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【CEATEC 2013】パイオニア、無線USBで非圧縮伝送のPCスピーカー

Miracast対応シアターバー。ホンダはバイク湯沸かし?

パイオニアブース

 10月1日~5日にかけ、幕張メッセで開催される映像、情報、通信の総合展示会「CEATEC JAPAN 2013」。その前日となる9月30日、マスコミ向けに一部ホールが先行で公開された。ここではパイオニアとトヨタ自動車、本田技研工業のブースをレポートする。

パイオニア

 AV関連のユニークな展示として無線LANを使い、ワイヤレス化したUSB接続で、非圧縮の音楽を伝送するPCスピーカーが参考出品された。

 これは、9月下旬に発売された無線LAN接続対応のポータブルBDドライブ「BDR-WFS05J」に関連した展示。「BDR-WFS05J」は、BDドライブと無線LAN機能を備えたドックで構成されており、ドライブとドックをUSBで接続。ドックには高速USB仮想化技術が使われており、PCに特殊なユーティリティーをインストールし、ドックへ無線LANで接続すると、USBとして認識。離れた場所にある「BDR-WFS05J」に、ワイヤレスながら、USB機器としてアクセスでき、BDビデオの再生などができるというもの。

PCとワイヤレスで接続できるポータブルBDドライブ「BDR-WFS05J」
「BDR-WFS05J」のドック部分の単品販売が検討されている

 パイオニアでは、ドック部分の単品発売を検討しており、CEATECでの参考展示は、その利用提案の1つとして行なっているもの。試作したUSBアクティブスピーカーとドックをUSBで有線接続。ドックにPCがワイヤレスで接続すると、ドック+USBスピーカーが、ワイヤレススピーカーとして利用できるようになる。

ドックのワイヤレスUSB接続機能を応用し、USBアクティブスピーカーを接続しているところ
試作されたUSBアクティブスピーカー
接続の概念図

 この試作スピーカーは、製品として販売する事を想定して開発が進められているもので、TAD(テクニカル オーディオ デバイセズ)の技術も使われているという。Bluetoothスピーカーなどと比べ、ワイヤレスではあるがUSBで接続している事になっているため、非圧縮での音楽伝送ができるのが特徴。その高音質を活かすために、高い再生能力を持ったスピーカーとして開発が進められている。スピーカーの価格や、ドックの単品販売価格は未定。

 シアターバー関連では、Miracastに対応した「SBX-N700」というモデルを参考展示。IFAでも展示していたもので、日本での具体的な展開は未定。HDMI出力を備え、スマートフォンとワイヤレスで接続。スマホの画面やコンテンツをテレビに表示できるため、HDMI入力を備えたテレビであれば、シアターバーを追加する事で、スマートテレビ的な機能も手に入る事をアピールしている。

 ウーファをバースピーカーの底部に備えているほか、2.5GHz帯で接続するワイヤレスサブウーファも用意。入力にHDMIは備えておらず、ドルビーTrueHDなどのHDオーディオには非対応。

Miracast対応のシアターバー「SBX-N700」
HDMI出力を備えている

 「シースループロジェクション」は、透明なスクリーンにプロジェクタからの映像を投写できるもの。詳しい技術は明らかにされていないが、ハーフミラーや、薄く濁らせたガラスなどに投写する従来のシースループロジェクションとは異なり、透明度の高い透明スクリーンに、高輝度で投写できるのが特徴という。

 店舗のショーウインドーに映像を投写するなど、サイネージ用途を想定し、開発が進められている。

シースループロジェクションのデモ
人間の感知・認知能力を活かして直感的な運転操作を実現するというシステム

 車関連の展示では、人間の感知・認知能力を活かして直感的な運転操作を実現するという車室内空間を参考展示。フロントガラスにAR情報を表示させる「HUD(ヘッドアップディスプレイ)」、立体音響による直感的な聴覚情報アシスト「AUI(Auditory User Interface)」、触覚フィードバックを備えたステアリング操作デバイス「Feely-Pad」などを組み合わせたもので、人間本来の能力を支援する事を基本にしているという。

 他にも、独自の情報ネットワークである「スマートループ」により蓄積してきた、車から得られるプローブデータを分析・解析。ドライブに有用な情報として提供するクラウド基盤構想も紹介している。

 さらに、カロッツェリア「楽ナビ」シリーズの新モデルとして30日に発表された「AVIC-MRZ099」なども展示。サンバイザー部に取り付けてフロントガラス前方にナビ映像を映し出す「AR HUDユニット」(AVIC-MRP066)も10月中旬に63,000円で発売する。ドライバーの前方3m先に30型相当の大きさでナビ情報をフルカラー表示でき、表示はDLPのプロジェクションユニットを使用。解像度は540×120ドット。

「楽ナビ」シリーズの新モデル「AVIC-MRZ099」
別売の「AR HUDユニット」(AVIC-MRP066)
光で演出するiPhone/iPad対応DJコントローラ「DDJ-WeGO2」など、DJコントローラー関連の新製品も展示された

自動車メーカーも参加

 トヨタ自動車、本田技研工業といった自動車メーカーもブースを構えている。ホール7-8は、走行デモ&試乗エリアとなっており、30日の段階ではまだ設営中だったが、期間中はデモカーの走行姿を見る事もできる。

 本田技研のブースでは、「家にもエンジンを」をテーマにした展示を展開。エネルギーを家庭で創り、消費する「家産・家消」の提案として、Hondaスマートホームシステム(HSHS)のエネルギーマネジメント技術を紹介するとともに、その核となる家庭用ガスエンジンコージェネレーションユニットも展示している。

 ガスエンジンを用いて発電するというものだが、これをわかりやすく展示するため、 ガスエンジンによる発電ユニットをバイクに例え、その排熱を利用する給湯システムを湯気が出るやかんに見立てたオブジェを展示。来場者の注目を集めている。

家庭用ガスエンジンコージェネレーションユニット
ガスエンジンをバイクに、排熱利用の給湯システムをやかんに例えた展示

 IT系の参考展示としては、スマートフォン向けアプリ「ROAD DJ」を紹介。新人声優の声を複数のパターン収録した“萌え声ラジオ局アプリ”というもので、スマホ内の音楽をアプリ側がセレクトし、声優の声と共に再生。ラジオ放送のように音楽が楽しめるというもの。

 車で移動しながらの利用を想定しており、自車位置の情報とアプリが連携。自分の声を“あしおと”として地図上に残しておく事ができる。例えば、Aさんがレストランの場所で「このお店、美味しかった」という声を録音し、地図上に残しておき、Bさんが「ROAD DJ」アプリを使いながらその店を通りかかると、Aさんがのこした声がアプリから再生される。親しい友人、家族など、グループに分けて“あしおと”をフィルタリングできる。ビジネスモデルとしては、店舗のPRとしてお店の人に有料で“あしおと”を登録してもらうといった展開も将来的には考えているという。

スマートフォン向けアプリ「ROAD DJ」
誰かが残した“あしおと”が地図上に表示されている

 トヨタのブースでは、コンセプトカー「i-ROAD」や、小型電気自動車「COMS」を展示。Ha:mo(ハーモ/ハーモニアス・モビリティ・ネットワーク)に関連した展示で、スマホから予約し、乗りたい時にすぐ利用できる小型電気自動車や伝導アシスト自転車を利用できるソリューションや、車と公共交通を総合的な視点で最適に組み合わせたルート案内、それを利用する事で車のみを使った場合とのCO2削減量を視認できるエコモニターなどの技術を組み合わせたもの。豊田市において実証実験が行なわれている。

コンセプトカー「i-ROAD」や小型電気自動車「COMS」が登場

(山崎健太郎)