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レグザ新時代がキタ!日本第一号RGB Mini LEDテレビ「ZX1」の映像凄すぎた

タイムシフトマシン搭載RGB Mini LED液晶レグザ「116ZX1R」

自称“大画面☆マニア”の筆者は、1990年代から100V型クラスの大画面環境を導入し、その時から現在に至るまで、継続的に「100V型オーバーのホームシアター生活の素晴らしさ」を説いてきている。

しかし最近、筆者がそれまで信じてきた“ホームシアター構築の定番公式”が変わり始めるていることに気が付いた。

これまで100V型オーバーの大画面環境といえば、プロジェクター機器で構築するのが定説であった。

ところが、北米地区では2020年頃から、日本でも2023年からプロジェクターに変わる“新しいソリューション”が台頭してきた。それが、直視型の100V型テレビの登場だ。

この100V型クラスの大画面テレビに力を入れているのは、もっぱら海外メーカー勢が多いが、2024年から日本ブランドの“レグザ”が、このフィールドに参入してきた。筆者の連載「西川善司の大画面☆マニア」においても、100V型レグザ初号機「100Z970M」を2024年に取り上げている。

Mini LED液晶レグザ「100Z970M」

連載では、ホームシアター構築を筆者に相談してきた友人が100V型レグザを選ぶ顛末、そして実際にそれを購入した友人宅で行なった画質レビューを記した。

新スタイルのホームシアター構築に興味がある方は是非とも、上記記事を参考にして欲しいが、本稿でも「友人がどうしてプロジェクターを選ばなかったのか?」について要約して伝えることとしたい。

理由はシンプルで、この友人の新居は、窓数と窓面積の大きいリビングだったので、完全遮光環境を作り出すのが困難だったから。つまり、日中はどうしても屋外光が強く差し込んで室内が明るくなりがちなのだ。

つまりプロジェクターの映像はどんなに高輝度モデルでも、映像の黒レベルが“室内の暗さ”に相当してしまうため、日中のプロジェクター使用は、高画質なハイコントラスト映像が楽しみにくくなってしまう。

そんな悩み相談を受けているタイミングで、100V型レグザが登場したわけだ。

レグザはプロジェクター製品も手掛けてはいるが、明るいリビング向けのホームシアターにも最適な大画面テレビにも力を入れており、現在なんと5モデルもの100V型級製品をラインナップしている。

  • RGB Mini LED液晶レグザ「116ZX1R」(116V型)
  • Mini LED液晶レグザ「110Z990R」(110V型)
  • Mini LED液晶レグザ「100Z970R」(100V型)
  • Mini LED液晶レグザ「100Z770R」(100V型)
  • 液晶レグザ「100E670R」(100V型)

「どうせお高いんでしょう?」と、あきらめることなかれ。2025年モデルの中には、100V型で約66万円前後(市場想定価格)の「100E670R」もラインナップされている。絶対価格としては“安い”とは言い難いが、画面サイズを考えれば、相対的にはとんでもなく安い。

そんな100V型クラスの大画面製品に力を入れるようになったレグザは、2025年末、さらに製品ラインナップを拡充した。特に業界やAVファンから注目を集めているのが、先進の液晶バックライト技術を採用したフラッグシップ機「116ZX1R」だ。

市場想定価格は、660万円前後。最新技術を全て投入しただけあって、100E670Rよりもだいぶお高い。しかし、TVS REGZAの気合いの入り具合が凄いことは伝わってくる。

ということで、本稿では116ZX1Rの魅力を解説するとともに、本製品の企画・開発に関わったTVS REGZA技術陣らの立会いのもと、実機を見た感想をお届けしたい。

116ZX1Rを視聴する筆者
取材当日は、116ZX1Rの企画・開発に関わったTVS REGZA技術陣からもレクチャーを受けた。写真左から、TVS REGZA 商品企画部 シニア プロダクト プロデューサーの槇本修二氏、R&Dセンター ビジュアルコア技術ラボ グループ長の杉山徹氏、R&Dセンター副センター長の山内日美生氏

劇的な技術躍進を遂げる液晶バックライト技術

今回取り上げる「116ZX1R」は、レグザブランド製品としては最大サイズとなる116V型だ。なお、2024年モデルの最大サイズは110V型(「110Z990R」)であった。

前出の連載で取り上げた100Z970Mを含め、100V型クラスの大画面系レグザはVA型もしくはIPS型液晶パネルを採用した液晶テレビだ。

RGB Mini LED液晶レグザ「116ZX1R」

大画面テレビと言えば、多くのメーカーが今や有機ELモデルの方を上位モデルに据えている。大画面テレビの世界に有機ELパネルが採用され始めたのが今からおよそ10年前の2015年頃。この10年間で、有機ELテレビも進化し、自発光画素の優位性を活かした画質に熟成した。

登場当初は「暗い」「暗部階調が汚い」といわれていた有機ELも今や過去のものとなり、画質的には有機ELテレビが液晶テレビを上回ることが多くなってきたのは事実。

では液晶テレビの進化は止まってしまったのか?

いや、そうでもない。

近年は、液晶パネルの駆動技術が強烈な勢いで発展。今や液晶の応答速度(応答時間)は、かつては遅いといわれたIPS型液晶モデルですら1msに到達した。「ゲーミングモニターはTN型液晶の独壇場」と言われたのも過去のこと。いまやVA型もIPS型も1msクラスの応答速度に到達している。

そして、特に近年、劇的な技術躍進を遂げているのがバックライト技術だ。

液晶パネルにおいて、液晶サブピクセルが行なえるのは「光をどれくらい通すか?」の制御だけ。画素そのものが発光する有機ELパネルとは異なり、液晶パネルは光源が必要となる。この光源ユニットこそが、液晶パネルの背後(バック)から、光を照射する「バックライト」だ。

液晶パネル技術の進化は、バックライト技術の進化でもある。

近年、台頭してきたのはMini LED技術。液晶パネルの裏に、びっしりと「小型サイズのLEDチップ」(Mini LED)を、ミリメートル(mm)スケールで敷き詰めたバックライトを用いる技術である。

バックライトが、CCFLからLEDチップに置き換わり始めたのは2000年代後期。この頃は、直下型LEDバックライトシステムを採用したモデルでも、LEDチップの実装間隔は数センチ(cm)スケールだったので、近年のMini LED技術はその光源実装密度が格段に上がったことになる。

LEDチップの実装密度が上がれば、表示映像の明暗分布を的確に再現できることに繋がる。

理屈上、このLEDチップの実装密度を、画素密度にまで引き上げることができれば、有機ELパネルの自発光画素に肉迫させることができるわけだが、もちろん、それはコスト面で現実的ではない。しかし、Mini LED技術のようなバックライト技術の進化の方向性としては、この理屈に近づくことを目指しているのは事実だ。

そして近年まで、このMini LED技術には、白や青といった“単色のMini LEDチップ”を用いることが主流になっていた。

特に上級機クラスでは、あえて青色LEDチップを採用し、これに赤色量子ドットと緑量子ドットを組み合わせることで、純度の高い三原色からなる白色光を生成して、液晶パネルに照射する方式を採用している。

“実”光源として青色のMini LEDチップを使うのは、赤緑青の三原色の中では青色の波長が一番短いからだ。

量子ドットの光波長変換は、波長の長い色から波長の短い色へ変換するアップコンバージョンよりも、波長の短い色から波長の長い色へ変換するダウンコンハージョンの方が変換効率が圧倒的に良い。平易にいえば、変換時のエネルギーロスが少なくてすむわけだ。

つい最近まで、この「青色Mini LED×量子ドット」という組み合わせこそが“液晶パネル向けバックライト技術の究極形”だったのだが、ここにきて新たな技術的ブレークスルーがもたらされることとなった。

それが「RGB Mini LED」であり、今回取り上げる116ZX1Rこそ、日本初のRGB Mini LED技術搭載テレビなのだ。

RGB Mini LEDと従来のMini LEDは何が違うのか?

青色Mini LEDに量子ドット技術を組み合わせ、雑味のない純白光を光源にできる「青色Mini LED×量子ドット」技術。

これで十分な気がする方も多いと思う。

RGB Mini LEDは、量子ドット技術を活用しないことの引き換えに、1つのMini LEDパッケージに赤・緑・青(RGB)各色を内包している。

つまり、RGB Mini LEDでは、青色の単色Mini LEDだった部分で直接、赤緑青の三原色の純色光を焚けることになったわけだ。

「青色Mini LED×量子ドット」技術のバックライト
RGB Mini LEDを搭載した116ZX1Rのバックライト
RGB Mini LEDのチップ
個別発光されるRGBに偏りがでないよう、RGB Mini LEDチップが90度単位で回転配置されているのが分かる

実は、三原色の色純度だけを考えれば、量子ドット技術も、RGB Mini LEDを使うアプローチも極端な差はないといわれる。スペクトルの鋭さ(半値全幅:FWHM)を見ると、量子ドット技術もそれほど負けていないのだ。

では、どこにRGB Mini LEDの美点はあるのか?

以下に代表的なポイントを上げることにしたい。

RGB Mini LEDの美点(1)カラーボリュームの広さ

1つ目の美点は、広色域かつ高階調であること。要は、カラーボリュームが広い、ということだ。

「青色Mini LED×量子ドット」技術は、RGB三原色の色純度は高いが、液晶パネルに入力できる光は白色に限定される。これが分かりやすい弱点だ。

例えば、液晶パネル側で、暗い赤色、暗い青色、暗い緑色の単色表現をしたくとも、液晶パネルに照射できる光源は、「青色Mini LED×量子ドット」技術では暗い白色に限定される。

光源としては発光しているのは青色単色であり、青色光だけでは不足している赤色と緑色の光を量子ドットの効果で変換して補っているので、光源としては暗い白から明るい白のモノトーン光源となる。当たり前ながら、RGBの純色のバックライトを焚くことはできない。

液晶パネル上のRGBサブピクセル達は、それぞれ白黒の階調を作り出す機能しかなく、最終的なRGBサブピクセルからの出力光は、カラーフィルターを通って初めて色が付与される。このことは液晶パネルの基本の能力なので知っている方も多いはずだ。

ではここで、例えば漆黒の背景に、淡い光が当てられた赤林檎の映像を描写するとしよう。

「青色Mini LED×量子ドット」技術だと、赤林檎本体の明るい箇所には明るい白色を照射し、暗い箇所には暗めの白色を照射することになる。背景は黒で、描き出したいオブジェクトは赤林檎にもかかわらず、バックライトとしては白色を照射することしかできない。

当然この時、液晶パネル上の黒背景部分のRGBサブピクセルは“全閉じ”の黒表示。そして赤林檎の明るい階調部分のRサブピクセルは開き気味、GBサブピクセルは“全閉じ”に近い状態のはずだ。

しかし、液晶パネル自体にはこの箇所に明るい白色光が照射される。漆黒の背景側には、遮断しきれなかった白色光の迷光が黒浮きとなって邪魔をしてくる。赤林檎の赤い階調部分にも、少なからず、不要な白色迷光が混じってしまうため、純色の赤で光らせたい領域に白色迷光の雑味が乗ることになる。

RGB Mini LEDの場合は、液晶パネルに照射する光の色を、白色に限定されずに、RGB Mini LEDを個別に発光させて照射できる。よって「青色Mini LED×量子ドット」技術の時のような“必ず白色の迷光の雑味が乗る”という事態を回避できるわけだ。

本稿では話を単純化するために“赤林檎の表示”を例にとったが、実際の映像表示では、あらゆる色の明部階調、暗部階調に対して、必要な輝度&色のバックライトを焚いて液晶パネルに照射できる。

つまりRGB Mini LEDは、“全色×全階調”の組み合わせで最適な色のバックライトが焚ける……と考えることができる。

これが、カラースペクトラム的には良質の純色を得られるはずの「青色Mini LED×量子ドット」技術よりも、大幅に豊かな色表現ができるようになることの理屈だ。

美点(2)高輝度表現の進化

前述の通り、「青色Mini LED×量子ドット」技術では、発光する光源は“青色の単色”となる。

その一部を量子ドット技術で緑色や赤色に波長変換するので、最大輝度は実光源の青色Mini LEDの輝度に依存する。発光色の青色に、量子ドット変換した緑と赤の2色が加わるが、輝度エネルギーが3倍とはならない。

対するRGB Mini LEDの場合、RGB三色のMini LEDが発光源だ。各色のチップサイズが、単色の青色Mini LEDに比べて小さいとはいえ、発光体が3つあるため、絶対的な輝度性能は単色の青色Mini LEDを凌ぐことになる。

チップサイズの大きい青色Mini LEDを強く発光させるなど、「青色Mini LED×量子ドット」で輝度を稼ぐ方法がないわけではないが、波長変換によるエネルギーロスが無いRGB Mini LEDの方が輝度を高くできるというメリットはあるだろう。

しかも、116ZX1Rは、輝度コントロールをそれぞれのRGB Mini LEDで独立駆動している。また高階調を実現するために「PWM」(パルス幅変調=点灯時間)と「PAM」(パルス振幅変調=電流量高低)を組み合わせて26ビット駆動しているのだとか。

26ビット駆動の内訳は非公開だが、筆者の読みでは、PAM駆動は10ビットで、PWM駆動の方を16ビットにしているのではないかと思っている。理由は、最小電流付近ではLEDにおける低輝度時の輝度均一性維持が難しく、PAMに10ビットを割り当てる方が合理的と考えるからである。

まあいずれにせよ、この26ビット駆動方式により、低輝度階調表現では黒つぶれ抑止効果が期待できることはもちろん、高輝度階調表現においても白飛びせず、彩度の高い高輝度表現が期待できるのだ。

美点(3)任意の色温度で広色域&高階調

116ZX1Rでは、液晶パネル側のRGBサブピクセルは10ビット駆動(ただしFRCディザ駆動含む)に対応するという。

つまり、前述したRGB Mini LED側の26ビット駆動と合算することでRGBが個別に36ビット駆動できることになる。36×3=108ビットカラー……すなわち計算上は、2の108乗(3溝2451穣8553秭6584垓2672京6783兆1560億2057万6256)の色が出せることになる。

もちろん、こんな数の色は人間の色覚限度を超えているわけだが、メリットがないわけではない。

例えば、RGB Mini LEDでは、色温度(ホワイトバランス)をバックライト側のRGB混色で作れることができるため、特定の色温度設定を選んだときに起きがちな色ダイナミックレンジ(特に高輝度側の彩度)の目減りを、原理的に抑制できる。

省電力モードやブルーライト低減時にも、彩度落ちを十分に抑えられることだろう。

実機レビュー(1)高輝度なのにヘイローが感じにくい!?

ここからは116ZX1Rのインプレッションをお届けしたい。前述したRGB Mini LEDの美点を、レグザがどのように活かしているのか?を見ていく。

さすがに筆者宅に実機を持ち込んで行なうことはできなかったため、TVS REGZAのショールームに赴き、ベンチマークのテスト映像や映画コンテンツ、デモ映像、筆者が持参したゲームコンテンツなどを体験させてもらった。

116ZX1Rを司る映像プロセッサー「レグザエンジンZRα」

まずは、ベンチマーク映像から。UHD BDの画質評価ソフト「The Spears & Munsil UHD HDRベンチマーク」の「FALD ZONE COUNTER」と「StarField」を再生した。

「FALD ZONE COUNTER」は、明るい■が画面の外周を移動するテスト映像だ。Mini LEDとはいえ、少なからず離散的な配置となっているはずの直下型バックライトの制御の優劣を判断できる。この制御が雑だと、移動する■の前後で消灯・点灯するMini LEDの様子が露呈してしまうわけだが、116ZX1Rでは違和感が見られなかった。

一方の「StarField」。これは漆黒の背景を、星のような点状の高輝度オブジェクトが放射状に散っていくテスト映像。有機ELパネルのような自発光画素でないと、移動する輝点(星)の周囲に星雲のようなヘイロー(局所的な黒浮き)が発生してしまう。

RGB Mini LEDレグザとはいえ、原理的にヘイローは避けられないため、それなりには出ている。しかし、筆者が感心したのは、その移動する輝点が、従来の「青色Mini LED×量子ドット」技術の液晶レグザと比べてかなり明るく描かれていたことだ。

これは、レグザエンジンのバックライト制御技術に加え、前述したRGB Mini LEDの美点「高輝度表現の進化」によるところが大きいだろう。

周囲に出るヘイローよりも、輝点が十分に明るいので、主たる表現物(輝点)の存在感がしっかり感じられるのだ。輝点とヘイローの明暗差が弱かった従来の液晶レグザとは全く違う。

次に、漆黒の背景に、明るい有彩色のオブジェクトが出現するデモ映像や、上下に黒帯が出るシネスコ収録の映画コンテンツをチェックした。

ここでは、表現したいオブジェクトが有彩色となるため、RGB Mini LEDレグザの本領が発揮。カラーボリュームの優位性と、一段品質の上がったローカルディミング効果を実感することができた。

少し補足解説をしよう。

実は、人が暗室で高輝度なものを見ると、眼内散乱によってグレア(光芒)が見えてしまう。116ZX1Rでも実際には、有彩色の高輝度表現の周囲にヘイロー現象は出ているはずなのだ。しかし、経験的にこれを有彩色のグレアと感じるために違和感と思わない。

一方の「青色Mini LED×量子ドット」技術では、主たる高輝度表現が有彩色なのに、その周囲に淡白いヘイローが出るため「あれ、黒浮きだ」と気付いてしまうわけである。

116ZX1Rで映画コンテンツの黒帯付近に注目すると、主たる表示映像が高輝度の場合、有彩色のヘイローが淡く出るが、眼内散乱のグレアに誤認されるため違和感とは思わない。これは、初めてRGB Mini LEDレグザの実機を見た際、「机上の理屈では気がつけなかったRGB Mini LED技術の隠れた美点」という気がした。

実機レビュー(2)VAなのにIPS並みに視野角が広い!

もうひとつ、机上の理屈では気がつけなかったRGB Mini LEDの美点がある。

それは、116ZX1RではVA型液晶パネルを採用しているのに、VA型液晶特有の斜めから見た際の色変移が圧倒的に少ない点だ。平易な例えをすれば「視野角がIPS型液晶並みに広い」のだ。

これは、VA型液晶パネルの後ろで焚かれているバックライトがフルカラー光源だからだ。

従来の「青色Mini LED×量子ドット」技術では液晶パネルに照射される光は白色光。迷光は液晶パネル側で表示したいカラー映像とは無関係の白色だ。VA型液晶に限らず、液晶パネルを斜めから見たときに見える迷光は白色なのだ。

一方、RGB Mini LEDを搭載する116ZX1Rの場合、液晶パネル側のRGBサブピクセルで、隣接するピクセルの迷光が漏れても光はフルカラー。当然、有機ELパネルのような完全自発光画素パネルには負けるにしても、自発光フルカラーマトリックスのバックライトが後ろで輝いていれば、色変移も少なくなって当たり前というわけだ。

116ZX1Rのような大画面サイズのテレビは、視聴位置が正面でも、着座位置によっては、角度が付いた状態で画面の上辺や左右端を見ることもあるだろう。そんなときでも、RGB Mini LEDレグザであれば、視野角依存の色変移を抑えることができる。

例えば、リビングに設置したテレビを、カウンターキッチンから斜めに見るようなレイアウトの家庭では、こうした性能はありがたいはずだ。

ゲーミング性能はRGB Mini LEDレグザになっても変わらない

筆者はゲーム好きなので、持参したPlayStation 5向けのアドベンチャーゲームや、PC向けのアクションシューティングゲームを試したが、プロジェクター機器とは段違いの、快適なゲームプレイが楽しめた。

“ゲームはレグザ”のキャッチコピーが、この116V型の巨大な画面にも継承されていることには感動を覚えた。

ちなみに公称入力遅延は、120Hz映像入力時は約0.83ms。取材時の筆者の実測では、60Hz時で10.1ms、120Hz時で1.7msであった。

PS5もPCも、持参ゲームは両方ともHDRモードでプレイしたが、RGB Mini LEDならではの高輝度エフェクト表現が、3D映像でもないのに、画面から飛び出てきそうな感覚で迫力満点だった。

筆者は近年、アスペクト比21:9や32:9の“ウルトラワイドゲーミング愛好家”という立場をとっているが、画面にかなり近い位置で、116ZX1Rでゲームプレイすると、ウルトラワイドに優るとも劣らぬ没入感が得られることにも気が付いた。ゲームファンにこの環境はたまらないはずだ。

さて、ここで参考までに、連載の大画面☆マニアで行なっている色や階調周りの計測値も示しておこう。

スペクトラム
116ZX1Rの白色光のRGBスペクトラム。画質モードは「あざやか」
色度図
116ZX1RのCIE色度図。画質モードは「あざやか」
116ZX1RのCIE色度図。画質モードは「シネマ」
EOTF実測値
116ZX1RのEOTF実測値。画質モードは「あざやか」
116ZX1RのEOTF実測値。画質モードは「シネマ」

注目はCIE色度図で、カラーボリュームの大きさが際立っているのが見て取れる。赤緑青の単色測定時、RGB Mini LEDであれば各色の単色光を焚けるが、青色Mini LED×量子ドット技術は白色しか焚けず、RGBカラーフィルターに頼って作り出すためだ。

またEOTF測定値については、高輝度優先の画質モード「あざやか」において、最大輝度値4,000nitをマーク!

「シネマ」モードは、落ち着いた画調のリファレンスに近い画作りだが、それでも最大輝度は2,000nit近くまで出ていて、一般的な液晶テレビの2倍近い輝度が楽しめることを表していた。

116ZX1Rは“モニター”ではない。取材では時間オーバーで試すことができなかったが、地デジ/BS/CS放送も楽しめ、主要ネット動画配信サービスも利用でき、さらにタイムシフト録画機能も利用できる“テレビ”なのだ

液晶新時代へ。中小型のRGB Mini LEDレグザ登場にも期待!

いいことばかりを記していては少々わざとらしいので、RGB Mini LED技術が抱える課題についても言及しておこう。

やはり、青色の単色Mini LEDからRGB Mini LEDへと“実”発光体の数が3倍に多くなるため、実装コストは高くなる。採用モデルは当面、やや高価なハイエンド機に限定されると思われる。

ただ、かつてはハイエンド機専用だった青色Mini LED×量子ドット技術が、今や中堅機にも採用されるようになっている。RGB Mini LEDの採用コストも下がるはずで、しばらくすれば、身近な技術にはなるだろう。55型や65型といった、現実的なサイズのRGB Mini LEDレグザの早期登場に期待したいところだ。

さて、筆者は自宅にプロジェクタベースの110V型のホームシアター環境を構築しているが、さすがにHDR映像は完全暗室にしないと、説得力のあるコントラスト感が得られない。

しかし、116ZX1Rであれば、部屋を暗室にせずに、必要十分以上のHDR感が楽しめることを実感した。これは筆者が116ZX1Rを最もうらやましく感じたポイントである。

新築でマイホームを建てる場合などは、設備予算に入れて住宅ローンに組み込んでしまえば、さらに敷居は下がるだろう。マイホーム新築計画がある方でホームシアターに憧れている人は、一度、大画面レグザを検討してはいかがだろうか。

トライゼット西川善司

大画面映像機器評論家兼テクニカルジャーナリスト。東京工芸大学特別講師。大画面マニアで映画マニア。3Dグラフィックスのアーキテクチャや3Dゲームのテクノロジーを常に追い続け、映像機器については技術視点から高画質の秘密を読み解く。近著に「ゲーム制作者になるための3Dグラフィックス技術 改訂3版」(インプレス刊)がある。3D立体視支持者。
Twitter: zenjinishikawa
YouTube: https://www.youtube.com/zenjinishikawa