は全体的な彩度を調節する項目でPX727-4Kは初期設定では発色が薄めということもあり、積極的に使ってもいい印象を受けた。
「スキントーン」は肌の色合いを調節する項目で、数値を増やすと肌に白さと赤みが増す方向になる。これも好みで活用したい。
「超解像」はシャープネスとあわせて最適な解像感を得るために使いたい。ただ、PX727-4Kは元々解像感に優れており、超解像の数値を増やしすぎると細部の輪郭が破綻してしまうので、活用は程々にしたい。
「表示」から「サイレンス」をオンにすると、ランプモードが自動的に「Eco」になり、さらにPX727-4K を4KプロジェクタたらしめているXPR技術もオフになる。そのかわり、モード名に違わずファンノイズがほとんど気にならなくなるレベルにまで低減される。しかし、XPRがオフになると4KからフルHD表示に変わり画質低下が生じるので、よほど静かな環境で見たいか、あるいはHD以下のソースを見る時以外は使わなくていいだろう。
UHD BD映画など“現実以上”の映像体験
PX727-4Kが映し出す画の第一印象は、端的に言って「凄く明るい」。明るさ2,200ルーメンというスペックは伊達ではないようだ。
筆者はシアタールームに'11年発売の他社製プロジェクタを設置している。既に長い期間利用しているため、ランプがへたってきている可能性を考慮に入れても、PX727-4Kの画の明るさは次元が違う。むしろ、ほぼ完全暗室の筆者のシアタールームで使うにはいささか明るすぎると感じるほどであり、完全に暗くするのが難しい環境であっても、明るさが不足することはまずないと思われる。少し照明を落とした部屋でスポーツ観戦をするといった用途でも活躍しそうだ。
そしてこの絶対的な明るさは、HDR特有の高輝度表現とすこぶる相性がいい。
UHD BD「トランスフォーマー/最後の騎士王」のチャプター17。海中から浮上した宇宙船の上でオプティマス・プライムとハンブルビーが戦うシーン。舞い散る水しぶきとまばゆい日差しを浴びながら躍動する金属の巨体というハイライトの乱れ撃ちとでも言うべきシーンで、PX727-4Kは見事なHDR表現を見せ付けた。普段有機ELテレビでUHD BDを見ている筆者からしても、十分すぎるほどの鮮烈な光の表現ができていた。
解像感も優秀であり、HDプロジェクタとは一線を画する明瞭なイメージが得られている。HDから4Kという高解像度化の恩恵は、テレビ以上に画面サイズの大きいプロジェクタの方が、より強く感じられる。
「オリエント急行殺人事件」や「君の名は。」など、実写・アニメ・フィルム撮影・デジタル撮影問わず様々なUHD BDを見てみたが、PX727-4Kの真価はやはり高輝度を活かした、明るいシーンにおける鮮烈なHDRの表現だと言えそうだ。視界を覆う画面サイズ、HDRにより一気に現実感を増した光の表現、4Kの解像感と豊かな情報量による、ある意味で「現実以上に現実らしい」映像体験が実現する。
BDなど4K/HDRではないソースを再生しても、PX727-4Kは持ち前の解像感と明るさを活かした力強い映像を見せてくれる。またXPR技術のおかげか、デジタル制作のアニメの輪郭線が非常に滑らかに描かれているのが印象的だった。
黒の沈み込みはそれなりで、動的レンズ絞りといった機能も搭載しないため、黒浮きは多少気になる。とはいえ、暗部の表現力自体はなかなかに優秀だ。
UHD BD「マリアンヌ」のチャプター13。夜間に空襲を受けるシーン。闇夜に浮かび上がる人々や街並みの情報量を潰さずしっかりと描き出し、持ち前の高輝度を活かして対空砲火や炎上する爆撃機の閃光を両立させることで、立体感に富む画を実現できていた。
単板DLPプロジェクタを使う時に、カラーブレーキング(色割れ)が気になる場合がある。これは人によって見えたり見えなかったりするものだが、筆者が今回試用した範囲では、実際の映像よりもむしろ字幕で見えた。UHD BDに収録される字幕はどれもこれも非常に高輝度なので、そのせいもあったのだろう。筆者が使用しているPanasonicのUHD BDプレーヤー「DMP-UB90」は字幕の輝度を調節できるので、輝度を落とすことでカラーブレーキングは低減された。
ゲームでHDRの効果が絶大。「ゴッド・オブ・ウォー」を高画質でプレイ
さて、映画以外の4K/HDRコンテンツとして忘れてはならないのが「ゲーム」である。PX727-4Kの実力を試すべく、筆者が遊んできたゲームのなかで最上級のグラフィック&HDR表現を魅せるタイトルであるPlayStation 4の「ゴッド・オブ・ウォー」をプレイしてみた。
HDRの効果は絶大である。
画面を飛び交う魔術的な光や木々の合間から差す陽光の眩しいほどの輝き、主人公や様々なキャラクターが身に着ける武器や鎧といった金属の鋭いハイライトは、本来虚構であるゲームの世界に強い現実感をもたらしている。また、光の表現だけでなく色彩もHDRの恩恵を大きく受けている。試しにPX727-4Kの設定でHDRをオフにしてみると、一気にコントラストが弱まって色も抜け落ち、なんとも平面的でメリハリのない画になってしまうほど違いがあった。
ディテールの表現力も素晴らしい。「ゴッド・オブ・ウォー」は画質優先モードでは4K出力に対応しており、数あるPS4タイトルの中でもトップクラスのグラフィックを実現している。PX727-4Kは背景や武具のテクスチャーなど、緻密に描き込まれたディテールが潰れることなくしっかりと映し出されており、4K解像度の豊富な情報量をいかんなく表現できていた。ちなみに、ゲームプレイで心配していたカラーブレーキングは意外なことにあまり感じられなかった。
「100インチの大画面かつ4K/HDR環境でゲームを遊ぶ」というのは、筆者にとっても初めての体験であり、テレビを越える画面サイズと圧巻の映像表現が同居する様は、ゲームの新たな地平を感じさせるものだった。PS4に関して言えばノーマルモデル・Proを問わず全機種がHDRに対応しているので、PS4ユーザーであれば是非HDR環境でのゲームを体験してほしいと思う。
安価に手に入る大画面で、鑑賞の楽しさが増大した
実際に映画やゲームなど、様々なコンテンツを使ってPX727-4Kの実力を見てきた結論は、「明らかにHD環境とは別次元の画が得られる」というものだった。
PX727-4Kは投写距離の長さやレンズシフトがない点など、安価な製品ゆえの割り切りも確かにある。しかし、ひとたびPX727-4Kが映し出す画を見れば、容易に吹き飛んでしまう。それだけ、PX727-4Kの画質的なインパクトは大きかった。
UHD BDにせよ、ゲームにせよ、せっかく4K/HDRの高画質なコンテンツがあっても、それを見られるディスプレイがなければ宝の持ち腐れである。
一方で、プロジェクタが実現する「大画面」には、純粋な画質とはまた違った大きな魅力がある。映し出されるものがなんであれ、「大画面」というのはそれだけで映像鑑賞の楽しさを増大させる。
PX727-4Kは、「最先端の画質」と「大画面ならではの楽しさ」を両立する「安価な4K/HDR対応プロジェクタ」として、多くの人におすすめできる製品だ。