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ソニー、フルサイズ対応5軸手ブレ補正をボディに内蔵したEマウント新ミラーレス「α7 II」

 ソニーは、35mmフルサイズのセンサーを採用したEマウントのレンズ交換式カメラで、フルサイズでは世界初となるボディ内光学式5軸手ブレ補正機能を搭載したミラーレス「α7 II」(ILCE-7M2)を12月5日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は19万円前後。

「α7 II」

 α7をベースにしながら、世界初のフルサイズセンサー対応、光学式5軸手ブレ補正機能をボディに内蔵した事が特徴。コンシューマからプロカメラマンまでを対象に、ブレ写真を減らし、新たな表現にチャレンジできるカメラとして訴求する。α7は併売する。

「α7 II」

 手ブレ補正は静止画、動画の両方で利用可能。ブレに合わせてセンサーを動かし、シャッター速度最高4.5段分の補正を可能にする。5軸の内訳は、望遠撮影などの焦点距離が長い時に起こりやすい角度ブレ(ピッチ/ヨー)、マクロ撮影時など撮影倍率が大きくなると起こりやすいシフトブレ(X軸/Y軸)、さらに、夜景や動画撮影時などに目立つ回転ブレ(ロール)。様々なブレを5軸で検出して対応する。

 ボディ内に手ブレ補正機能を搭載しているので、手ブレ補正を搭載していないEマウントレンズと組み合わせても、暗所で手持ちで低速シャッタースピード撮影などが可能。別売のマウントアダプタ「LA-EA4」や「LA-EA3」を使い、Aマウントレンズを使う場合でも、ボディ内5軸手ブレ補正が利用できる。ただし、一部対応していないレンズもある。

 なお、レンズ側に手ブレ補正機能が搭載されている場合は、角度ブレに関してはレンズ側の補正機能を使い、シフトと回転ブレはボディ側の補正機能を利用する。

α7 IIの光学式5軸手ブレ補正機能デモ
右がボディ内光学式5軸手ブレ補正のイメージ
ユーザーが手ブレ補正利用時の焦点距離を指定する事もできる
内蔵のフルサイズセンサー

 液晶モニタや有機ELビューファインダーで、補正された映像をリアルタイムで確認可能。望遠撮影やマクロ撮影でも、安定したフレーミングやピント合わせができるとする。

 センサーは35mmフルサイズ、有効2,430万画素のExmor CMOSで、α7とスペック面では同じ。ローパスフィルタも備えている。

 筐体デザインはα7をベースにしているが筐体がわずかに分厚くなり、グリップも大型化。大型望遠レンズと組み合わせた場合でも、安定してホールドできる形状や高さを追求したという。

左がα7、右がα7 II
左がα7 II、右がα7。グリップが大きくなっている」
手前がα7 II。シャッターボタンの位置やサイズ、レイアウトが変化した

 レリーズボタンも前に出て、グリップの部分に搭載。ボタンも大きくなっている。好みに合わせて56種類の機能を割り当てられるカスタマイズボタンも10個搭載する。

 α7のボディは、トップカバーのみマグネシウム合金だったが、α7 IIでは、トップだけでなくフロントカバー、内部構造体にもマグネシウム合金を採用。大口径望遠ズームや動画用の重いレンズなど、様々なレンズの使用を配慮してマウント構造の剛性も高めている。

 主要なボタン、ダイヤルには水滴やほこりが侵入しにくくなるようなシーリング処理を施し、メディアやジャックカバーなどは凹凸の二重構造を採用。防塵防滴にも配慮している。

背面。左がα7、右がα7 II
詠唱モニタはチルトが可能
トップ、フロントカバー、内部構造体にもマグネシウム合金が使われている

XAVC S動画撮影にも対応

 動画撮影では、新たにXAVC Sに対応。1,920×1,080/60p/60i/24pに対応し、最高50Mbpsでの記録が可能。フレーム間の差分情報を用いて圧縮を行うフレーム間圧縮(Long GOP)方式と、動画圧縮方式はMPEG-4 AVC/H.264を採用。音声はリニアPCMで記録。ファイル形式はMP4となる。さらに、AVCHDでの記録も可能。なお、XAVC S記録時はClass 10以上のSDXCメモリーカードが必要。

 カメラ本体で映像のトーンを調整できるピクチャープロファイル、広いダイナミックレンジを実現するS-Log2ガンマや、広い色域を持つS-Gamutにも対応。編集時に利用できるタイムコード/ユーザービット、対応している外部レコーダーと同期記録が可能なレックコントロール機能、マーカー表示/設定や同時ビデオ記録機能にも対応。

 画像処理エンジンは「BIONZ X」。自然な質感を細部まで再現する「ディテールリプロダクション技術」や、絞り込んだ撮影でも解像感を損なわない「回折低減処理」、夜間や室内などの光量が少ない場所でも解像感と質感を維持しノイズを低減する「エリア分割ノイズリダクション」なども備えている。

AFも従来比約30%高速化

 117点の位相差AFセンサーと、25点のコントラストAFを用いて、高速なピント合わせができるという「ファストハイブリッドAF」を搭載。位相差AFセンサーの高い動体追従性を活かし、ピント合わせが難しい被写体でも広いAFカバー範囲で被写体を捉えられる。

 被写体位置を検出するアルゴリズムも進化させ、レンズの駆動も最適化。既存のα7と比べ、AFのレスポンスが約30%高速化した。動体予測アルゴリズムも進化し、従来比約1.5倍の追従性能を実現。高速連続撮影時(最高約5コマ/秒)には、AF・自動露出(AR)が被写体を追従し続ける。追従する被写体のサイズを認識しながら最適なピント合わせを行う「ロックオンAF」は、進化した画像解析技術により動体の捕捉、追従性能が大幅に向上している。

 背面には3型の液晶モニタを装備。カメラの背面に対して、上約107度、下約41度のチルトが可能。有機ELの電子式ビューファインダも搭載する。無線LANも搭載、NFCにも対応。様々な撮影アプリが利用できるPlayMemories Camera Appsにも対応する。

 外形寸法は約126.9×59.7×95.7mm(幅×奥行き×高さ)、重量は本体のみで約556g。記録メディアはメモリースティック PRO デュオ/PRO-HG デュオ/XC-HGデュオ、SD/SDHC/SDXC。

 また、α7 II専用のアクセサリとして、縦位置グリップ 「VG-C2EM」も発売。バッテリパック「NP-FW50」を2本装着でき、長時間撮影に対応できるという。防塵防滴に配慮した設計で、発売日は12月5日。価格は35,000円。ソフトキャリングケース「LCS-ELCB」なども発売される。

α7 II用縦位置グリップ 「VG-C2EM」

コンシューマからプロカメラマンも活用できるボディ内手ブレ補正

 デジタルイメージング事業本部 第2事業部1部の田中健二ビジネスユニット長は、高感度撮影に強いα7S、ローパスフィルタレスでより高解像度なα7Rといった、α7シリーズのラインナップにおいて、α7 IIを、「フルサイズを多くの人にというα7のコンセプトはそのままに、強力な手ブレ補正機能でフルサイズの楽しさを様々な人に実感していただけるカメラ。コンシューマから、遅いシャッタースピードで新しい写真表現にチャレンジしたいプロカメラマンに至るまで、幅広い層が活用でき、表現の幅を広げられるカメラ」として紹介。

 5軸のボディ内手ブレ補正機能が、今後も他機種に搭載されていくのか? という質問に対しては、「今後の製品についてはなかなか言いにくいが、ボディに手ブレ補正機能を入れたのは、手ブレ補正が欲しいというマーケットの声が多かったから。マーケットからの要望が多ければ、いろいろな機種に入れていくこともあるだろう。今後もしっかりと、みなさんの声を聞いて、開発に活かしていきたい」とした。

デジタルイメージング事業本部 第2事業部1部の田中健二ビジネスユニット長

(山崎健太郎)