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e-onkyo、ハイレゾ配信を米英独で開始、アニソンも検討

ハイレゾ戦略発表。新形式「MQA」へ年内アプリ対応

 オンキヨーは、ハイレゾ音楽配信サービス「e-onkyo music」の世界展開を、アメリカ、イギリス、ドイツを皮切りに2月9日より開始する。海外でのサービス名は「onkyo music」で、平均価格は、アルバムが15〜20ドル、単曲3〜4ドル。配信楽曲数は非公開で、当初はUniversal Musicなどの楽曲をラインナップし、将来的にはアニメソングなど特徴ある日本のコンテンツも検討するという。配信地域の拡大も図っていく。

発表会で、e-onkyoの世界戦略を発表

 また、現在提供しているスマートフォンアプリの「HF Player」において、英Meridian Audio(メリディアン)が開発したハイレゾ音源の新たな音声フォーマット「MQA(Master Quality Authenticated)」へ、年内をめどに対応するなど、他社との連携を含めたハイレゾのソフト/ハード両面における強化に向けた取り組みを進めていく。

海外向けのonkyo musicのサイト

他社連携でハイレゾを幅広く提案。MQAのスマホアプリ対応も

オンキヨー執行役員兼オンキヨーエンターテイメントテクノロジー代表取締役社長の宮城謙二氏

 オンキヨー執行役員兼オンキヨーエンターテイメントテクノロジー代表取締役社長の宮城謙二氏は、ハイレゾについて「これまで聴こえなかった音が聴こえてくるというのが大事なこと。一部の音楽マニアだけのものではなく、皆さんに楽しんでいただきたい。そのために、オーディオメーカーとして、音源を提供する者として、あまりハイスペックには走らず、音楽の楽しみ方を提案していくのが我々のビジネスのコア」と説明。

 現在のホームオーディオの市場において、日本のオーディオメーカーの市場シェアが合わせても5%にしか過ぎないという点を指摘し、従来のホームシアター製品だけでなく、世界市場の半数超を占めるというヘッドフォン/ポータブルオーディオの分野をより強化することが、日本のメーカーが主役になるためのカギになるとの見方を示した。

ホームオーディオ市場
リスニングスタイルの変化
オーディオの新たなエコシステムとしてハイレゾの活用を提案

 そうした中で、同社が一員となっているGibsonグループが、フィリップスのオーディオ事業を手掛けている香港WOOXを子会社化したことに言及。WOOXと協力してヘッドフォン/Bluetoothスピーカーなどの開発や生産を行ない、WOOXの販売網を活かしたオンキヨー製品の海外展開を強化していく方針などを説明した。

 また、中国最大のSNSを運営する「QQ Music」との連携によるストリーミングプレーヤー「Q Player」共同開発や、中国の芸能/音楽プロダクション「EE-Media」とのコラボレーションBluetoothスピーカー開発といった、中国市場の開拓も進めていることを紹介。

WOOXや、QQ Musicなど他社連携の例

 日本を含む今後の展開としては、'15年春に同社はDSDを含むハイレゾ再生に対応したポータブルプレーヤー/アンプの「DAC-HA300」を発売することについて触れ、楽曲転送時に、PC経由だけでなくWi-Fi経由で配信サービスのe-onkyoから直接ダウンロードに対応することも検討中ということを明かした。

ハイレゾ再生に対応したポータブルプレーヤーDAC-HA300」
Wi-Fi直接ダウンロードを検討
ハイレゾのリスニングスタイル(モバイル)
ハイレゾのリスニングスタイル(ホーム)
MQAへの対応

 また、ハイレゾ音源の新しいフォーマットとしてメリディアンが開発した「MQA」も紹介。同社は既報の通り、MQAを「今後のハイレゾ戦略を強力に推進する有効な技術」と見て、対応のAV機器やソフトの開発、製品化に向けて前向きに検討開始したことを発表しており、「今までハイレゾでも楽しめなかった“スタジオクオリティ”の音がMQAでリビングでも楽しめる」と説明。

 まだ対応コンテンツやハードウェアなどが提供されていないため、詳細は不明だが、例えば過去にレコーディングした音源がSTUDERのアナログテープレコーダや、Shureのマイクで録った音だった場合、MQAフォーマットでは、これらの録音機材の持つ特性を加味した形で再生できることにより、スタジオそのままの音が楽しめるのだという。

 MQAについては、まずスマホアプリとして提供中の「HF Player」で年内に対応予定とし、高価な専用機器を必要とせずに聴ける環境として用意。さらに、そこから今後登場予定の対応ハードウェアへ出力して、より高音質で楽しむといった方法も検討しているという。

 オンキヨーは、昨年末から取り組んでいる、パソコン無しでハイレゾ楽曲を楽しむ“PCレス環境”を提案。同社はQNAPと共同でオーディオ用NASの「HS-210-ONKYO-2T」(2TB HDD内蔵)と、NASケース「HS-210-ONKYO」を'14年12月に発売。最大の特徴はハイレゾ楽曲の自動ダウンロードができる事。e-onkyo musicで購入した楽曲を、NAS自身が自動的にダウンロードしてくれる。e-onkyo musicはスマートフォンからのアクセスにも対応しているため、外出先でスマホで楽曲を購入し、帰宅すると自宅のNASに楽曲が既にダウンロードされているといった使い方ができる。

QNAPと共同でオーディオ用NASを開発
PCレスでのハイレゾ再生デモ

 さらに、パナソニックのBDレコーダ「DIGA DMR-BRZ2000」など4機種において、ハイレゾ音源の音楽ファイルのホームネットワーク配信に対応する「ミュージックサーバー」機能が追加された。これにより、ハイレゾ音源のホームネットワーク配信や、ハイレゾ音楽配信サービス「e-onkyo music」の購入楽曲の自動ダウンロード機能も追加されている。対象機種は、'14年10月発売の「DMR-BRZ2000/BRZ1000、DMR-BRW1000/BRW500」の4モデルで、'14年12月のソフトウェアアップデートにより対応した。

 発表会には、パナソニックでレコーダの商品企画を手掛けるホームエンターテイメント事業部 ビデオビジネスユニット ビデオ商品企画グループ ビデオ商品企画チーム 参事の神高知子氏も来場。DIGAでe-onkyoダウンロードに対応した背景について説明した。家のパソコンがデスクトップからノートへ移行し、家庭から大容量のストレージが無くなっている現状で、同社は、大容量化/ホームネットワーク機能の充実が進むBDレコーダの新たな使い道としてNAS機能を訴求する方法を探していた。ちょうどそのタイミングに、e-onkyoのスマートフォン対応強化やPCレス提案といった展開が合致したことで、e-onkyoからの自動ダウンロード対応を決めたという。

パナソニックの神高知子氏
e-onkyoとDIGAが連携し、自動ダウンロード機能を備えたハイレゾミュージックサーバーとして利用可能

国内ハイレゾ配信は85,000曲に拡大

オンキヨーエンターテイメントテクノロジー取締役の山下慎介氏

 日本におけるe-onkyo musicの現状は、オンキヨーエンターテイメントテクノロジー取締役の山下慎介氏が説明。'05年にハイレゾ配信サイトとして始まったe-onkyo musicは、当初11曲というラインナップだったが、開始から8年間で4万曲、その後'14年の1年間のみで4万曲という速さで曲数を追加。'11年頃からメジャーレーベルを中心にジャンルの幅が広がり、ダウンロード数も増えたという。

 フォーマットはFLAC/WAVに加え、DSDの2.8MHzや5.6MHzの配信なども行なっており、山下氏は「もうじき、(11.2MHzなどの)もっと大きなものが出てくると期待している」と述べた。1月時点の配信ラインナップは85,000曲以上で、レーベル数は200以上。「大手、インディーズほぼ全てのレーベルと取引している」という。

e-onkyoの歴史と、配信数の伸び

 9日から始まった米/英/独におけるハイレゾ配信開始は、既に海外で音楽配信を手掛けている英7digitalとの協業により実現。海外の市場を考慮し、ハイレゾだけでなく16bit/44.1kHzのCD音質のファイルも配信する点が日本とは異なる。フォーマットはFLACのみで、ダウンロード配信となる。

米英独でのonkyo music配信概要
7digitalと連携

 3カ国以外の配信については、フランスやスカンジナビア(の北欧諸国)などに加え、オランダからも強い要望が来ているという。現時点でこれらの開始時期は未定だが、'16年以降の展開を視野に入れているという。

 海外にも既にハイレゾ配信サイトは複数存在するが、山下氏は「日本ほどのマーケットが存在しているわけでは無い。競争というより、みんなで盛り上げる段階」との見方を示し、ダウンロードよりストリーミングが普及している海外では、ハードウェアの対応や他メーカーとのアライアンスも視野に入れ、今後の拡大を図っていくという。

(中林暁)