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船井電機へのTOB成立。筆頭株主は秀和システムホールディングスに

船井電機の公式サイト

船井電機は11日、秀和システムホールディングスによる船井電機へ株式公開買い付け(TOB)が成立したと発表。議決権の47.05%にあたる約1,600万株を取得し、TOBの決済の開始日である5月14日に秀和システムホールディングスが船井電機の筆頭株主となる。これまで筆頭株主だった創業者の長男・船井哲雄氏は34.41%で第2位となる。また、船井電機は今後、上場廃止となる予定。

1961年に船井軽機工業のトランジスタラジオ事業の拡大を契機に、分離独立する形で設立された船井電機は、事業の多角化を実施、映像機器、情報通信機器、生活家電などの製造・販売を開始し、現在はテレビなどの映像機器が主力事業となっている。

創業者の長男である船井哲雄氏は、2017年から船井電機の業績回復と再成長について、自らが筆頭株主として関与していくよりも、過去に業績の低迷する企業を再成長させた経験を持つ経営者に託したいと考え、M&Aにおける豊富な経験を有し、投資先の業績改善・事業拡大を実行してきた経験を持つ秀和システムホールディングスの代表取締役・上田智一氏と出会い、2020年3月10日に、船井哲雄氏と秀和グループとの間で、船井哲雄氏の所有する株式の譲受けの検討についての独占交渉権に関する合意書を締結していた。

秀和グループは、3月に発表した「公開買付けに関する意見表明」の中で、船井電機の中長期的な発展・再成長の実現には、経営の方向性を明確に定め、それらを実行するリーダーの登用、及び役職員のインセンティブ報酬の導入や外部からの人財登用を通じた組織の活性化・効率化、コストの見直しによる既存事業における継続的な価格競争力の確保、販売力の強化による収益性向上、既存技術を活用した新規事業の展開とその早期収益化、それらを補完するM&Aの実行などが必要としている。

さらに、主力事業の映像機器に関しては、「Walmart及びヤマダホールディングスといった企業の実店舗での販売が主な販売チャネルとなっているが、電化製品のオンラインでの購買比率が上昇している市場動向を考慮すると、EC化の推進・販売チャネルの多様化が必要」とし、将来的にはプラットフォーマーが提供するコンテンツを取り込み、サブスクリプションモデルの導入についても検討を行なう事。米国において、FUNAIブランドを利用せず、「SANYO」及び「Philips」ブランドでの販売を行なっているが、これらのブランドを使用することによるロイヤリティーの発生が、収益性低下につながっていると考え、「長期的には別ブランドを立ち上げることも視野に入れている」という。