ソニー、3D対応「BRAVIA」を6月発売。「3Dシェア1位へ」
-「リビングに3Dを」。PS3はゲームから3D対応へ
KDL-46HX900。モノリシックデザインを採用 |
ソニーは、3D対応の3シリーズ8モデルなどを含む、液晶テレビ「BRAVIA」の新製品を6月10日より順次発売する。
3D対応モデルは、“3D標準対応”でメガネが2台付属する上位機「LX900シリーズ」4モデルと、LED+エリア駆動で最高画質を謳う「HX900シリーズ」2モデル、ステップアップモデルの「HX800シリーズ」2モデルの合計8モデルをラインナップする。
シリーズ (特徴) | 型番 | サイズ | 特徴 | 発売日 | 店頭予想価格 |
LX900 (3D標準対応) | KDL-60LX900 | 60型 | 3Dメガネ×2 LEDエッジライト 無線LAN内蔵 | 7月16日 | 58万円前後 |
KDL-52LX900 | 52型 | 43万円前後 | |||
KDL-46LX900 | 46型 | 6月10日 | 35万円前後 | ||
KDL-40LX900 | 40型 | 29万円前後 | |||
HX900 (最高画質) | KDL-52HX900 | 52型 | メガネ別売 LED直下型 エリア駆動 | 7月16日 | 47万円前後 |
KDL-46HX900 | 46型 | 39万円前後 | |||
HX800 (3Dステップアップ機) | KDL-46HX800 | 46型 | メガネ別売 LEDエッジライト (エリア駆動) | 28万円前後 | |
KDL-40HX800 | 40型 | 22万円前後 |
LX900シリーズ | NX800シリーズなど新モデルを多数用意 | KDL-52HX900 |
KDL-55LX900で3D視聴 | HX800シリーズ | 3D対応の3シリーズ |
また、4倍速/240Hz対応のNX800シリーズや、CCFLバックライトで、エントリーゾーンからのステップアップモデルとなる「HX700」、さらにBRAVIA初のHDDレコーダ内蔵録画テレビ「BH30H」なども発売される。ラックシアター2機種や、フロントサラウンドシステム2機種も発売される。
シリーズ | 型番 | サイズ | 仕様 | 発売日 | 店頭予想価格 |
NX800 | KDL-46NX800 | 46型 | LEDバックライト 1,920×1,080ドット 4倍速駆動 クリアブラックパネル おき楽リモコン 無線LAN内蔵 | 4月30日 | 26万円後 |
KDL-40NX800 | 40型 | 20万円前後 | |||
HX700 | KDL-46HX700 | 46型 | CCFLバックライト 1,920×1,080ドット 4倍速駆動 クリアブラックパネル おき楽リモコン | 4月30日 | 25万円前後 |
KDL-40HX700 | 40型 | 19万円前後 | |||
BX30H | KDL-32BX30H | 32型 | 1,366×768ドット 500GB HDD 録画対応 | 4月30日 | 10万円前後 |
KDL-26BX30H | 26型 | 95,000円前後 | |||
KDL-22BX30H | 22型 | 8万円前後 |
タイプ | 型番 | 適合TVサイズ | 特徴 | 店頭予想価格 |
サウンドバー +サブウーファ | HT-CT350 | 40~46型 | 3Dパススルー対応 ARC対応 FM/AMチューナ | 5万円前後 |
HT-CT150 | 32~40型 | 3Dパススルー対応 ARC対応 | 4万円前後 | |
ラックシステム | RHT-G15 | 40~60型 | 3Dパススルー対応 ARC対応 | 14万円前後 |
RHT-G11 | 32~46型 | 10万円前後 |
KDL-46NX800 | KDL-32BX30H | 40~60型対応のRHT-GH15 |
■ 3シリーズ/8モデルで3D対応。2D変換も
LX900は40/46/52/60型の4モデルを、HX900は46/52型を、HX800は40/46型をラインナップし、3D対応モデルは合計8モデル展開となる(3Dモデルの詳報)。
3D対応モデルはいずれも1,920×1,080ドットのフルHDパネルを採用し、240Hz/4倍速駆動の「モーションフロープロ240Hz」に対応。LEDバックライトとの組み合わせで、動画応答性能や3D品質の向上を図っている点も特徴で、最高画質機のHX900 は直下型LED+エリア駆動技術を採用。LX900とHX800はエッジライトLEDだが、HX800にはエリア駆動技術を搭載している。全モデル表面はグレア(光沢)仕上げで、LX900とHX900の2シリーズは「オプティコントラストパネル」を採用。HX800は「クリアブラックパネル」を採用している。
「LX900」は、アクティブシャッター方式の3Dメガネが2個付属。テレビ本体に3D用トランスミッタを内蔵した3D標準対応モデルとなる。HX900/800は、背面に3Dシンクロ端子も装備。別売の3Dメガネ「TDG-BR100」(6月10日発売/実売12,000円)と、トランスミッタ「TMR-BR100(7月16日発売/実売5,000円)」を組み合わせて3D視聴に対応する。3Dメガネは、小型でカラーの異なる「TDG-BR50(ブルー)」、「TDG-BR50(ピンク)」も6月25日に発売される。実売はTDG-BR100と同じ12,000円。
いずれも、3D対応プレーヤーやPlayStation 3などを組み合わせて、Blu-ray 3Dや3Dゲームに対応する。なお、今回発表されなかった3D対応のプレーヤーやレコーダについてソニーは、「この夏や秋にかけて順次発売する」(業務執行役員 SVP ホームエンターテインメント事業本部長 石田佳久氏)」と説明。また、「6月10日のLX900発売に合わせて、PlayStation 3をアップデートし、3D立体視ゲームタイトルも投入する」という。このPS3アップデートは、Blu-ray 3D(映画などのビデオコンテンツ)ではなく、ゲームの3D立体視対応のためのもの。
リビングで3Dをテーマに、明るい場所での3D視聴のために、メガネに独自の技術を盛り込んだほか、同社がノウハウを蓄積してきた4倍速/240Hz駆動技術を活かし、液晶テレビで自然な3D映像を実現する。映像処理回路には「ブラビアエンジン3」を搭載し、画質の向上を図っている。
さらに、2D-3D変換機能も内蔵し、Blu-ray 3Dや3D放送以外の通常の2D放送やビデオコンテンツも3D化して楽しむことができる。
ボディデザインは、LX900/HX900で、一枚の板を立て掛けたような「モノリシックデザイン」を採用。前面にガラスなど透明な素材を配しながら、スピーカー部にアルミを採用するなど、異なる素材の組み合わせで上質感を演出している。
【3D BRAVIA 3シリーズの特徴】
シリーズ | HX900 | LX900 | HX800 |
バックライト | 直下型LED (エリア駆動) | エッジ型LED | エッジ型LED (エリア駆動) |
パネル | オプティコントラスト | オプティコントラスト | クリアブラック |
3D | ○ | ○ | ○ |
3Dメガネ | 別売 | 2個付属 | 別売 |
インテリジェント 画質回路 | ○ | × | × |
カメラセンサー | - | ○ | - |
内蔵無線LAN | - | ○ | - |
■ 「表に立って攻め」、3Dシェア1位を目指す。PS3も6月に3D立体視ゲーム対応
ソニーの石田ホームエンタテインメント事業本部長 |
3Dについては、「グループを挙げて取り組む」とし、テレビは6月のBRAVIA LX900の発売を皮切りに、3シリーズ8製品を投入。3D対応のブルーレイプレーヤー/レコーダは、夏から秋に発売するとした。また、「6月10日のLX900発売に合わせて、PlayStation 3をアップデートし、3D立体視ゲームタイトルも投入する」という。ゲームタイトルの詳細は決定次第順次告知するという。
また、コンテンツの重要性も訴え、3D映像制作への取り組みとして、アメリカ カリフォルニアのソニーピクチャーズスタジオ内に、「3Dテクノロジーセンター」を設立したことを紹介。3D制作のノウハウの共有や人材育成を同センターでサポートしていく。3Dカメラや編集機材の提供も行なっており、映画アバターもソニー製カメラ「HDC-F950」が8台採用されたという。
2010年BRAVIAは、3D、デザイン、ネットワークを強化 | BRAVIAだけでなく、VAIOやサイバーショット、BD、PS3で3D対応 | 3Dコンテンツ制作におけるソニーの取り組み |
グローバルでモノリシックデザインを訴求する |
デザインについては、グローバルで共通な「モノリシックデザイン」をアピール。利用時には画面に没入でき、未使用時には自然にリビングに溶け込むという「オンオフコンシャス」、6度上方向に表示し、自然な視聴環境を実現する「6°Upward Style」、アルミとガラスの調和を図った「コントラストオブマテリアル」の3つのデザインコンセプトを、新しいソニーのテレビのあり方として紹介した。
ネットワークについては「BRAVIA Internet Video」の世界展開として、日本でもネット映像配信を強化していく姿勢を示した。
また2009年11月の経営方針説明会で紹介した、アプリ追加や新しい視聴スタイルなどを謳う「進化するテレビ」についても言及し、「近い将来、まったく新しい体験を届けることができるようになるだろう」と語った。ただし、具体的な内容や機能については言及していない。
ソニーマーケティング ディスプレイマーケティング部 粂川統括部長 |
3D BRAVIAについては、従来培ってきた4倍速技術やLED、さらに“フリッカーレスメガネ”により「高画質な3Dをリビングの明るい環境下で実現できる」とアピール。ソニーのこれまでの高画質技術を結集した点を強調した。
加えて、コンテンツも映画ソフト、ゲームなどを揃えて、「ハード/ソフトの両輪でビジネスを推進する」と言及。さらに、3Dモデルに搭載した2D-3D変換機能もアピールし、3Dボタンを押すだけで、2Dから3Dを疑似的に作り出す機能だが、「放送波だけでなく、外部入力にも対応しているため、ハンディカムやサイバーショットで撮影したパーソナルコンテンツを気軽に3D化できる」という点を訴えていくという。粂川統轄部長は、「3Dを普及のためには、魅力あるコンテンツ、コンテンツの幅の広さが重要。ひとつでも多くの3Dをこの機能で楽しんでほしい」と、2D-3D変換の意義を語った。
また、同社の調査でも「3Dは体感することで、関心や共感が高まる」とし、3月13日より体感イベントを実施。東名阪だけでなく、札幌、仙台、船橋、越谷、さいたま、横浜、倉敷、広島、福岡など全国11カ所で街頭イベントを行なう。なお、銀座ソニービルでは3月10日から、ソニーストア大阪、名古屋でもブースを設置する。
さらに、FIFAオフィシャルパートナーとなるソニー、VISA、日本コカコーラ、アディダスジャパンと協力し、6月19日にさいたまスーパーアリーナーで開催する、W杯「日本VSオランダ」戦のパブリックビューイングにおいて、3Dでの音楽ライブを実施することも発表。
867型のLEDディスプレイを使い、試合中継前に3Dのワールドカップハイライト映像を紹介するほか、ハーフタイムや休憩時間に、AI、CHEMISTRY、FUNKY MONKEY BABYS、K'NAANらのアーティストのライブを実施。3Dで視聴可能にするもの。なお、試合(オランダ戦)そのものは2Dで放送する。同イベントは各オフィシャルパートナーのキャンペーンなどで応募可能となっている。定員は12,000名。
3D BRAVIAの特徴 | 全国11箇所で体験イベント |
画質については、パネル、画質回路、LED、モーションフロープロ240Hzの4つのテーマで、BRAVIAの魅力をアピール。さらに、LX900シリーズに搭載した「インテリジェント人感センサー」では、子供が画面に近づくと「アラーム」を鳴らしたり、視聴位置にあわせて最適な音場表現を実現するなど「省エネだけでない、使いやすさを訴えていきたい」とする。
3Dテレビシェア一位を目指す |
3Dテレビの海外展開は、「全世界同時期に立ち上げる予定(石田氏)」。2010年度のテレビ年間販売目標については、現在検討中で、最終的な数字は決まっていないが、「私としては少なくとも2,500万台を目標にやっていきたい。そのうち3Dの比率は約10%」とした。
韓国勢にテレビの市場シェアで後れを取っている点については、「現状はそのとおり。2009年度は我々にとって厳しい年で、構造改革や次世代の商品について議論してきた。2010年は表に立って攻めていきたい。先進国や新興国、それぞれに合った“戦っていける商品”に取り組む。また、“進化するテレビ”のようなものも導入し、皆さんの期待にこたえたい」(石田氏)とする。なお、有機ELについては、「大型化を目指して社内で開発を続けているが、現時点で発表できることはない」とした。また、「ユニークなデバイスを使ったディスプレイ」も開発中とする。
また、「ハードウェアの売り切りだけでないビジネスモデル」の可能性について、石田氏は、「いままでのテレビは、テレビジョン(受像機)だったが、オンラインサービスも当然取り込んでいきたい。テレビに限らず、パソコン、携帯電話などでも重要になってくる。ハードウェアが(ソニーの)お家芸ではあるが、その差別化が難しくなる中では、ユーザーエクスペリエンスが重要になる。音楽や映画といったコンテンツだけでなく、クラウドサービスなども重要。これからはテレビの画面が、あらゆるコンテンツの窓口になる。ソニーのオンラインサービスの中にもそういった要素を取り込んでいきたい」と語る。
Samsungやパナソニックから遅れての3D対応製品発売になるという点については、「コンテンツを意識して、6月10日という発売日にした。ワールドカップもあるが、PlayStation 3もアップデートにより、3Dゲームができる。そういう時期にあわせて発売日を設定している。我々としては“3カ月の遅れ”は大きなものとは考えていない」と説明した。
(2010年 3月 9日)
[AV Watch編集部 臼田勤哉]