マクセル「AirStash」でiPhoneをSDカードと無線LAN連携
-デジカメ画像をシームレスにSNSへ。機能アップも
iPhone 4SとAirStash |
日立マクセルは、2月25日に発売した無線LAN内蔵SDカードリーダ「AirStash(エアスタッシュ)」の体験会をプレス向けに開催した。
「AirStash(MAS-A02)」は、デジタルカメラなどで撮影したSDカードの動画や静止画データを、iPhoneなどからワイヤレスで読み取れるようにするWi-Fi SDカードリーダ。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は1万円前後。32GBまでのSD/SDHCカードに対応する。
この製品でできることは大きく4点。2月22日の製品発表時に案内されたのは、「デジカメで撮ったSDカード内の写真/動画をiPhoneなどで再生」、「SDカード内に保存した動画をiPhoneなどにダウンロード」、「PDFや文書ファイルを最大8台まで共有/閲覧」というものだったが、その後アプリをアップデートしたことで、新たに「iPhone内の静止画/動画をSDカードに保存する」というライター機能も搭載した。体験会では、こうした機能のデモや、想定している用途の説明などが行なわれた。なお、機能の詳細についてはニュース記事を参照されたい。
AirStash本体 | SDカードスロットを備える | USBでPCに接続でき、充電も行なえる |
■ WebブラウザでAndroidにも表示。アップデートにより接続したままネットも
SDカード内のフォルダをそのまま表示する |
実際に手持ちのiPhone 4Sを使って連携機能を試した。手順としては、まずiOS 4.2以降に対応した無料アプリ「AirStash+」をiPhone/iPad/iPod touchで起動すると、無線LAN接続画面が表示され、AirStashを選ぶとダイレクトに接続。挿入されたSD/SDHCカード内のデータにアクセスできる。なお、他の無線LANに接続中の場合は、いったん接続を切ってAirStashを選ぶ必要がある。
接続すると、SDカードの「DCIM」などのフォルダ名がそのまま表示される。このため、SDカード側でリネームして「写真」、「動画」、「文書」などを作っておけば、管理しやすいだろう。WEP暗号化の「DirectLink」というメニューも用意。これは、仕事で使う文書ファイルなどのセキュリティ面での配慮だ。
対応フォーマットは、静止画がjpg/tiff/gif、動画がm4v/mp4/mov、音声がAAC/MP3/MP3 VBR/Apple Lossless/AIFF/WAV、文書がdoc/docx/xls/xlsx/ppt/pptx/pdf/txt/rtf。動画を再生する場合は、Class 10のSDカードを利用することを推奨している。
音楽は、フォルダ内のものを上から順に再生するというもので、リピートやシャッフルは行なえないが、表示順は名前/サイズ/日付/拡張子の中から選べて、昇順/降順も選択できる。
静止画ファイルは、iPhoneなどへダウンロードすることも可能。ダウンロード時に静止画を縮小したり、ダウンロード後にSDカードから削除するという設定も用意されている。逆に、iPhoneからAirStash経由でSDカードに保存することもできる。この場合はiOS標準の「写真」アプリにあるものだけがアップロードできる。試したところ、静止画/動画ともにSDカードへ保存できた。なお、アップロード時のみ、AirStash+アプリで位置情報をONにする必要があった。そのほか、SDカード内の写真をiPhoneから削除するという操作もできる。
なお、対応ファイルではないmts動画(オリンパスPEN E-P3で撮影したAVCHD)の再生も試したところ、「再生できない場合があります。確認の為、ダウンロードを行ないますか」というメッセージが出た。OKを選んでダウンロードしたが、当然ながら再生はできなかった。
動画再生画面 | 音楽再生画面 | AirStashからiPhoneへのファイルコピー |
PDFファイル表示。ページ送りは左右ではなく、上下方向 | SDカード内のファイルを削除することも可能 |
Android版アプリについては、2012年春に提供予定だが、Webブラウザを使うことで、iOS端末でもAndroidスマートフォンでもファイルの再生が行なえる。URLに「airstash.net」と入力して開くと、アプリで見たときと同様にファイルが表示される。ただし、この場合は閲覧のみで、ダウンロード/アップロードはできない。
使った印象としては、単にSDカードリーダーとしても問題なく使えて、iPhoneの弱点として指摘される「カードリーダーが無い」ことを、ワイヤレスで解決できることが便利に感じた。普段、iPhoneとSDカード記録のデジカメを使っている人なら、導入することでiPhoneとカメラ、SNSをよりシームレスに連携できるようになるだろう。
なお、今のアプリでは、AirStashとiPhoneを接続したまま3G/無線LANでインターネットに接続することはできない(電話着信は受けられる)。現在、アプリ内の「SideLink」という機能がグレーアウトされており、これが正式に対応すれば、AirStashとiPhoneを接続したまま、インターネットも使えるようになるとのこと。対応時期や、接続に3G/無線LANどちらも使えるかといったことなどは明らかにしていないが、実現すればいちいち無線LAN接続先を切り替えずに済むので、今後のアップデートに期待したい。
iPhoneからAirStashのSDカードに保存することも可能 | Webブラウザでもファイルを閲覧できる | SideLink機能はアップデートで対応予定 |
■ ライフログを豊かに
日立マクセルの善斉数之氏 |
ここ最近、スマートフォンとデジタルカメラを無線LANで連携させるという製品/サービスが増え、一つのトレンドになりつつある。
連携させるには、「無線LAN搭載デジタルカメラ」や、「無線LAN搭載SDカード」(Eye-Fiや東芝が3月10日に発売するFlashAir)を使うという方法があるが、AirStashのメリットは、こうした対応カメラ/SDカードを使わなくても、手持ちのカメラやSDカードを活用できる点にある。
例えば、iPhoneとデジタルカメラを持っている時に、保存用にデジカメで撮ってからSNS用にiPhoneで撮り直す必要が無く、デジカメの高画質な静止画をアップロードできることを利点として訴求している。
グローバル商品開発本部 商品部 企画グループの善斉数之氏は「“Wi-Fiが使える面白ツール”という考え方もあるが、ライフログをより豊かにするツールと考えてもらえれば」と説明。写真共有のSNS「Instagram」でも、より高画質な写真をアップロードできることなどをアピールした。
また、「3G回線無しで動画のストリーミング再生も行なえるので“節電波”もできる。3G非搭載のiPadは外に持ちださないことも多いと思うが、“自炊”したPDFの読書端末としても使えるようになるのでは」と様々な使い方を紹介した。
写真を使ったSNSへの活用を提案 | 動画の利用イメージ | 会議資料などビジネスの場での利用も想定 |
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AirStash MAS-A02 |
(2012年 3月 2日)
[AV Watch編集部 中林暁]