音質/画質を追求したプレミアムDIGA「DMR-BZT9300」
バランス出力搭載のレコーダ。FLAC/4K対応で約40万円
DMR-BZT9300 |
パナソニックは、ブルーレイDIGAの最上位モデル「DMR-BZT9300」を11月20日より発売する。実売価格40万円前後の“プレミアムモデル”として、他のDIGAとは別格の高画質/高音質機能を搭載していることが特徴だ。
“画質”については、HDMIを2系統搭載するほか、4K(3,840×2,160ドット)へのアップコンバートに対応。独自の4Kダイレクトアップコンバート方式などを盛り込んでいる。
“音”についても、新ブルーレイDIGAとして唯一DLNAのDMR(デジタルメディアレンダラー)機能を搭載し、ネットワークオーディオプレーヤーとして高音質を追求している。
新ユニフィエ(Uniphier)による動作の高速化や、地上/BS/110度CSトリプルチューナと3TB HDDの搭載、USB 3.0など外付けHDD対応強化など、“録画機”DIGAのフラッグシップ機としての機能も充実しているが、ここでは音質や画質などを中心に紹介する。
DMR-BZT9300 | BDドライブ部 |
■ 4K/24pアップコンバート対応。新Uniphierで画質向上
他のブルーレイDIGAとは異なる高剛性/低重心筐体を採用し、インシュレータも専用設計。'11年発売のDMR-BZT9000と同様の3層ベースシャーシで、重量バランスを低重心化し、振動の低減と安定化を図っており、リアパネルの強度やACインレットなどを改善。トップ/サイドパネルには、3.5mm厚のアルミ押し出し材を採用するなど、プレミアムモデルらしい高級感を高めている。
画質面の最大の特徴は、4Kアップコンバートに対応したこと。新Uniphierの搭載により「リアルクロマプロセッサplus」によるクロマアップサンプリング精度を向上したほか、3,840×2,160ドット/24pの4K解像度でのアップコンバート出力が可能となった。
新ユニフィエではクロマアップサンプリング精度を向上 |
東芝のREGZAシリーズをはじめとし、4Kディスプレイでも2Kから4Kのアップコンバートを行なうが、BZT9300では、オリジナルの色信号(2K/4:2:0)から、4K信号(4K/4:4:4)に一回のクロマ処理でアップコンバートする「4Kダイレクトクロマアップコンバート」により、記録情報を最大限に活かして4K映像を生成できるとする。
ディスプレイ側で4K処理を行なう場合、2Kで保管した色信号を用いて4Kにアップコンバートするため、合計3回のクロマ処理が必要となる。これは2Kの元信号(4:2:0)がHDMIで伝送できないため、プレーヤー側/ディスプレイ側の双方でクロマ処理が必要になってしまうため、それらに対し、ダイレクトクロマアップコンバートでは、記録情報を最大限に活かして4K化できるとする。
4Kダイレクトクロマアップコンバート。記録情報を最大限に活かして4K化 | 一般的な4Kアップコンバート | 4K超解像も新搭載 |
また、超解像と「ディテールクラリティプロセッサ for BD」を「4K超解像」として統合。輝度信号と色信号を画素単位で、分析/補正し、4K映像の先鋭感や精細感を調整するという。新ユニフィエ搭載のブルーレイDIGAではノイズリダクションも改善。モスキート/ドット妨害/クロスカラーの各処理を改善し、より正確なノイズリダクションを実現するという。
新ユニフィエを搭載 | 前面パネルを開いたところ |
画質モードもリファイン。新たに、プロジェクター視聴に最適な「プロジェクターモード」や、音楽ライブ番組向けの「ライブモード」を搭載。プロジェクタモードはレンズやスクリーンによる光拡散効果補正を搭載している。「シネマモード」、「アニメモード」も、各ジャンルに合わせてさらに最適化した。
■ “レコーダ”がバランス出力搭載のネットワークプレーヤーに
DMR-BZT9300の背面 |
BZT9300でさらなる差別化が図られているのが“音質”。DLNAに対応し、新ブルーレイDIGAとしてDMR(デジタルメディアレンダラー)機能を搭載することで、ネットワークオーディオプレーヤーとして利用できる。
最高24bit/192kHzまでのハイレゾオーディオに対応。ファイル形式は、24bit/192kHzのWAVとFLAC(2ch)、24bit/96kHzのFLAC(5.1ch)のほか、AAC、MP3、WMAなどをサポート。ホームネットワーク内のNAS(LAN HDD)やパソコンに蓄積した楽曲をスマートフォンなどのDMC(コントローラ)から再生指示し、BZT9300から出力できる。
DMR-BZT9300のフル動作時 |
また、ユニフィエを細かく制御し、使用していない機能を停止させることでノイズ源を無くす「インテリジェントローノイズシステム」も新バージョンに進化。レコーダとして動作している場合は、ファンやチューナ、デジタルAV処理など全ての機能を動作させるが、BDビデオ再生時には、チューナやアナログ音声系などの回路をカットし、ノイズ源を抑制。従来モデル(BZT9000)では動作していたチューナやB-CAS I/F、音声出力(HDMI以外)を停止することでさらなる低ノイズ化を実現したという。
同様に音楽タイトル再生時には、デジタル音声処理系と、アナログ/デジタル信号出力部だけをONに、その他の機能をOFFにできるようになった。出力系統はアナログ/デジタル(光/同軸)/HDMIを選択できる。従来機(BZT9000)では、動作していたB-CAS I/Fや、音声フォーマット変換回路なども停止する。
なお、インテリジェント ローノイズシステムで一部システムを停止する場合、例えばHDDやチューナをカットした場合は、レコーダとしての動作はせずBD/音楽プレーヤーとして動作する
DMR-BZT9300のインテリジェントローノイズシステムにおけるBDビデオ再生時 | BZT9000におけるインテリジェントローノイズシステムのBD再生時 |
DMR-BZT9300のインテリジェントローノイズシステムにおける音楽再生時 | BZT9000におけるインテリジェントローノイズシステムの音楽再生時 |
さらに、アナログ音声出力系統は、32bit/192kHzのL/Rチャンネル独立完全バランス伝送回路で構成。DACは、32bit/192kHz対応の「AK4390」を、オペアンプは「NJM2114」を左右独立で搭載。バランス出力端子はNEUTRIK製のものを採用する。
バランス(XLR)出力のほか、2系統のアナログ音声(RCA)や、光デジタル/同軸デジタル出力を装備。いずれも金メッキ処理を施している。
BZT9300専用の基板 | バランス出力を装備 | 左右完全バランス構成のアナログ音声出力 |
HDMI出力も高音質化 |
HDMIは2系統で、オーディオ専用出力にも対応。低クロックジッタシステムを改善し、
伝送クロック(TMDS-CLK)の低ジッタ化のためにVXCOと新たに外付けの低ジッタPLLを採用。クロック経路も見直すことで、さらなる低ジッタ化を実現したとのこと。
電源コンデンサや信号系コンデンサもBZT9300専用のものを採用。ネットワークオーディオの強化のため、新たにLANコモンモードフィルタを追加して、Ethernet経由でのノイズ侵入を抑制。電源系もショットキーバリアダイオード(200V/20A)や新タイプの3芯インレットの採用などで強化した。インシュレータはABS樹脂を組み合わせたセラミックインシュレーター。
また、入力信号を192kHzにアップサンプリングして出力する「192kHzリ・マスター」も搭載。入力信号を96kHz/192kHz処理して、32bitの88.2/96/176.4/192kHz信号として出力。32bit処理の精度向上により、エリアシングノイズを約10dB改善。リ・マスター効果も「強」と「標準」のほか、新たに「弱」を追加した。
高音質パーツを採用 | 真空管リマスターも引き続き搭載 |
■ レコーダとしての基本機能
USB HDD録画を改善 |
HDD容量は3TB。地上/BS/110度CSデジタルトリプルチューナを搭載し、ネットワーク経由のスカパー! HD録画とあわせて4番組の同時録画に対応する。
別売のUSB HDDへの録画も強化しており、USB 3.0をサポート。USB HDDへの3番組同時録画(従来は1番組のみ)やAVC長時間録画が可能になった。なお、USB HDDの複数台同時接続はできないが、最大8台まで登録可能。スカパー! HD録画については内蔵HDDのみの対応となる。
AVCエンコード画質も向上 |
MPEG-4 AVC/H.264エンコードによる長時間録画は、BSデジタル放送の場合、最大15倍(1.6Mbps)で録画可能。新ユニフィエの搭載により、AVC長時間録画時の画質も向上。従来は4:2:0の放送信号を前処理で4:2:2化してノイズ除去などを行なった後、4:2:0に戻してAVC圧縮を実行していたが、新ユニフィエでは4:2:0でのダイレクトエンコード/ノイズ処理に対応。情報量を維持しながらの圧縮を可能としたという。また、録画モードを変換しながらのダビングも高速化した。
ネットサービス「ディモーラ」による遠隔録画予約や、「ミモーラ」による録画番組検索/シーン頭出しにも対応する。ミモーラは有料サービス(月額315円)だが、最大5カ月無料で利用できるキャンペーンを11月20日から2013年1月31日まで実施する。
新ユニフィエでは、CPU速度を従来比2倍の1GHzのデュアルコアとしたほか、グラフィック性能も1.5倍に向上。従来2個だったエンコーダ/デコーダも3個に増やしている。これにより、動作速度を大幅に高速化。さらに検索機能の「スマート検索」、高速ダビングなどを実現した。
新ユニフィエを搭載 |
スマート検索は、番組表、録画一覧、放送視聴時に、リモコンの[検索]ボタンを押すことで、ジャンルや、サブジャンル、フリーワード、人名などの検索条件で番組を検索できる機能。複数条件検索も行なえる。
また、「プロ野球全試合」など、シリーズ番組や番組グループを選んで最大128番組までを丸ごと自動で録画予約できる「まとめて予約」も搭載。放送時間や放送局が異なる番組でも選んだシリーズにあわせて録画できる。「かんたんおまかせ録画」も搭載し、「ゴールデンのドラマ」などG-GUIDEのおすすめ番組を一括して録画できる。
無線LANとEthernetを装備し、DTCP-IP/DLNA対応のVIERAに番組をストリーミング配信する「お部屋ジャンプリンク」に対応。お部屋ジャンプリンクの同時動作を改善し、2番組の同時番組配信が可能となった。放送中の番組を対応機器に転送する「放送転送」にも対応している。
リモコンは無線方式でタッチパッドを採用。スマート検索用の[検索]ボタンを追加したほか、タッチパッド部の外周をくるくるとなぞることで高速に上下スクロールでき、パッド部のフリックでページ切り替えなどが行なえる。
出力端子はHDMI×2、コンポジット×1、アナログ音声×2(RCA×1、XLR×1)、光デジタル音声×1、同軸デジタル音声×1。入力端子はコンポジット×1、アナログ音声×1。i.LINK×1やUSB×3(USB 3.0×1、USB 2.0×2)、SDカードスロットを備えている。
消費電力は28Wで、クイックスタート「切」/時刻表示消灯時約0.02W、クイックスタート「入」/時時刻表示点灯時約4.1W。外形寸法は430×239×77mm(幅×奥行き×高さ)、重量は7.7kg。
(2012年 10月 17日)
[AV Watch編集部 臼田勤哉]