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ソニー2/3型4Kやパナの新4K/60pカメラ、各社ドローンなど集結。「NAB 2015」開幕
(2015/4/15 09:45)
放送機器や映像制作関連の国際展示会「2015 NAB Show」が、米国ラスベガスにおいて13日(現地時間)に開幕した。カムコーダやモニタなどの映像機器、映像制作に関するハード/ソフトウェアなどの、主にプロフェッショナル向け製品が披露される展示会。11日より出展社が新製品などを紹介するプレスカンファレンスが開催、13日よりブース展示がスタートした。会場はラスベガスコンベンションセンター(LVCC)。
ソニーはスポーツ対応の4K/HDカメラや4Kメモリープレーヤー、HDRなど
ソニーは既報の通り、世界初の2/3型3板式4Kイメージセンサーを搭載した4K/HD対応カメラ「HDC-4300」を発表。高倍率の大型レンズを活用してスポーツ中継などの活用を想定し、価格は約1,400万円。放送局で広く使われているHD用B4マウントレンズを装着可能。別売ソフト「SZC-4002」や、放送局や制作現場で使われている「HDCシリーズ」の活用などにより、HD制作環境からのスムーズな移行なども可能にするという。
また、2014年のInter BEEで参考展示されていた4Kメモリープレーヤー「PMW-PZ1」を、NABにも出展。HDMI 2.0や3G-SDIなどのインターフェースを備え、様々なディスプレイにSxSメモリーカードやUSB 3.0 HDDなど外付けストレージ内の4Kコンテンツを再生・表示可能。米国では6月発売予定となっている。
「ハイダイナミックレンジ」(HDR)技術の展示コーナーも設けており、シネアルタ4Kカメラ「F65」、「PMW-F55」と4K 有機ELマスターモニター「BVM-X300」を用いて、広色域、高解像度とハイダイナミックレンジを活用した制作環境なども紹介している。
パナソニックから4/3型センサーの4K/60pカムコーダ。4Kマルチパーパスカメラも
パナソニックが披露したのは、新4K/60p対応カムコーダの「AG-DVX200」。4/3型のMOSセンサーを備え、光学13倍ズーム/F2.8のライカディコマーレンズも装備。デュアルカードスロットや端子部を守るカバーの赤色がデザインのアクセントになっている。4/3型センサー搭載の4K/60pカメラは世界初としている。
35mm換算の焦点距離は4K(4,096×2,160ドット)が29.5~384.9mm、フルHDは28~365.3mm。5軸ハイブリッド手ブレ補正なども備える。60p映像は3,840×2,160ドットで、SDカードにMP4/MOVで記録。フルHDの120p記録も可能。新VARICAMシリーズから継承されたV-Log L(12ストップ)を搭載する。
また、AVC-ULTRA対応のカムコーダとして、9月発売予定の新製品「AJ-PX380G」も披露。こちらは1/3型3MOSセンサーを備え、1080の60p/60iや24p/30pなどに対応。AVC-Proxyのデュアル記録にも対応する。メインユニット単体の「AJ-PX380G」と、フジノン製17倍ズームレンズやカラー液晶ビューファインダを備えた「AJ-PX380GF」をラインナップする。このほかにも、日本でも展示されたVARICAM HSやVARICAM 35、4KのIPストリーミングに対応したマルチパーパスカメラ「AK-UB300」などを展示している。
Adobe Creative Cloud新機能のデモ
アドビシステムズは、「Adobe Creative Cloud(CC)」の次期アップデート内容を予告。NABのブースでは、映像合成/エフェクトツールの「After Effects CC」や、映像編集/制作ソフトの「Premiere Pro CC」などの新機能について紹介するデモを行なっており、アップデート内容を確認できるようになっている。メジャーアップデートの時期は、'15年夏前の見込み。
After Effects CCは、2次元キャラクターをアニメーションとして動かせる「Character Animator」が追加。このソフトは、PhotoshopやIllustratorであらかじめ作成した複数レイヤーの静止画を、アニメーションのように動かせるというもの。顔認識機能を使って、Webカメラで撮影した人の顔に追従した動きをさせたり、マウス/キーボードで任意の動かし方を指定することなども可能。このほかにも、Premiere Pro CCは、色調補正が行なえるカラーパネルの機能を強化。また、インタビュー映像などで複数のカットをつなぐ際に、不要な間やジャンプカットを取り除き、よりスムーズな編集を可能にするMorph Cut機能などが搭載されている。
Creative Cloudと連携できるスマートフォンアプリのProject「Candy」も提供。スマホで撮影した写真から色調を解析し、それを他の映像作品などの色合いに活かせるというもの。旅先で出会った印象的な風景などのエッセンスをクリエイターの映像制作に反映でき、効果の強弱なども設定可能。シンプルで直感的な操作による映像作りに貢献できるという。
様々なカメラと連携するモニタ付き4Kレコーダ「SHOGUN」
日本でもInter BEE 2014で大々的に展示されて話題となった、オーストラリア・ATOMOSの4K対応レコーダ「SHOGUN(将軍)」。カメラとHDMIまたはHD-SDI接続する7型フルHDディスプレイ搭載の外部レコーダで、カメラから4KやRAW記録、フルHD 120fps記録が可能。市販の2.5型SSDやHDDを記録メディアとして使える安価なソリューションであるのも特徴。
NABの同社ブースでは、REDの4Kカメラ「RED DRAGON」や、ソニーのフルHD対応カメラ「PXW-X70」などと組み合わせて利用できる撮影コーナーを用意。また、ソニーブースでも、α7sとのHDMI接続で4K RAW記録ができることをアピールしており、SHOGUNとα7sを購入すると、プリペイドカードが当たるキャンペーンも実施している。
カメラ搭載ドローンや、超小型4Kカメラなども各社から
マルチコプター/ドローンのメーカーや、それを活用したソリューションを提案するメーカーも多数出展していた。中心的な存在であるdjiは、発表したばかりの最新モデル「Phantom 3」シリーズなどを披露。デモ飛行も行なっている。
ドローンを手掛ける他メーカーも数多く出展。会場には、デモ飛行できるエリアを制限するための筒状のネットを張ったブースが目立ち、飛行性能や空撮機能などをアピールしていた。
NAB展示初日の13日に、16本ものニュースリリースで30を超える新製品を発表したのはBlackmagic Design。注目はスーパー16センサーサイズの1080/60p対応シネマカメラ「Micro Cinema Camera」で、ドローンへの装着もできる小型筐体が特徴。レンズマウントはマイクロフォーサーズで、記録メディアはSDカード。ステレオミニのマイク入力も備える。7月発売で、価格は995ドル。
このほかにもBlackmagic Designは、スーパー35mm対応の「Blackmagic URSA 4.6K」を展示。EFマウント用と、PLマウント用をラインナップし、価格はEFマウント用が6,995ドル、PLマウント用が7,495ドル。
キヤノンもNABに合わせて新製品を発表した。ブースには、スーパー35mmセンサー搭載のデジタルシネマ用カメラ「EOS C300 MarkII」を展示。外部レコーダ不要で4K撮影が行なえる新モデルで、Aerigon製のドローンとの組み合わせも提案している。このほかにも、空撮などに活用できる小型4Kカメラ「XC10」なども用意している。そのほか、4Kモニタの新モデル「DP-2410」を使ったBT.2020広色域表示や、既存モデル「DP-3010」のデモも行なっている。
今回のNABが初披露となるのは、放送用4Kレンズ2モデル。スタジオ・中継制作用の光学80倍ズームレンズ「FUJINON UA80x9」と、ポータブルタイプで光学22倍ズームレンズ「FUJINON UA22x8」の2製品で、いずれも世界初の性能を実現したというモデルで、NAB開幕前に発表された。
「UA80x9」は、焦点距離9~720mmの光学80倍ズームレンズ。開放F値はF1.7(9~350mm)~F3.5(720mm)。独自の光学式防振機構を備え、足場の揺れによる画面上の像ブレを補正。スポーツ中継やコンサー中継などの撮影時でも安定した映像を実現するという。また、「UA22x8」は、ポータブルタイプで焦点距離8~176mmの光学22倍ズームレンズ。開放F値はF1.8(8~124mm)~F2.55(176mm)。レンズフードなしで2.55kgという軽さと、110×241.5mm(直径×長さ)というコンパクトな設計により、スポーツ中継や屋内外での番組制作、報道など幅広く使用可能としている。
ニコンは、4月10日に発表した通り、デジタル一眼レフカメラ「D4S」と「D810」、「D750」の新ファームウェアを今夏に公開することをNABブースでも案内。新たに、HDMI接続した外部レコーダからの録画開始/停止の同期が可能になる。