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音にこだわる映画監督・川村元気が、PMCスピーカー「prophecy9」を選んだ理由
- 提供:
- エミライ
2026年9月14日 08:00
英国のBBC(英国放送協会)で働いていたスタジオマネージャーを務めていたピーター・トーマス氏が、BBCメイダヴェール・スタジオのために業務用モニタースピーカーの開発を開始した事から、1991年に生まれたブランド・PMC。多くの音楽制作スタジオで幅広く採用されているほか、Dolby Atmosに対応したスタジオスピーカーにもいち早く採用。全製品を英国内で設計・製造しており、30年以上にわたりプロの現場で培った技術を活用した、家庭用スピーカーも展開している。
そんなPMCの音に惚れ込み、フロア型スピーカー「prophecy9」(ペア税込 市場予想価格209万円前後)を自らの仕事場に導入した人がいる。映画プロデューサー、小説家、そして映画監督としても活躍する川村元気氏だ。
作品が生まれるプロの現場働き、その音を知る川村氏は、プライベートな空間で音楽や映画を聴くためのスピーカーとして、何故PMCを選んだのか。オーディオ評論家の山本浩司氏がインタビューした。
PMCとの出会いには、バーと評論家の山本浩司氏も関係!?
川村元気氏は映画プロデューサーとして、『電車男』『告白』『悪人』『モテキ』『君の名は。』『天気の子』『すずめの戸締まり』『怪物』など、数々のヒット作を企画・プロデュース。2012年に『世界から猫が消えたなら』で小説家としてデビュー。同作は世界累計350万部を超えるベストセラーとなり、映画化もされた。さらに、自身の小説を原作とした映画『百花』(2022年)で長編監督デビュー。昨年公開され、興業収入51億を超えた二宮和也主演映画『8番出口』も監督している。
そんな川村氏は、仕事がら、業務用スピーカーに囲まれる日々を過ごしている。例えば、TOHOスタジオのダビングステージで、モニタースピーカーの大音量を浴びながら、監督する作品の台詞や音楽、効果音を決めていく。そんな日常だからこそ、「逆に、家で過ごす時は、“テレビの内蔵スピーカーでいいや”と考えていました」と笑う川村氏。
そんな状況に、変化が訪れる。
川村氏は、小説や脚本を書いたり、映像資料をチェックするための仕事場を構えているが、その仕事場で、映像配信サービスの作品をチェックする機会が増加したのだ。配信作品の音響もどんどん良くなっている昨今、「仕事場でも良いスピーカーでチェックしたい」と考えるようになった。
実は、父親がかつて日活で助監督をしていたという川村氏。父親は音楽好きで、家ではビル・エヴァンスやYMOといった音楽が流れており、「ブルーノートに小学生の頃から連れて行ってもらって、小学6年生でロン・カーターとか聴いていました」という英才教育ぶり。
自身も音楽好きに育ち、「レディオヘッドが青春ど真ん中でしたね。もちろんジャズも大好きです。クラシックも古典から現代まで、いろいろ聴きますが、どちらかというと古典の方が多いですね。1950~60年代くらいの、古い録音のものも良く聴いています。レコーディングの時の演奏者の息遣いなどが、良いスピーカーで聴くと聴き取れて、臨場感があってすごく好きですね」という。
「映画作りでは、映像と音楽をどう関係させるかというのが重要なのですが、あまりこれを両方できる人は少ない。そこは、自分の得意技だと思っています」(川村氏)。
この時点で、「オーディオマニアとしての素質も十分」という印象だが、本格的なオーディオ機器を導入しようと考えたのは、今回が初めてだという。
「どんなスピーカーを買えばいいか、オタクな友達に聞くのが一番良いと考えたのです」と笑う川村氏。相談したのは、川村氏が25年通うバーのマスター。マスターは大のオーディオマニアで、スピーカーの知識も豊富。バーで鳴っている音もクオリティが高いそうだ。
マスターは、オーディオイベントで試聴して印象が良かったPMCを推薦。偶然にも、同じバーに常連として通っていた、AV Watchでもお馴染み、オーディオ評論家の山本浩司氏に、マスターは相談をしており、「仕事で映画作りをしている川村さんには、プロ用スピーカーメーカーでもあるPMCが良いのでは?」と、山本氏からもアドバイスがあったそうだ。
かくして川村氏は、オススメされたPMCの「prophecy9」と、川村氏自身がデザイン的に気になっていたとARETAIのブックシェルフスピーカー「Contra100S」など、幾つかのモデルを試聴。その結果、prophecy9の購入を決めたそうだ。
川村氏はprophecy9のサウンドをどう感じたのか
映像作品のチェックでも使うスピーカーであるため、川村氏は試聴で、音楽だけでなく、クリストファー・ノーラン監督の映画「ダークナイト」のワンシーンもBlu-rayで再生し、聴き比べたという。
「普段、映画では5.1chや7.1chでダビングしていますが、prophecy9で驚いたのは、2chのLRスピーカーだけで、音の定位が非常にハッキリしていて、センターにセリフがビシッと来て、背後の音楽も広大に広がって……そのへんの5.1chスピーカーで聴くよりも良くて、サラウンドスピーカーはもう不要なのでは? と思えるくらいでした」と評価する。
prophecy9には、PMCが開発した「n-compassテクノロジー」が搭載されている。これは、正確な音場再現性と鋭い定位を両立するためのもので、専用設計の55mmソフトドームミッドレンジ周囲に二重構造のウェーブガイドを配置。深い曲率のウェーブガイドで、中域エネルギーを最適に制御し、ウーファーとのつながりを向上させつつ、浅い曲率で音の拡散性を高め、ツイーターとの自然な融合と広いスイートスポットも実現している。
さらに振動板の中央には、一体成型のフェイズプラグも備え、位相整合性と音波の整流性も高めている。山本氏は、「スピーカーに搭載している各ユニットの位相特性、つまり時間軸が揃っていないと明瞭な定位は得られない。prophecy9は3ウェイ4ドライバー構成ですが、PMCのスピーカーはそこの能力が高いのだろうなと思います。PMCはプロフェッショナル・モニター・カンパニーの略ですが、ヨーロッパなどのスタジオで採用しているところも多く、そうした能力を評価されていると思います」と分析。
さらに、prophecy9では、キャビネット内部の精密な音導管で、ユニット背面から出る音を活用し、サイズを超えた深い低音を得るトランスミッションライン技術「ATL」を搭載。F1の空力技術を応用したLaminair™をさらに進化させた最新の空気整流技術「Laminair™ X」を投入。ポート単体ではなくATL全体の設計段階から気流を最適化し、ポート内部には3D形状設計を採用して層流形成を実現。ポートノイズや共振を極限まで抑えつつ、瞬発力がありつつ、クリーンな低音再生も可能にした。
この低音により、「監督の狙いが完璧にわかるシーンもありました」という川村氏。
例えば、ダークナイト。「ホワイトノイズみたいなベースノイズが、小さく、でもずっと鳴っているんです。それが大事なシーンの直前に、スッと消える。すると、観客はフッと無音状態に包まれて、そこからドーン! と印象的な音と映像が出る。今まで映画館では気が付かなかったような部分に、PMCのprophecy9を導入して始めて気が付きました。『オッペンハイマー』もそうですが、音の肌触りみたいなものまで、こだわって作られているのがわかります。そうした部分に、同じクリエイターとして刺激を受けますね」という川村氏。
「英語のセリフも、prophecy9の人の声はナチュラルでした」と語る川村氏。山本氏は「ARETAIのContra100Sも良いスピーカーですが、人の声はミッドレンジのユニットが非常に重要なので、3ウェイ構成で、声の帯域を1つのユニットで再生できるprophecy9の方が有利だったのかもしれない」と分析した。
その再生能力の高さは、プロとしての安心感にも繋がる。「音楽の時も、映画の劇伴の時もそうですが、完成した作品を見る時は、“スタジオで録音した音”を、思い出しながら見るというのに慣れてしまっているので。自分がダビングした作品の音が、ストリーミング配信された時に、どういう風に聞こえるのかというのは気になります。その時にやはり、PMCのような(スタジオ育ちの)スピーカーは安心できますね」(川村氏)。
気になる駆動系のコンポは?
そんなprophecy9を駆動するアンプや、ソース機器も気になるところ。川村氏が選んだのは、WiiMのネットワークプレーヤー「WiiM Ultra」と、MYTEK DigitalのクラスDアンプ「Brooklyn AMP+」。どちらも非常にクオリティの高いコンポでありつつ、コンパクトなのが特徴だ。
「真空管アンプなども憧れで、実際に試聴もしたのですが、実際に置くとなると大きな製品も多くて……。掃除ロボットのルンバが走りますし(笑)、仕事場にはあまりモノを置きたくなくて、アートなども飾っているので、コンパクトな製品を選びました」とのこと。
一方で、アンプのBrooklyn AMPはステレオアンプだが、コンパクトさを活かして2台導入。左右スピーカーを、それぞれ個別のアンプでドライブするバイアンプ駆動としている。
「1台で鳴らした時と、2台で鳴らした時で、本当に違いが出るのか?半信半疑だったのですが、せっかくだからとお借りして聞き比べてみたら、もう全然音が違って。低音の力強さを体験して、2台導入することになりました(笑)」(川村氏)。
普段はWiiM Proで、主にSpotifyで音楽を聴いているという川村氏。「WiiM Proは、楽曲を選ぶアプリも良く出来ていて、レスポンスも速くて、快適ですね」。
『8番出口』足音へのこだわり
音楽への造詣も深く、音へのこだわりも深い川村氏。当然、自身の映画の音にも、こだわり抜いている。
「映画というとサラウンドをイメージされると思いますが、私の場合は、まずLRの2chで音を追求するところから始めます。しっかりとした2chの音を作ってから、サラウンドスピーカーで補っていくようなイメージです。空間に音を回すにしても、まず“基本の2chが大事”だと思っています」。
音をどのように配置し、鳴らすか、だけではない。こだわりは、音の質感にも及ぶ。
僕の作品では、いつも、フォーリーアーティストの北田雅也と音響効果を作っているのですが、例えば、『8番出口』では、地下通路を歩く“足音”が重要です。現場の収録では、カメラマンの足音なども入ってしまって、使えないので、実は足音は全部あとからつけています。
その時にも、既存のサウンドライブラリーは使わず、色々なスニーカーを集めて、音を収録して、どの足音がマッチするかを追求しました。
この作品では、主人公とすれ違う「歩く男(通称:おじさん)」が何度も登場。プログラミングされたロボットのように動く時と、生々しい人間のように動く時があるのだが、「おじさんの革靴の音も、その変化に合わせて変えています。そんな細かな違い、観客には伝わらないのでは?と思われるかもしれませんが、私は感覚的に伝わると思っています。むしろ、音の方が、映像よりも、見る人の感情をコントロールできると思っています」。
さらなるオーディオ、ホームシアター沼に!?
prophecy9導入後は、映画や音楽で、「これまで聴こえていなかった音に気がつく事が増えて、聴き慣れた音楽も、最初から聴き直しています」という川村氏。「PMCのスピーカーであれば、サブウーファーやサラウンドスピーカーが無くても、音楽だけでなく、映画も満足できると思います」と、魅力を語る。
「今まで、趣味と言えるような趣味はあまり無かったのですが……」とのことだが、最近は「本格的なホームシアタールームを作ったら楽しそうだな」とか「試聴で聴いた真空管アンプで、他のスピーカーも鳴らしてみたい」と考えるようになったという。
「その時はまた、相談に乗ってください」と語る川村氏に、大きく頷く山本氏と、取材の場を設けてくれたダイナミックオーディオの島健悟部長。川村氏のオーディオ/ホームシアターライフは、さらに広がりそうだ。
ダイナミックオーディオの4F「H.A.L.3」には、試聴室の「Fundamental area」と、オープンスな「Comparable area」、「Onesound area」という3つのスペースを用意。国内外のハイエンドモデルから、リーズナブルなモデルも用意。データ再生からアナログ再生、ルームチューニングの相談も可能。
「わからないことや聞き辛いことがあれば、私のところにご相談ください。音楽をより深く楽しむお手伝いをさせていただければ幸いです」と語る、ダイナミックオーディオの島健悟部長。





















