トピック

“プロジェクタの1つの到達点”4K画質と使い勝手を両立、JMGO「N1S 4K」に感動した

JMGO「N1S 4K」

自宅で大画面を楽しめるプロジェクターは、グッと身近なものになった。ペットボトルより少し大きいくらいのコンパクトサイズで、フルHD解像度に対応し、価格も10万円以下と手頃な製品が増えたからだ。

ただ、こうしたエントリー向けお手軽プロジェクターは、大画面を楽しむ入口としては良いが、日々活用していると「映像クオリティ」や「セッティングなどの使い勝手」に不満が出て、次第に使わなくなってしまう……“安物買いの銭失い”になることが珍しくない。

そんな、プロジェクターをちゃんと活用したい人にオススメの、4K解像度の「クオリティ」と、ジンバル装備の「使い勝手」を高い次元で両立した注目機が登場した。JMGOの「N1S 4K」(194,480円)だ。

JMGO「N1S 4K」

シームレスな台形補正、ポンと置くだけでセッティング完了

まずはN1S 4Kの概要について簡単に紹介しよう。

JMGOはプロジェクター「N1S」シリーズを展開しているが、N1S 4Kはその中でもスタンダードモデル(かつ4K入門機)に位置づけられる。シリーズのラインナップは上から順に、「N1S Ultimate 4K」、「N1S Ultra」、「N1S Pro」、「N1S 4K」、「N1S」、「N1S Nano」という構成だ。

左からシリーズ最上位のN1S Ultra、そして今回紹介するN1S 4K。N1S 4Kが一回り小さいのがわかる

N1S 4Kの最大の特徴は、「ジンバル一体型リアルタイム映像補正システム」の搭載だ。これはJMGOプロジェクターの代名詞とも言える機能であり、「使い勝手」の問題を解決する大きな要素となっている。

プロジェクターを天吊りで固定できる家庭は少なく、一般的には使用するたびに持ち出し、設置しなければならない。それなのに安価なモデルでは、角度調整ができなかったり、自動台形補正の精度が低かったりと、セッティングに手間がかかることが多かった。ハッキリ言うと、これは「使い勝手が悪い」と思う。

N1S 4Kは、4K/HDR対応プロジェクターとしてはトップクラスにコンパクト。男性なら片手でも簡単に持てる重さで、ジンバルの台座部分が取っ手も兼ねており、持ち運びもしやすい。これなら見たい時に持ってくるのも苦にならない。

ジンバルが取っ手にもなり、持ち運びやすいN1S 4K

さらに、ジンバルにより上下127度の角度で調整できる。左右方向は本体ごと動かせばいいので、実質360度の調整が可能だ。本体が小さいこともあり、設置の自由度が非常に高い。

本体はコンパクトで、大幅な角度調整も可能で、設置場所を選ばない

加えて強力なのが、「シームレス補正機能」だ。これはつまり、「リアルタイムに動作する高精度な自動台形補正&オートフォーカス機能」のこと。その効果は凄まじく、本当にリアルタイムに補正が効く。ちょっとプロジェクターの角度や置く場所を変えても再調整の必要はなく、ピントのあった四角い大画面が投写され続ける。

細かいことは気にせず適当にポンと置いて、電源を入れたらそれでセッティング完了。本当に手間いらずだ。“大画面を映し出すまで”のハードルを大きく下げたことが、N1S 4Kの大きな魅力だと思う。

机の上に適当に置いて、電源を入れただけで……
すぐに歪みのない大画面が投写される。プロジェクターの位置やジンバルの角度を変えても、ほぼリアルタイムに補正される

ジンバルによって真上を向かせる事もできるので、例えば、ベッド脇のサイドテーブルにN1S 4Kを置いて、天井に映像を投写し、寝たまま映画を楽しめる事だってできてしまう。天井へ投写した時も、当然瞬時にピントがあい、斜めからの投写であっても画面の歪みも一瞬で補正される。

ベッド脇のサイドテーブルに置いて、上を向かせると……
このように天井がシアターに!
寝たまま映画などが楽しめるので超便利だ

ちなみに、N1S 4KはOSにGoogle TVを搭載しているので、プロジェクター単体でNetflixやAmazon Prime Video、Youtubeなどの公式アプリが使える。CPUも最上位モデルのN1S Ultimate 4Kと同等のものを積んでいいるので、ホーム画面やメニューがサクサク動作する。安価なプロジェクターでは、こうした操作面でストレスを感じることも多いので、N1S 4Kはそうした面でも“ストレスフリー”な本格的プロジェクターだ。

明るく色鮮やかな大画面は感動モノ

JMGOプロジェクターのもう1つの代名詞が、「3色レーザー光源」だ。これは日亜化学工業の小型モジュール「QuaLas RGB」と自社開発の「MALCエンジン」によってホームプロジェクターにおける実用化を果たしたもので、BT.2020を110%カバーする広色域、1,100ルーメン(ISO)の明るさ、ΔE<1の正確な色再現性、1,600:1の高コントラストなどを実現する画質的メリットを持つ。

日亜化学工業の小型モジュール「QuaLas RGB」

さらに、光の均一性は業界平均を上回るという96%以上を達成。レーザー光源の弱点であるスペックルノイズを97%以上除去するなどの追い込みにより、投写映像の品質向上を図っている。

では、この3色レーザー光源を用いたN1S 4Kでは、実際にどのような「クオリティ」が得られているのか。

真っ先に感じられるのは、明るさだ。昼間に部屋の照明を落とし、窓から少し光が差し込んでいる環境でも十分に鑑賞できる。ニュースの映像や、好きなYouTube動画などを“ながら見”するような時には、これで何の問題もない。この状態では流石に黒の細部を見通すことは難しいが、それでも明暗のコントラストがしっかりと出ている。

カーテンなどを引いて、暗い環境にすると、その明暗のコントラストはさらに際立つ。夜景のシーンでは建物の明かり同士が混じり合ってぼやけてしまうことなく、それぞれが煌々と輝く様と、その光が落とす影との対比を見て取ることができた。比べるのも申し訳ないが、安価なプロジェクターとは段違いの表現力だ。

スクリーンではなく、白い壁に投写しても十分に明るい映像が楽しめる
部屋を真っ暗にせず、カーテンから陽の光が差し込んでいるような状況でも十分映像を鑑賞できる

映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』では、やはりデロリアンが走り抜けるシーンの稲妻、炎の轍の眩しさが際立つ。こうしたシーンで光の中のディテールまでわかるのは、N1S 4Kが優れている証拠だ。

また、色鮮やかであることも特筆すべき点となる。鮮やかと言っても原色がハッキリしているということではなく、淡い色合いも階調豊かに描き出すのがポイントだ。これも安価なプロジェクターでは再現できていないことが多い。さらに、この色彩表現に4Kらしい解像度が合わさって、服の装飾など細かな点までしっかりと描写できている。

3色レーザー光源の明るさと色の再現性が遺憾なく発揮された大画面は感動モノ

清掃作業員の静かな日常が描かれた『PERFECT DAYS』は、車を運転する役所広司の横顔の陰影、時折差し込まれるモノクロのシーンなど、黒の描きわけができなければニュアンスが潰れてしまうようなシーンが多いのだが、その繊細な描写もあっさりとこなしている。早朝の太陽が差し込む室内、植物の成長を促すライト、浅草の地下街など、様々な光源がシーンごとに異なる色彩をもたらしているが、そのどれもがにじみなく鮮明だ。

なお、この作品では縞模様がある建物が登場するのだが、モーション補正が入っていると歪みが発生してしまう。この機能は作品ごとに切り替えてもいいとは思うが、主に「低」もしくは「オフ」にしておくと違和感がないように思う。

モーション補正の効果調整や、OFFにすることも可能
より細かく、色合いなどをユーザーが調整することもできる

また今回、映像モードに新しく「ソフト」が追加された。これは邦画をより自然な色合いで投写することを目指したモードとのことで、デフォルトとなる「標準」モードより全体的に色調が柔らかくなるようだ。わずかにセピア感が出てきて“らしさ”が増すような印象がある。映像モードは「標準」「映画」「ソフト」の3つを中心に、好みから選択するという使い方がオススメできる。

N1S 4Kは本体にスピーカーを内蔵しているので、プロジェクターだけで映画が楽しめる。

ある程度までボリュームをあげても筐体がビビる事はなく、中高音が耳に刺さらない。これだけコンパクトだと、排熱の問題でどうしてもファンの音が目立つのではと心配になるが、それがほとんど聞こえないのも良い。これならN1S 4Kだけで、十分に迫力ある映像鑑賞が楽しめるだろう。

もちろん、サウンドをクオリティアップしたい時は、Bluetoothスピーカーへサウンドを飛ばすことも可能だ。

内蔵スピーカーのサウンドモードは、標準/音楽/映画/スポーツの4種が用意されている。なかでも映画モードは、中低域が引き上がり、迫力とセリフの聞き取りやすさが向上する。映画モードをメインに使っていくのが良さそうだ。

サウンドモードも調整できる

大画面でのゲームも楽しい。最近は自宅の55型テレビでゲームしていて、面白くはあっても感動はなかったが、プロジェクターのキレイな大画面でゲームをすると、その迫力に感動した。

自分でキャラクターを操作することで、映画とはまた違った没入感があるが、画面サイズに比例してその没入具合が高まると思う。台形補正およびモーション補正が効かなくなる代わりに17m/s(通常は35m/s)を実現する「超低遅延モード」も備えているので、ゲーム中はこれも活用したい。FPSのようなシビアな操作を求められるタイトルでなければ、低遅延モードを使わなくともなんの問題もなくプレイできるはずだ。

大画面という要素がゲームの面白さをアップしてくれる

シリーズ最上位はさすがの実力

ここまで、4K対応のエントリーであるN1S 4K(194,480円)を使ってきたが、同時に発表された、シリーズの新フラッグシップモデル「N1S Ultimate 4K」(397,980円)の存在も気になるところだ。価格に大きな違いがあるが、“最上位モデルの映像”はどんなクオリティなのだろうか。

N1S Ultimate 4K

投写されたN1S Ultimate 4Kの映像は、まさに圧倒的な描写力だ。大画面のどこを見ても解像感に不足を感じない。

N1S Ultimate 4Kの映像は、N1S 4Kを超える圧倒的な描写力
左がN1S 4K、右がN1S Ultimate 4Kの白映像。明るさの違いがハッキリとわかる

N1S 4Kと比べると、明るさの違いがハッキリとわかる。海外の海辺の風景では、太陽の光が本物のように眩しく感じられるほどだ。建物に刻まれた年月の汚れ具合も明瞭で、リアリティがある。そして海の波の動き、青のグラデーションが滑らかなことにも惚れ惚れする。

明るさがあるため、太陽の光が眩しく、映像により臨場感がある

本体が大きいため、内蔵のスピーカーによるサウンドも、N1S 4Kより低音が出てくる。

その一方で、白い壁への投写では、N1S Ultimate 4Kの明るさが邪魔をしてしまい、投写映像が白く靄がかって見える。スクリーンによって黒が沈み込むことで、本来の実力が発揮されるような印象だ。ストレートな言い方をすると、壁写しするにはもったいない。N1S Ultimate 4Kを使うのであれば、スクリーンと組み合わせたいと感じた。

N1S Ultimate 4Kを使うのであれば、スクリーンと組み合わせたい。天吊だけでなく、スタンドタイプでも良い

なお、スクリーンと言えばN1S Ultimate 4K、およびN1S Ultraとのセット販売で、Bloomsbury Lab製の「リバティワイド」というスクリーンも発売される。このリバティワイド軽量で、壁に取り付けたネジに引っ掛けて、“壁掛け”もできる。

さらに、2.1chスピーカーを内蔵しており、画面から音が出てくるため、より没入感のある視聴体験ができる。このスクリーンにN1S Ultimate 4Kで投写すると、ほぼ“壁掛けテレビ”を見ている感覚で、照明がONになっている部屋でも十分に映像が楽しめる。

N1S Ultimate 4KおよびN1S Ultraとのセット販売を予定するBloomsbury Lab製スクリーン「リバティワイド」。2.1chスピーカーを内蔵しており、画面から音が出てくる
壁掛け設置も可能だ
リバティワイドに投写した映像。ほぼ“壁掛けテレビ”のように使え、照明がONになっている部屋でも十分映像が楽しめる
このリバティワイドのスクリーンは特殊な加工が施されており、上からの光は反射させにくく、正面や下からの映像は反射させやすい。つまり、天井の照明の光の影響を抑えつつい、正面や真下に設置したプロジェクターからの映像をクリアに見せられるようになっている

買っても後悔しないプロジェクター

N1S 4Kの価格は194,480円と、プロジェクター入門として買うにはちょっと勇気がいる価格かもしれない。だが、その明るい映像や、セッティングのしやすさ、サクサク動作といった魅力は、日々プロジェクターを活用する頻度を増やす事に繋がり、結果的にN1S 4Kは“銭失い”にならないはずだ。

それだけN1S 4Kは、「使い勝手」と「クオリティ」の両面が高水準にまとめられている。大画面投写のハードルを下げてくれる、ホームプロジェクターの1つの到達点とも言っていい。

大画面ホームシアターの楽しさと難しさを知っているからこそ、プロジェクター選びには慎重になることをオススメしたい。ただ、買って後悔しない選択肢の1つとして、N1S 4Kのことは覚えていて損はないだろう。

N1S Ultimate 4K、N1S 4K
小岩井 博

カフェ店員、オーディオビジュアル・ガジェット関連媒体の編集・記者を経てライターとして活動。音楽とコーヒーと猫を傍らに、執筆に勤しんでいます。